排気浄化システムのデフィート・デバイス

VWスキャンダルのポイントは、排気浄化システムへのデフィート・デバイス(Defeat Device)の搭載です。デフィート・デバイス:「無効化装置」と訳して良いでしょう。文字通り、排気ガス浄化システムの正常な作動を無効化する装置です。今回VWがデフィート・デバイスの搭載で侵害したとされる、米国連邦大気浄化法(Clean Air Act)には、デフィート・デバイスの禁止をうたう法文が定められています。

40 CFR 86.1809-10 – Prohibition of defeat devices

http://www.gpo.gov/fdsys/granule/CFR-2014-title40-vol19/CFR-2014-title40-vol19-sec86-1809-10

自動車排気ガス規制の中身、その認可をうけるための申請手続き、試験法、試験車の要件からこのデフィート・デバイスの禁止にいたるまで、法律として定められています。また、時代に合わせた改訂も行われ、その都度、Advisory circularという改訂通知がEPAの公式ページに掲載されます。

米国向けエンジン開発の担当エンジニアが、この条文すべてを理解しながら開発作業をやっているわけではありませんが、試験法、判定基準などの基本部分は頭に入れ、また改訂条項をフォローしながら開発作業を進めています。この基本部分の一つがデフィート・デバイスの禁止で、その定義、事例には常に気を配っていました。細部の法律解釈、ループホール探しをする訳ではありません。先週のブログで述べているように、一番基本の判断基準は、規制の本来の狙いに沿った、fairnessとgood faithです。その上で、ルール変更の狙い知り、それを遵守するために最新のルールを知ることは欠かせない作業です。

その最初の条項にデフィート・デバイスの禁止を謳っています

  • No new light-duty vehicle, light-duty truck, medium-duty passenger vehicle, or complete heavy-duty vehicle shall be equipped with a defeat device.

そして、規制当局は、デフィート・デバイスの疑いのあるクルマについて、そのテストを行うか、テスト実施を要求する権限を有していることを明文化しています。

排気ガス浄化システムのデフィート・デバイス問題は、新しい話しではありません。調べた限りの一番古い事例は、1973年に遡ります。EPAは当時のBig3とトヨタが、エンジンルーム内に温度センサーを設置、それによりエンジン暖機過程で排気浄化デバイスの作動を止めるシステムをデフィートと判定したと記録されています。ただし、システムの改良は命じられましたが、このケースでは既に販売したクルマのリコールは命じられませんでした。また、トヨタがこの時、デフィート・デバイスと疑われた排気浄化システムは、今も使われているEGR(排気ガス再循環)システムで、低温時、冷間時にEGRバルブをカットするもので、寒冷地の暖機運転などで、水分を多量に含む排気ガスを再循環させることによるスロットル弁の氷結や、暖機中にまでシステムを機能させることによるドラビリ不良、また失火によるエミッション悪化を防ぐ手段であると理由とそのデータを示し、デフィート・デバイスではないとの判定をもらったと、当時EPAと交渉にあたった友人から聞いた覚えがあります。

続く1974年、これと違うデフィート・デバイス事件が発生しています。前回に似た案件のようですが、2種類の温度センサーを用い、エミッション性能に影響する制御を行ったとの事例です。この案件の当事者VWは12万ドルの罰金を払い決着しています。

http://autoweek.com/article/car-news/vw-emissions-defeat-device-isnt-first

この学習効果が働いていないのが今回のVW事件です。

1990年代にもいくつかのEPAと自動車メーカーの間で、デフィート・デバイスと判定された事例がEPAの記録として残されています。VWケースのように、判断するまでもない違法事件だったかは不明ですが、意図的に排気浄化システムの機能を停止するか弱めるデフィート・デバイスとの判定を受け、罰金を払ったケースはそれほど少なくはありません。この中に、1990年代後半の日本メーカーも含まれています。また日本でも、2011年6月、東京都環境科学研究所の調査で、最新に最新ディーゼル・トラック車に、排出ガス低減性能の「無効化機能:デフィート・デバイス」を使っていることを発見したとして、国交省に届出、改善命令がでているケースがあり、それも2011年まだ新しい事件です。

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/06/20l63600.htm

先日の、東京モーターショウ開催についての自工会記者発表で、池会長は、このVWスキャンダルについて、私見と断りながらも「一企業の行為が自動車業界全体に対する信頼感を揺るがしていることに困惑し、失望している」「日本メーカーでは、そんなことはあり得ないと思っている」と述べています。ここで紹介したように、ここまで悪質なケースはなかったかもしれませんが、法規違反とされるデフィート・デバイス事件が、米国だけではなく、日本でも発生しています。また、日本のケースではなく、日本メーカーが米国でデフィート・デバイスを使ったとして、罰則を受けているケースもあることは公知の事実です。この問題への勉強不足、対岸の火事視している感度の低さには正直失望させられました。

このところ大きな品質問題の多発、その中ではそれが原因で死者がでているにも拘わらず自動車メーカーとしてのアクションが遅れてしまった問題、これも明かな違法行為であった米国での燃費詐称事件と、自動車企業のガバナンスが問われる事件が多発しています。対岸の火事では全くありません。

これまで、2回のブログで、自動車産業界として襟をただし、法規制の趣旨であるリアルの環境保全のため、fairにgood faithでbest practiceでクリーン&グリーン自動車の開発に取り組んで欲しいと申し上げたのは、日本メーカーを含む世界全体の自動車メーカーに対してのコメントです。

クリーンならぬ、ダーティ-・ディーゼル:その2

先週のブログで取り上げた、VWディーゼル車の米国での不正認定(認可)取得事件は、その後も大きくその波紋を広げています。。さすがに、この影響の広がりに経営責任は免れないとして、ヴィンターコルンCEOが辞任を表明しました。しかし、この辞任発表会見で、自分はこの中身を全く知らなかったこと、会社ぐるみではなく、ほんの数人が関与した問題と釈明しました。先週のブログで述べているように、ここまでの明かな’Defeat Device: 無効化装置を動かすソフトを仕込んであることを、内部で6年間も隠蔽し続けることは極めて困難と思います。もしできたとすると、VWのガバナンス、コンプライアンスマネージ体制とその組織に大きな欠陥があり、それを永年許してきた、企業風土、文化にまで遡る問題として、対応策を迫られるでしょう。

このような不法ソフトを仕込むことは、今のソフト技術では極めて簡単です。それを使うことを許可し続けてきた、企業としてのコンプライアンスマネージが厳しく問われるべきと思います。欧州でもこのソフトを使っていたことは明か、欧州の’Defeat Device’判断基準は、アメリカに比べ緩いので、欧州は関係ないと言い募るかと危惧しましたが、欧州であろうが、これは明らかに不正ソフト、VWもさすがにごり押しはやれず、欧州車含め対象1,100万台の大規模リコールを余儀なくされました。

この問題は、あくまで悪質な法律違反の事件、米国連邦議会での公聴会が開催されますが、この公聴会にトップ役員として誰が出席するかに注目しています。企業のガバナンスまで問うとすると、辞任したヴィンターコルンCEO、ピエヒ会長を引っ張りださないと会社としてのガバナンス体制、コンプライアンスマネージ体制までの全容は解明できないと思います。ほんの数人の担当者の責任としてのトカゲのしっぽ切りでの決着は許されないでしょう。

この問題の発端となった、欧米の環境NPO ICCTからの委託によるWest Virginia大からのレポートが発行されたのは、昨年の5月です。そこから、この結果がEPA、CARBに伝えられ、(多分EPAも独自の追試をしたのでしょうが)Defeat Device使用の疑いでその後の処置(リコール)についてVWの交渉に入っていたようです。この段階まで、この問題が会社トップに入っていないことは考えにくいと思います。ヴィンターコルンCEOの今回の釈明会見での、「私は最近まで知らなかった」は全く通用する話しではありません。VWからの対応策が、不十分、かつ曖昧、レスポンスが遅れたため、今回のEPAの発表となったことは間違いないと思います。

しかし、この問題を時々話題となるカタログ燃費と「ユーザー実走行平均燃費」いわゆるリアルワールドとのギャップ問題を混同してはなりません。今回のケースは、米国Certification、欧州Homologation、日本型式認定と呼ばれる、法律に定められている、法規制に適合していることを証明し、確認試験をおこなう認可手続きのルールを破った不法行為、法律違反です。公式の定められた試験法、試験走行モード、審査基準で算定する燃費とリアルワールド燃費のユーザーの実感にギャップがあるのは事実です。

このブログで何度も、このギャップ問題をとりあげていますが、長ったらしく「ユーザー実走行平均燃費」との表現を使うのも、認可のために定められた一定基準の試験法、試験モードで全てのユーザーの、それも寒冷地の冬から酷暑の夏、山間地のユーザー、高速道路使用の多いユーザー、ショートトリップしかしないユーザー全ての実燃費をカバーする試験法は不可能です。その大きくばらつくユーザー燃費の感覚的平均を求めることも、発売前の認可段階では困難だからです。カタログ燃費をユーザーの実感に近づける努力は進められていますが、それにも限界があることはご理解していただけるのではないでしょうか。まだ燃費ギャップは、ユーザーの給油量として把握できますが、排気エミッションのギャップはユーザーには把握できませんし、また場合によっては燃費の比ではなくギャップ量が拡大すします。そのため、公式モード外でのエミッション急増を抑制する要求は特に厳しい排気規制を導入してきた米国で強く、また自動車メーカの認可取得の申請には今回のような不法行為はしていないことを前提に試験をし認可を与えます。

それでも、各国、各地域の公式試験法でも、どんな走り方をしても、基準として決めた規制値を満たすことまでは求めていません。クルマの排気ガス性能は、新車の時だけ守れば良い話しではありません。そのクルマが使われる一生の中で、クリーン性能を保証することが求められています。その追跡調査であるin-use emission test(使用過程車のエミッションテスト)も行われます。このin-use性能を保証するために、この公式試験法での走行モードを越えた条件での触媒高温劣化を防ぐプロテクション燃料増量や、世界にまだまだ存在する粗悪燃料使用時などでのノッキング、プレイグニッションによるエンジン破損を防ぐための燃料増量は認められています。世界で一番厳しい、in-useエミッション保証の規定はカリフォルニア州の定めたLEVII規制で、15年-15万マイル(24万キロ)保証です。個人ユーザーならほぼくるまの寿命までクリーン度保証を求める極めて厳しい保証です。このカリフォルニア州の長期in-use保証も日本メーカーが率先して取り組み、その努力によってやれることが確認されbest practiceとして定められました。このように、米国ではいち早く、リアルワールド(実走行)での環境保全重視に力点を置くことになりました。ディーゼル車には詳しくありませんが、システム保護のための何らかのプロテクション制御とディーゼル固有のパティキュレート、NOxをそれぞれを排気にそのまま流さず一度トラップして、あるタイミングでトラップした排気エミッション成分をバッチ浄化モードで処理する方法は公式モード外で認められています。

この自動車環境性能のリアルワールドの話はCordiaブログで過去に取り上げていますので、ご興味のあるかたはご一読願います。

『リアルワールド』と自動車の環境性能(2011年2月24日)

http://www.cordia.jp/wp/?m=201102

今回の事件は、前に述べたようにICCTがディーゼル車のリアルワールドでの実態調査研究による異常値の計測がきっかけでした。ICCTは欧州と米国を二大拠点とする、クリーン自動車の普及啓蒙活動、さらにクリーン自動車のリアルの実力に目を光らせているNPOです。残念ながら、日本にはこのような第三者評価を行う組織はありません。

このICCTのBoard Chairpersonは、このクリーン自動車に携わってきた人間なら知らない人はいない元CARB議長 Dr. Alan Lloydです。Board Directorにも元EPA自動車局長 Ms. Margo Oge、Participant Councilに現在のCARB議長Ms. Mary Nichols、 元CARB長官 Ms. Catherine Witherspoon、永らくCARB副長官を務めたMr. Tomas Cacketteなど、現役時代には何度もお目にかかり、クリーンエンジンの開発状況、ハイブリッドの説明などをさせていただいた方々です。まこの方々が、米国、カリフォルニア州の自動車環境規制制定をリードしてこられました。

そのICCTが以前から注目していたのが、リアルワールドでのディーゼル車エミッションの実態です。欧州では、米国、日本に比べ遅れていた(遅らせていた?)ディーゼル車の排気規制強化を2007年からEuro IV、2010年からEuro V、さらに2014年からEuro VIへと強化しました。このEuro IVからVへの規制強化でのエミッション削減効果を実路での効果を検証していたのがICCTのメンバーです。私も、リアルワールドの重要性を訴えていましたので、このICCTの活動をフォローしていました。昨年11月にベルリンのICCTのオフィスを訪ね、燃費とエミッションのリアルワールドと公式試験値のギャップ問題について議論をしてきました。下のグラフはその時に貰った資料の中にあったグラフです。この時は、今回の米国でのVW Defeat Device事件までは明るみにはでていませんでしたが、この欧州での実態調査とWest Virginia大調査の時期は一致しており、ICCTでは米国、欧州ともにこの実態は掴んでいたと思います。

環境保全に熱心で気持ちの良い、優秀なスタッフ達で、日本の状況、中国への進出など様々な話しをしました。彼らは不正なDefeat Deviceを使ったことはまでは明言しませんでしたが、今回の事件に発展しかねない情報はすでに持っていたと思います。かれらとの議論は主に、リアルの実燃費ギャップの議論でしたが、このディーゼルNOx問題も立て続けの強制強化をおこなってきたのに、リアルが改善されていない現状を説明してくれました。図1は、その時説明してくれたデータの代表例、欧州での排ガス規制強化の経緯と、スイス/チューリッヒで実施した路側帯でのNOxエミッション計測値をガソリン車、ディーゼル車で比較したものです。その違いは明かです。

スライド1

図2は、そのさまざまなリアルワールド計測値と規制値の比較をしたデータです。一目瞭然です、規制を強化したにも拘わらず、リアルがほとんど良くなっていないとの実態がつかまれています。この時の議論で示してくれたレポートを読んでも、メーカー、車種は特定されていないものの、高い技術力を売に簡素なシステムで厳しい規制に対応できたとするVWの今回の話しは裏付けられると思います。

スライド2

この夜は、ICCTの若いリサ-チャー3人と、ベルリンの彼らが選んでくれた庶民的なレストランで、ワインとオーストリアの肉料理を堪能し、将来のリアルワールドクリーン自動車の話題で、エキサイティング、楽しい時間を過ごしました。

ドイツ誌”Auto Bild”がこのICCT調査を取り上げてVW以外のエミッション対応にも問題の声を上げていますが、この不正が他へと拡散していかないことを願っています。日本勢有利との記事もありますが、それどころかまだまだ主役の座を続けなければいけない内燃エンジン車全体のバッシングに繋がってくことを一番心配しています。

日本の一部報道、またモータージャーナリストのコメントに、今回の事件に関連し、不正はいけないけれど、影響はそれほど多くない、人が死んでいるわけではないとの論評を読みました。これは、理解不足、ミスリードです。もちろん、ディーゼル排気だけの問題ではありませんが、大気中の放出されるNOx、PMが影響すると見られる死者数は汚染度の酷い中国では、年間160万人に達するとの調査レポートが出されています。(1)この数字は世界保健機関(WHO)の公式数字、中国の年間自動車事故死者数20万人を遙かに上回る数字です。 もちろん、中国で今回のVW車はまだほんの僅かしか売られていませんので、この問題と直接結びつく話しではありませんが、企業スタンスとして問われる問題でしょう。

さらに先々週には、ドイツMax Plank Instituteのレポートとして、このままの状態が続くと、大気汚染による死者数は今の2倍660万人に上るとのレポートがだされています。このところ大きな問題となっている、春先のロンドン、パリの大気汚染警報の発令も、このディーゼル車のエミッションも一因と言われ、都市への乗り入れ禁止など脱内燃自動車の動きが加速しています。

  • バークレー大地球研究所の研究で、中国での大気汚染は年間160万人の死亡者を生み出すことを計算 (UC-Berkely Earth: Journal PLOS ONE)

August 14, 2015 Green Car Congress

http://www.greencarcongress.com/2015/08/20150814-be.html

  • Air pollution could claim 6.6 million lives per year by 2050, double current rate; small domestic fires and ag the worst offenders
  • 大気汚染は2050年までに660万人の命を奪う可能性、現在の2倍の数値(ドイツMax Plank Institute report)

Sep 17, 2015 Green Car Congress

http://www.greencarcongress.com/2015/09/20150917-mpi.html

何度も申し上げますが、VWの今回の件は、あってはならない事件です。どこもこんなことをやっているとは思わないでいただきたいと願っています。しかし、日本でも数年前に大型トラックディーゼルで’Defeat Device’事件が発生しています。日本勢すべてが公明正大とは思いません。そんな背景があり、先週のブログで襟をただして欲しいと書かせてもらいました。また透明性と書いたのも、日本にもICCTのようなNPOの活動余地ができるようなオープンな活動が必要で、こうした第三者機関の公正な情報発信によるユーザへの理解活動も欠かせないと思い筆をとりました。

自動車メーカーも、環境規制など法規制対応の基本、good faith、 fairness、best practiceが原点と他山の石として振り返ってほしいからです。企業風土、文化を守るのは大変です、一度踏み外すと転落はあっと言う間です。全ての自動車メーカー経営者、エンジニアがこの部分では襟を正し、口幅ったいですがこれを守り抜いてきたつもりのOBエンジニアの提言に耳を傾けて欲しいと願います。

公明正大、透明に、米国で法規作りとCertification作成の前提となっている思想のベースは、good faith 、fairness、その規制の趣旨(リアルの大気改善、低カーボン)に対しbest practiceが求められていることを強調しておきます。このfairな土俵での競争にもまれることにより、日本自動車産業は発展をとげることができたと信じています。

今回は私の人生にとっても大きな事件、自動車文化発祥地、欧州でそれもこの自動車文化を牽引してきた、我々にとても尊敬の念を抱いていたVWの不祥事です。厳しい糾弾になってしまいました。

今日のTBSの”ひるおび”でも、私のコメントがとりあげられるかも知れません。あってはならない事件にショックを受けたこうした経験、意見をもっているエンジニアOBのコメントとお受け取りいただければ幸いです。

そんなショックの大きさから長文のブログになってしまったことにもご容赦願います。

これまでも、Cordiaブログに様々なコメントを頂いていますが、基本的に個別のご回答、コメントは差し上げていません。今回も複数のお問い合わせ、コメントをいただきましたが、今回も返事を差し上げませんでした。この場をお借りしてお詫び申し上げます。

クリーンならぬ、ダーティ-・ディーゼル:VWディーゼル、米国で大気浄化法違反

昨日、長年の自動車エンジン屋にとって、驚愕し、ガッカリし、さらに怒り心頭のニュースが飛び込んできました。OBとして同業他社の直接の批判は控えてきましたが、今回はそれを破り、まじめにやってきた多くの自動車メーカー、エンジン屋のために厳しく糾弾していきたいと思います。手当たり次第にニュースを拾い読みしてみましたが、東芝の比ではなく、企業姿勢、風土そのものが問われる悪質極まりない環境規制違反と言っても良い事件です。

 

関連記事 

  1. 米国のエコカー関連サイト、Green Car Reportの見出し記事

「VW, Audi TDI Diesel Cars Had ‘Defeat Device’ That Violated EPA Rules, 500K Cars Recalled: BREAKING: VWとAudiのTDIディーゼルは、EPAルール(排ガス規制)を侵害する’Defeat Device:無効化装置’をつけているとして、50万台のリコール、

http://www.greencarreports.com/news/1100101_vw-audi-tdi-diesel-cars-had-defeat-device-that-violated-epa-rules-500k-cars-recalled-breaking

概要

連邦環境保護庁(EPA)は、今週金曜、大手自動車メーカーに関するメディア会見を開催すると通知した。それには、VWとAudiが販売した2009年~2015年までの4気筒TDIディーゼル車約50万台についてのリコール命令についてである。それらのTDI車は、排気テストサイクル走行を検出し、その状況下だけで排気ガスを大幅に減らすようにしていたことが明らかになったとして、EPAはその行動を起こした。EPA担当官の電話会議での発言によると、そのクルマが、通常走行か排気テスト走行かを判別し、通常走行では排気制御をオフにするソフトを持っていることが疑われた。

 

  1. Reutersの報道記事

「Volkswagen could face $18 billion penalties from EPA: VW、米EPAから180億ドルの罰金に直面する可能性」

http://www.reuters.com/article/2015/09/18/us-usa-volkswagen-idUSKCN0RI1VK20150918

概要

金曜日、米EPAは、VWは有害エミッション計測の法規を欺くディーゼル車のソフトを使ったことで告訴された場合、180億ドルの罰金の可能性があると発表した。米大気浄化法不適合の罰則により、罰金は台当たり37,500ドル、総額180億ドルとなることを、担当官は電話会議で確認した。米国VWのスポークスマンは「調査には協力しており、現時点ではコメントはできない」と述べている。VWは、米国で’クリーン・ディーゼル’として強力なマーケッティングを行っており、TVコマーシャルでは「米国でのディーゼルNO1ブランドで、自慢は’クリーン・ディーゼル’」と放映している。

 

この記事は、共同通信が配信し日経、朝日ほか多くの日本紙が掲載しています。目次にある’Defeat Device: 無効化装置’の言葉は、自動車マル排屋にとってはやってはいけないタブーの装置を指す言葉で、すでに死語と思っていました。

今から30年以上も前、タイマー、車速スイッチなど試験モードの特徴に合わせてそれ以外では排気浄化システムや低燃費デバイスの作動を無効化する装置を採用するメーカーが現れ、大きな問題となりました。規制当局と自動車メーカなど関係者で、その定義、判定基準などが規定され、それに該当する場合は大気浄化法違反とされ、罰則規定が制定されました。しかし、基本的には試験モードだけに特定して、排気、燃費デバイスを無効にすること自体が、法規制の目的に反しておりアンフェアな行為であり、’Defeat Device’と疑われることもやってはいけないとのコンセンサスができあがりました。その死語になったはずの’Defeat Device’という言葉が、幽霊のように復活したというのが最初の印象です。

この’Defeat Device’の判断基準と罰則が規定された後も、リアルの大気改善はなかなか進みませんでした。このため、1990年の始め、米国ではそのクリーン度を判定する試験モード以外でエミッション悪化による影響が大きいとして、規制当局の呼びかけにより自動車メーカー各社がクルマを出し合い、米国のアトランタやスポケーンなど何カ所かの都市で走行実態調査を行いました。トヨタもこの調査活動に参加し、試験用のクルマを提供、データ分析にも米国スタッフが付き合いました。その調査結果に基づきリアルワールド走行をカバーするマル排屋にとっては厳しい判定走行モード、オフモード(公式試験モード外:オフ)試験基準を作りあげ、現在も公式試験に追加する判定試験法として使われています。 今回のケースは、このように’Defeat Device’はアンフェアとの判断基準があり、リアルワールドでのエミッション悪化防止を厳しくチェックする米国で明るみにでた不正です。

一部にはアメリカだけの問題で、欧州や日本は関係なく、あってもオフモードの悪化は少ないのではとの意見もあるようですが、そうではないと思います。欧州と日本では、このアメリカのようなオフモード試験法はなく、’Defeat Device’基準も緩いのが現状ですが、EPAが摘発したこのような’Defeat Device’が使われているなら、オフモードでのエミッション悪化は今回のアメリカのケースよりもさらに大きくなる可能性大です。もちろん、基準が緩いとしてもこのような’Defeat Device‘は企業姿勢、環境保全からも許されません。

VWは現時点でコメントを避けていますし、判定ソフトの詳細も判りませんので、この問題の解析は、今後もフォローを続け、もっと情報が集まってから技術判断などお伝えしたいと思います。

ディーゼル車のマル排性能については、以前からオフモードとのギャップ大が問題とされていました。欧州の最新規制ユーロ6規制対応車が、実走行では以前ユーロ4やユーロ5よりも悪いケースがあるとの環境NGOから指摘もされています。また、規制強化にも関わらず大都市のNOxが環境基準を大きく越え、改善に向かわないのはこのリアルワールドでの急増との関連が疑われていました。

現時点で欧州、日本の試験法、判定基準で、このソフトが入っていたとして、米国の’Defeat Device’判定のように不正と判断されるかは判りませんが、規制の主旨を逸脱したアンフェアなやりかたであることは確かでしょう。

リアルワールドでの自動車燃費、クリーン度については、欧米には環境当局OB、技術者、専門家による環境NGOがあり第三者調査が行われています。今回もその環境NGOと大学研究者の合同調査データが摘発のきっかけだったとの報道もあります。クリーン度の調査には計測装置やシャシーダイナモなど高価な設備が必要であり、残念ながら日本にこのような第三者調査機関はありません。公的機関のリアルワールド調査結果や、経年車の追跡調査も公開されておらず、透明性に欠けていることは否めないと思います。

欧州と日本では、実走行に近づける新試験法WLTPの採用が決まり、また欧州ではとうとう、 ‘portable emissions measurement system:車載ポータブル計測システム’を搭載した “real world:実路走行” 排気エミッション試験が義務づけられるようになってしまいました。しかし、クルマの使用条件は千差万別、この新しい“real world:実路走行” 排気エミッション試験でもリアルワールドの一部だけを評価しているに過ぎません。それから先は、フェアネスが問われることになり、不正と判断された場合には厳しいペナルティーを課すことも当然でしょう。今回のケースでは、場合によっては刑事罰の対象にもなる可能性があります。

このような’Defeat Device’に何故、VWは手を染めたのでしようか?排気性能、燃費性能、走行性能はトレードオフ関係、こちらを立てればこちらが立たず強い関係があります。試験モード走行域外でNOx排出を垂れ流し状態にできれば、この排気浄化システムを簡素化し、コストを下げることができます。他社のシステムに比べるとVWのシステムは簡素で、これをEPAが疑ったことが今回の発端との観測記事もありました。また、米国のオフモード走行モードはかなり高負荷、高速域まで走ることになりますので、安いシステムのままで対応すると、燃費悪化、出力低下を招く可能性も強く、排気クリーンの意味、アンフェアかどうかのエンジニアとしての常識に目をつぶれば、やりたくなる誘惑に駆られることは理解できます。しかし、この明らかな不正に歯止めが掛けられなかった会社マネージは厳しく問われることになることは確実でしょう。

以前から、私は欧州勢受け売りの’クリーン・ディーゼル’との表現に違和感を覚えていました。もちろん、アンチ・ディーゼル派としてではなく、中大型トラック、大型バス、重機ではディーゼル以外の実用的な選択肢はないことは十分に理解しています。しかし、これを小型車まで適用し、ガソリンよりも緩い規制を続け、そんな状況で’クリーン・ディーゼル’とキャンペーンを張ってきた一部ドイツ勢のやりかたにもこの不正を招く温床があったように感じます。

このような不正の再発防止はもちろんのこと、この問題を他山の石として、米国だけではなく、世界全体で襟を正しリアルでの’クリーン・ディーゼル’ 、リアルでのクリーン&グリーンカーを目指して欲しいものです。

トヨタ&レクサスハイブリッド車累計800万台突破と4代目プリウス発表

先月21日、トヨタ自動車からトヨタとレクサスのハイブリッド車の世界累計販売台数が7月末で800万台を突破したとの発表がありました。

http://newsroom.toyota.co.jp/en/detail/9152370

図1に1997年からのトヨタ&レクサスハイブリッド車のグローバル累計販売台数推移と年間販売台数推移をしめします。(トヨタ ニュースサイトの年度別販売台数データから作成)

トヨタハイブリッド車販売台数推移

トヨタの公式サイトには、1997年12月「プリウス」の誕生から、7月末にグローバル累計販売台数800万台突破と書かれていましたが、これは正確な表現ではありません。トヨタの市販ハイブリッド車の初号車は、このプリウスの1997年12月発売の前、8月に少量販売を開始した小型バス「コースター ハイブリッドEV」が最初です。クリーンを売りに、ディーゼルエンジンに換えて、当時のサブコン車「ターセル」などに搭載されていた4気筒1.3リッターガソリンエンジンを搭載、そのエンジンで発電機を回し、その電力で最大出力70 kWの駆動モーターで走らせるシリーズハイブリッド方式のハイブリッド車でした。

これが、1997年12月「プリウス」発売を前に数台か十数台が、大都会の幼稚園バスや観光地の送迎バスとして販売されていました。

私自身は、初代「プリウス」搭載のハイブリッドシステム開発がハイブリッドに携わった最初です。この「コースター ハイブリッドEV」にはタッチしていませんので、トヨタの公式サイトの表現を使いたいのですが、個人的には残念ですがトヨタハイブリッドの1号車はこの「コースター ハイブリッドEV」です。

もちろん、この800万台に至る量産ハイブリッド車のスタートは「プリウス」であることは間違いありません。この「プリウス」に採用し、洒落た名前が思い付かないまま、私が文字通りのトヨタ・ハイブリッド・システム=略してTHSとそのまま名前をつけたハイブリッドが、トラックのハイブリッドなど、ほんの一部のハイブリッド車を除き、同じコンセプトのまま今も使われています。

このTHSコンセプトを、”遊星ギアの三軸に、エンジン、発電機、モーターを接続、このモーター軸からチェーンを介しデフギアへ、デフからドライブシャフトによりタイヤを駆動してクルマを走らせる方式”、”クラッチもトルコンも、変速ギアも、リバースギアすらなくクルマを普通に走らせるユニークなハイブリッド”と説明したことを覚えています。いくつかのバリエーションはありますが、遊星ギアの三軸にエンジン、発電機、モーターを接続するコンセプトは今も変わりはありません。

このプリウスの初号車が、累計販売台数の何台目に当たるか判りませんが、1997年12月10日にトヨタ自動車高岡工場から初代プリウスが車両運搬トレーラーに乗せられて、多分東京か愛知の販売店にむかってからまもなく18年が経過します。国内での正規白ナンバー登録は、国交省から認可をいただき、9月末にライントライ車両の社内評価車両に付いた白ナンバーがプリウス1号車だと思いますが、このトレーラーで運ばれた車のどれかが、お客様の手に渡った第1号車になりました。2000年5月の初代マイナーチェンジを機に、米国と欧州販売を開始し、グローバル市場へと拡げていきました。

車重の思いミニバンや大排気量エンジン搭載の上級車では、すぐにプリウスTHS方式を適用することができず、メカCVT変速機を使ったTHS-CのエスティマHV、エンジン補機ベルト駆動のオルタの変わりにモーター発電機とし12V補機駆動鉛電池とは別に36V鉛電池を搭載したマイルドハイブリッドTHS-Mを使ったクラウンHVも開発しましたが、マーケットから本格ハイブリッドの要望が強く、またMGやそれを駆動するインバーターの高出力コンパクト化が進み、それらも遊星ギア方式のTHSコンセプトに置き換えられていきました。プリウスに続く、THS第2段はハリアーHV、エスティマTHS-Cで開発したリアモーター駆動のAWDを採用したTHSです。これがレクサスHVの始まりで、レクサスブランドのグローバル展開に合わせRX400hとして発売され、トヨタ、レクサスでのハイブリッドラインアップ展開は始まりました。このトヨタ・レクサスハイブリッドが累計800万台を迎えました。

その内の、400万台以上が「プリウス」、またレクサスCT200h、 ノア/ボクシーHV、英国工場で生産しているAuris Hybridなどに使われ、累計800万台の60%以上がこの1.8Lエンジンの同じファミリーのTHSパワートレインを搭載しています。

そのプリウスが、2009年発売を開始した3代目プリウスから6年半ぶり、いろいろ合ったようで少し間があきましたが、今年末にフルモデルチェンジを行い4代目となります。詳細スペックは発表されていませんが、ハイブリッドもこの4代目プリウス用として大きな技術進化が織り込まれているようですので、どこまで進化したのか今から楽しみにしています。日本のJC08燃費 40 km/l 、ユーザー実走行燃費に近いと言われる米国EPA公式燃費では都市とハイウエーのコンバインド燃費で55 mpg(23.38 km/L)、燃費バージョンで60 mpg(25.51 km/L)との噂がニュースに登場しています。

プリウスの使命は、初代から21世紀のグローバルスタンダードカーとして、他の追従を許さない燃費/CO2を目指すクルマでした。3代目の企画まで現役として付き合ってきましたが、もちろんグローバルスタンダードカーとして我慢のエコでは問題外、燃費/ CO2性能の向上はもちろん、クルマとしての走る魅力の向上、さらに世界に拡大していくためのコスト低減が絶え間なく取り組んできた開発課題でした。。

この4代目が、この初代からの志しを継いでくれているか、これも現地、現物、現車で見極めていきたいと思っています。この4代目から新しいプラットフォームTNGA採用第1号となりますので、シャシー系も、欧州Cセグメント系とガチンコ勝負ができるのではと期待しています。(写真1 4代目プリウス ワールドプレミア トヨタサイとより転載)

2016年 4代目プリウス 写真

遠からず、このTNGAでも足りないと言わせるぐらいの、ハイパワーバージョンTHSの登場を期待しています。もちろん、クラスとして燃費チャンピオンが前提です。

 

1年2ヶ月ほど、お休みしていたこのCordia Blogを、このトヨタ&レクサスハイブリッド車グローバル販売800万台突破と4代目プリウス発表を機会に、再開いたしました。

800万台突破といっても、10億台を越える世界の自動車保有台数の1%にも届いていないレベル、ほんの第一歩を歩みだしたに過ぎません。また、このところのエコカー販売停滞も気になるところです。よく言われた、ハイブリッド車はショートリリーフ、電気自動車、水素電池自動車が本命との声も実態は風吹けと、鞭をたたけど(規制)、飴をばらまけど(インセンティブ、補助金)踊らずが現状で、アメリカでは大型車回帰でCO2が増加に転じてしまいました。

昨年のグローバル小型自動車(Light vehicle)販売8,720万台です。このクルマを低燃費、低CO2のクルマに切り替えて行くことが何と行っても最優先です。今の延長線程度の電気自動車や水素燃料電池自動車には、次世代自動車の主役としてのバトンを渡す訳にはいきません。その内燃エンジン車を低燃費、低CO2へと進化させるコア技術はハイブリッドです。軽自動車まで、アイドルストップでは不十分と減速回生、モータアシストとハイブリッド化の道を辿り始めています。内燃エンジン車のハイブリッド化をリードしてきたのは、日本勢です。このアドバンテージをさらに拡げて行って欲しいものです。

このアドバンテージを多くの現場スタッフ、エンジニア達と作りあげてきた、日本のパワートレインエンジニアOBとして、これからも辛口のコメント、叱咤激励を続けていきたいと思っております。 [jwplayer mediaid=”1808″]

 

ブログは、お休みしていましたが、ハイブリッドプリウスの開発、次世代自動車のゆくえなど、今もいろいろな場所でお話をさせていただいております。

また、TEST 2015 第13回総合試験機器展 東京ビッグサイト 西ホール 2015.9.16(水) ~18(木)

の17日(木)13:00~14:10まで、特設会場Aにて「プリウスが切り拓いた低CO2自動車のこれまでと、これから」との題目でお話をさせていただきます。見学、ご視察のご予定がございましたら、お立ちより下さい。

今後とも、よろしくお願いいたします。

 

またまたカタログ燃費と実燃費の話

私はビジネス週刊誌「週刊ダイアモンド」をときどき購入しているのですが、先日発刊の1月18日号で『エコカー苛烈競争で浮上する知られざる“燃費偽装”問題』との記事が目に飛び込んできました。

一昨年の現代自動車のクルマの燃費がユーザー報告燃費との差が大きいとの訴訟が米国であり大きな話題となった問題や、カタログ燃費とユーザー燃費とのギャップの存在を問題にした記事かと思い、記事を読んでみましたたがそうでありませんでした。記事は今の日本車のカタログ燃費競争を扱ったもので、これを“燃費偽装”というセンセーショナルな見出しで取り扱っていることに愕然としました。

米国での現代自動車の問題は、現代自動車から意図的では無いもののミスで提出するデータを間違えたとの説明がなされており“燃費偽装”と呼ばれても不思議がないものですが、これと定められたルール通りに行われた中で生じるJC08モードカタログ燃費とユーザー平均燃費とのギャップを取り上げて“燃費偽装”と、あたかも不正をおこなっているとの表現には、こうした低燃費車開発に心血を注いできたエンジニアとして強い怒りを覚えます。

本当に“燃費偽装”しているならそれは不正・違反だ

現代自動車の問題は先ほども触れましたが、公式燃費認証を与えた連邦環境保護局(EPA)が、再現試験やさらに現代自動車が公式燃費申請に使った社内試験ラボへの立ち入り検査を行い、現代自身が社内試験の提出値にミスがあったとして修正申請を行いました、

このケースでは現代が該当車両のユーザーに修正分+αの燃料費用補填を続けることで和解が成立しています。故意ではなかったとしても明らかにこれはルール違反であり、厳密に定められた公式燃費試験の燃費値が誤って認定され間違っていたことから、大きな訴訟問題へと発展しました。ユーザーとの和解が成立はしましたが、巨額のペナルティー負担とイメージ低下の影響は大きいようです。繰り返しになりますが、これは“燃費偽装”と呼ばれても仕方の無い不祥事であり、この米国での事件と記事で挙げられている日本のケースは全く異なります。

公式燃費値は、それ決める型式認定申請をしてそれに基づいた認定試験車を作り、厳密に定められた試験法で試験が行われ、その試験結果から決められます。その際、日本、米国、欧州ともに、認可機関がすべて認定/認証車の公式試験を行うわけではありません。その一部のクルマを抜き取りで試験をするのが通例です。

それは毎年数多く発売される新車の認可試験をすべて公的機関で行うとなると、膨大な試験費用と人が必要となるからです。そのため、多くの場合では自動車メーカーが実施する試験結果も申請値として使われますが、その公式試験を行う自動車メーカー内の組織・設備は厳しい監査を受け、また立ち入り検査も行われます。

この段階でルールから外れたクルマや試験条件で試験を行っていれば、これはまさに不正、偽装問題となります。このところ新聞を賑わせている、産地偽装・材料偽装と同様で、公式試験に不正・偽装があれば厳しく糾弾されるべきです。もし意図した不正・偽装が発覚すれば、頭を下げる程度で終わる話ではなく、法律的にもさらに半社会的な企業としてその企業姿勢も問われ、イメージ失墜どころの問題では無いでしょう。

燃費ギャップの問題提起はあるが不正とは全く別の議論

地球環境問題やガソリン価格の高騰から低燃費車への関心が高まり、この表示手段としての公式燃費、カタログ燃費競争がエスカレートしているのは誰もが知る事でしょう。その火付け役がハイブリッド車プリウスであったことも事実で、この開発を担当した一人としてそれ自体は誇りに思っています。

一方でこのプリウスが、カタログ燃費と平均ユーザー燃費とのギャップ問題を引き起こしたこともその当事者の一人として、その販売当時から自覚していました。米国では2008年に公式燃費の試験法・算定法が改訂されましたが、この改訂の背景にあったのがプリウスのユーザー燃費とそれまでの公式燃費、いわゆるカタログ燃費とのギャップ問題です。

しかしこの改訂のときも、決してプリウスの公式燃費値が不正・偽装を疑われた訳ではありません。私にはこの問題でEPAに呼び出されたことも、監査をうけたことも、ユーザーから訴えられた記憶もありません。話題の低燃費車であったので、競合メーカーから燃費試験を行う際の設定方法などについての問い合わせも何度か受けましたが、米国、欧州での認可当局、試験機関での試験法、基準を公開しており、公式燃費値について疑われたこともありません。

この記事で取り上げられている、メーカーのドライバーが運転したときの燃費値と認可当局、公式試験機関のドライバーが運転したときの燃費値に差がある話はときどき耳にします。しかし、これまた不正な運転を行うからでは決してなく、日本メーカーの試験ドライバーのスキルの高さを証明する話です。米国、欧州、日本、いずれの公式燃費試験も厳密な実施基準に則って行われており、それから外れるとその試験は無効、再試験となってしまいます。

無効試験となるとまた試験を一からやり直しとなり、その再試験の日程によっては、生産、販売にまで大きな影響を及ぼしかねません。車速一つをとっても、上下狭い車速幅が指定されており、それを超えると無効となってしまいます。

記事には記者がシャシーダイナモ試験をしたような表現がありますが、初めてのドライバーが無効にならないように車速を守って運転することはほぼ不可能です。試験結果は示されていませんでしたが、間違いなく専門ドライバーが同じ試験で出す燃費値よりははるかに悪かったはずです。

日本メーカーには、狭い車速バンドの中を車速維持のための余分な加減速運転は行わず、その車速バンドの中で滑らかな燃費の良い運転をするほれぼれとするような高いスキルを持った専門ドライバーが多いことは事実です。彼らは、経験は当然として、トレーニングにトレーニングを積み、試験に集中する高い専門スキルを持っており、その運転、試験技量には強い誇りを持っています。

アメリカでも昨年、EPAの燃費試験担当官が、このようなメーカードライバーが出す試験燃費がよく出過ぎると嘆いている記事があり、このブログでも取り上げました
http://www.autonews.com/article/20131004/OEM11/131009914/epa-says-automakers-test-drivers-can-be-too-good#axzz2rBe0LDYR

ただしこの記事も不正・偽装を非難している訳ではありません。厳密に決められている試験に沿って、さらにその狭い定められた車速バンドの中でスムースな運転をすることにより良い燃費値を出す、メーカーの専門ドライバーのスキルに驚嘆させられたとの話です。

アメリカでもEPAのラボで抜き取り試験が行われ、その試験結果も公式値として使われます。EPAラボに持ち込まれないことが決まると、エンジニアとしてまずほっとするというのが正直な所で、さらに持ち込みが決まった場合も、デトロイト郊外のアナーバーにあるEPAラボで試験を受けますが、何基かあるどのシャシーダイナモで試験されるのか、担当ドライバーは誰になるのかで一喜一憂したものでした。

経験者として正直にお伝えしますが、割り当てられたドライバーやシャシー台によって結果は確かに異なります。ただし一方で毎年、自動車メーカーが燃費チェック用のクルマを供出して、EPAのシャシーダイナモ・分析計での燃費チェックを行い、各社持ち回りで自分達が公式燃費試験を行うシャシーダイナモ・分析計での燃費値との差をみて調整するというクロスチェックを行い、その精度管理に最新の注意を払っていました。

燃費を「事前に」完璧に測定する事は不可能

こうした厳密に定められた試験法の中ですら、燃費値に違いが出るわけですから、様々な走行条件、環境条件で使われるユーザー燃費に大きな差があることは当たり前です。この記事にあるe-燃費もあくまでもユーザーが報告した平均燃費です。この報告値にも大きなばらつきがあり、燃費チャンピオンのデータと最低燃費のデータには2倍以上の差が出るケースもあります。

ユーザー燃費の観点では大きな違いを見せるのが北米のユーザー燃費で、冬には零下20℃を下回るウイスコンシンやミシガン北部の冬のユーザー燃費とアリゾナ、ハワイのユーザー燃費には当然ですが大きな差が出ます。さらに夏の路上では50℃を超えるネバダやアリゾナと、サンフランシスコ付近のベイエリアでの夏の燃費にも違いがあります。

日本も北海道・沖縄でのユーザー燃費値には大きな差があるのは当然です。さらに、アップダウンの多い地区での運転と、平坦な地区で主に使うケースでも大きな差があり、これに加えてもちろんクルマの走らせ方、タイヤの空気圧、荷物の重量、乗車人数、さらに加速の仕方によっても実走行燃費は様々です。

このブログでもユーザーの燃費をあくまで平均燃費で論じているのも、この燃費の大きなばらつきがあるためです。この大きくばらつくユーザー燃費の平均値を「事前に」どのクルマでも公平に算出する試験法を作りだすことは、科学技術的にも不可能だと思います。

そのユーザー平均燃費に近いと言われる米国EPAの公式燃費は、排ガスのクリーン度が公式試験値よりも厳しい走行で大きく悪化しないことをチェックする急加速・高速モード走行など、もともとは排ガスチェック用に作られたそれまで公式燃費モード以外のオフモードと呼ぶさまざまな限界モードの燃費値を洗いざらい使って補正すると燃費値を低めに補正することができることからこの補正を行っています。

この補正は科学的な根拠があって決めたものではありません。従来ある様々な排気ガスチェックモードの値を使って、無理やり燃費値が悪くなるような補正を行ってユーザー燃費値に近づけていると言ったほうが当たっていると思います。

この記事に書かれている、国連が進めているこの自動車排ガス、燃費試験の国際基準調和、統一試験法作成作業も、その目標をユーザー平均燃費に近づける為に行っているものではありえません。もちろん、日本だけではなく、欧州、米国、アジアと各地域での走行環境調査を行い、その走行実態に合わせた走行パターンとなっていますが、夏、冬、登降坂、カーブなどまで加味したものではありません。

図は米国EPAの燃費サイトにのっていたプリウスとフォード・フュージョンハイブリッドの公式燃費とEPAがアンケート調査しているユーザー燃費データを比較したものです。

図1

カタログ燃費に反映されない低燃費技術もある

私にとって低燃費技術の開発の目標は、環境条件、季節、地域、走行パターン、加減速度などによってさまざまに変わるユーザーに対して改善した実走行燃費を提供する事でした。少なくとも自分は、決してカタログ燃費に特化しての低燃費車は目指してこなかったと胸を張って断言できます。

夏のエアコン運転でもエンジン停止をすること、モーター走行頻度を高めるための電動エアコンの採用、車両の断熱、シートヒーター、三代目プリウスで採用したヒーター用エンジン冷却水の排熱回収器などは、どれもカタログ燃費には反映されないユーザー燃費向上のための技術です。

カタログ燃費と言われるように、どの国どの地域でも公式試験にのっとった試験法で求められた燃費値が公式燃費とされ、この公式燃費のみが正式にクルマの広報・宣伝・販売活動として使用できます。

確かにいかにこのカタログ燃費を高めることができるかを激しい競争を行ってきていることも事実です。しかし、その一方で、各メーカーともユーザー実走行燃費改善にも努力をしています。

最近のニュース等でも紹介されている、エコラン運転中でもエアコンを効かせる蓄冷方式のエアコンなどもその一例です。この部分では、日本の自動車メーカー、部品メーカーが欧米メーカー以上に知恵をだし、新技術を提案しています。これらの努力は燃費値では貢献できないかもしれませんが、最終的にユーザー平均燃費にその実際の効果が問われることになります。

販売後のユーザー燃費の収集・解析は可能

現在、日本、欧州そして米国と自動車による石油燃料消費総量が減少に向かっています。ハイブリッドだけとは言いませんが、着実に低燃費車が普及していることの表れです。

この記事の内容は問題ですが、そろそろカタログ燃費とユーザー平均燃費とのギャップ問題に決着をつける時期に来ているのは確かでしょう。ただし、公式試験をどのようにいじろうが、ギャップ問題は発生します。上に挙げた図のように使い方、走り方によって燃費は大きくばらつきます。さらに、今のkm/Lの表記では、さらに低燃費車になればなるほど燃費値の乖離は大きくなってしまいます。

一つの公式試験モード、条件でユーザー平均燃費を近似することは無理があります。あくまでも燃費比較の尺度として国際基準調和の新試験法を使い、そのあとは実際のユーザー燃費値を集めたビッグデータとしての解析を加え、その結果をEPAのように公表していく方向が一つの方向と思います。

また今のクルマでは、エンジン制御からも正確な燃費計測を行っています。初代プリウスを出した際には珍しかった燃費表示はあたりまえの機能となりました。さらにクルマごとに、燃費と様々な走行データ、走行パターン、トリップ解析を車両コンピューターで行うことも難しくはありません。

個々のクルマ、ユーザーごとの燃費診断もやろうとすればやれます。ナビ装着もあたりまえの世の中ですので、GPSデータ付でそのデータを外部に送り解析することは、ITS、スマホ普及を考えるとそれほど先の話ではありません。

ユーザーごとの燃費診断から、クルマの故障把握もできるはずです。排気のクリーン度、燃費を悪化させる故障、整備不良を減らすだけでも環境保全への効果は大きいと思います。

燃費が大切で低CO2を目指すのは社会的要請ではありますが、個人的には低燃費運転だけを推奨するつもりはありません。時には気分よく、思い切った加速をやってみてみたくなるクルマを作るのも我々の役割で、その一回の加速で実燃費がどれくらい悪化するかの見える化も実燃費向上につながるのではと思っています。

私自身も、燃費悪化は判っているものの、ときには思い切った加速、カーブの多い山道でコーナリング減速からのラインに沿った加速などを楽しんでいます。

章一郎さんの日経”私の履歴書” から その2 初代レクサスの燃費

先週に引き続き、現在日経に連載中のトヨタ自動車名誉会長豊田章一郎さんの“私の履歴書”の話題を今週のブログとして取り上げました。ちょうどこの原稿を書き始めた今日23日(水)の話題が、初代レクサス、日本名セルシオ開発のエピソードです。
ここにも大学の大先輩にあたり公私ともにお世話になり、ご指導いただいた当時の技術担当副社長松本清さんのお名前や、この初代レクサスの車両主査鈴木一郎さんが登場して懐かしく思いました。先回とりあげたマスキー法対応プロジェクトの総責任者が松本さんだったこともあり、エンジンの開発をやりたかった筆者は同窓会の折に直訴し、マスキープロジェクト要員を集めたのを機に、このプロジェクトに加わることができました。その時のエピソードが先週のブログの話題です。

マスキー対策を乗り切り、その後に燃料噴射エンジン、そのマイコン制御、エンジンの4バルブ化、出力競争時代のターボ過給、スーパーチャージ過給などさまざまなエンジンの研究開発を担当しましたが、23日に章一郎さんが取り上げた“レクサス”用エンジンのシステム開発にも私は米国向けエンジンの開発担当として携わりました。マスキープロジェクトの流れで、排気規制対応が技術的にも難しく、また燃費性能目標も高い米国向け車両の排気ガス低減を含めたエンジン・システムとしての先行開発(量産設計を前に基本諸元、排気浄化システム、制御系仕様を決め量産設計チームに提案していく開発チーム)が、私が所属していた東富士のエンジン開発部隊の役割でした。

その開発担当エンジンの一つが、この初代レクサスのエンジン先行開発です。投稿記事に書かれているように、最高速度、燃費、静粛さ、空気抵抗、車両の軽さ、すべてでベンツなど競合車をしのぐことが目標の、トヨタとして初めてのV8エンジン搭載プレミアムカーにチャレンジする気合いの入ったプロジェクトでした。もちろん、当時の厳しい排気規制に対応し、燃費も当然クラスチャンピオン、走りはもちろん、アクセル・オンのショック、もたつき、サージ(微振動)はちょっとでも御法度でした。大きな関門が、米国燃費規制にあった燃費の悪いクルマに課せられていたガス・ガズラータックス(ガソリンガブ呑み税)を課せられないレベルに燃費を向上させるターゲットでした。

先行開発の役割は、本社のエンジン量産設計チームに車両主査が作り上げる車両開発目標達成に必要なエンジン諸元、その基本構成、排気浄化触媒諸元、噴射系や電子制御諸元、さらに目標達成のために新技術採用を提案することです。まだ車両の基本諸元が定まっていない中での先行開発段階では、ガス・ガズラータックスを回避できそうな燃費でしたが絶対安全と言えるレベルではないまま本社の設計チームに提案した記憶があります。そこで大抵のプロジェクトは終了し、次のエンジンの先行開発に移っていくのが普通でしたが、このレクサスだけは特別でした。

ここで少し、当時の認可申請と認可までのプロセスを説明します。米国の環境規制に適応しているかを判断し認可を与える官庁は連邦環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)です。EPAに申請し、認可のための公式試験を受けて認可証(米国では認証:Certification)を取得しなければ、生産・販売はできません。デトロイトの近郊のアナーバー市にEPAの認証試験ラボがあり、最終的にはそこに認証取得申請をしているクルマを持ち込み、排気規制への適合性を判断するエミッション試験とその試験での燃費計測が行われ、それに合格すると合格認定書が発行され、公式燃費もこの試験結果で決まり公表されます。ガス・ガズラー税が課せられるかどうかもこの公式燃費値で決まります。
しかし、認定審査申請を行った全てのクルマがEPAラボで試験を受けるわけではありません。EPAの設備能力に限界があり、大部分の試験は社内でEPAの定めた設備能力をもった試験ラボで行う社内試験値が使われます。もちろんそのクルマが申請諸元値どおりかの厳密なチェックを行い、EPAが定めた設定条件、試験法、判定基準にもとづき厳密な試験を行います。不正行為は行わないことを宣誓し、データ報告にサインをしてEPAに提出します。社内には、われわれ開発チームが社内EPAと呼ぶ、認可申請、社内試験を行う部署があり、厳しく申請内容をチャックし、不正が入り込む余地がないように管理を行っています。もちろん、試験設備、エミッション、燃費を計測する排ガス分析系にはバラツキもあり、毎年アナーバーのEPA試験設備の間の相関精度チェックが行われます。

この認証段階では、もうクルマに燃費向上の手を入れる余地はほとんどなくなるのですが、この初代レクサスでは、車両主査の鈴木一郎さんから私が直接電話をいただき、その余地のないなかでも最後の最後までタックス回避の燃費向上支援をするようにとの要請を受けました。当時はまだ若手の課長、ビッグ車両プロジェクトの大車両主査からの電話に対し、若気の至り、いろいろ注文をつけてお受けしたことを記憶しています。その注文の一つが、立ち上がりまでに重量管理、精度管理をしっかり行い、生産車で新車状態とまでとは言いませんが、すり合わせ走行が済んだ段階で実力燃費としてガス・ガズラー基準をクリアすることが条件と申し上げてお引き受けた記憶があります。その燃費向上にどんな手を打ったかはここでは書きませんが、もちろん昨年あったEPA認定燃費詐称問題のような不正は神に誓ってやっていません。社内EPAがちょっとの間片目をつぶる程度の内容です。

初代レクサスのような注目車は確実にEPAから及びがかかり、アナーバーラボでの試験も何回か実施されました。社内試験とEPAアナーバーラボでの結果を併せて、目標どおりガス・ガズラータックスを余裕でクリアすることができました。

この後日談ですが、この若手の注文に対し、鈴木一郎主査は生産開始のギリギリまで開発の陣頭指揮をとられ、静粛性も売りのクルマに対し遮音シートの厚みのコンマ台の削減、最終段階での部品重量の削減、ブレーキ引きずり量の低減、ペラシャフトの組み付け角度精度の維持により転がり抵抗を減らすなど、この段階でやれる限りの手たれました。われわれも、生産開始とともに生産ラインからでてきた生産車の耐久走行試験を行い、新車状態からガス・ガズラータックス基準をクリアし、5万マイル走行後では開発の当初目標を上回る非常に良い燃費実力を持っていることを確認させてもらいました。

最後の最後まで手を抜かず、やり抜くことの重要性を鈴木一郎主査とのこの仕事からも学ばせてもらいました。初代プリウスのハイブリッド車開発では、今度は当事者として、公式燃費目標達成に取り組みましたが、生産ラインに入り込んで、目標達成余地を探りまわるこのレクサスのやり方を車両主査チームにもお願いしギリギリではありましたが、私自身が技術発表会で宣言させられた?、燃費2倍を達成することができました。もちろん、初代プリウスでも、しっかり生産車の走行試験、モニター試験を行い、生産車も目標通りの燃費、走行性能がだせていることを何度も確認しました。

米国環境保護局(EPA)広報官の愚痴? 「公式燃費値が良いのは高燃費値を出せる腕をもったメーカーのドライバーのせい?」

10月初めのアメリカの自動車関連ニュースサイトに表題の記事が載っていました。たびたび問題となっている、カタログ燃費とユーザー燃費とのギャップについてのEPA広報担当官のコメントをとりあげた記事です。

EPA chides automakers’ fuel economy test drivers for being ‘too good’

「米環境保護局(EPA)の広報官がメディアに対して、技能の高いドライバーであれば燃費計測時のアクセルやブレーキをスムーズにすることによって高い燃費値を出すことが可能とし「自動車業界は非常に腕の立つドライバーを雇用しており、我々はそれに気づいている」と述べた。こうしたことが、EPA 公式燃費と実世界での燃費の乖離の原因の一つになっているとしている。」

近年アメリカでは、EPAが認可を与える公式認証燃費とユーザー燃費とのギャップ、EPAに申請値として提出する社内公式試験結果の報告ミス?とその下方修正、商品評価誌コンシューマレポート社が定めている実路燃費試験法と公式認証燃費とのギャップ問題などが相次いでいます。

今回のコメントはこのギャップが大きいことを責められているEPAの悲鳴・愚痴がこぼれたもののように思えます。このブログでも何度か取り上げたことがありますが、アメリカ・欧州・日本の公式燃費試験法・公式燃費算定方式の中ではユーザー燃費調査を行い、その算定方式をそのユーザー実燃費の平均にできるだけ近づける修正をおこなったアメリカの公式燃費が同じクルマでも一番燃費値の低い(燃費の悪い)値となっています。

悪い数字が出るようにしているアメリカの燃費試験法

訴訟の国アメリカでは、以前からも公式燃費とユーザー平均燃費のギャップを問題としてEPAが訴えられ、1980年代も実態調査を行い、試験法はそのままで「エイヤッ」と修正係数を決めその値を使って試験燃費を修正し公式燃費として公表してきました。

その修正係数を使っても、プリウスのようなハイブリッド車、従来車でもアイドルストップやCVTなどを使う燃費チャンピオン車では公式燃費値とユーザー平均燃費値のギャップがだんだん大きくなり、EPAにユーザーの苦情が集中し再びこの公式燃費算出法の修正が行われました。

当然ながらユーザー燃費は走り方、季節、地域によって大きくばらつきます。その平均に使づける方法として、EPAはそれまで燃費計測用しては使わなかった通称オフモードと呼ぶ、低温時、公式試験モード外での急加速、高速運転、エアコン運転でエミッション性能が公式試験から大きくはずれないかをチェックする試験での数値も利用して修正する方法を考え出しました。

これがユーザー平均燃費に近づく理論的根拠はありませんが、燃費悪化が多い試験結果を使うとこの悪い燃費値に引っ張られどんどん悪い側に修正されるというマジックです。この結果として、日本のJC08や欧州のEUモードにくらべて低い燃費値となってユーザー燃費に近づきめでたしめでたしだったはずですが、自動車の燃費向上によってそれでも燃費ギャップが生じ始めて再びそれが責められ始めているのが現状です。

アメリカの燃費試験で体験したこと

この公式試験は申請メーカーの社内試験結果も申請値として使われることもありますが、公式にはデトロイトの西、アナーバー市にあるEPAの排気ガス試験場で行われる試験結果が使われることになっています。しかしながら、新型車、マイナーチェンジ車など発売を前に認定・認可の受験車両が膨大になり、またオフモード試験の追加、給油時のエミッション規制、排気ガス浄化装置の故障診断装置搭載規制など、次々と新しい規制とそのコンプライアンスを判定する試験法が導入され多くの公式試験をEPA排気ガス試験場で行うことは実際には不可能です。

私が米国向けクリーンエンジン開発としてこのような認定試験にも関わっていた1980年代でもEPA排気ガス試験場に持ち込み、そこで試験を受けるのは全体の50%で、残りは社内試験結果の申請値を使うことになりこれを試験がウエーブされたと呼んでいました。実際の持ち込み試験で何が起こるかわかりませんし、今回のニュースの例ではありませんが、EPAラボへの持ち込みではどんな技量の試験ドライバーに当たるかわかりません。またEPA排気ガス試験場のシャシーダイナモによっても燃費試験結果にばらつきがあり、持ち込み試験になるとどのシャシーダイナモで試験をされるかどうかに一喜一憂することもありました。

確かにこのシャシーダイナモ試験を行う超ベテランのドライバーの運転ではばらつきが少なく、なれないドライバーの試験に比べると良い燃費結果となります。このため、ウエーブされるとこの超ベテランドライバーが行って試験結果が採用されますので、ほっとしたものです。

公式試験の走行状態は逐一トレースされ、ある車速範囲を超えるとその試験自体が「ボイド」すなわち試験無効という結果が出て、試験のやり直しとなってしまいます。走りだしの微妙なアクセル操作、加速からクルーズ移行へのスムーズなアクセル操作、もちろん急ブレーキは禁物、アクセルからブレーキの踏みかえでのチョン踏みですらちょっと強すぎるだけで指示車速から逸脱してしまいボイドです。

試験ボイドにさせない範囲での微妙なアクセルとブレーキ操作は当時も超ベテランの試験員の神業のような運転技能には驚かされたものです。

しかし、毎年各社持ちまわりでクルマを提供し、EPA排気ガス試験場、各社公式排気ガス試験場のシャシーダイナモ、排気ガス分析設備のクロスチェックを行い、その相関チェック、その相関を維持するメンテナンスを行います。当時の記憶では、EPAのドライバーもわれわれ超ベテランドライバーとほぼ同等のスキルを持っていたように記憶しています。

今回の話のような、このスキルの差が公式試験燃費で差が広がる原因というコメントは、EPAドライバーの質が大きく落ちたのでなければ、真に受けることはできません。ギャップ問題が騒がれることへの言い訳に感じます。

燃費表記はそろそろ頭を切り替える時では

昨年の現代自動車の燃費ギャップ問題は、社内申請値の記載ミスとして下方修正されましたが、コンプライアンス試験の量が膨大になり、EPA排気ガス試験場の試験能力をはるかにオーバー、さらに燃費修正試験に使われる低温から日射ありの高温まで試験のできるシャシーダイナモ設備が必要になるなど、試験設備能力からもウエーブされる試験数が増え、社内申請データが多く使われることとなり、そこに申請値記載ミスと称する間違い、不正が入り込んできていることが最大の問題と思います。

一つの試験法で大きくばらつくユーザー燃費の平均を求めることはしょせん不可能で、アメリカ方式では、どんどん試験が複雑になり、設備費用も開発工数も、さらに開発期間すら長くなってしまいます。以前の10モードや10-15モードのようなギャップ大では、車両購入時の指針にすらなりませんが、ユーザー平均に近づけるやりかたは程々にして、試験ばらつきが少なく、短時間でクルマの燃費ポテンシャルを公平に評価するための物差しと割り切ってもよいのではないでしょうか? 

今こうした国際統一基準としての物差しを決めようとする国際連合傘下の活動として、自動車国際基準調和(WP29)の中で自動車排ガス、燃費試験法の制定が進められています。
この試験法は近いうちに登場予定で、国際統一試験法として期待していますが、日本と欧州はこの統一試験法にまとまりそうですが、中国はすでに独自試験法制定を宣言し、またアメリカもユーザー平均燃費に近づけることにこだわっておりこの試験法を採用する可能性は少ないようです。

発売前の認可・認定時に、ただでさえ走行条件・環境条件、さらには車両・エンジン・パワートレーンの種類、採用低燃費技術によっても変化するユーザー燃費の平均値を近似する公式燃費を求めることは、そもそも不可能です。それならば、公平に同一条件で比較する物差しとしてこの国際統一試験法を販売時には説明付きで使用し、販売後に実使用のそれぞれのクルマの実走行燃費を集め、いわゆるビッグデータの解析からそのクルマの実走行燃費ポテンシャルを求めこれを公式燃費として認可・認定時の燃費ギャップとともに公表するのも一つの考え方かもしれません。 

今のクルマでは、精密な燃費計測、走行状態計測、その診断は車両の制御情報を使うとそれほど難しいことでありません。個別車両では、燃費診断からクルマの故障診断、ビッグデー解析によるユーザー平均燃費とのギャップ分析、エコ運転診断、エコ運転指南などゲーム感覚で実走行での低燃費につなげることも期待ができそうです。

しかし、なにもかにもエコ運転ばかりをお勧めするつもりはありません。安全が第一ですが、時には空いて見通しの良いカントリー路でアグレッシブな運転を楽しむのもクルマの楽しみ、ただしこの時に多量の燃料を消費してしまったことを確認し、反省することもお忘れなく。

プリウスとCOP3~COP18の15年

今からちょうど15年前の12月10日、初代プリウスは豊田市にあるトヨタ自動車高岡工場で生産を開始しました。それから15年、いまではプリウス・アクアなどハイブリッド車が走っているのが当たり前の光景になってきたことに隔世の感を覚えています。

昨年、日本でのハイブリッド車が新車販売台数の10%を越えるようになりました。今年はさらにその比率が増え、9月までの累計では17%にまで増加しています。米国、欧州ではプリウスブレーキのリコール問題やトヨタ車の予期せぬ加速問題に端を発したハイブリッド車の電子制御への不安感からハイブリッド車販売が停滞してしまいましたが、今年になり、米運輸省道路交通局(NHTSA)と航空宇宙局(NASA)の綿密な調査で「白」判定のレポートがだされ、信頼回復も進み販売台数が急回復をしています。米国では10月までに過去最高の2007年の販売台数を上回っており、またトヨタ以外の会社からもFord C-Max、VW Jettaなど新型ハイブリッド車が続々登場し、本格的なハイブリッド車競争時代の到来、普及拡大が期待されます。

「COP3までにハイブリッド車を完成させよ!!」

初代プリウスは、様々な本でもとりあげられているように、燃費2倍のハイブリッド車を、発売時のキャッチフレーズ“21世紀に間に合いました”どころか、“何が何でも京都COP3のタイミング間に合わせよ!”との当時のトップからの厳命によって開発された車で、やっと最初の試作車がよたよたと走り出した95年12月に、すでに残り2年を切るなかで量産開発をスタートさせたプロジェクトです。

通常、新エンジンや新トランスミッションなど大がかりな製造設備が必要なユニット部品を新造するには早くても4年はかかると言われている中、開発期間をその半分以下、それもまったく経験のないハイブリッドシステム開発をやろうという異例中の異例の超特急プロジェクトでした。もうダメとの難局を何とか乗り切り、10日の生産開始にこぎ着けることができました。このCOP3に間に合わせよとの厳命も、12月1日から京都国際会議場で開催されていた第3回国連気候変動枠組条約締結国会議(これCOP3の正式名称)に、量産ライントライとして生産したクルマを持ち込み、展示・連絡車としてなんとか間に合わせることができした。このCOP3で先進国がCO2など温暖化ガス排出削減を約束した京都議定書がもめにもめながらも採択されたのが最終日の11日でした。

エコ製品は普及したが、国際会議は……

そのCOPがスタートする切掛けとなったのが、1992年6月ブラジル・リオで開催された環境と開発に関する国際連合会議、通称世界環境サミットでした。以前のブログでも紹介しましたが、この世界環境サミットが低燃費、低CO2次世代自動車ではトヨタが先陣をきりたいとのハイブリッドプリウス開発スタートのドライビングフォースだったと思います。それから15年、次世代自動車では、トヨタ、ホンダの日本勢が90%近いシェアを示し、累計販売台数でも約600万台強と自動車のCO2削減をリードし、大きな貢献を果たすまでに成長させてきました。

この自動車だけではなく、エコキュートなどヒートポンプ分野でも、さまざまな環境製品でも、産業分野でも効率化、省エネ、省エネ商品の開発と供給で世界全体でのCO2削減に貢献してきていると、堂々と自負することができます。今月、これもCOP3から15年後、中東カタールのドーハでCOP18が開催されましたが、京都議定書にかわる次ぎの目標はまたも先送りとなり、さらにわれわれ日本の産業界が省エネ、CO2削減技術の実用化、技術移転で大きな貢献を果たしているにも関わらず、国際政治、外交の場では日本の存在感が低下してきているのが非常に残念です。

先日、米環境保護庁(EPA)から今年発売された2013年モデル各社の公式燃費、ステッカー燃費値が発表されました。発表された1082車種の総平均燃費は20.9マイル/ガロン、8.87km/リットルです。

プリウス、プリウスc(日本名アクア)がどちらも50マイル/ガロン、21.3km/リットル、米運輸省によると、アメリカの一人当たり年間平均走行距離は20,000km強ですので、この走行距離で平均燃費のクルマの替わりにプリウスやプリウスcに置換えたとすると年間のCO2削減量は台当たり3.3トンにもなります。日本、欧州ではアメリカほど走行距離は多くはなく、年間CO2削減量もこのアメリカ並みとはなりませんが、日本のハイブリッド車600万台の貢献は決して小さなものではありません。

本質を伴った省エネ技術の推進を

2009年国連本部での環境サミットで、当時の鳩山首相が国内のシナリオ議論もまったくないまま、2020年までに90年比25%温暖化ガス削減を宣言しました。この目標には、我々が世界に供給してきた次世代自動車による削減効果などはカウントされていません。一部、環境技術の輸出、技術支援による削減分はカウントされていますが、日本の国内削減目標が一人歩きし、厳しい規制の縛りや、日本だけの削減目標達成のため、電力料金やエネルギーコストが高騰してしまっては、電気、エネルギーを使う国内での製造業は国際競争力が失われます。

国内での地盤低下は、高効率技術、省エネ技術の研究開発のパワーも削ぐ危険を懸念します。安価な電力、エネルギーを求め、日本で製造するよりもはるかにCO2排出の増加する、たとえば中国に製造移転をするようになっては、かえってエネルギー効率を悪化させ、グローバルではCO2排出を増やしかねません。もちろん、これからも次世代自動車など省エネ、高効率技術開発をリードし続けることが日本の責務と思いますが、その普及、技術移転を進めるためにも、この省エネ、環境分野での政治・外交パワーも少しは発揮して欲しいものです。

先週、今週と、自宅付近を走っていて1997年12月~2000年4月まで生産していた、初代プリウスの初期型が走っているのを見かけました。初代のシンボルカラー、エコ・グリーンと白のプリウスです。15年近くたっていると思えないくらい、手入れもしっかりしてお使いいただいいている様子に大変嬉しくなりました。

今のクルマは新車登録から廃車までの平均寿命が10年を越えるようになってきました。今走っているクルマが入れ替わるのに10年~15年掛かると言うことです。グローバルでの自動車燃料としての石油消費削減、CO2削減の実効を高めていくためにも、次世代自動車の販売比率をもっと拡大していかなければこの2020年、2025年の削減量を増やして行くことはできません。次ぎの15年、ハイブリッド車の更なる飛躍を、これも日本勢がリードしていってくれることを祈ります。

現代・起亜のアメリカ連邦ステッカー燃費詐称問題

燃費表示は新しい課題となってきた

今、アメリカで現代・起亜のクルマの連邦ステッカー燃費詐称問題が大きな騒ぎとなっています。この燃費詐称の勧告を行った部署が連邦環境保護局(通称EPA)で、排ガスクリーン度のコンプライアンス、公式カタログ燃費をメーカーの提出データ、公式認定試験結果により認定書を交付する責任官庁になります。

このブログでも以前、「低燃費のゆくえ」として、アメリカと欧州で、将来の厳しい燃費・CO2規制強化を求めるオバマ政権、EU委員会の決定についてとりあげました。
そこでは、アメリカ、欧州、日本での公式燃費試験法の違い、アメリカでは燃費規制で使われる燃費値とカタログ燃費としてクルマの販売で使わなければいけないステッカー燃費との違いについても解説しました。

地球温暖化、石油価格の暴騰から自動車の燃費性能、CO2排出性能がクルマを購入されるユーザーにとっての重要な選択基準となり、そのカタログ燃費値競争が世界中で激化してきています。今回の詐称問題は、その中で起こった問題です。カタログ燃費は、各国、各地域(EU圏)で定められた走行モード、計測方式、算定方式で計測され、その同じ土俵でフェアに試験し、算定した燃費値です。

もともとは、こうした燃費値は基本的にはユーザーが実際に走行したときの平均燃費値を示すものではなく、同じ物差しで車種ごとの燃費性能を比較し、空気環境の保全等を目的とした政策や法令に使用するためのものでした。こういった時代では、カタログ燃費とユーザー燃費のギャップは問題にはなりませんでした。しかし各国の中で、アメリカのカタログ燃費算定方式が、ユーザーの実走行燃費平均に近づけようと改訂したことにより、生じてきたのが今回のような問題です。

日本、欧州での公式燃費(カタログ燃費)は、決められた走行モード、計測方式、算定方式にのっとって行われ、基本的には認可官庁ラボ、もしくは公認ラボでの試験値が使われ、また社内申請値との相関チェックも厳しく行われています。

複雑化したためにEPAが全てをチェックすることは不可能に

アメリカの場合には、これまでカタログ燃費としてEPAが認定し公表し、販売店の展示車のフロントガラス(ウィンドーシールド)にその燃費値表示のステッカーを添付することが義務付けられていたことからステッカー燃費と呼ばれていましたが、これがユーザーの実走行燃費とのギャップが大きいことが問題になり、認定官庁のEPAが一般ユーザーから訴えられ、ステッカー燃費算定方式をユーザー実走行平均燃費に近づける方向で2008年に改訂を行いました。

今回の問題は、この新しいステッカー燃費と現代・起亜の対象車を購入されたユーザーが実際に走って得られた燃費値に大きなギャップがあるとEPAに申し出たことに端を発しています。以前のブログでも紹介しましたが、EPAはユーザー実走行燃費のアンケート調査、当時排気クリーン度と燃費評価として使っていた様々な走行モード燃費を用いた燃費修正方式を検討し、2008年にステッカー燃費算出方式とその表記方式の改訂を行いました。

この改訂は、ユーザーが実際に走行したときの平均燃費にいかに近づけるかが狙いで、ユーザーからクレームが出ないように、燃費を意識しないで走った場合のやや悪目の燃費値がでるように根拠もなく無理矢理つくりあげた修正方式との印象を持っていました。

しかし、以外や以外、同じクルマならアメリカも日本もユーザー実走行燃費アンケートの平均値はほぼ一致しており、それよりも少し悪目ながら非常に近い値に収まっています。この算出方式の詳しい説明は省きますが、排気クリーン度と燃費評価に使っていたアメリカのシティーモードとハイウェーモードに加え、零度以下での一酸化炭素排出レベルをチェックする低温COモード、ハイパワー車によるアグレッシブな急加減速運転の排気チェックモード、さらに夏のエアコン運転時の排気チェックモードを加え得た5つの試験結果から算定する方式です。

従来の算定方式ならば、シティーモードとハイウェーモードの2つだけですし、EPAが社内公式試験の試験手順、試験車の管理など、厳しい管理と規定遵守を求め、さらに認可試験のための排気ガス・燃費測定車をデトロイトの近くにあるEPA試験ラボに持ち込み抜き取りチェックを行い、社内申請値、EPA公式試験の両方を使い、排ガス合否判定、カタログ燃費値算定を行っていましたので、今回のような問題を起こすことはありませんでした。

今回はEPAが韓国の現代・起亜の社内排ガス・燃費試験ラボに立ち入り検査を行い、ステッカー燃費算定に使っていた社内公式試験燃費値が実際にはそこまでの値がでず、ギャップの原因になっていたことを会社が認め、EPAがこれを公表しました。11月7日付けのThe Wall Street Journal紙によると、米オハイオ州の住人3人が、米連邦裁判所に提訴し、集団訴訟としての扱いを求めているこの案件に対し、EPAは両社の13のモデルに燃費性能の不当表示があったとの見方を示したと報じています。両社は、社内燃費のテスト方法に誤りがあったことをみつけたとして、EPAの指摘を認め、ユーザーに対し燃費ギャップ分の燃費代を返却すると発表しています。WSJの記事による、両社の説明としては、「社内公式燃費に採用した試験の手続き上のミスが原因とし、EPAがすべての車種をテストするわけではなく、自動車メーカーに作業の多くを任せている」と伝えています。

私の経験から、試験の手続き上のミスとはとても考えられません。この記事のように、公式のカタログ燃費、通称ステッカー燃費算出として使われる5モード燃費データの大部分は社内公式試験データが使われることは確かです。2008年の改訂後では、基準となるシティーモードとハイウェーモード以外の試験モードデータは、特別な試験設備も必要で、準備時間を含めると試験時間も多くかかるため、そのほとんどが社内公式データそのままが使われ、EPAラボでのチェックは行われず、勘ぐればそれを見越して残り3つの試験データに実際に規定されている試験法、算定法では出ない燃費値を申告していたのではと思います。この推測どうおりとすると、この値をコマーシャルの宣伝にも使っていたことはFairnessから大きく外れていることは明らかでしょう。

アメリカでビジネスを行うのに必要なFairness

これまでのブログでも述べてきたように、われわれ日本勢も1970年代の大気浄化法マスキーの時代から、このアメリカにクルマを輸出し販売を行うためにはこのEPAの排ガスチェックを受け、公式認可を得ることが不可欠であり、この経験で多くのことを学びました。

その中でもの最重要として日本勢が定着させてきた考えが、公平性(Fairness)と実市場(Real World)です。アメリカで排気クリーン度の認可をもらう試験法で、厳しく問われるのはFairnessです。その試験モードを走っているときだけに作動し、その他のReal Worldでは作動しない排気クリーン装置とその制御は、規制逃れのunfairなやり方としてdefeat device(…無効にする装置)と呼び、それを使っていないことの誓約をさせられます。

これが徹底されるうえ、さらにEPAからクルマの持ち込み要求があり、EPAラボでのダブルチェックも受けることになります。EPAラボでの試験要求がないケースをWaive (要求の見送り)と呼び、こうなる正直なところホットしました。Fairにやっても、もし万が一EPAラボでの試験で規制値を満たさないデータがでると、生産開始も当然ながら販売開始もすることができなくなり、会社としては大きなダメージを受けてしまいます。幸いにも私自身は、自分の担当でそのような羽目に陥ったことはありませんでした。なんと言ってもFair & その法規性の目的であるReal Worldが問われると諸先輩からも叩きこまれました。

欧米自動車の背中を見ながら、日本勢が1970年代から、韓国勢が1980年代後半から欧米マーケットに進出し、その販売拡大を図ってきました。次世代自動車こそ、こんどは我々アジア勢が自動車の進化に貢献していくことが求められています。その基本がやはりFairnessとReal World、同じFairな土俵での厳しい競争を行い、その上でエネルギー、環境保全の効果を高める普及のための貢献活動では、是非協調路線で進めて行って欲しいと思います。

低燃費自動車のゆくえ

先月28日、オバマ政権は昨年11月に提案されていた自動車新燃費規制に、CNG車やEV車販売に対する追加クレジット付加などの修正を加え、2025年までに乗用車のメーカー別新車販売平均燃費値として、現行の35.5マイル/ガロン(15.1km/リットルから54.5マイル/ガロン(23.2 km/リットル)達成を義務づける燃費規制法案の実施を発表しました。

また欧州でも7月11日に欧州委員会の原案として2020年までに欧州市場で販売する全ての乗用車やSUVやミニバンなど軽商用車から排出される台当たりの平均CO2排出量を、現行の2015年規制130g/km(ガソリン燃費換算で約17.8km/リットル)から95g/km(ガソリン燃費換算で約24.3km/リットル)への強化案を発表しました。

いよいよ低燃費&低カーボン自動車へのシフトが待ったなしになってきています。今日のブログでは、「低燃費自動車のゆくえ」とのタイトルで、従来エンジン車からハイブリッド車までの低燃費化のアプローチについて私見を述べてみたいと思います。

数値そのままでは比較できない

以前のブログでも書きましたが、各国、各地域の燃費規制値の比較をするにしても、そのままアメリカのマイル/ガロン値や欧州のCO2換算でCO2_g/km値、日本のkm/リットル値を同じkm/リットル値に換算にて比較しているレポートを見かけますが、これは全く意味がありません。燃費値を求める試験法、その走行モード、算定方式が国毎、地域ごとに異なるからです。

一昔前の排気規制値の比較でも、排気ガス成分中の一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の規制値をg/kmに換算し、日本の規制値が一番厳しいとの言っていた時期もありましたが、日本の規制方式はエンジンの暖機運転をしたあとで10-15モードを走らせ排気ガス成分を分析する方式で、アメリカの1昼夜駐車した後でエンジンも排気触媒も冷えた状態からスタートさせ、大きい加速度と高い最高速度で算定されるアメリカの規制と比較すれば数値は低くとも、技術的には遙かに緩い規制でした。

燃費もこれと同じで、試験法、走行モード、算出法の全く違うものを単純比較はできません。またアメリカの中だけでも、CAFÉ燃費規制で扱われる燃費値と公式認証燃費値を決める連邦環境保護庁(EPA)から公表され、販売店での展示車フロントガラスに添付することが義務づけられているラベル燃費/ステッカー燃費と言われる燃費値とは、同じマイル/ガロンで表しますがまったく違う算出方式ですのでこれを混同すると厳しさの判断が大きく狂ってしまいます。

表1_プリウス燃費比較

表1は、同じプリウスの日米欧における公式燃費の比較です。日本、アメリカ、欧州向けの仕様で、車両重量、タイヤ諸元など微妙に異なりますが、ほぼ同じ標準仕様車の公式燃費値でも日本、アメリカ、欧州で大きく異なることがお解りいただけると思います。

いずれの公式燃費も、実験室に設置したシャシーローラにクルマを載せ、そのクルマを平坦路で走行させたときと同じような走行負荷が掛かるようにローラー軸に付けられている動力計でクルマの走行抵抗を調整し、規定走行モード(パターン)を走らせ排ガス性能と燃費性能を測定します。アメリカのコンビ燃費は、アメリカ都市内走行を想定したシティーモードと、ハイウエー走行を想定するハイウエーモードを走行し、シティー走行燃費のウエートを55%、ハイウエー走行燃費のウエートを45%として算定した燃費値をコンビ燃費と呼び、これをCAFÉ規制の算定基準燃費としています。

紆余曲折のアメリカ燃費基準

少し脱線しますが、このシティー走行モード(走行パターン)は自動車の排気ガスによる大気汚染が問題になった1970年代の初めに、その排気ガスのクリーン度をシャシーローラ上で評価する走行パターンとして作られました。

ロスの地方道4号線を走っているクルマの走行パターンを調査し、その代表的な走行モードを抽出して定められたことからLAナンバー4、LA#4モードと呼ばれています。当時のシャシーローラでは当時のクルマでもその抽出したモードを走らせるとタイヤスリップを起こしてしまうので、今も使われているこのLA#4 モードでは、実際の調査モードからスリップが起こらないように加速度、減速度を緩めた走行モードとなっています。

一方、ハイウエーモードは石油ショックの影響から輸入石油消費の削減を目的に導入したCAFÉ規制の燃費値をも求めるために提案された走行モードで、石油ショック後にこれも燃料消費削減を目的に実施されたハイウエーの最高速度制限を厳しくした時に設定され、当然ながら遵法運転を行った場合の走行モードですので最高速度は現在の実際の流れ寄るも低速になっています。

またどちらのモードも大気温度75°F(約24℃)と春、夏のヒーター作動もなく、エアコン負荷も小さな大気条件での試験で、いずれも今のリアルの走行燃費よりかなり燃費の良い結果がえられます。シティーモードでは一晩駐車したあとのクルマ、エンジン、触媒なども大気温に近い状態からのエンジン起動(冷間始動条件)となっています。CAFÉ規制は従来から、このコンビ燃費を使っており、オバマ政権の提案するCAFÉ強化提案も、この基準燃費での規制です。

それでも、日本の10-15モード、JC08モード走行での走行燃費よりは低い値となります。ちなみに、EPAラベル燃費は、1980年代にこうして算定したCAFÉ燃費を公式燃費としたところ、この公式燃費が実際のユーザー燃費と大きく異なることからEPAが訴えられ、シティー、ハイウエーそれぞれの燃費値に概略の修正係数をかけ、ラベル燃費として公表するようになった経緯があります。

さらに近年になり、インサイト、プリウスが発売され、ハイブリッド車のような低燃費車のラベル燃費では、これまでの係数をかけてもユーザー平均燃費とのギャップが大きくなっているとのユーザーの訴えから、EPAはユーザー平均燃費に近づくようにラベル燃費算定基準を変更しました。

これはかなり複雑な算定方式で、シティーモードやハイウエーモード以外に排気のクリーン度評価に使っている、大気温-7℃での低温COエミッション試験、US06、SC03モードと呼ぶ大気温が高くエアコン負荷の大きな運転モードや、急加減速運転の排気性能評価のモードの燃費測定結果の全てを加味し、悪目、悪目に燃費値が算定されるように調整した算出方式です。

正直言うと、アメリカ方式では、開発段階、認証試験、認定試験段階で、車両スペックごとに試験車両を備える必要があり、また試験の数、回数、その設備もばかにならず、開発エンジニアにとっても、会社にとっても費用、時間、要員数で負担の大きなやりかたです。このような複雑な試験法はあまり歓迎できませんが、日本もそろそろリアルワールドをもう少し意識する時期になっているように思います。

プリウスは既に将来の規制をクリアしている

脱線が長くなりましたが、フルハイブリッドのプリウス燃費ならば、2025年のアメリカCAFÉ規制強化、2020年の欧州95g_CO2規制をパスするレベルを現在でも達成しています。さらに、昨年新モデルを発売開始したカムリハイブリッドのCAFÉ基準コンビ燃費が標準車で58.7mpg(24.9km/リットル)プリウスC(日本名アクア)は71.8mpg(30.5km/リットル)となり、トヨタ車の販売車種総平均燃費としてカムリハイブリッドレベルで規制値を満足できることになります。
また欧州CO2規制ではすでに2015年基準メーカー平均130g_CO2/kmをトヨタは他社に先駆けてトップでクリアしており、2020年95g_CO2/kmもフルハイブリッドを増やしていけば遅れをとることはないと思います。

米国、欧州の今回の燃費規制/CO2規制強化の提案は、電気自動車や天然ガス自動車のクレジットもありますが、なんらかのハイブリッド化が不可欠なレベルの燃費規制で、日本の経済誌で取り上げられた日本のハイブリッド「ガラカー論」は外れとなりそうです。

カタログ燃費だけ追ってはいけない

カタログに表現できる燃費は公式燃費値だけですので、それぞれの国、地域での評価モードで良い公式燃費がでるように、各社競いあっていることは事実ですが、燃費規制の目的はあくまでもグローバル、リアルでの石油消費削減であり、CO2排出の削減です。

確かに初代プリウスの開発で燃費2倍の目標はまず日本の10-15モードでの目標でしたが、当時からリアルの燃費向上が常に意識の中にありました。梅雨時、夏のエアコン運転からくるエンジン起動を冷気蓄熱を使い少なくする工夫、冬のヒーター要求からのエンジン起動もできるだけ低水温から温風を吹き出させる工夫、10-15モードの回生発電なら全く不必要なエネルギー容量を確保するハイブリッド電池、さらにエンジン停止走行時間を増やすためのエアコンコンプレッサーの電動化、冷却水の蓄熱、排気熱でのヒーター用冷却水熱回収などなど、ここまでの燃費向上では常にリアルでの燃費向上をめざした取り組みでした。

もちろん、日本の10-15モード、JC08モード、アメリカ-シティーモード、欧州EUモードのように都市内走行シミュレートの発進停止の繰り返し走行、平均車速がそれほど高くない走行モードでは停車中および低車速走行時のエンジン停止、EV走行、大きなエネルギー容量の電池と大出力モータを持つフルハイブリッドの最も得意とする走行モードですから、この走行モードで燃費を大きく向上させていることは事実です。

高効率エンジンの採用とその燃費効率最適ポイントでの運転がもう一つの重要な燃費向上の基本メニューです。これに加え、最近話題の小排気量(ダウンサイジング)過給も低燃費の定番メニュー、1990年代クリーンエンジン開発担当時のテーマの一つも小排気量過給でした。

過給が効きブーストトルクが発生するまでの応答遅れを改善するため、セラミックターボ、チタン製のコンプレッサーブレードのトライ、さらに機械式過給器までトライしていました。エンジンの高効率を追求し、トルク/出力性能をトレードにかけたアトキンソンエンジンを使い、電池出力アシストをおこなうプリウスハイブリッドの考え方も、小排気量過給と基本は共通です。燃費最適運転と電気過給ならぬ電気アシストがそのコンセプトです。

細かいアプローチは違えども低燃費化への基本思想は同じ

この低燃費化への基本的アプローチは、従来エンジン車(通称コンベ車)でも同じです。まず車両の軽量化、空力改善、さらにタイヤ転がり抵抗や動力伝達系の引き摺りによる損失低減が車両全体として基本部分です。低燃費メニューをどのように取り入れるかで違いがでてきます。エネルギー容量の大きな重いハイブリッド電池を搭載し、二つの大出力モータ/発電機を持つことにより重量増を招くハイブリッド車のハンデを減らすハイブリッド部品軽量化の取り組みも継続して行われ大きな成果を収めてきました。

最近何台かの欧州低燃費車に乗る機会がありました。ダウンサイジング過給、7段デュアルクラッチシーケンシャルギアボックス(DSG)、さらにエコランと定番のメニューで低燃費を目指したクルマです。このクルマに搭載している7段デュアルクラッチシーケンシャルギアボックスの作動は、またにエンジン燃費最適運転へのシミュレート、多段化は欧州勢が好むMTベースのダイレクト変速というよりも、多段化により低燃費エンジンポイントでの運転頻度を高める手段、言い換えるとCVT運転に近づけるための多段化と感じました。

クルージングに入るとすぐにアップシフト、アップシフトさせ日本の高速道路巡行までではでききる限りエンジン回転数を抑えた低燃費ポイントに抑えています。ダウンサイジング過給も低容量型のターボを使い、低速から過給が効くようなセッティングですが、やはりガソリンターボはガソリンターボ、ブーストトルクがでてくるまでのタイムラグ、それと加速時にはダウンシフトと入り交じったビジー感は免れませんでした。

またエコランでは、残暑が厳しい9月の東京での走行ではほとんどエアコン運転からの要求からほとんどエコラン運転にはならず、モード燃費対策と言われてもしかたがない状況です。この状況は、初代プリウスで梅雨どきの除湿、夏の冷房要求からのエアコン運転でエコラン、EV走行ができなくなってしまう悩みと一致していました。リアルの燃費向上を目指していくと、結局同じ方向、エンジン停止中のエアコン作動には少し容量アップした電池、それを充電するためにはベルト駆動の発電機では物足りなくなり回生発電量の大きくとれる発電機、エンジン停止走行域拡大には、少し車速のあるところからエンジン停止をし、との途中からの再加速要求にはエンジンの急速起動ができる高出力スターター、さらに少しクリープ走行ができるモータが欲しくなるなど、どんどんハイブリッドメニューが多くなってくるように感じます。

さらに、リアルでの低燃費を追求していくとなれば、ハイブリッド化はさらに進むと思います。この多段デュアルクラッチシーケンシャルギアボックスで、パワーアシスト&回生用のそれなりのモータをつけたハイブリッドならば、クリープ、電池アシスト、回生と、今指摘した欠点の多くは改善できるのかもしれません。私もかねてより、こうしたシステムを搭載したクルマが、トヨタTHSの有力なライバルの一つとなるのでは注目していましたが、いよいよ登場しそうでそのポテンシャルに注目しています。

クルマとしての魅力を備えた次世代車を

もちろん、トヨタTHSが究極のハイブリッドと言うつもりはありません。さまざまな欠点があり、欧州の多段DSGとの対比で言われるCVT感、エンジン回転が勝手に吹き上がりダイレクト感のなさ、その割に高速燃費向上が今ひとつなど指摘されています。その指摘は当たらずと言えど遠からず、CVTフィーリングは低燃費追求の結果であることは事実ですが、THS機構そのものからくるものでもなく、改良余地もまだまだある部分です。

もちろんこれからも次世代自動車としての社会要請から低燃費、低カーボンへの追求は手を緩める訳にはいきません。しかし、エコだけはクルマとしての魅力として不十分です。速度無制限がまだ許されているドイツのアウトバーン走行を除くと、リアルでのほとんどの走行でフルパワーを使うことは多くはありませんが、このフルに近いパワーを使う走行でいわゆるダイレクト感のある動力伝達を行い、回転が上昇するとともに今のTHSよりも気持ちよいエンジンサウンドを響かせリニアに伝達パワーが高まるダイレクトな走りを実現させることは可能と信じています。

通常の90%以上は安全、安心、快適な低燃費運転でカバーでき、たまに10%以下の頻度で道路環境を確かめてフルパワーも使う気持ち良くドライブができるクルマの実現を夢見ています。それなら、リアル燃費の目減りをほとんどさせずにやれるように思います。さらに付け加えると、日本の通常の走りではそれほど差を感ずることはありませんが、欧州車の車体剛性の高さは見習う必要がありそうです。

これから、移動手段、輸送手段としてのクルマと、保有し、走る喜びを感ずるパーソナルモビリティとの2極分化がさらに進むような予感がしています。現役時代に実現出来た訳ではありませんが、私が目指していた次世代自動車はこの保有し、走る喜びを感じ、意識しなくともリアルでの抜群の低燃費も実現できるパーソナルモビリティです。

その意味では、欧州低燃費車も日本のハイブリッド車も私の理想イメージからはまだまだほど遠いとところにあると思います。免許証返上まであと1台か2台乗り換えられるかどうか、ぜひ最後のクルマとして満足できる次世代ハイブリッドパーソナルモビリティの実現を待ちたいものです。