プラグインプリウス日記-6

プラグインを使用して1年近くが過ぎました

昨年の4月から、プリウスプラグインハイブリッド(今販売されているモデルのパイロット版)を自分の足として使っています。今週までで、約1.6万キロを走破しました。年2万キロには届きそうもありませんが、月1500km強、年間1.8万キロと自家用車の平均年間走行距離9000kmの倍ぐらいのヘビーユーザーです。月に1~2回は、静岡県三島市の自宅から愛知県の名古屋市、豊田市への出張があり、夜の呑み会がセットされていない日帰り出張や一泊出張では、時間の有効利用、経済性から殆どクルマを使います。

日常の自宅を中心とするショッピング、レクレーションのショートトリップの大部分は充電電力を使い、ガソリン燃費リッター50km以上を記録しますが、愛知出張などの長距離になると、その殆どの走行はエンジンを使ったHV走行になり、フル充電からの出発で片道250kmのトリップとなるとガソリン燃費は通常のハイブリッド車に近づき、リッター25km程度です。これまで同様、燃費を意識しすぎのエコ運転はやっていません。通算燃費は、長距離走行も多いせいもあり、リッター31.4km、カタログ燃費の57kmには全く届きませんが、ユーザーが報告する日本のプリウス実走行燃費サイトでのe-燃費21.7km/lと比較すると、約50%の向上と大きなガソリン削減効果が得られています。概算のEV走行比率は31%ですので1.6万キロのうち約5千キロ以上は充電電力で走っていることになります。

日本の平均的ドライバーで、日常の通勤、ショッピングとしったショートトリップを主体に時々週末の長距離ドライブを行い、年9千キロ程度クルマを使うユーザーでは、日本のカタログ燃費算出に使う、EV走行比率48%はほぼ妥当な値で、JC08走行燃費でもe-燃費とは大きく差がありますが、e-燃費の倍リッター40kmは実現可能、我慢をしなくてもガソリン消費を大幅に削減することができると思います。

プラグインハイブリッドの特徴は、何度もこのブログで取り上げているように、充電電力がなくなっても、ガソリン使って従来ハイブリッド以上の長距離ドライブができることにあります。往復500kmの日帰りドライブでも、電欠、ガス欠を心配しなくても安心して帰りつくことができます。通算11ヶ月間での充電電力量は952kWh、国内や海外出張、何日かの外出しない日もありますが、それを除く毎日1回の充電と、日の2回の自宅での充電がほぼ全て、自宅外で充電したのはこの11ヶ月で3回のみ、わざわざ出先の充電ポイントを探し回らなくても困ることはありません。

もちろん、通勤先の駐車スペース、宿泊先のホテル、出先の駐車スペースで簡単に充電できるようになれば、この充電電力量をさらに増やすことができ、このままの電池搭載量でもEV走行比率をさらに高めることは可能です。さらに電池がさらに安くなり、エネルギー密度も向上するならば、将来は同じ電池容積、重量でもEV比率をさらに高めることが期待できます。

愛知県豊田市駅前の市営充電ステーションでのプラグインプリウス

この電池に外部電力から充電した電力が、ガソリンを使う替わりにクルマを走らせたエネルギーとなり、私のケースで総走行距離1.6万キロの31%強、5、240kmが電力走行、約240リッターのガソリン消費削減との結果になりました。補助金をいただいても、安い夜間電力で充電したとしても、このガソリン消費削減分だけでは、クルマの販価アップ分とさらに充電設備の工事費分のもとはなかなかとれませんが、実用技術で従来車の走り、航続距離を損なうことのない商品との確信をもつことができました。

4月から新型PHVに乗り換えます

1月末に、私が使っている少量実証試験用プラグインハイブリッドの量産改良版“プリウスPHV”が発売を開始しました。実証試験での結果などを踏まえ、EV走行キャンセルボタンの設置、EV航続距離の伸張、充電タイマーの設置、スマートフォンとの連携による充電時間コントロールや充電情報の通信など、改良が施されているようです。

新型プリウスPHV

プリウスPHVの充電ポート

電気自動車/プラグイン自動車購入への特別補助金が来年度も継続して貰えるようになり、充電設備が使えるケースでは手に届く範囲に入ってきましたが、まだ今のガソリン代と電力料金では、夜間電力を使ったとしても販価アップ分を回収できるレベルではありませんが、ポスト石油への備えとしては有効性が見えてきたように思います。

販売店に問い合わせると、個人客よりも法人客が多いようで、また充電設備費用も普及のネックとなっているようですが、充電設備設置が可能ならば、個人用としての普及が期待できるのではと思っています。私も、4月には改良されたプリウスPHVに乗り換えます。これからも続けて、改良効果と、さらにその将来性を現地、現物で確認していきたいと思っています。

先週のブログでも取り上げましたが、岩手と宮城の境、金ヶ崎町にある関東自動車岩手工場で生産されている、トヨタの新型小型ハイブリッド車アクアをよく町で見かけるようになりました。発表以来12万台を越える注文をいただき、フル生産を続けても今からの発注では納車が7月を過ぎるとの話も聞こえてきます。岩手工場の生産をアクアに集中させ、急遽能力増強を行っているようですが、早めの納車ができるように生産サイドのもう一がんばりをお願いしたいところです。

日本での2月登録台数1位は10ヶ月連続のプリウスで35,875台、3位アクアの21,951台などハイブリッド車の販売が伸び、トヨタ・レクサス新車販売に占めるハイブリッド車の比率は約半分を占めるまでになってきました。このところ世界的に石油価格が上昇、ガソリン価格が上昇しているようで、日本だけではなく、アメリカでもハイブリッド自動車の販売が上向きとなってきており、低燃費自動車への転換が大きく加速するのではと期待しています。エコ、クリーン性能はこれかの自動車の基本性能として非常に重要ですが、やはり普及拡大の引き金を引くのは、経済原理と商品魅力、低燃費車への補助金政策、ガソリン価格の上昇もあり、ハイブリッド車がお客様の懐具合から判断しても魅力的となってきたことが大きいと思います。

石油のこれ以上の暴騰を防ぐためには、低燃費車への転換を加速させ、グローバルな石油消費を減らすことが何よりも重要、中国の自動車保有台数があっという間に日本をはるかに越え、1億台を突破しました。この勢いで自動車の保有台数が増加していく中では、ガラパゴス論など言い合っている余裕はありません。かといって、ハイブリッドはショートリリーフと言って、過去になんども盛り上がった議論ですが、石油燃料のエンジン自動車から一足飛びに、電気自動車、または水素燃料電池自動車にワープさせることも、いずれも空手形に終わりました。

ワープさせるには、技術のブレークスルーが必要、かつブレークスルーが実現したとして、そのエネルギーを供給する社会インフラ整備が必要です。電気自動車も、水素燃料電池自動車も、まだまだ従来技術の改良で実用化が目指せるレベルではありません。知恵と熱意と、将来の実用化に夢を描ける研究者にブレークスルー技術創出に頑張ってもらうフェーズだと思います。それこそ、何かが見つかるまでは、簡単に仕分けをせず、国費としてその研究を支えていただきたいと思います。