東京モーターショー2013の印象

東京モーターショーが有明の東京ビッグサイトで今週末まで開催されています。私は一般公開日の前日の11/22の特別招待日と、昨日の11/27の2回、会場を訪れました。公式発表によると11/22の入場者がプレビューナイトの8,600人を含めて40,000人、11/27の入場者が77,600人ということですが、平日である11/27でも主要なメーカーのブースは人で溢れている状態でした。平日でもこれで、11/23には135,800人とこの倍近い人出があったとのことですから、休日にはまさに立錐の余地もないという状態で、大きな盛況を見せているといってもよいのではないでしょうか。

ご存じの方も多いでしょうが、東京モーターショーは1990年初頭をピークに入場者の減少が続けていましたが、会場を幕張メッセから東京ビッグサイトに移し、また欧州メーカーの出品が復活したことなどもあって前回の2011年には開催期間は縮小しながらも人出が戻ってきていました。これまでの入場者の推移を見ても、今回も前回と同様かそれを超える入場者が見込めそうです。週末の人混みを想像するに、東京ビッグサイトのみでの開催ではこの規模の入場者数が限度のようにも感じます。

さて、今回は八重樫尚史が、東京モーターショー2013について、話題のコンセプトカーや新車等については、多くのメディア等で触れられているでしょうから、すっぱりと割りきってそこには触れず、次世代車や次世代技術の点からショーから見る全体の業界の印象などに極私的視点で書いていこうかと思います。

プラグイン車の存在感の無さ

まず、今回のショーで最も強く印象に残ったのは「プラグイン自動車の存在感の無さ」でした。勿論、自分が次世代自動車に係る仕事をしているので、そういった側面から見ての印象ですが、前回と比較しても明確にプラグイン車(EV、PHEV)の存在感が低下していました。

これは以前からモーターショーの記事などでも触れていることですが、世界のどのモーターショーでも主役は憧れの対象としてのコンセプトモデルや高級スポーツカー等で、それに加えて購入目当ての新型車に乗って触ろうというのがショーの姿だと思います。その中で環境技術を全面に押し出したいわゆる「エコカー」やそうした技術の解説展示などは、自動車メーカーが大掛かりに打ち出しても会場の入場者の視線を集めてはいませんでした。

そうした反応を感じ取ってということでしょうが、今回のショーではメーカー毎に色彩の差はありますが、自動車メーカーはブース自体を映像や舞台建てを駆使してショーアップし「インタラクティブで3次元のCM」に作り上げているという印象を受けました。技術などの解説はその隣にある部品メーカーのブースなどで行い、そうした役割分担がこれまでよりも明確になったように感じます。特に日本市場で大手のトヨタとホンダのブースではそれを強く感じ、ブースの面積の割には展示車を絞りまた技術の詳細解説は最小限にし、全体としてのショーを作り上げていたとの印象です。

本題のプラグイン車についてですが、前回等はブースの良い場所に充電ステーションをおいて充電している姿を見せた車両があったものですが、今回はそうした車両は非常に少なくなりました。EVの旗手である日産のブースでも、主役はコンセプトモデルと量産車ではHVの新型『スカイライン』等で、『リーフ』『New Mobility Concept』『e-NV200』はブースの入り口にあるものの、主役から一段降りた場所にあったという印象です。

日産 eNV200
日産 eNV200

主役にプラグイン車を配していたのはドイツ勢のVW、アウディ、BMWで、VWはディーゼルPHEVの『XL1』『Twin UP!』、アウディもPHEV『A3 e-tron』を雛壇に、BMWも中心にEV『i3』とPHEV『i3』を置いていました。とはいえ、自動車ブースの中で、環境を強く謳って周辺インフラ込みで「スマート」をアピールするような展示は見当たりませんでした。

VW TwinUP!
VW TwinUP!

Audi A3 e-Tron
Audi A3 e-Tron

そうした部分では前回に引き続き「Smart Mobility City」と銘打って、こうしたプラグイン車とその周辺インフラについて自動車メーカー以外の企業などを含めたブースが設置されているのですが、場所は長大なエスカレーターに乗っていかなければならない西棟の上階に置かれ、明らかにこの区画は他の自動車メーカーのブースと比較しても人が少ないエリアとなっていました。(実は私も最初に訪れた際には、その後に予定があったこともあって、ここにこうしたブースがあることを知らず、2度目で初めてこのエリアを見ました。)ただ、これは場所だけの問題ではなく、やはりこうした展示に人気が集まらないという事を示してはいると思います。

ただしホールの一角に電池サプライヤーとして参加していたパナソニックのブースと、非常に小さなブースながら参加していたテスラの『Model S』はそうしたなかでも人を集めていた事は書き残しておきたいと思います。

「離れ」ではなく「日常化」したエコカー

ただし、こうしたEVやPHEVの注目の少なさによって「エコカー離れ」が起こっているというのは早計に過ぎると考えています。というのも既に新車のかなりの割合がHVとなっている日本ではもはやそれは日常であり、また欧州各社もダウンサイジングは当然となっており、そうした技術を大々的にこうしたショーで訴える必要性が無くなったからともいえます。

それを実感できるのは、住み分けているのだろうかと書いた技術展示を中心とした部品メーカー等のブースで見ることができ、そこで展示されているものはエンジンの部品などであっても摩擦の低減等を行って効率性の向上をして燃費を高めるというものが殆どでした。ただし、そうした展示に興味を持つ人の割合は勿論少なく、そういった場所では観覧者もスーツ姿の人が主流でした。あまりにも細かく難しくなってしまったこうした技術と実際の商品が離れていってしまっているというのが、自動車メーカーと部品メーカーの展示の違いとそこに集まる人の違いとして、私の目には強く焼き付きました。

独ZF社 9速AT
独ZF社 9速AT

また更に先の次世代車として注目されている燃料電池車(FCEV)ですが、トヨタが新型のFCEVを大々的に発表したものの、ホンダは新型FCEVを同時期に開催されているLAモーターショーで発表するなど、全体として取り上げられている印象は感じられませんでした。

FCEVについては、規制や導入支援等からカリフォルニア州から発売されるのが既定路線となっており、そちらが優先されるのは当然ではありますが、これまでの報道の量などから考えると肩透かしを感じました。同じく控えめだったのが自動運転や衝突安全技術等で、勿論多くのところで解説や説明があり体験会なども模様されていましたが、主役という程の存在感は無かったかとは思います。これは憶測ですが、大きな話題となったマツダの体験会の事故の影響もあったのかもしれません。

自動車の「現在」を見るモーターショー

東京モーターショーのキャッチコピーは「世界にまだない未来を競え」となっています。しかし、今回のショーで私が強く感じたのは「未来」では無く「現在」です。5年後・10年後の未来がここで提示されたかというとコンセプトモデルも含めてNoだというのが私の感想です。コンセプトモデルも「現在」に存在する非日常のショーとして消化し、直ぐにディーラーに並ぶであろうモデルを日常の現実の目として見ているというのが、今の東京モーターショーの姿なのではないのでしょうか。

ただしこれが悪いことかと考えているかというとそうではなく、おそらくこの「現在」は多く人が考えているよりも緻密で繊細な技術で作り上げられておいる「現在」で、本当の少し先の「まだない」未来はなかなか説明しづらい専門的な知識の海に眠っているのではというのが技術の素人である私の見解です。(あとは厳しい競争を行っている中で、5年・10年後の技術は今まさに最も重要なものであり、それを見せることは無いだろうとも思いますし。)

とはいえ前回もそう感じましたが、平日にもかかわらず多く人が訪れるショー(平日なので若い層は少なかったことは少なかったですが)の姿を見て、自動車の人気はまだまだあるのだと安心感を抱きました。

またモーターショーの関連イベントとしてお台場で様々なイベントを行ったのもよい方向に感じます。今回モーターショーに参加しなかったアメリカ・イタリアの各メーカーもそちらで一部展示を行っていました。こうしたメーカーもまた本体に参加して、今後もっと華やかなモーターショーが戻ってくることを期待しています。

ゴーン氏の言葉、EVと“Freedom of Mobility”

11/23日の一般公開を控えた東京モーターショーですが、昨日と今日が報道公開日とされ、各社の展示車、トップスピーチが様々なニュースとしてメディアに取り上げられています。

過去、一時は海外勢の撤退もあり海外メディアの東京パッシングの動きなどもありましたが、日本の自動車メーカーが、アベノミクス効果かどうかはさておき、円安の後押しもあって大幅な収益回復を果たし、また日本マーケットそのものも次世代環境技術、安全技術など自動車の先行きを占うイベントとして海外メディアからも再注目されてきていることはご同慶の至りです。今日のTVにも報道公開日にも関わらず大混雑しているシーンが流れていました。

インフラ未整備は本当にEV普及の最大の阻害要因?

この2013年東京モーターショー報道公開日の会場で、ルノー日産のカルロス・ゴーンCEOが電気自動車販売目標について以前のコミットメントであった2016年までに累計150万台を、2~3年達成期限を遅らせるとの発言し、またその理由として最大のEV普及の阻害要因としてあげた充電設備の未整備にあると述べました。

『電気自動車への投資、後悔していない=ゴーン日産自CEO』との見出しで、ロイター通信は伝えています。もちろん、電気自動車普及をギブアップしたわけではなく、目標達成時期が2~3年遅れるとしたうえで、充電設備の未整備が普及の障害となっており、さらに燃料電池車の普及にも水素インフラ不足という問題があると語っています。

カルロス・ゴーン氏は世界の自動車メーカートップの中でも際立つプレゼンスを示している人物であることを否定する人はいないでしょう。我々も次世代自動車関連トピックスの調査を継続して行っていますが、そのトピックスに登場する自動車メーカートップとして内容、件数ともにNO1のプレゼンスを示しています。EVについて長らくその旗振り役を振り続けたゴーン氏の発言は注目を集め、大きな影響力を持っています。

そういった立場にある方の発言として考えると、この発言には大きな疑問を抱かざるをえないものです。それはEV普及がうまくいない原因をインフラの未整備にすることで、EVが苦戦している最大の理由である航続距離の短さというまさに商品としてそして車として極めて重要な所から、意図的か意図的でないのかはわかりませんが、目を逸そうとしているように思えるからです。またこの論旨では、EV販売については最も充電インフラが進みかつ今後も投資が予定されている日本で急速に販売が鈍化しているにも関わらず、人口比・面積比ではインフラがまだまだなアメリカや欧州ではそこまでの落ち込みは見せていないことなどが説明できていません。

またインフラ整備が進んでいないというと、EV普及を政府等が支援するのが当然のように思えますが、発電時のCO2等を含めた議論では、必ずしもそれが好ましいという結論を出すことはできません。政府等がインフラ整備を含めてEV普及を後押しする際には、温暖化防止、大気環境保全等に大きく貢献し、またその財源をもたらす市民にとって利便性をもたらす必要があります。

“Freedom of Mobility”である車を守らなければ

先週のブログでご紹介した、フランスの自動車ラリー伝説の名ドライバー、ダルニッシュさんとの懇談でも、この電気自動車の今後、その中でゴーンさんの発言、その影響力が話題となりました。ダルニッシュさん自身は、反EV派ではありません。都市内での未成年者、お年寄りのモビリティ・ディバイド(公共交通機関が寂れ、移動する自由度が奪われ、差別化されてしまうこと)の対応として、日本でも話題になっている一人~二人乗りの超小型コミュータEVを使った新しい都市内モビリティの提唱者です。

そこでの議論も、先週のブログでも取り上げて“個人の自由な移動手段”としてのモビリティ、“Freedom of Mobility”の重要性です。しかし、最近フランスでも、環境命の政治家が増え、この“Freedom of Mobility”に聞く耳もたなくなってきていることへの心配をしていました。このような政治家にゴーンさんが影響を与えているのではとの話題です。

もちろん、地球温暖化、大気環境保全は、社会的要請です。次世代自動車として、この変革に取り組むことは必要条件です。しかし、人類の発展を支えた要素として、自動車が生まれる前からも“旅の自由=Freedom of Travel”があり、その手段として発達した二輪、三輪、四輪自動車による“Freedom of Mobility”が重要と信じています。この要素を発展させる前提として、自動車の持つネガティブインパクト低減に取り組んできました。ダルニッシュさんと、この意見で一致したのが、先週のブログですが、自動車会社トップがそれとは反対の方向で政治的働きかけを続けているとすると?どころではありません。

 私自身、トヨタ現役時代もトヨタ内の電気自動車開発担当に“何が目的のEV?”の議論をふっかけ、米国加州環境当局CARB ZEV規制立案スタッフとも議論してきました。またクリーンガソリンエンジン開発の社内プロジェクトリーダとしても、大気環境アセス研究にも首を突っ込み、またLEV/ULEV/SULEVといった略号だらけのゼロエミッションレベルにどんどん近づくクリーン車開発を続け、この後に担当することになったのがハイブリッドプリウスの開発です。

当時の無理やりZEV規制に対応するEVではこの“Freedom of Mobility”から逸脱してしまう、この“Freedom of Mobility”を維持する次世代自動車としてハイブリッド開発に注力しました。当時のトヨタ社内でも、ZEV当局者、こうしたブログや他の方面での私の発言を聞いた方からも、私はアンチEV派と見られているかもしれません。しかし決してアンチEV派でも、ハイブリッドと内燃エンジンにしがみついている旧守派ではないつもりです。

環境という化粧を落として、商品として勝負しなければ発展はない

RAV4EV、e-Com、Subaru eVステラ、三菱自アイミーブ、日産リーフ、Smart EV、MiniEV、BMW ActiveEなど様々なEVにも試乗してきました。その中では、クルマとして群を抜いていたのが日産リーフです。この量産化に取り組んだ開発エンジニアのハートを感じ、また量産自動車としての厳しい評価をパスして作り上げた自動車商品として評価できたのはこのリーフだけです。

そのクルマとしての完成度が高く、さらに都市内走行でのモーター駆動のポテンシャルの高さを感ずるだけに、急速充電までトライし、今のハイブリッドを含む内燃エンジン車を代替する次世代自動車としての限界をより強く感じました。もちろん、この航続距離の範囲内でコミューターとして使える用途としては十分満足できるクルマであることは間違いありません。

ただし、満足されて使われているユーザーに私の意見を押し付けるつもりはありませんが、こうしたコミューター用途は石油枯渇問題、大気環境問題、気候変動CO2問題とは別の、公共交通機関を含む輸送機関全体の問題として議論をすべきと思います。コミューター使用だけでは、間走行距離も少なく、今のクルマの代替としてのCO2削減効果は期待できません。これを混同すると方向を誤るように思います。その意味で、普及の障害を充電設備の未整備と責任転嫁することは大経営者として?に感じました。

このコミューター用途であれば、電動アシスト自転車、電動スクーター、超小型コミューター、シニアカーなどいろいろ候補あると思います。この用途ならば、排気がクリーンであることは前提ですが、なにもEVに限定する必要はないと思います。

いずれにせよ、事業採算性が問われ、これをクリアしなければ将来マーケット拡大はなく、これまた補助金をあてにしたプロジェクトでは先の発展はないことは、今の内燃エンジン車代替の次世代自動車と同じであることを銘記すべきです。

充電設備網の整備もまた政府資金頼り、補助金便りでは先はありませんし、そのつけは税金、電力料金として国民が負担することになります。エンジニアとして、その厳しいハードルにチャレンジし、乗り越えてこそ、世界をリードできる次世代自動車技術を創出することができると思います。

ベター・プレイス破綻とクルマの充電について

電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)、つまり走行エネルギーの全部もしくは一部を充電した電池を使用して走るクルマ――プラグイン自動車の売れ行きがはかばかしくなく、これを述べる報道も増えて来ました。

ただし私の住んでいる地方都市である三島市でも、日産『リーフ』が走っているのを見るのは珍しくなく、1990年代のEVブームのように一瞬で消えていくことはなさそうな雲行きです。世界的に見ても即座に販売が激減した過去のEVブームとは少し異なり、数こそ少ないままではあるもの、一方でゼロに減ることなどもなくコンスタントな売れ行きが続いています。

とはいえ期待したほどではないとの声もあり、またその期待感によって過剰設備投資をしてしまった電池ベンチャー、EVベンチャー、充電システム機器ベンチャーの多くが倒産に追い込まれています。それでも、プラグイン自動車の今の商品力からみると販売は予想以上で、大健闘と言ってもいいのではないかというのが私の正直な感想です。 

電池交換方式のベター・プレイスの破綻

充電システム機器のベンチャーでは、専用交換ステーションで電池パックごと短時間に充電済みのパックと交換する方式を新しいビジネスモデルの提案として世界中で話題を振りまいたアメリカ西海岸のベンチャー企業「ベター・プレイス社」が、予想通りといえば予想通りで白旗を掲げ倒産しました。

日本でも六本木ヒルズにデモステーションを設置し1台のEVタクシーを運用するという報道が過去にありましたが、今はどうなっているのでしょうか?

この「ベタープレイス」のバッテリー交換方式ビジネスについては、デンマーク政府とイスラエル政府がスポンサーになり政府資金の援助を受けて両国に電池交換ステーションを設立、唯一ルノーが『Fluence.Z.E.』という専用EVを開発し販売を開始しましたが、販売台数は低迷したままでした。破綻前には創業地であるアメリカからも撤退し、親会社のあるイスラエルとビジネスを開始していたデンマークに注力するとしていましたが、この破綻によって遠くない内にこの両国のプロジェクトも幕を下ろすことは間違いないでしょう。

ベンチャー精神旺盛な人が自らの責任でそのビジネスの将来にかけてチャレンジすることは、それが失敗したとしてもそのチャレンジは称賛されるものでありそれは全く否定するつもりはありません。しかし今回のベター・プレイスもそうですが、EVに関連する破綻企業のほぼすべてが自らと民間からの資金だけで経営されてはおらず、その創業当初より多くを政府資金に依存し、加えてEVが普及する(EVを普及させる)という政府等の見通しを前提にそれをあてにして経営していたということは批判されるべきと考えています。

突き放した見方としては、実際のユーザーになるつもりもなく自分の懐を痛めるつもりもない政治家や政策担当者がエコの悪乗りで、政策目標を設置して税金を投入したとしても、「マーケット商品として、またビジネスとしてダメなものは、いくら資金を投入しても普及せず、結局は消える運命にある」という資本主義で繰り返されてきた原理に、もう一つ実証用のデータが書き加わっただけにも見えます。

プラグイン車の効果は確かにある

この電池交換方式はほぼ消え去りましたが(ただ、EVで唯一気を吐くテスラがこのブログがアップされる日にこれのデモを行うようです)、プラグイン自動車の普及には安価で安全な充電コンセントの設置が不可欠です。町で見かける『リーフ』も、私が使っている『プリウスPHV』も個人用ならば自宅の駐車スペースに充電コンセントがあり、数は少ないですが新しいマンションでは充電コンセント付駐車スペースを備えるものも増えてきているようです。

我が家では、トヨタから借りていた限定販売車ではAC100Vコンセントで充電をやっていましたが、以前のブログでご紹介したように、昨年4月のプリウスPHV量産モデル購入を機にAC200Vコンセントの増設工事をおこない今はAC200V充電です。

『プリウスPHV』の電池エネルギー量は公表スペックで4.4kWhですが、設置したメモリー付き電力計エネミエールの計測データによると電池を使い切ったあとのフル充電量が約3kWh、AC200Vの普通充電でカタログどおり約1時間半で充電完了となっています。

このフル充電でカタログ上のEV走行距離は26.4km(JC08基準)ですが、実走行の実力としては市内走行で約20㎞といったところです。今は我が家がオフィスですから、現役時代のように通勤はありませんが、現役時代を想定すると自宅から裾野の研究所まで上り勾配の約15㎞、勤務先の駐車場でも充電ができれば通勤はほとんどガソリンを使わずに済ませることができるレベルです。

アメリカ、欧州の自動車使用実態を想定すると、また日本でも通勤やショッピングの使用実態を考えるともう少し電池のエネルギー搭載量が欲しいところですが、勤務先、ショッピングセンター、出張やレジャーでの宿泊先で簡単に充電ができるようになると充電電力走行はまだまだ増やすことができます。今の使い方で、電気走行比率36%、出先での充電頻度を高めることができれば無理をせずに50%程度まであげることはそれほど困難ではないでしょう。

充電設備をつけたユーザーは次もプラグイン車を選ぶ

EVをお持ちのユーザーの方も、ほぼ100%が自宅か法人ならば会社の駐車スペースに設置されたAC100VもしくはAC200Vの普通充電を行っていると思います。通勤・ショッピングならこれで十分で、出張などの長距離ドライブで高速道路を走る機会が多いですが、一般道ではしばしば見かけるようになった『リーフ』も、高速道路、特に私がよく使う新東名等ではあまり見かけず、さらにサービスエリア、パーキングエリアの急速充電機で充電中のクルマに巡りあう事は極めて稀です。

今のEVについては、ネット上ではお試しでの長距離ドライブレポートを散見されますが、ほとんどの方が通勤・ショッピング専用車としての用途で購入されているのではないでしょうか?長距離ドライブでは従来車と使い分けておられるとすると、年間通してのガソリン消費削減量、CO2削減量がどうなっているのか興味があるところです。

冒頭に触れたようにプラグイン自動車の販売がやや伸び悩み状態にありますが、充電コンセント工事を行い、そのうえでプラグイン自動車を購入されたユーザーのプラグインに対する理解度とロイヤリティは高いと考えています。夜間電力充電を行うならば、確実に低燃費なノーマルハイブリッドよりも燃料代は安くなります。私は充電ケーブルをコンセントに差しっぱなしで使っていますが、まだまだ操作性には改善余地があるものの、接続操作自体はなれるとそれほど億劫な操作ではありません。

プラグイン車の販価が下がり、補助金頼みではなくエコカー減税程度で経済メリットが出るようになると、次には充電器の設置工事費がいらなくなりますので、クルマとしての魅力があれば、一度プラグイン車を購入した方が再びプラグイン車を購入する割合は非常に高くなるのではと思います。

もし、政府なりが本当にプラグイン車を普及促進したいと考えているのであれば、車両購入時に多額のエコカー補助金(私も45万ほどの補助金をいただいていますので言いにくいのですが)を減らしてでも、立派な固定充電ケーブル付の充電器や急速充電器への補助金だけではなく、充電コンセント工事にも補助を出したほうが普及拡大につながるのではないでしょうか?

販売開始から2年以上が経ち、ディーラー系列の中古車販売店でも中古の『リーフ』を見かけるようになってきました。ほとんどがエコカー補助金を受けて購入しているとすると、それを返上してまで手放す理由にも興味が湧きますが、その詮索を抜きにするとこの中古を買われるユーザーも充電コンセントを設置してこの『リーフ』を使いだすことになり、それだけ充電インフラは増えていきます。

私のクルマも補助金をもらっているので6年間は乗り続ける必要がありますが、まだまだこのクルマを「終の棲家」ならぬ「終のクルマ」にする気はなく、6年のしばりは永すぎるというのが今の心境です。乗ってみたい次世代THSがあらわれれば、家族にこのクルマを渡すか補助金を返上しても「終のクルマ」候補としての乗り換えを検討してみるつもりです。中古車を購入されるユーザーも新たに充電コンセントを設置するプラグインのユーザーであり、6年の縛りを短くすることが次のユーザー開拓につながり、の後押しになるのと言いたいところです。

今の電力CO2では電気自動車だからといって低CO2ともクリーンとも言えませんし、シェールオイルなど新石油資源の開発で石油資源の枯渇ももう少し先になりそうです。ただそれでも、輸入化石燃料依存からの脱却、恒常化の兆しを見せている貿易赤字の最大の原因であるエネルギー輸入額の低減の面から、電力の低CO2化が前提ですがエネルギー供給インフラとして整備されているグリッド電力をクルマの走行に使っていく方向は有力な選択肢であることには変わりはありません。

充電コンセントを持つプラグインユーザーを増やしていくことが普及へのステップです。

急速充電は必要ない

昨年、急速充電を巡って日本の「CHAdeMO」と米欧の「コンボ」の争いが紙面に踊りました。現在のところ「コンボ」軍団の勢いがなく、「コンボ」採用を宣言しているのは今年の秋頃の発売を予定するBMWのEV『i3』と間もなく発売を開始するGMの『Spark EV』に留まっており、その『Spark EV』もコンボ対応はオプションでしかも来年からの提供と規格戦争と言われた日本での報道はなんだったのかと、かなりの温度差を感じさせるほどです。CHAdeMO協議会のHPによると、6月5日時点での「CHAdeMO」急速充電器の設置台数が世界全体で2,608台、うちわけは日本1,677台、ヨーロッパ759台、アメリカ160台、その他12台となっていました。現状では「コンボ」はまだ一般利用はゼロです。しかし、これで「CHAdeMO」に勝ち目ありと勘違いしてほしくないと思っています。

電気自動車でもPHVでも、その大部分の充電は夜間電力の普通充電を使っています。もちろん今のプリウスPHVは急速充電対応ではありませんし、またわざわざ走行の途中で急速充電が欲しくなる状況もありません。EVでも、通勤、ショッピング程度の日常使用なら夜間普通充電で十分なはずで、急速充電が必要なのは予定外の行動で充電電力を使ってしまいピンチになった時のエマージェンシー充電ぐらいです。

急速充電を使う頻度もそれほど多くはないはずです。なんども急速充電のお世話になる長距離ドライブには、そもそも電気自動車を使うことは少ないでしょう。5分もあれば、ガソリン満タン、従来車で500㎞、ハイブリッドなら1,000㎞程度のロングトリップができるのに対し、30分の急速充電で100㎞程度の走行距離、くどくなりますがお試し以外の長距離ドライブに使うことはほとんどないと思います。

『リーフ』の3倍以上もの電池を搭載したテスラ社の『Model S』では、急速充電でのフル充電に1時間半以上が必要です。『Model S』は「CHAdeMO」でも「コンボ」でもない独自規格を使用していますが、こうなると「CHAdeMO」の語源の「茶でも」ではすみません。

私も過去に、こうした話は欧米でも何度も議論をしました。そうした中で、有力電力会社で「CHAdeMO」もコンボも本気で普及させていこうとの声を聞いたことはありません。ヨーロッパでの「CHAdeMO」設置が多いのも、まだ実用品ができあがっていない「コンボ」よりも、実際に急速充電の必要性を見て見るために、またその実証車として「CHAdeMO」対応がしてある『リーフ』や『i-MiEV』を使用する前提のプロジェクトが多く行われたからとも言えるのかもしれません。

このように、従来車代替を目指す電気自動車ブームは過ぎ去りそうですが、今度は手を変えたかと様に超小型EVという案もまたまた浮上してきています。こちらは超小型EVだけではなく、ママチャリ、自転車、電動アシスト自転車、原付バイク、電動クルマ椅子、シニアカー含めた軽モビリティとして、道路環境整備を含めて取り組むべきものです。

乗用車のEVが難しそうだから、次は超小型EVとの動きには抵抗を感じますが、こうした軽車両も電動化の方向であることは間違いないと思います。これもまた急速充電など必要がないのは明らかで、本当に普及させたいのであれば、AC普通充電の従来通りのコンセントプラグのままで使用できるぐらいの敷居の低さが必要でしょう。

次は非接触充電とも思いませんが、安全で安価な未来型普通充電の提案を期待しています。高速道路のSAやPAに設置するのであれば、充電が済んだのであればクルマを動かさなければならない急速充電器を設置するのであれば、有料であっても普通充電コンセントを設置したほうが、長距離トラックの休憩中のアイドル運転ストップや、保冷車の冷却用運転などの電動化対応など、稼働率の低い急速充電よりも経済メリット・エコ効果が大きいかもしれません。PHVも30分程度の「お茶でも充電」でも、高速を降りたあとの10㎞ぐらいの電気エネルギー走行分の充電はやれるとの印象です。

プリウスPHV日記-4

プリウスPHV使用開始から1年

昨年4月に納車されて以来、私の足として使ってきたプリウスPHVが1年を過ぎましたので、その一年のまとめを報告します。

私はエンジニアとして、次世代車であっても安全・安心性能とそれを支える信頼性品質が何よりも重要で、その上でエコ性能を追求しようという信念でハイブリッド開発にとり組んできました。そうして送り出したプリウスですが、厳しい企業・製品評価で有名なJ. D. Power社の米国経年車品質ランキングで今年も連続でコンパクト車クラスNO1を獲得してくれました。これはハイブリッド車カテゴリーでの品質NO1ではなく、従来エンジン車を含めたNO1です。トヨタのハイブリッド車は販売台数500万台を突破しましたが、これは絶え間ない品質向上に努めてくれたスタッフ達による偉業であり、今も彼等は日夜飛び回ってくれいるのに間違いないと思います。

さて、今日のテーマから少し脱線しましたが、このプリウスPHVも品質NO1のDNAを引き継ぎ、この1年間、故障ゼロ・不具合ゼロで走り続けてくれました。自動車は工業製品であり、このような品質向上の努力を続けないとあっという間に故障率が増加し、お客様の信頼を失ってしまいます。プリウスPHVもこの品質NO1のDNAは引き継いでくれていることにほっとしました。

実用上には全く不便なことは無いプリウスPHV

上の図1は、この2012年4月20日から今年4月13日までのこの一年の走行結果を、以前にトヨタにお願いして使っていたプリウスPHVの前身で、実証テストを兼ねた限定PHVとその前に使っていたノーマル三代目プリウスの結果と比較して示したものです。

この1年の総走行距離は15,479km、平均的なユーザーの1.5倍以上ですが、それでもその前の限定PHV車18485kmに比べると大幅に減ってしまいました。二度の海外出張などクルマをおいての出張も多く、クルマを走らせた日数は259日、使わなかった日数は101日、稼働率72%です。

2月にブログで紹介した新プリウスPHV日記-3の走行ログと比較すると、その後に寒の戻りの寒い日が続いたせいか、また豊田や名古屋への何度かの出張で新東名を少しオーバースピードで気持ちよく走ったせいか、大幅に燃費・排出CO2を悪化させてしました。 

今のクルマの用途をカバーし、さらに電池エネルギーを使い切ってもノーマルハイブリッドと同様低燃費ハイブリッド走行ができるのがプリウスPHVの特徴です。 ノーマルプリウスから乗り換えて正直な所、全くサプライズは感じませんでしたが、この充電を気にせず走り回れるメリットは非常に大きいことを実感しました。充電器も屋内車庫に据え付けにしましたし、今回のPHVでは充電ポート部に照明がつけられましたので、夜間に差し込み口を探すことも、また重く扱いづらい充電ケーブルをもちあるくことも不要になり、充電操作そのものは楽になりました。

外出先での充電は、トヨタに出張したとき以外は全く無しで、ガス欠にでもならない限りはわざわざ充電ステーションをさがして出かけることはPHVでは全く不要です。また、充電電力を使い切ったあとも低燃費ハイブリッド走行ができることも特徴の一つで、こうして燃費メリットを引き出せるのはプリウスならではで、従来エンジン車をPHVに改造したようなクルマでは出来ない芸当です。

原発停止で日本の発電CO2が急増、PHV・EVの環境改善寄与は薄く
なお、2月のブログでは、発電CO2として東日本大震災前の2010年経産省エネ庁エネルギー白書データーの各電力会社がグリーン開発メカニズム(CDM)購入分を除いた真水の値の418g_CO2/kWhに原発停止分を勘案し450g_ CO2/kWhで算出しましたが、最近電事連から公表されたデーターでは原発停止の影響が大きく2011年度では510g_ CO2/kWhと20%以上も増加しており、上の表はこの値を使って計算し直した結果となります。

2011年 CO2排出実績と見通し{電気事業連合会HP}

この資料によれば、日本全体の電力総使用量は2010年度の9,060億kWhから3.11後の計画停電や節電の徹底、生産の落ち込み、長引く経済不況から8,600億kWhと減少したにもかかわらず、発電のCO2排出量は3.74億t_ CO2から4.39億t_ CO2と、CO2排出を削減しようという流れに逆行する形の、由々しい増加を記録しています。

この発電CO2を使用した場合、限定車時代は私がAC100V充電をし充電効率が78%だったのに比べ、原稿PHVは車両充電器の効率向上とAC200V充電に変更した事によって充電効率89%にまで向上したにも係わらず、図1に示すようにEV比率36%だった場合のプリウスPHVの走行距離あたりのCO2排出量は111.9g_CO2/kmと、外部充電なしのノーマルプリウスの122.7g_ CO2/kmと比べてわずか9%の減少に留まっています。この減少率ならば、ノーマルプリウスが燃費向上でもう一がんばりすれば追いつくレベルです。

このように、発電CO2をしっかりと計算することは必要で、走行中ゼロエミッションとのキャッチフレーズはCO2削減に関してはまったく意味はないだけでなく誤解を招くもので、例えば英国ではこの広告表現は不正確として禁止されているのは当然の事に思えます。これは勿論、PHVだけの問題ではありません。

プラグイン車推進の見直しを考える時期では

一方でガソリン消費の削減をみてみると、インパネ表示の充電電力走行(EV走行)によるガソリン消費削減量は226リッターで、充電電力を使い切ったあとのハイブリッド走行燃費が三代目プリウスの日本のユーザー燃費サイトe-燃費の調査値21.5km/Lと同じ燃費で走れたとして計算した値239リッター、この中をとって230リッターレベルがプラグインによるガソリン消費削減量でした。

日本の最近のガソリン価格リッター150円では年間約35,000円の削減となりますがこれに充電電力の電力料金を差し引くと、安い夜間電力料金での充電をメインに行ってもその経済メリットはそれほど多くはないのが現状です。

長距離ドライブの頻度が大きく、年100日以上もクルマを使わない私のカースタイルでも、年間5,680kmもガソリンを使わず充電電力で走った勘定になり、急速充電器の整備は不要ですが、勤務先、出張先、宿泊するホテル、ショッピングセンターにAC普通充電器が用意されるようになると充電頻度を高めることは容易だと思います。

しかし、ピークオイル論が遠のいた今、また電力CO2が増加してしまった日本でプラグインハイブリッドだけではなく、電気自動車を使う意味はかなり薄くなったというのが正直な所です。これは中国では更に問題で、発電によるCO2排出が多くまた大気汚染の多い石炭発電を多く行う中国では、ノーマルハイブリッドと比較すると電気自動車の方がCO2排出を増加させるばかりか、PM2.5の大気汚染まで悪化させて、日本への広域汚染にもつながるものとなるというのが現状です。

ピークオイルの心配と、地球温暖化緩和のためのCO2削減として現役ハイブリッド開発リーダーとしてプラグインハイブリッド開発をスタートさせ、トヨタから離れたあともプラグインハイブリッド普及のサポートをしてきましたが、ピークオイルの心配が遠いた今、フランス、カナダ、スウェーデンなど水力発電や原発比率が大きく発電CO2が低い一部の国を除くと外部電力によるEV走行でCO2削減メリットが出せなくなってしまいました。今、自動車業界は果たして何のために外部充電EV走行をするのかという根本の疑問に立ち戻り、プラグイン自動車の目的をもう一度問い直す時期に差し掛かっていると個人的には考えています。

もちろん超長期的には、この発電CO2は削減するというよりも削減させねばならず、低CO2電力が使用出来るようになれば、急速充電ネット整備も不要で既存液体燃料インフラと一般電力インフラが使えるプラグインハイブリッドが有望であるという意見は変わりませんが、こうした低CO2電力供給に見通しがつくまでは、全てがプリウスタイプのフルハイブリッドとは云いませんが、エコラン+αの「マイクロ」「マイルド」から「フルハイブリッド」まで、初代プリウスの時から言い続けたハイブリッド技術をコアにするシナリオがいよいよ本命になったと確信を深めています。

しかし現状では補助金を貰いながら自動車諸税の減免を受けたとしても、経済メリットもほとんどない状況で、これではプラグイン車の売れ行きは日米欧とも芳しくないのは至極当然で、今後プラグイン車が本当に市場に受け入れてもらうためには、さらなる販価ダウンと単なるエコだけはない新鮮さ、サプライズを感じるPHVならではの商品力アップが必要と感じています。

プラグイン自動車の売れ行き

次世代自動車としての有力候補、外部電力で電池を充電して走るプラグイン自動車として100%電気だけで走るバッテリー電気自動車(BEV)と内燃エンジンを搭載し充電電力とエンジンパワーを使い分け、もしくはミックスして走るプラグインハイブリッド車(PHEV)の売れ行きに注目しています。日産LEAFは東京、横浜の首都圏だけではなく、この静岡東部の田舎でも時々みかけるようになってきました。

販売台数統計を見ると、図1に示すように昨年2月の日産LEAFの初期受注の一斉納車と思われる急増と、昨年3.11東日本大震災の影響での自動車生産落ち込みがあった昨年の3月~8月を除くと1,000台~1,500台を推移しています。個人用としても売れているようですが、法人用が多いようで、わが家の近くでも団地のカーシェア、駅のレンタル、また市役所のクルマとして使われるようになっています。

プリウスPHVは、派手なイラストのついた豊田ナンバーのトヨタ関係者が乗っていると思われる社会実験用限定車を見かける程度で、今年の量産モデルを見かけることはそれほど多くないことが残念です。今年になって震災影響も解消し、さらにエコカー補助金の後押しもありハイブリッド車の売れ行きは絶好調、しかしBEV、PHEVのプラグイン自動車の販売は伸び悩み状態にあります。今年1月~6月までの従来車、ハイブリッド車、電気自動車の新車販売シェアを図2に示します。プラグインハイブリッド車(と言っても現状ではプリウスPHEVの一車種です)の販売台数はハイブリッド車の内数扱いとなっており実数がつかめませんが計画の販売台数には達していないようです。

苦戦するアメリカ

アメリカEDTA(Electric Drive Transportation Association:電動車両協会)Webページの販売統計サイトのデータでは、アメリカでの昨年度のプラグイン自動車の販売台数が、電気自動車10,060台、プラグインハイブリッド車7,671台、計17,731台となっていました。またハイブリッド自動車の情報を発信しているHybridCARSの統計データサイトによると電気自動車の内訳では日産LEAFが9,674台、Smart ED 302台、i-MiEV 76台、プラグインハイブリッド車は、その全てがGM Chevy VOLTでした。

このHybirdCARSサイトデータからまとめた20012年1~6月までのデータを図3に示します。図に示すようにアメリカではハイブリッド車でも新車販売台数のシェアが3.0%にしか過ぎません。加えて電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(EREV)は低調で、0.1%、0.2%にしか過ぎません。ちなみにこのハイブリッド車(HEV)販売の80%以上が日本のハイブリッド車となっており、今年は5年振りに販売新記録の更新は間違いないところまできています。

アメリカでは、カリフォルニア州のゼロエミッション(ZEV)規制強化が決まり、電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)をある比率で販売しなければいけなくなり、ZEV規制強化対応として各社からBEV、PHEV発売のアナウンスが流れています。しかし、いくら法律で販売義務付けを決めようが、お客様に買っていただけないクルマでは販売を伸ばすことはできません。まだまだBEV,PHEVではクルマとしての性能、EV航続距離、販価では買っていただけない状況ですので、僅かのマーケットで叩き合いの挙げ句の果て、赤字の垂れ流しの叩き売りになるのではと心配しています。

公共用途が支える欧州

一方、BEV販売が大きく伸びているのが欧州マーケットです。その中でもフランスのBEV販売が、この欧州経済危機、ユーロ安で新車販売が急激に落ち込んでいる中で昨年比2倍以上に大きく伸びています。今年1~6月のフランスでのBEV販売ランキングを表1に示します。この表で販売台数1位のボロレBlueCarは昨年秋にスタートしたパリ市が支援をし、フランスのコングロマリットボロレ社が持ち出しで資金を投入したBEVカーシェアプロジェクトAutolib用の販売で、この6月の販売では販売台数2台と急減しています。

2位/4位に入っているルノーTwizyは都市内用の前後一人ずつ、小さな二人乗りのBEVで、これもまたフランス地方自治体支援のBEVカーシェアプロジェクト用途が多いようで、これからの急増は見込めない状態です。日、米、欧のプラグイン自動車の販売が頭打ちとなり、欧米で雨後の竹の子ように乱立したBEVベンチャー、それを当て込んだリチウムイオン電池ベンチャーの経営破綻が目白押しとなってきているのが気がかりです。

プラグイン車の普及は根本から

プリウスで先鞭を切り、トヨタ*ホンダで競い合い次世代自動車一番手として普及拡大を果たしてきたノーマルハイブリッド車に続き、2009年の三菱i-MiEVと日産Leafの量産化で幕を開けた電気自動車実用化競争のいずれも日本勢がリードしてきました。唯一プラグインハイブリッド車では、GM Chevy VOLTに一番乗りの座こそ譲りましたが、2009年末のプリウスPHVの少量限定リース販売による社会実験に引き続き本年1月からプリウスPHVの量産販売開始と次世代自動車実用化競争のトップランナーを維持しています。

しかし、期待が大きかったこのプラグイン自動車の販売が変調をきたし、これは補助金をいただいても販価が高すぎて売れないことに加え、充電コンセント設置の工事費、設備費がばかにならず、さらに日本、欧州の都市部での集合住宅の駐車場ではその充電コンセントですら設置できるところが少ないことに起因しているようです。

この充電コンセントでは、感電防止、安全第一ですが、低圧電力での安価追求がなにより、政策面からの後押しを期待します。これも、結構時間が掛かる話ですので、やはりノーマルハイブリッド、エコラン、さらにはほんの僅かでも減速回生で補機駆動用電力をかせぎ低燃費を目指す変革が重要、まず日本マーケットがハイブリッドに大きく動いたように、アメリカ、欧州で勝負のできるハイブリッド車を日本勢リードでやって欲しいと思います。その先にStep by Stepで集合住宅の低電力充電コンセント設置を進め、プラグイン自動車普及を目指すべきと思います。

フランスでのプリウスPHV

欧州でのプリウスPHVの最初のユーザーはモナコ大公

日本、アメリカにつづき、ヨーロッパでのプリウスPHVの発売が開始されたようです。
7月1日付けのWeb Newsで、ヨーロッパでのプリウスPHV最初のデリバリーとしてモナコのアルベールⅡ世大公へ納車されたとの記事がでていました。
http://www.inautonews.com/prince-albert-ii-of-monaco-gets-first-toyota-prius-plug-in-hybrid

アルベールⅡ世大公は確か、以前からプリウスを愛用しておられ、2005年4月にモナコで開催されたプラグイン自動車のフォーラムEVS22に参加したときにも宮殿前の駐車場にプリウスが駐車しておりアルベール殿下のクルマかもしれないと案内の方からお聞きした記憶があります。

モナコはヨーロッパアルプス山脈が地中海に至る丁度西の外れ、猫の額のような海岸沿いの港を中心に拓かれた港町です。海岸沿いから離れるとすぐ急坂が続き、その海岸沿いから急な斜面に市街地が造られています。F1モナコグランプリではこの市街地の公道をコースとしていますので、せまい海岸沿いのルート、トンネル、坂を駆け登り、タイトなコーナーを下るスリリングなコースをテレビでご覧になったかたも多いのではと思います。

また、ラリーの世界でも、このモナコを起点とするモンテカルロラリーが有名でしたが、これも海岸沿いから一気に掛けのような急坂を駆け上がりフランスプロバンスの大地からアルプル山麓のアップダウンを競うラリーと記憶しています。

少し、本題から脱線しますが、トヨタに入社してトランスミッションやデファレンシャルギアの設計をやっていた駆動設計に配属され、クラッチの設計担当をしていました。その時にトヨタとして当時のマークIIで始めてモンテカルロラリーに参加し、残念ながらデファレンシャルギアのトラブルでリタイアしたことがありました。

何日か後に、そのリタイアしたクルマのデファレンシャルギアが設計部隊に送られてきて、それを見ましたが、あの堅い合金鋼を使い念入りに熱処理をしたデファレンシャルギアがギアの歯形が無残にもむしられペラペラになっている状態にその使い方の過酷さを思い知らされたものでした。

実証試験のキッカケもモナコから

モナコだけではなく、コートダジュール海岸の都市部では、観光都市として環境保全に以前からも力を入れ、電気自動車のカーシェアなどにも力を入れています。F1やモンテカルロラリーのようなクルマの使い方は別としても、海岸から離れるとすぐに急坂が待ち受け、市内でこそ日本以上に厳しい速度制限があり取り締まりも厳しいですが、一歩市街地を離れるとその狭い急坂を結構なスピードで飛ばすクルマの使い方を考えると、電気自動車よりもプラグインハイブリッドが適していると思っていましたので、このアルベール大公の愛車をスタートとして、モナコ、コートダジュール各都市でプリウスPHVがあの素晴らしい景色になじんだ普通のクルマとして使われる姿を夢見ています。

写真Ⅰ
2005年4月 展望台からモナコ市街

なお、2005年4月のモナコEVS22への参加が、プリウスPHVのフランスでの実証試験スタートの切掛けでもありました。プリウスに注目し、そのプラグインハイブリッドを開発するつもりがあれば、共同パートナーとしてやりたいとトヨタにオファーをしていたフランス電力公社(EDF)との2回目のMeetingが、このEVS開催中のモナコで行われました。

このときのEDF電気自動車事業部長が、昨年のブログでレジョンドヌール勲章受勲パーティへの参加を取り上げましたが、その当人です。このモナコでの出会いが実り、アライアンスを発表し、その具体的な実証プロジェクトとしてスタートさせたのが、フランス政府の資金サポートも得て共同でスタートさせているストラスブールでの大規模実証試験です。

フランス電力公社(EDF)からオファーがあったとういこと以外に、このフランスをPHV実証試験と普及への重点拠点として注目した理由が、欧州内の電力自由化の流れのなかで、世界最大の電力会社として電力ビジネスを世界に拡大しているEDFと充電インフラなど標準化を推進するパートナーに加えて、ダントツ世界一の低CO2電力を実現している点です。フランスでプリウスPHVの実証試験をすると、自動車文化の先進地ヨーロッパで、その実際ユーザーによるクルマの使い方の中で、アメリカや日本では2050年でも達成が厳しい低CO2電力を今使いながら石油燃料の削減とともにCO2削減効果の検証を行うことができることに注目しました。

当時EDFがトヨタに声を掛けてきたのは、彼らが古くから取り組んできたバッテリEVのカーシェア事業、リース事業、さらにその充電器事業の拡大と、それによる電力の拡販をめざしてきたものの、その事業拡大の見通しがたたず、それに替わる可能性としてハイブリッドプリウスのプラグイン化PHVに可能性を感じたとの理由でした。民営化を進めようとしているものの今も政府の支配下にある超巨大企業であり、フランスとしての輸入石油削減、低カーボン化推進政策ともリンクした動きのようでした。

この低CO2電力の中身は原発と水力、この二つで95%近い発電を行っており、調整用の火力発電は5%程度、もうこれ以上減らせないと言っていました。以前ご紹介した潮力発電だけではなく、最近では風力発電、南仏での太陽光発電にも力を入れ始めていますが発電変動の大きな太陽光や風力の拡大は痛し痒し、その拡大のためにも火力を増やす必要があるとのこと、将来はエネルギー貯蔵としての電池研究にも力を入れています。

自動車の走行エネルギーとして、PHVは石油燃料の替わりにその全てを電力に置き換えるバッテリ電気自動車とは違いますが、ハイブリッドとして石油燃料の消費を大幅に減らし、さらにその残りを部分的に電力に置換えるPHVならば、日常の通勤、ショッピング、家族の送迎のほとんどは充電電力のEV走行を行い、彼らのライフスタイルとして長いバケーションにも家族そろったロングドライブに使う経済的な低CO2車として有望であり、都市部では日本同様、駐車場確保が困難、よほどの大金持ちでもなければ家族での複数台保有は困難な駐車事情からもPHVに魅力を感じたようです。この彼らの提案も、トヨタのプラグイン開発を加速させた要因の一つとなりました。

EDF*トヨタ、将来自動車としての普及にむけての課題の検証と実用性の実証を行うことで合意し、スタートさせたのがストラスブールでの大規模実証試験です。その最初の時期携わった私としては、世界トップの低燃費ハイブリッド車をプラグイン化し、電力Mixがどうあれ、将来世界中が目指さなければいけない脱化石燃料、低CO2電力を自動車用エネルギーとして使い、さらにその充電電力利用でもともと少ない石油燃料消費をさらに減らす将来ポテンシャルを見極めるにはフランスこそ最適との思いを強めました。

ストラスブールの結果から見るPHVのCO2削減効果

ストラスブールで行われた実証プロジェクト二周年を記念する今回のユーザー・ミーティングで、トヨタはそのユーザーにお願いし搭載したGPSデータ付のデーターロガーで計測したプラグインプリウスの充電頻度、EV走行比率、燃費削減効果、CO2削減効果を発表しました。このユーザ・ミィーティングの様子は今月初めにブログで紹介しましたが、その時の数値データがあったのでCO2削減効果について紹介したいと思います。

図1
図1はその時に報告があった代表ユーザー車両のEV走行比率とガソリン消費削減率です。
データーロガーを搭載させてもらった23台から、一番EV走行比率が大きかったA車、丁度真ん中のB車、一番少なかったB車をピックアップして紹介したデータです。A車は先日のブログでも紹介した、会社の駐車場での充電とそのクルマを使用しているスタッフの自宅の両方で充電し、さらにこまめに日中も充電をしながら市内トリップに使っていたクルマです。これに対しC車は、使用スタッフのご自宅が屋外の駐車場で充電ケーブルを使うにも屋外を長いケーブルを伸ばしてコンセントに接続しなければいけない条件で雨の日には汚れたケーブルで衣服が汚れてしまうとの苦情を昨年も聞かされていたユーザーのようでした。このユーザーは、さらにガソリン代は会社持ち、充電しても経済的メリットがないケースだったようです。このC車はほとんどがノーマルハイブリッドの使い方、これでも燃費の良い普通のクルマとしてお使いいただけたようです。これはこれでプラグインハイブリッドの特徴であり、長所です。当然ながら、日当たり充電頻度が高いほどEV走行比率が上がり、ガソリン消費の削減量が増えるとの報告でしたが、これをどのように高めるかが今後の課題です。平均的なB車のケースでガソリン消費の削減率は50%を超え、ハイブリッドの効果、プラグイン化の効果の大きさが実証されています。

図2

図2はこのクルマのCO2削減効果です。薄いオレンジの部分がガソリン消費でのCO2排出割合、黄色が充電電力のCO2排出割合です。これもフランス、A車のようにEV走行比率が56%と充電を多用しても、この充電電力によるCO2排出分は僅か、同クラスのガソリン車と比較して57%ものCO2削減を記録しています。平均的なB車も49%と大きな削減結果でした。ほぼノーマルハイブリッドとして使ったC車ではCO2削減比率でこそ日本で走っても同じ削減率ですが、フランスでの年間走行距離は日本の1.5倍、同じ1台当たりでも年間ガソリン消費の総量も平均走行速度が高いことも加味すると2倍近くなり大きな削減効果が得られている筈です。この実証データからハイブリッドの普及、さらにプラグイン化を進めることにより、個人の“自由な移動手段”であったクルマの未来に明るさを感ずることができました。これからのエンジン、ハイブリッドでの効率向上、電気自動車用のバッテリとして従来車レベルの実走行で500km程度の航続距離実現は到底不可能でも、電池体積を増やさなくともPHV用ならEV航続距離を50%程度伸ばすことは不可能ではないでしょうか? さらに安い一般電力充電コンセントが増え、仕事場での駐車場、ショッピング駐車場、宿泊ホテルの駐車場など出先での充電も簡単に行えるようになると、EV走行比率をもっと高めることも可能です。

厳しい日本の電気事情

しかしながら、日本では、自動車のプラグイン化にはアゲンストの風が吹き荒れています。想定できた自然災害を想定しない人災であった3.11フクシマで、日本でのプラグイン自動車シナリオは大きく崩れてしまいました。日本だけではなく、世界のポスト石油時代、低CO2 社会移行の動きに与えた3.11の影響は甚大です。

東京電力域内にある我が家の電力使用量は、昨年4月末からプラグインプリウスの充電を行っていますが、3.11以後の節電活動で、2010年の使用量を下回っています。しかし、電力料金は燃料調整費、さらには太陽光発電負担分でまだ公式な電力料金値上げ前でも大幅に上昇しています。さらに2009年ではkWh当たり418gであった発電CO2が停止した原発の代替として休止中だった古い石炭、石油発電の再開させたこともあり大幅に増加し、プラグイン化により一般電力を充電に使ってもほとんどCO2削減効果がなくなってしまっています。

もちろん、過去に信じ込まされていた原発安全神話が崩壊した今、従来体制での安易な原発再開は産業界の強い要請といえども許されることではありませんが、将来エネルギー政策議論では原発の安全確保の議論を重ねた上で、クルマ、電機製品、精密機械など“もの作り”が支えて発展してきた日本の、そのもの作りに不可欠な電力がこれ以上に高騰し、安定供給ができなくなれば日本がこの先立ちゆかなくなることもしっかりと議論して戴きたいと思います。クルマではハイブリッドマーケットで世界をリードしていますが、充電電力を使うプラグイン自動車では電力料金、CO2削減ポテンシャルでは地の利が失われてきています。このプラグインハイブリッド普及では、これからもフランスでの実証、ユーザーの反響に注目していきたいと思います。いよいよフランスでノーマルハイブリッドのヤリスハイブリッドの生産が始まりました。これが欧州ハイブリッド普及の起爆剤となり、さらにその先としてプラグインへの続くことを期待しています。
                

フランス工場生産のヤリスハイブリッド
                  

新プリウスPHV日記―2

前回から少し間があきましたが、いま足として使っているプリウスPHVの使用記を取り上げたいと思います。昨年の4月末からトヨタにお願いして法人リースとして使わせてもらっていましたが、それをお返しして入れ替えとして1月末発売を開始した量産タイプのプリウスPHVを購入、4月20日に納車してもらい丁度3ヶ月となりました。

この3ヶ月の印象としては、毎日充電コンセントで電池を充電して使う以外は、使っていてノーマルプリウスとほとんど変わらない極めて現実的な低燃費自動車であるという点です。このブログでも、また様々な講演会でも申しあげてきたように、電池の充電ができなくとも、また忘れていても、普通以上の航続距離を持つクルマとしてプラグインを意識しないでも使えるところです。

確実に向上した燃費

5月に新プリウスPHV日記-1で紹介した改良点の

  1. 充電タイマー機能
  2. EV/HV走行切り替えボタン
  3. 回生充電量によるEV走行復帰機能

は、確実にプリウスPHVの燃費向上、機能向上につながっていることを実感しています。

① 充電タイマーをクルマ側の機能とするか、外部の充電設備側の機能とするかの議論はありましたが、いまの日本の電力事情から、また電力代からも必須の機能です。我が家は今となっては少し早まったと後悔していますが、耐震リフォームを機に温水床暖房を含む冷暖房と給湯、さらにIH料理器セットのオール電化に切り替えましたので、200V系深夜電力での充電が経済的にも好都合です。さま、このご時世、梅雨明けを迎えた今、タイマー機能でピーク時の充電を避けることは欠かせません。

② EV/HV走行切り替えボタンも、充電電力がまだ残っている時の高速道路走行などでうまく使うと高速道路を下りたあとの市内走行燃費を改善したり、この機能をうまく使ってHV走行中の充電量を増やすことができるなど、面白い使い方ができます。

③ 回生充電によるEV走行復帰機能もある意味、電池の搭載エネルギー量を増やしたプラグインでは当たり前の機能、ノーマルプリウスではエネルギー量が少なくすぐに電池フル充電となり、回収せずに捨てざるをえなかった長い下り坂の減速エネルギーをしっかり回生発電として回収し、溜まったところでEV走行に復帰させる機能はプラグインならではの機能です。

難しい回生ブレーキの制御

余談ですが、ノーマルHV開発で苦労した一つが搭載する電池エネルギー量と回生量の決め方です。電池パックの重量、体積はクルマの車両重量を増加させ、また乗員スペース、荷室スペースを減らしてしまい、またコスト増の大きな要因となるハイブリッド化の最大のデメリット部分です。

エンジン停止EV走行域の拡大、減速エネルギー回生量の増大は、もちろんハイブリッド化による燃費向上機能の重要部分です。さらに、燃費向上も日本の10-15モードなどカタログ燃費だけの向上を目指している訳ではなく、加速度も減速度もおおきく、また長い上り坂、下り坂、2000mを超える高地など実際の使用環境で使われた実燃費の向上が目指すところであったことは確かです。この実走行での燃費向上を意識しながら、ギリギリの電池エネルギー量を決めてきました。

初代プリウスでは、エンジンブレーキの効きが悪いとのご指摘をいただきましたが、電池に充電余地があるときは駆動モーターの回生発電で充電し、その発電パワーがエンジンブレーキの制動力となります。しかし、長い坂が続き、電池充電量がフルに近づくと連続して回生発電を続けることはできません。

ノーマルプリウスをお使いなら、電池充電表示がフルに近づくとエンジン回転数が高くなりエンブレが強まるようなモードに遭遇することを良く体験されると思います。このモードがエンブレモードです。回生で発電した電力を、この状態では通常走行とは逆に発電機をモーターとしてエンジンを高い回転で空転させて消費し、エンジンブレーキ量を維持させています。エンブレ量を増やしている訳ではありません。初代ではエンジンの最高回転数を4000回転/秒としましたので、4000回転/秒での空転で消費させる電力量がエンブレ量です。

2000年のマイナーチェンジ、2003年の2代目とエンジン最高回転数を高めてきたのは、もちろんエンジン出力を高め、走行性能を向上させる狙いもありましがた、効きが悪いといわれたエンブレ量を増やすために、発電機でのエンジン空転回転数を高めたかったとの狙いもありました。

電池容量の増化によるメリットが

プリウスPHVでは、長い降坂時にもこのようなエンジン空転による電力消費をやらなくても充電量を増やすことができます。我が家の近くの箱根峠に上がった後の降坂では、登坂時に使い切った充電電力を下りでは回生発電で回収し、麓までにインパネに表示されるEV
走行距離が13kmにも回復することを確認しました。

これはプラグイン化による実走行の回生エネルギー回収量をうまく増やす大きな効果の一つです。高速道路などでの回生回収量を増やすにも役立てているようで、JC08モード燃費だけではなく、実走行燃費の向上にもつながっているようです。

写真1

写真1として昨日(7月17日)にとったプラグインモニターの画面を示します。
この3ヶ月での走行距離は、この表示にあるEV走行距離1,417km、HV走行距離2,900kmの合計4,317kmです。先週10日ほどの欧州出張などでクルマを走らせない日も多いのですが、月平均1,500kmとこれもこれまでの使い方とほぼ同じペースです。

この表示では、充電電力の使用総量が178kWh、EV走行比率は32%でエンジンを起動させたノーマルHV走行の比率が68%でした。この走行でのガソリン総消費量は125L、この値から算出した総合燃費は34.5km/Lとなり、ノーマルHV走行だけの燃費では23.2km/L
と、タイヤ諸元などの違いはありますが、以前に使っていた3代目ノーマルプリウスや、Webの実燃費サイトのユーザー平均燃費よりは少し上回っているようです。実際に給油した累積給油量は125.7L、その燃費は34.3km/Lと表示燃費とほとんど変わらない結果でした。

現時点では金銭的に元を取るのは難しい?

EV走行の走行距離あたりの電力消費(電費)は125.6Wh/kmとなります。このクルマのインパネで表示される電力消費量は、あくまでも充電された電力の消費量ですので、電気代を算出するには充電コンセントから電池までの効率を考慮し、家の(もしくはオフィス駐車場充電器)の電力計での値で課金されます。

我が家では、昨年のプラグインプリウスを使う時の充電設備工事で瞬時電力メモリー機能を持った電力計を入れましたので、その値とこのパネル表示の値から充電効率、実際に充電に使った外部電力量が計測できるようにしました。

また、充電ラインも従来の100Vから、この新しいプリウスPHVの切り替えに合わせ、200Vに切り替えました。100Vラインから200Vラインへの切り替え、および新しいプリウスPHV充電系および充電制御の改良で、充電効率も大幅に向上したようで、昨年までの100V充電で充電効率がほぼ70%程度だったのに対し、新プリウスPHVと200V充電の組み合わせでは充電効率87%との結果になっています。

この電力計の計測結果では、4月の納車からこれまでの総充電量は211kWh、内訳は夜間充電が72.5%の153kWh、昼の充電が27.5%の58kWhとの結果となり、値上がり前の東電電力料金としては、僅かとはいえ充電に使う電力料金も安くなってきています。表1に今の電力料金とガソリン価格でのEV走行およびHV走行での走行1km当たりの走行費用比較を示します。

表1

電力料金には基本料金や、値上がり前にもかかわらずじわじわと高くなってきている燃料費調整分、太陽光促進付加金は考慮していません。ここから電力料金がさらに高くなると、夏のピーク時に充電するとガソリンでのHV走行燃費との差がさらに少なくなります。今のリッター140円を切るガソリン価格でも、燃費が良いハイブリッドといえども夏のピーク時でも走行費用は安くあがります。

しかし、今回の購入で頂けるプリウスPHVのCEV補助金(クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金)45万円とエコカー減税分、エコカーグリーン税制での減免分を入れても、販価アップ分とかかった充電工事費用の回収はほとんど絶望的であることも現実です。

写真1に示したパネル表示にあるように、総走行の32%が充電電力によるEV、そこで削減できたガソリン量は56.5Lとなり、このペースで走ると年間の総EV走行距離は約5,700km、私の場合、愛知や三重への出張や週末の長距離ドライブが年間走行距離を伸ばす要因ですから、日常のショッピング、気晴らしのドライブなどショートトリップではほとんどEV走行でまかなうことができそうです。

年間1万キロ走行程度の平均的ユーザーならこのEV走行比率は私のケースよりも増えると思いますが、EV走行の絶対値はこの出先での充電機会が増えないかぎりそれほど増やせないのではと思います。

ノーマルハイブリッドにないサプライズを

以前のブログでも書いたように、仮に電気自動車を保有していたとしても長距離ドライブには使わず、従来車を使うでしょうから、年間の走行距離もそれほど伸びないのではと推測していますが、これはハイブリッド屋の勝手なセリフでしょうか?プリウスPHVでは、長距離ドライブの最初の20km程度もEV走行となり、この分も確実に充電が使えます。

この3ヶ月で、自宅以外で充電した回数は2回、いずれもトヨタ本社に出張した時に、以前の二人乗りコミューター電気自動車e-Comの時代に設置した充電設備がある駐車場を、プリウスPHVの充電ができる来客駐車場が設置され、打ち合わせ中に充電した2回です。

会社や官庁で職員、従業員用にも充電コネクターのある駐車スペースの整備や、宿泊するホテルなどでも充電できるようになると、搭載する電池のエネルギー量を増やさなくともEV走行距離、比率とも増やすことができ、石油枯渇、石油代替エネルギー時代への備えとして販価、充電設備工事費用を除くと実用レベルにあるクルマとの確信を強めました。

写真2

上の写真は、我が家に今回設置した200V充電用コンセントです。今年発売されたパナソニック製キー付のコンセントカバーがついた簡単な200V用コンセントです。今回から、普段の時には充電ケーブルはコンセントに差したままにしてあります。このケーブルも収納できる大型ケース付のコンセントがある充電ボックスも各社から発売されていますが、まだまだ割高なのが難点です。

電気自動車含め、プラグイン自動車の普及には自動車そのものの販価アップの他にこの充電工事や充電コンセント、充電ボックスの費用も走行費用の削減分から回収する必要があることを忘れてはなりません。

さらに、先回のまとめ、今回の結果から明らかなのは、これまた手前味噌ですが、費用対効果の点ではノーマルハイブリッド車の経済効果が大きく、それをベースとしたプラグインHVでは、その上での効果が小さくなってしまい、経済メリットが出しにくくなってしまうとの現実です。まだまだノーマルハイブリッドも進化の余地が大きいですので、それを頑張り、その上でプラグイン化を充電設備の普及拡大と歩調を合わせステップ・バイ・ステップで進めるのが確実な道ではないでしょうか?

日本でもアメリカでも、前評判ほどは外部充電が必要な電気自動車やプラグインハイブリッドの売れ行きが芳しくありません。
経済性、充電設備の整備、さらに毎日の充電操作自体もまだまだ販売抵抗となっています。

折角のプラグインハイブリッド車ですので、燃費以外にもサプライズを期待しましたが、これは空振り、エンジン停止エリア増えたことを除くとノーマルプリウスと変わるところはほとんど感じられませんでした。サプライズを感じるような商品魅力を負荷することも普及へのステップ、電池のエネルギー量アップなど、大きな販価アップに見合うプラグインならではの新しい商品魅力の創出に期待します。

ストラスブールでのプラグイン・プリウス ユーザーミーティング

ドイツのモビリティを実感

先週のブログでは、ドイツ滞在中に借りたVOLVO直噴ディーゼル車のアウトバーン走行の印象を取り上げましたが、今回の欧州旅行の主な目的はフランス・ストラスブールで行っているプリウス・プラグインの大規模実証試験のユーザーミィーティングへの出席でした。

先週ご紹介した通り、ライン川沿いの古い木組み建築を残した小さな街バッハラッハでライン川クルーズとワイン、それと半端ではない量のソーセージ料理を堪能した後、アウトバーンを南下し、古い学生都市として有名なハイデルベルグで一泊しました。

翌日は、フランクフルトに戻ってレンタカーを返却し、そこからドイツ国鉄DBの特急ICEとローカル電車を乗り継ぎ、国境を越えてストラスブールに入りました。ただし、車ならハイデルベルグからアウトバーンを140km/hぐらいでのんびり(!?)走っても1時間30分ぐらいで到着する距離ですが、フランクフルトから乗る予定だったICEが1時間以上も遅れ、その影響でこれまた乗り継ぎ予定だったフランスの特急TGVに乗り遅れる羽目となり、重い荷物を持ってローカル電車をなんとか乗り継いで、2時間以上も遅れてほうほうの体でストラスブールに入りました。

ヨーロッパの中ではきちっとしている印象のドイツですが、列車の遅れはよくある話で、天候のせいでもなさそうですが、駅の時刻表では各列車に軒並み大幅な遅れが記されており、日本の定時遵守のすごさをまさに実感しました。

鉄道の利点の1つである定時性がこれですから、夏のバケーションの家族旅行などでは、家族全員の長期旅行用の大きな荷物をクルマに放り込んで、通行料無料のアウトバーンをそれも燃費の良い直噴ディーゼル車やハイブリッド車で移動するほうが快適なのは間違いありません。

それでも、ライン川クルーズから岸を望むと、両岸ともに鉄道が走っており、しかも結構な頻度で旅客、貨物が通っている様子です。どうやってあの鉄道網を維持しているのか、不思議に思いました。

日本でも公共交通機関へのモーダルシフトが叫ばれていますが、こと人の移動に関してはアメリカどころか、公共交通機関網が発達している欧州に比べても日本の公共交通機関利用比率は圧倒的に高い水準にあります。これについては少し昔のデータを用いて、昨年話題に取り上げました。まさに、今回はそれを再体験した形になりました。

フランスでは根付きはじめたプリウス

さて、ストラスブールに入ると、ドイツとは違って日本車を良く見かけるようになります。また、その中でも(勿論、日本ほどではないですが)プリウスもよく目立つようになっており、送り出した身として喜びを感じました。

これはこの後、ストラスブールからパリへ向かう途中で立ち寄ったランスでも、そしてパリでも同様で、このようにゆっくりとかもしれませんが、着実にフランスで日本のハイブリッド車が根付き始めており、これから欧州のクルマ社会に根をしっかり張って次世代自動車として普及拡大を続けいく未来をかいま見たような気がします。

なお、ストラスブールで宿泊したホテルの近くの路上公共駐車スペースにも、実証試験用充電ステーションと充電ステーションを拠点としてカーシェアとして使っているプラグイン・プリウスが停められていました。

写真1_プラグイン・プリウス
ストラスブールでの
プラグイン・プリウスと
路側充電ステーション

2年間のまとめとしてのユーザーミーティング

余談が長くなりましたが、ストラスブールでのプラグイン・プリウス実証試験の状況について少し紹介したいと思います。プロジェクトのスタートをこのホームページで紹介したのが2年前の2010年5月ですので、丁度2年が経過したことになります。

今回出席したユーザーミーティングは、この2年間お使いいただいた結果のレビューと、その結果を反映させて開発をすすめた次の量産タイプ(日本で販売されているプリウスPHVの欧州仕様)の紹介を行い、そこからユーザーの方々のご意見をいただく場として企画されました。

会場はプロジェクトへの支援をするとともに、自身もリース車のユーザーでもあるストラスブール市の、その市役所にある講堂です。まずトヨタ、フランス電力公社(EDF)からの状況説明があり、その後市および都市圏交通担当の方からの説明、そしてユーザー代表との質疑応答が行われました。

少し堅苦しいミーティングの後、おなじ市役所内ホールでのカクテルパーティがあり、主催者がセットしてくれたライン川に合流するイル川と運河にかこまれた旧市街、ストラスブール港、EU議会を巡る観光船によるクルーズを楽しみ、日が一年で一番長いこの季節では、やっと暗くなりかかった夜10時過ぎに解散というスケジュールでした。

実証試験の詳細は、いずれ、トヨタ自動車、EDFから正式に公表されると思いますので、ここでは詳細にはご紹介できませんが、欧州での実際のユーザーによるクルマの使い方の中で、このプリウスPHVの燃費削減効果、CO2削減効果、クルマとしての基本性能、EV走行比率、充電頻度、また実使用上の普及への様々な課題などが浮き彫りになってきているように感じました。

公共充電ステーションの利用割合は3%

このプラグイン・プリウスを使ったストラスブールでの実証プロジェクトでは、基本的には日本同様、リース契約でお使いいただける法人ユーザーを募り、契約いただいた1台のクルマあたり、その固定駐車場所の充電コンセントに加え、お使いのスタッフのご自宅数カ所の充電コンセントを設置、会社、自宅両方で充電できることを目指しました。

政府、およびストラスブール市、その周辺町村を含むストラスブール都市圏(ここがストラスブール市を含むトラム網、バス、そのターミナルでのパークアンドライド事業など公共交通機関の政策企画、運営を行っています)のサポートで公共駐車場、路側帯駐車場に公共充電ポイントを設置しています。

今回の結果でも、このプラグイン・プリウスの充電は97%が会社専用駐車場かスタッフ自宅駐車場での充電、残り3%足らずが公共駐車場および路側帯駐車場での充電との報告でした。電気自動車とは異なり、電池が空っぽでもガソリンで普通のクルマ、ノーマルハイブリッド同様走れるのがプラグイン・プリウスの最大の長所であり、わざわざ公共駐車場を探し回り充電する必要はありませんので、このような結果になったのかもしれません。

しかし、電気自動車でも実用上はこの自宅の夜間充電がほとんどを占め、法人車なら会社駐車場の夜間をメインとし日中はその追加充電が中心となり、出先で公共駐車場の充電ポイントを探しまわっての緊急に充電するという比率はそれほど多くはないと思われます。

またユーザーから、ただでさえ利用する頻度の少ない公共駐車場での充電ポイントは加えて故障がちで、外で充電しようと思ってでかけても充電ができなかったケースが多かったとの苦情もでていました。

数年前に、アメリカやフランスで電気自動車の公共充電ステーションを見て回ってことがありますが、その時も故障中であったり壊されている等のケースが多く、メンテナンス費用が大変との声を聞いていました。

その数がまだ少ないうちはいいのですが、公共充電ステーションを増やしていった時、設置費用、メンテナンス費用、さらに電気代として課金など、ユーザメリットを出せるビジネスモデルが成り立つのか、このような実証試験結果を踏まえしっかりと検討しておくことが必要になります。

公共充電ステーションにはこのような課題があり、プラグイン・ハイブリッドのみならず電気自動車の普及に関し、自宅や会社など、固定駐車場での充電設備設置をどう進めるのかが普及への大きな課題となります。

今回の結果でも、専用会社駐車場とスタッフ自宅駐車場での充電ポイントで日当たり2回以上の充電ができているクルマのEV走行比率が大きく、充電頻度が下がるにつれ当然ながらEV走行比率がさがり、ガソリン消費削減効果が小さくなっています。

ストラスブールから見た次世代自動車の方向性

今回の報告では、日当たり平均充電回数が2.2回と一番多かったユーザーのEV比率が56%と多く、ガソリン削減率として64%を記録し、一番低い日当たり0.4回のユーザーではEV走行比率5%とほとんどノーマルHVとしての使用に留まっていたようです。

このEV走行比率の少ないユーザーからは、昨年のユーザーミィーティングで、燃料代は会社負担、また自宅の駐車場に屋根がなく雨天時などでは地面に這わせる充電ケーブルで服が汚されるので充電しなくなったとの声を聞いています。

ノーマルHVとして十分に使えたというのもPHVの特徴と言えば特徴ですが、一気に非接触給電とは言いませんが、服を汚さず、また荷物を持っていてももっと簡単に接続できる、充電ケーブル、コンセントを安く提供することが必要と感じました。

さらに、今回は会社の専用駐車場があり、またスタッフの自宅でも専用駐車スペースがあり専用充電設備が設置できたケースが大部分でしたが、欧州では都市部で専用駐車スペース持つのは恵まれた一部の方、大部分は路上駐車(許可は貰っているようですが)、毎日駐車スペースを探すだけで一苦労との話を聞きます。

パリの市内でも、駐車場を探しに走り回っているクルマをよく見かけますが、こうしたクルマが渋滞の要因にもなり、またこの走行で消費している燃料量も馬鹿になりません。

このような駐車環境の中で、プラグインHVを含め、電気自動車の普及を図るのは一苦労、フランスでは、新築住宅は新築集合住宅建設では充電コンセントの設置が法律として義務づけられると話を聞きましたが、このような政策、また路上駐車場への充電コンセント設置など、普及へのハードルはまだまだ高そうです。

電気自動車どころか、プラグインHVの一足飛びの普及はまだまだ、この駐車場事情も考えると、都市部ではよほど経済的な余裕がないかぎり家族でクルマを複数台保有することは困難、また1台の保有でも専用駐車場に充電設備を設置できる比率はそれほど多くなさそうです。政府、地方自治体とも連携を取りながら、地道に充電設備設置を進めながらプラグイン自動車普及を目指すことが必要です。

この点からも、いま取り組むべきは、石油消費の削減、CO2削減の実効性を上げるには、従来車の燃費向上と、このコア技術であるノーマルハイブリッドの普及拡大が肝心と思いました。

下は、ユーザーミィーティングの会場である、市役所前広場を使いヨーロッパトヨタが実施したハイブリッド車の展示会の様子です。

写真2_トヨタハイブリッド車展示会
ストラスブール市役所前広場での
トヨタハイブリッド車展示会

この展示会では、今秋発売する欧州版プリウスPHVと6月にフランス工場で生産し、販売を開始したヤリスハイブリッド(日本名ビッツのハイブリッド版)、英国工場で生産し、欧州限定で販売しているオーリスハイブリッドなどを展示しており、ユーザーミィーティングの参加者他、市役所に出入りする人たちから注目を集めていました。

しかし、ノーマルHV普及の先として、日当たり充電回数が多くEV走行比率が高く、64%ものガソリン消費削減を実現したユーザーでは、日本とは1桁以上も低い低CO2電力による充電を行っておりCO2排出量の大幅削減を実現できていることも実証されています。

日本の現状では望めませんが、電力の低CO2化とともにHV技術の進化を進めていけば、脱自動車、我慢のエコカーシナリオではなくとも大幅な石油消費削減とCO2削減を実現する自動車シナリオが描けそうな気がしてきました。

パリのEVカーシェアAutolibの現状

ユーザーミーティング後、ストラスブールからパリに入り、週末をパリで過ごしましたが、パリでこのブログでも紹介している電気自動車のカーシェア事業Autolibのステーションを何カ所かみかけました。

すでに2000台以上のBlue Car EVの配車が終わり、貸し出しステーション、充電ポイントの整備も計画どおり進んでいるようです。充電仕様、充電プラグはこのBlue Carと共通であることは必要ですが、このカーシェア会員になると、個人用のプラグイン車もこの充電ポイントで充電することが可能との触れ込みです。

大都市部の電気自動車普及にはこのようなEVカーシェア、その充電ポイントを一般プラグイン車にも解放するパーク&チャージ事業などもありと注目しています。

このプロジェクトの推進者、パリ市のドラノエ市長はこのBlue Car EV 1台あたり、市内で使われる自動車5台分の削減を目指すと言われており、わたし自身は脱自動車の動きとして心配していますが、ストラスブールでの公共充電設備の状況で述べたように、故障、破損のメンテナンス費用含め、パリではやっているレンタ自転車の2匹目の「どじょう」にはならないと思っています。

 写真3は、パリ・ノートルダムダム大聖堂とパリ警視庁の建物があるセーヌ川の中州シテ島にあった、Autolibステーションです。5台分の充電&貸し出しステーションが全てBlue Carで埋まっている状態で、見ている間の借り出しもありませんでした。

この日は日曜日だったせいもあるかもしれませんが、昼頃の時間帯で1台も貸し出されていない状況でした。会員数は延びているようですが、あまり利用率は高くなっていないとの噂も聞こえてきており、今度どうなるのか興味はつきません。

心なしか、昨年リリース直後に見たクルマの状態に比べ、汚れが目立ち、また一部には擦り傷が目立つクルマもありました。レンタ自転車Velib(ベリブ)でも故障、破損が多いと聞きましたが、このクルマではカードによる無人の借り出し、貸し出しですので、擦り傷、へこみ、クルマの故障、破損の修理費、さらには洗車、室内清掃など自転車の比ではなく日常のメンテナンスが大変、ビジネスモデルとしての成立性も見物です。

写真3_Autolibステーション
シテ島のAutolib
充電&貸し出しステーションと
Blue Car

CHAdeMO vs コンボ. 急速充電方式の国際標準とプラグイン自動車

急速充電規格狂騒曲

電気自動車の急速充電器の国際標準規格を巡る競争が、このところTVや新聞、ビジネス誌を賑わせています。日本発の規格で既に国内で1154機、海外でも239機の設置実績(2012.4.27時点 CHAdeMO協議会HP)を持つ「CHAdeMO」方式に対して、欧米の主要な自動車会社と学会が「CHAdeMO」方式では別体だった一般電力の交流充電方式SAE J1772のコネクターを共通で使えるようにする「コンボ」方式を国際標準として提案してきたことが発端です。

この「CHAdeMO」規格は、電気自動車の普及活動を行っていた東京電力が電気機器メーカーと開発した直流タイプの充電方式で、2010年3月に東京電力が音頭をとり、日産、トヨタ、三菱自、富士重が幹事会社として国際標準をめざす「CHAdeMO協議会」を発足させています。なお、この名前は『お茶でも飲んでいる間に充電を済ませてしまいましょう』と、『de=電気』、『CHArge de Move』の語呂合わせで名付けられたとのことです。

「CHAdeMO協議会」:http://www.chademo.com/jp/ 

これに対し、アメリカのGM、フォード、欧州VWなど米独8社は、今月アメリカ・カリフォルニア州ロングビーチで開催された電気自動車関連の国際会議EVS26で、直流急速充電と一般電力交流普通充電の両方のプラグを持つ「コンボ」方式と名付けた新たな規格を提案しました。これを受けて、日本では欧米勢の露骨な「CHAdeMO」つぶしの動きと報道され、さらに大臣まで登場し、日本提案の「CAHdeMO」採用を各国に働きかけていくとインタビューに答えています。

経済紙・経済誌等では、この「CHAdeMO」vs「コンボ」を、ビデオの「ベータ」vs「VHS」、さらには携帯電話規格を例に「ガラパゴス論」「国際競争力ハンデ論」などが飛び交っています。

さてこうしてブログのトピックスとして取り上げておきながらなんですが、私はこの争いはメディアが大騒ぎするほどの意味があるものとは考えていません。そもそも「CHAdeMO」も「コンボ」の両者とも、私の目にはまだまだ普及レベルには到達していようには見えません。また、急速充電器設置の目的として「急速充電器網を拡げることで、電気自動車の普及を促進する」とよく語られますが、このレベルの急速充電器であれば、これが広く設置されたとしても電気自動車の普及の助けになるとはあまり考えられません。

図1

あまり利用されているのを見ない高速道路の急速充電器

今日、自宅の近くの伊豆縦貫道を走っている日産リーフを見かけました。このあたりの地方都市でも時々リーフを見かけるようになり。着実にマーケットに浸透してきている印象がありますが、さすがに高速道路で見かけることはまだ少なく、私の経験上、サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)の急速充電ステーションで充電中のリーフやiMiEVを見かけたことは未だありません。

今現在、日本国内で急速充電対応のバッテリー電気自動車(BEV)は15,000台以上走っています。ただ、そのほとんどの充電は自宅や会社の駐車場などそのクルマの所有者の駐車場で、急速充電ではなく一般の交流100Vか200Vで行われ、日常での充電はその範囲で使われているように思います。

日常の通勤、ショッピング、リクレーション用途においては、ほとんど通常充電で足りており、急速充電を使うケースは、レンタカーを借りて物は試しと使って見るケースが大部分とすら思えます。そうでなければ、このCHAdeMO規格のベースを開発しリードした東京電力の営業車として営業管区内に設置された急速充電をお使いか、電気自動車のメーカー/販売拠点に設置している急速充電器の利用など、用途は限定されているのでは推測しています。

充電電力量の大部分が、一般電力からとなると、さらに急速充電器の利用頻度は少なくなり、経済原理からいってもその回収が難しいというのが、日本のみならず、欧米関係者の共通認識です。欧州の電力会社スタッフと話をしたときも、この設置費用のツケを電力会社に回されたらたまらない、設置費用を電力料金でいただこうとするとガソリン代よりも高額になってしまうとの声を聞きました。

見えない急速充電器の経済性

トヨタのエンジン屋としてハイブリッドをやってきたから電気自動車の普及に水をかけるのだろうと言われそうですが、電気自動車を使うとしても今の急速充電器レベルでは、その能力、そして経済性から非常に疑問です。

さらに、今のクルマの替わりに使おうとすると、欲しくなるのは長距離ドライブの時、フル充電での実走行の航続距離がエムプティー点灯の余裕をみるとせいぜい100km弱、急速充電では電池過充電による過熱と寿命への影響を抑えるため80%程度で充電を終えますから、航続距離はさらに短くなってしまいます。

これでは、それこそSA毎に「お茶でも」と立ち寄って充電する必要があり、一箇所でもミスしてサービスエリアに入れないと次の設置SAまで持たない可能性もあり、持ったとしても次のSAまでいつ電欠になるか心配して冷や汗を流しながら走る事になってしまいます。

また、もし電気自動車の普及が進みその台数が増えると、今度はその利用者の為にSA、PA毎にずらっと「CHAdeMO」充電器を並べる必要があります。ガソリンスタンドと比較しても、一回の充電時間は長くまたその頻度も高くなりますから、急速充電器をおく利便性を確保するのであれば、多くの数を置かなければなりません。しかしこれは、実用性、経済原理から考えて、成り立たない予測であるのは自明の理です。

電気自動車を普及させるために必要な電池と充電器の性能は?

今の電池レベルでは、欧州の自動車メーカーからは、航続距離が今の3倍の電池で、充電時間5分、これをコスト3万以下で提案してくれたら、いつでも採用するよ!と言った“ジョーク”が聞こえてきています。

今のクルマの機能に取ってかわろうとすると、せめて「お茶でも」の間で、日本なら320km、アメリカなら640kmとのユーザー調査結果(デロイトトーマツ社 2010年6月 「電気自動車に対する消費者意識調査報告」)があります。
http://www.tohmatsu.com/assets/Dcom-Japan/Local%20Assets/Documents/knowledge/mf/jp_k_mf20100617_170610.pdf

流石にそこまでの航続距離が必要とまでは言いませんが、これに近い航続距離ともなると今の電池エネルギー容量の3倍以上が必要となり、それを5分でというと、現在の急速充電電力の約18倍ととんでもない充電パワーが必要になってしまいます。これが、ジョークという所以です。

こうした大エネルギー電池になれば、一般交流電力ではフル充電までに何日もかかってしまいますから、それこそ家庭用にも今の急速充電器が必要になるでしょうが、このような夢の電池がおいそれと現れるとも思えません。

アメリカでも、このレベルでの急速充電へのニーズは、経済原理、実際の費用負担を考え始めると一気に少なくなってしまいます。電池丸ごと交換方式が提案されているのも、このような状況を読んでの話、リチウムイオン電池の技術が進歩し、エネルギー密度が仮に3倍にでもなると、交換方式が有望と読んでいるようにも思います。

このような状況の中でも急速充電方式規格についての争いですが、私が注目すべき点として見ているのが、コンボの売りが一般電力用充電規格SAE J1772方式との共用としている点です。そもそもSAE J1772は日本とアメリカが将来のプラグイン自動車用充電方式の規格として共同で決めた方式です。欧州は一般電力充電方式として今のところはこのSAE J1772方式を採用していませんので、コンボ規格にドイツの各メーカーが参画したことで、欧州がSAEJ1772をコンボと同じく導入するのか、従来の欧州方式と急速充電のコンボ方式となるのか、別の一般電力用充電規格となるのか、これからの動きはまだ不明ですがこれから注目が必要だと感じています。

一般電力充電用としては、GM VOLT、日産LEAF、トヨタプリウスPHVなど、日本と米国のほとんどのプラグイン自動車がこのSAE J1772方式を採用していますから、コンボ方式も一般電力用としては国際規格としてSAE J1772方式との共用にこだわった結果で定められたものなのでしょう。

SAE J1772は、日本の企業が中心となってSAEで定められた一般電力充電用規格です。それを継承していると言うコンボが「CHAdeMO」と争うという皮肉な事態となっているのです。

少し辛口で言うと、「CHAdeMO」は、国際電気標準会議(IEC)へ提案し、議論は進めていましたが、肝心のアメリカの自動車メーカーやそのエンジニアが集まり自動車としての標準議論をおこなっているSAE(アメリカ自動車技術会)とのコミュニケーションがうまくとれていなかったことにも起因しているように感じます。

いま、プラグイン自動車に必要なインフラとは

繰り返しになりますが、私は急速充電器については、現時点での重要課題ではないと考えています。少なくとも、プラグインハイブリッドは急速充電を必要とはしませんし、ここ当分は電気自動車も一般電力による夜間充電を中心に、その航続距離に応じた用途で使っていくでしょう。

そうなのであれば、SAE J1772規格をベースにコネクターやケーブルの軽量化、操作性向上、さらにはスマート・メーター接続を前提とするクルマから家庭・オフィスへの電力供給機能V2Gへの発展(ただし、一般電力充電電力の範囲)をしっかり進めておけば良いように思います。

さらに急速充電規格で騒ぐよりも、プラグイン自動車の一般電力での充電設備普及が先決のようです。一戸建て住宅はもちろん、集合住宅、会社駐車場、その従業員駐車場への充電設備普及、さらにショッピングモール、ホテルなど出先での一般電力充電設備が使えるようになると、電気自動車、プラグインハイブリッド車での電気走行距離が増え、その分だけ石油消費量を減らすことができます。 

今の台数程度では充電による電力増は知れていますが、日本の電力事情を考えると、大部分の電力は供給余裕があると言われている夜間電力で充電し、ピーク時の充電は極力避けたとしても、やはり電気自動車やプラグインハイブリッド車の普及拡大を手放しで進める訳にはいきそうもありません。日本のエネルギー全体の需給シナリオの中で、もう一度、日本としての自動車の将来シナリオを見直しが必要になりそうです。CHAdeMO vsコンボどころではないのが、今の私の正直な感想です。

プリウスPHVの米国公式電費と燃費

アメリカでもプリウスPHVが販売開始しました

プリウスPHVが日本に続き、アメリカで連邦環境保護庁(EPA)とカリフォルニア州大気資源局(CARB)からの認証・認可を受けて3月から販売を開始しました。
販売開始後の販売実績としては3月911台、4月1,654台とまずまずのスタートを切っているようです。このうち4月の1,654台、電気自動車やGMシボレーボルト・レンジエクステンダー型電気自動車(これもエンジンを搭載したプラグインハイブリッドと認定当局は定義していますが)など、電気を外部電力で充電できるプラグイン自動車全体の販売台数3,595台でしたので、シェアとして46%を獲得しました。

アメリカの一部メディアでは、この数字を見て4月の販売台数が1,462台だったシボレーボルトが早くも抜かれたとかき立てていましたが、まだまだ僅かな台数の中での話です。また、この4月の販売台数には、これまで実証試験をおこなってきたパートナーや、プリウスをカンパニーカートして多量に使っていただいた会社関係への事前オーダーへの配車が主体で、今後拡大していけるかはこれからのことのようですので、アメリカにおけるプリウスPHVは今後要注目です。

図1米国電動自動車販売台数

上の表は、昨年のアメリカに置ける電動自動車の販売台数になります。昨年は、ノーマルハイブリッドを含む電動自動車の総数で286,367台、東日本大震災とタイ洪水の影響による日本製ハイブリッド車の深刻なタマ不足もありましたが、新車販売全体の伸びには追いつかなかったものの、2007年以来の増加に転じ、今年に入っても好調な販売を示しています。

しかし、シェアでは、2007年の2.99%から、トヨタの品質問題の影響が大きく尾を引き、2.22%へと後退しています。しかしながら今年に入り、電動自動車の販売台数が大きく回復、1月~4月のシェアも3.39%と2007年のピーク時を越えており、今年の台数、及びシェアでの記録更新が期待されます。

加えて今年は、Ford フュージョンハイブリッドのモデルチェンジ、日産アルティマ新ハイブリッド、ホンダアコードハイブリッド、さらにはトヨタRAV4EV、Ford フォーカスEV、ホンダ ジャズEV、アコードプラグインハイブリッドなど、新しいハイブリッド、プラグイン自動車が販売を予定していますので、これがどのように販売を伸ばしていくかに注目されます。世界最大の自動車市場であるアメリカの今後の販売実績が、以前触れた日本ハイブリッド車ガラパゴス論の正否を問うことになるでしょう。

しかし、この中で電池充電型自動車(以下プラグイン自動車と記述)のみ限ってその販売動向をみると、2011年通年でも17,731台に留まっています。電動自動車の中のシェアとしても6.19%とまだまだ次のサステーナブル自動車の担い手というにはほど遠い状況にありましたが、あらたな参入でマーケットがどう動くのか注目されます。

プリウスPHVのアメリカ基準燃費は?

さて、冒頭でも書きましたが、アメリカで自動車を販売するということは、プリウスPHVもアメリカでの公式電費、EV航続距離、ハイブリッド燃費、ハイブリッド航続距離が、排気、燃費の認定官庁である、連邦環境保護局(EPA)から発表されたということです。アメリカでは、このEPAから発表される公式値を、販売店ではクルマのフロントウインドーにEPAが示す指定の書式で作られてステッカーとして添付することが義務づけられており、別名ステッカー燃費とも呼ばれています。

このブログでも何度かご紹介しているように、このステッカーに記載する燃費値は、それまでの燃費表示値が、実際にユーザーが使った時に実現できる燃費からの解離が大きいとEPA自体が訴えられ、ユーザーの平均燃費にできるだけ近づくように2008年に、算出方法の大幅改定を受けたものです。

この際、EPAではかなり大がかりなユーザー燃費調査を行い、EPAの排気・燃費認証試験として行う、米国シティーモード、ハイウエーモードだけではない、寒冷地のCOを規定する零度C以下の低温試験、夏のエアコン運転を想定した試験、急加減速が含まれるアグレッシブドライブ燃費など、さまざまな走行データからユーザー燃費の平均値に近くなる調整方式を創り出しました。当然ながら、アメリカのユーザー燃費の平均に近く、これがまた日本のユーザー燃費にも近いものになっています。

電気自動車やプラグインハイブリッド車の電力消費評価にもエコラン等をあまり考慮に入れないこの測定方法を適用していますので、この季節の私の実走行データと比較しても充電量や燃費の結果からもやや悪めの値になりますが、冬のヒーター運転、夏のエアコン運転などを考慮に入れると年間アベレージとして結構一致する値となっているではないかと思います。

2011_Toyota_Prius_Plug-in_EPA_label
図2 プリウスPHV EPAラベル

しかも、EPA公式燃費掲示サイトでは、走り方によりクルマの燃費は大きく変化すること、燃費向上小技集、そのクルマのユーザー燃費調査の結果なども表示されており、エコカー購入の参考データとして活用されています。さらにEPAサイトをいろいろ調べて見ると、補正前(non adjusted)の生の燃費計測結果と修正後(adjusted)が、米国シティーモード、ハイウエーモード、さらにそのミックスであるコンビ(combination)燃費まで知ることがきます。
http://www.fueleconomy.gov/
http://www.epa.gov/otaq/carlabel/index.htm
http://www.fueleconomy.gov/feg/download.shtml

プリウスプラグインの米国EPAのステッカーでは、シティー/ハイウエーのコンビモードとして、電池にエネルギーがあるプラグイン走行(この評価モードで短時間エンジンがかかり、そこで消費したガソリンと電費を合わせたデータとして表示)ガソリン換算95マイル/ガロン(リッター40.2km相当)と示されています。このときのプラグイン走行航続距離は11マイル(17.6km)と日本のJC08基準の26.4kmに比べるとかなり短い航続距離とされています。

電池の充電エネルギーを使い終わり、ガソリンだけで走るHV走行の燃費は、ノーマルプリウスと同じ50マイル/ガロン(リッター21.2km)が公式値です。日本向けと米国向けでは車両諸元が若干違いますが、日本の民間燃費サイトで報告されるユーザー燃費や、私が使っていた前のプラグインプリウスでの年間通算HV燃費の22.5km/lよりも少し悪い値となっています。そしてこれで、同クラスの従来車にくらべ、アメリカユーザーの平均的な走行距離走ったとして、ガソリン代を7600ドルセーブできると表示されています。
また、充電電力とガソリンの両方を使った航続距離として540マイル(894km)と表示されています。

ボルトやリーフと比較してどうなのか?

参考として、GMシボレーボルト、NissanリーフのEPAステッカーも併せて載せておきます。ここで面白いのは、プリウスプラグインのステッカーのプラグイン走行燃費95マイルガロンのところには、電気とガソリン両方でのガソリン換算コンビ値と表示されているのに対し、ボルト、リーフとも電気のみと表示してあるところです。

2011-chevy-volt-epa-mpg-sticker
図3 シボレー・ボルト EPAラベル
2011-nissan-leaf-epa-mpg-sticker
図4 リーフ EPAラベル

前述のように、今のEPAのステッカー燃費算出には、大きな加速度で標準モードよりも高速を走行するモードが含まれていますので、どこかでエンジンが掛かり、電気とガソリンの両方と記述されたようです。しかし試験データの詳細を見れば、その時のガソリン消費量は燃費換算で0.2ガロン/100マイル、500マイル/ガロン(リッター402km相当)と、極一瞬だったようです。この辺にEPAの連中の厳密さが表れており、この組織と長いつきあいをしている私などはいかにも彼ららしいなと感じられた箇所でした。

さて、このステッカー比較の電力消費では、やはり純電気自動車のリーフが一番よく、99マイル/ガロン、次がプリウスの95、ボルトは93と表示されています。この航続距離では、ボルトが合わせて379マイル(606km)、リーフはバッテリーだけですので、EPA基準では77マイル(123km)となり、これまでの米国シティーモード基準、日本のJC08基準と比較して極めて厳しい数値となっています。

こういった公式ラベルで年間燃料代やガソリン代セーブ額まで、販売店の展示車にまで表示させるところがアメリカの面白いところです。ホンダがこのステッカーにも表示する燃費値を広告に使いその値と自分のクルマでの走行燃費にギャップがあると訴えられたのもアメリカならではと思いますが、こうしたEPAの厳しめの調整公式燃費しか広告にも使うことができないのに、何故訴えられたのか疑問です。

更にアメリカらしいのは、GMがサイトですぐ、このEPAの公表データを使ってプリウスPHVとボルトの使い方による燃費比較を報告しているところです。
http://gm-volt.com/
この比較については、また別の機会に報告したいと思います。

いずれにしても、電池を充電するプラグイン自動車の普及には、安く、安心して使える充電設備の普及、マンションなど集合住宅での充電設備整備、そして電池の寿命や価格など、普及には残存課題の克服が先決、さらにその充電電力低CO2化をどのように進めていくのか、将来エネルギー政策全体の中で普及シナリオを見直す必要がありそうです。