ロンドンにて ロンドンの大気汚染
先週の土曜日からロンドンに滞在しています。4年ぶりのロンドンです。ホテルは中心部のトラファルガー広場やピカデリーサーカスへ歩いて5分ほどで行けるロンドン観光にはうってつけの場所にあります。しかし、残念ながら観光ではなく仕事の出張です。
渋滞税で市内の大渋滞は解消
ヒースロー空港からそのホテルまでの道、さらに市内を歩き、走り、シティー地区への行き来では10年ほど前の絶望的な渋滞はなくなったと感じました。これは、間違いなくあるConjestion Charge, いわゆる渋滞税が実施された効果です。歴史的建造物が多く市内は車を走らせるような道路整備がやれないまま自動車普及が進み、ビクトリア朝時代の馬車での速度の変わらないくらいの大渋滞が日常茶飯事でした。この状況の打破のため2003年当時の市長が強引に導入したのがConjection Chargeです。当時は市内に乗り入れるのに一日3ポンド、いまでは10ポンド(今のレートなら約1,700円)も取られ、いたるところ取り付けられた監視カメラでしっかり監視され、違反は反則金が徴収されます。
これが功を奏して、市内の馬車どころか歩行者よりも遅いといわれた大渋滞が緩和されています。これと、市内の人、自転車、車が入り乱れて通る狭い道の速度規制で人身事故も減っているようです。電気自動車やハイブリッド車は この規定から除外され、そのためか、パリやストックホルム同様やたらとプリウスやこの英国で現地生産しているオーリスハイブリッドが目につきます。この自動車先進国の英国でしっかりと次世代エコカーとしての市民権を得ていることを目にするとうれしくなります。こうした中、パリに続きロンドンでも電気自動車のカーシェアサービスロンドン版Autolib がスタートするようですが、もしかするとロンドンなら二匹めの泥鰌はいるかもしれません。
しかし、ロンドンもパリ同様PM2.5の大気汚染が深刻
また、高速道路でロンドン市のエリアに近づくとLow Emission Car Onlyの標識が立っています。これは今年の2月4日から実施されることになった、市が設定した厳しい排気規制をクリアしたLow Emission Carだけに乗り入れを認める条例による標識のようです。これまたカメラで厳しくチェックされ、規定を超える車を識別すると日当たり200ポンド、今のレートなら44,000円の罰金がとられます。これは大型ディーゼルトラックの市内乗り入れ規制が狙いで、いまだにPM2.5、NOxの大気環境基準が達成できないことが理由です。
欧州大都市での大気汚染は3月20日のブログでパリの汚染警報発令と交通規制を紹介しましたが、このロンドンでも同様です。今週は急に気温が上がったこともあり、市内全域に大気汚染注意報が発令、PM2.5濃度が高まりできるだけ室内に留まるようにとの注意喚起があったそうです。この主因が長らくガソリン車よりも緩いディーゼル規制を続けてきた付けが回ったことと述べましたが、もう一つは地中海を越えてやってくるサハラ砂漠からの塵も原因とのことです。
欧州大陸を超え、英国まで飛んでくるとは驚きです。このサハラ砂漠の塵も原因かもしれませんがやはり有害成分はSO4、NOxといった工場からの排気やディーゼルからの排気成分で、ディーゼル車の規制強化、特に大型ディーゼルの規制強化、大都市部の自動車の利入れ規制などは必要なのかもしれません。
クリーンな自動車を提供するのは、自動車エンジニアの役割です。さらに、このPM発生源のもとになる、燃料中のサルファー(硫黄分)の低減もあと一息のところにきています。最近では、エンジン潤滑油がガソリンでもディーゼルでもPMの発生源との説も発表されています。これまた、それが原因なら、自動車エンジン屋、石油メーカー、オイルメーカーが協力すれば大幅低減を目指せると思います。それも、規制モードのクリーンではなく、なんども申し上げているリアルワールドでの大幅低減を目指してほしいものです。
ロンドンの空をみながら、自動車エンジンやとしてまだまだやることは残っていると感じました。