電池はなまもの!」からハイブリッドタクシーまで

「電池はなまもの!」

以前のブログで、「電池はなまもの!」のタイトルの初代プリウス開発にあたってのハイブリッド電池を巡るエピソードを紹介しました。

2012年 1月26日: http://www.cordia.jp/wp/?m=201201

 

開発当初、電池は高温で放置しておいても、電池が空っぽに近い状態でちょっと無理をさせてもどんどん腐ってしまう(劣化)ので、乗っている人間さまよりも大事に使う必要があると脅かされていました。ハイブリッド開発リーダーとして最初に計画した出張が電池工場の視察、二番目が電池開発センターの視察と懇談でした。当時の電池工場はいわゆる3K職場、トヨタのエンジンや駆動部品を加工する機械場と比べても決して綺麗とは言い難い工場で、ハイブリッド電池の母体となる単1サイズの電気工具用のニッケル水素電池を生産していました。その電池を240個直列に繋いで、モーターによるパワーアシスト、減速回生を行うハイブリッドのコア中のコア部品電池パックとなります。240セルのうち1セルでも故障すれば、クルマがストップ、エンジンも掛けられず、路上故障モードとなってしまう重要部品です。

その電池が「なまもの!」、当たり外れがあると聞かされていました。さらに、ハイブリッド開発が佳境に入っても、なかなか量産スペックの電池はできあがらず、やっとできてきた試作電池すら不具合の多発、テストコースでクルマが止まってしまうなどは可愛いいもの、フェールセーフ制御が未完成の状態では電池パックから火を噴くトラブルさえ経験し「電池はなまもの!」を思い知らされました。

われわれクルマ屋の感覚では、故障率0.1%でも大問題、年産10万台のクルマでは100件の故障になってしまいます。セルあたりの不良率1ppm以下が必要と電池屋さんに申し入れると、目を白黒、それが本格的にハイブリッド車用電池開発のスタートでした。さらに、その上で電池の耐久寿命をどれくらい伸ばせるかの見極めがハイブリッド量産化を本当に進めて良いかを判断する大きなポイントでした。

電池もエンジンなみの耐久寿命が普及への必要条件

エンジンやトランスミッションなど、大物ユニットの保証期間は当時で5年5万キロ、しかしこの保証期間が過ぎてもオイル交換などのメンテナンスを怠わらなければ、ほぼクルマ一生の寿命を持つのが普通のクルマの常識です。10年越え、10万キロ越えで、ユニット交換が必要な故障が発生しても、不満の声は上がります。保証期間外の故障率が大きくなると、そのクルマ、そのメーカーの評判は下がってしまいます。ハイブリッド用モーターやインバートはもちろん、ハイブリッド電池もエンジンやトランスミッション同様、同じ機能を担う大物ユニットです。5年5万キロを越えると故障率が増加してしまうようでは、普通のクルマにはなりません。クルマの一生の間での交換が必要となると、中古車価格も大きく下がり、下取り価格の下落、リース残価の下落を招き、そのクルマの評判はガタ落ちとなり、マーケットからの退場を余儀なくされるケースさえあります。

せめて、10年10万キロ以上、クルマの残価がほぼゼロになり、故障してもほぼ寿命と納得していただけることが、寿命保障の一つの目安です。

工業製品のみならず、宇宙や、地球にも寿命があるように、万物には寿命があります。さらに機械部品に比べ、寿命予測、寿命設計は非常に難しい製品です。使用過程でケミカル反応を使うケミカル製品では、その反応雰囲気、反応条件により寿命に影響するストレスは大きく変わり、その繰り返しサイクルにより寿命品質は大きく変化します。

私は電池化学の素人ですが、自動車用触媒、排ガスセンサーを使ったシステム開発に永く従事してきましたので、その寿命保証の難しさはイヤとなるほど経験してきました。ハイブリッド用電池はその経験すら越えそうな代物が、最初の印象でした。

もちろん、電池材料製造プロセス、電池部品輸送・保管プロセス、製造プロセスから検査プロセス、電池パック組み立てから検査、保管、車両工場までの輸送プロセスに至るまで、徹底的な不良撲滅、品質向上活動をやってもらいました。さらに、人間さまよりもわがままな電池を、搭載も急遽変更し、パッセンジャー後席シートの後ろと一等席に変更、電池温度が上がれば電池アシスト量と回生量を絞り、過充電防止は当たり前、満充電までの十分なマージンを取って回生量を絞り、残量が少なくなると余裕を大きくとって出力制限をし、電池がちょっとでも悲鳴をあげると電池使用を切り離すエンジンのみの走行モードへの切り替えすらやりました。

しかし、この電池入出力性制限制御も、お客様の運転中に度々起こるようでは普通のクルマとは言えません。初代ではどうしても、電池からのアシスト出力制限を大きくとる必要があり、亀マークを点灯させる「ごめんなさい」モードを設定し、追い越しなどを控えていただかざるを得ませんでした。

「なまもの」から「工業製品」へ

それでも、「電池はなまもの!」のブログで述べたように、初代初期型プリウスでは、お客様にお渡ししたクルマで電池不具合を多発させてしまい、大変ご迷惑をお掛けしてしまいました。その改良品、単1型240個のセルを直列に接続した電池を搭載した初代初期型プリウスが走っているのを見かると今でのうれしくなります。

今ではクルマが15年以上使われるのは当たり前です。しかし「なまものの電池!」と自覚して、万全を尽くしたつもりでも、最後は清水の舞台から飛び降りる覚悟で送り出した初代プリウスです。

2年半後のマイナーで、円筒型セルから電極構造自体を抜本的に変更した角形セルへと大変更を行いました。さらにそのタイミングで、ハイブリッド用電池専用工場を建設、半導体工場とまではいきませんが、クリーンルーム化をするなど、「なまもの」から「工業製品」への転換を果たしました。さらに、電池パック冷却性能の向上や電池の使い方も見直し、加えてエンジンパワーアップにより、電池入出力を絞っても走行性能低下が少なくする改良を行い、また電池充放電の精密制御など電池の使い方の面からも寿命伸張に向けた改良を続けました。

この2000年マイナーチェンジでの電池大変更の狙いの一つが、カリフォルニア州のエコカー認定でした。規制値が世界で一番厳しいばかりではなく、エコカーと認定されるにはさらに15年15万マイル(24万キロ)のクリーン度保証が要求されました。初代初期型の円筒電池からたった2年半で角形へと大転換したのもプリウスの欧米販売、エコカーを標榜するからにはカリフォルニアのエコカー認定が不可欠との判断からです。新開発電池ですから、マーケットで実際に使った状態での耐久寿命データはありません。初代円筒電池の劣化解析、故障モード解析結果から角形電池開発へのフィードバック、電池セル、電池パックでの意地悪耐久、クルマでの耐久走行だけでは確信の持てるデータはでてきません。

カリフォルニア州の環境当局CARBとの保障期間を少しまけてもらう交渉もやりました。寿命劣化の傾向として長距離走行よりも、少ない走行距離でも長期間使われた方が厳しそうだとの単品耐久結果を説明し、保証期間15年を10年まで短縮してくれました。

それでも、「なまものの電池」の10年15万マイル保証の決断は二度目の清水の舞台から飛び降りる覚悟が必要でした。初代プリウスでは、タクシー会社の宣伝用として少し使われてようですが、われわれとしては、タクシー使用は想定外、この2000年のマイナーチェンジでもほとんど考えていませんでした。意識し始めたのは2003年の二代目プリウスからでした。しかし、10年15万マイル保証がしっかりできるとすると、その先も急速に性能劣化を起こすわけではありません。結局この二代目プリウスから本格的なタクシー使用が始まりました。タクシーでは10年は使われることはありませんが、15万マイル以上の走行は当たり前です。それ以上の長距離走行なら電池途中交換もアリと考えていました。

想定外のタクシー使用、しかし想定以上の電池耐久寿命

これまで述べてきたように、タクシー使用は想定外、しかし二代目プリウスから日本のみならず、欧米、オーストラリアとプリウスタクシーが増加していきました。冷や冷やしながらも、その電池寿命に注目してきました。プリウスタクシーに乗り合わせると、ドライバーから話しを伺い、オドメータを見ながら、電池劣化の兆候である走行中にエンジン起動が頻繁に起きるようになっていないか気にしながら乗っていました。日本同様に、海外でも初期導入はタクシー会社のエコPR活動や政府、地方自治体のエコカー補助制度の後押しがあったようです。その後の増加には、これに加え、燃料費の削減、オイル交換やブレーキバッド交換頻度が少なくなるなど経済面でもメリットも大きいことも後押しとなったと言っていました。ディスカウントの押し込み販売を気にしていましたが、欧州の営業サイドからはそれはないと聞いてい安心したのもこのころです。

いまや、トヨタ&レクサスハイブリッド車の世界累計販売台数が800突破、さらに日本のみならず、世界中でプリウスタクシーが走り回っています。最近訪問した欧州の都市では、パリ、バルセロナ、ブリュッセル、ストラスブール、ストックホルム、など、プリウスタクシーの多さには驚かされます。(写真)

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タクシー用としての電池途中交換がどの程度かは不明ですが、インターネットでは、30万マイル無交換、50万キロ無交換走破のニュースも聞こえてきています。

クシー使用は想定外でしたが、劣化要因の解析を重ね、電池そのものの耐久寿命伸長への取り組み、「わがままでなまものだった電池」から「丈夫な工業製品へと育った電池」へと技術改良を積み重ねることにより、タクシー使用でも想定以上の電池寿命を確保できるまでに進化しています。

米国実施したクルマの長期間保有比率調査結果として、最初購入したオーナーで、そのクルマを10年以上愛用しているユーザー比率を調べたところ、プリウスがトップと僅差の第2位となり、28.5%のユーザーが10年以上使用し、15万マイル以上の走行を記録しているとのニュースが流れていました。

Oct 29, 2015 Green Car Report

トヨタ『プリウス』オーナーが、ある1車種を除き長期間クルマを保有

http://www.greencarreports.com/news/1100689_toyota-prius-owners-keep-cars-longer-than-any-other-model-but-one

このニュースも、タクシー使用だけではなく、個人使用としてもエンジンなど大物ユニット同様、ケミカル製品の電池を無交換と言っても良いレベルにまで進化していることの証明と、初代の開発段階から考えると隔世の感を覚えます。

しかし、電池は「工業製品」と云え、ケミカルプロダクツであることを忘れるな!

しかし、自動車用電池は「工業製品」に進化したとは云え、金属製品と比べると、寿命設計の難しいケミカルプロダクツ、電極での電気化学反応の繰り返しにより物性変化、性能劣化を起こす製品です。過充電、過放電、衝撃による電極変形、金属微粒子混入での微短など、故障モードもいろいろあります。その材料構成、製造工程、反応メカニズム、劣化メカニズム、故障モードを知らず自動車用としてブラックボックスで使える部品ではありません。また、熱暴走抑制や発火・発煙防止として制御だけでやれるわけではありません。ここまでの寿命伸長も、電池本体の耐久信頼性の向上、電池材料特性の向上だけではなく、電池特性を理解したうえでクルマとして使う側からのシステム企画、設計、制御改良の合わせ技でした。

プラグインハイブリッド、電気自動車はハイブリッドよりも電池依存度が大きく、電池寿命保障、信頼性品質保証はハイブリッド用以上に難しい要素があります。

ニッケル水素、リチウムイオン、電池化学特性は異なりますが、寿命保障、信頼性保証の考え方には大きな違いはありません。電池をブラックボックスにし、その制御も車両駆動システムと切り離した丸投げでは、普通のクルマレベルの寿命保障、信頼性品質の確保は困難です。このところの電気自動車ブーム、プラグインハイブリッド車ブームで、杞憂に終われば幸いですが、電池寿命保障、信頼性保証面での不具合発生を心配しています。しかし、この電池寿命保障のハードルを乗り越えなければ、普通の次世代エコカーにはなれません。

ハイブリッド仕様タクシー専用車

今日のテーマ、ハイブリッドタクシーでは、いよいよトヨタからハイブリッド仕様のタクシー専用車発売の発表がありました。まずは日本向け、LPGエンジンの右ハンドル車のみのようですが、欧米でもやや車高が高く客室スペース、荷室スペースが広いこうしたハイブリッドタクシー専用車のマーケットも大きく、従来タクシーと比較して大きなCO2削減効果も期待できます。このタクシー専用車の電池寿命もまた注目です。

欧州での「プリウス」

 

スライド1

欧州でも「プリウス」はごく普通のクルマ

先週のブログでロンドンのPM2.5を取り上げましたが、久しぶりにロンドンに滞在し、これまた数年前にロンドンの新駅、新線が開通し、英国内のスピードがやや速くなったユーロスターにのってパリに移り、パリ経由で帰国しました。この数年で何度目かの欧州ですが、今回のロンドン含め、パリ、バルセロナ、ブリュッセル、ウイーン、ストックホルム、ストラスブールと、ドイツを除き訪れる都市で目につくのがプリウスです。リーマンショック、さらにトヨタ車の予期せぬ加速問題で欧州でのトヨタ車販売が落ち込み、加えて欧州ソブリン危機で欧州全体での新車販売が低迷していましたが、2012年、2013年とマーケット全体が落ち込むなかでトヨタ車の販売が回復し、その牽引役を果たしてきたのが「プリウス」を筆頭とするトヨタハイブリッド群です。その走り回っている 「プリウス」は日本からの輸入車ですが、プリウス用のハイブリッドシステム、電池パックを日本からもっていき、英国工場で現地生産を行っているのが「オーリスハイブリッド」、さらに「アクア」のハイブリッドシステム、電池パックを使いフランス工場で現地生産を行っているのが「ヤリスハイブリッド」です。これにレクサスハイブリッドを加え、欧州での販売を牽引しています。もちろん、ロンドンでの市内乗り入れ税免除など、日本同様、各国、各都市のインセンティブ、補助金の後押しもありますが、ハイブリッド車が市民権を得てきたことが町を歩き回ると実感します。その中で、ひときわ目立つのがプリウスです。日本では一時、ハイブリッドはガラパゴスカー?との記事もありましたが、日本同様に欧州でも「プリウス」がごく普通のクルマとして走り回っています。

 

初代プリウスのアメリカ導入でつくづく感じましたが、トップの英断でハイブリッド専用モデルとして出したのが効果的でした。自動車変革の先駆けとしてプリウスのネーミングが付けられ、われわれ開発陣も清水の舞台から飛び降りるようなチャレンジをしてしゃにむに生産、販売にこぎ着け、当初はなにかあれば目立ち過ぎで引くに引けないとの思いがありましたが、これが今に思うと大正解でした。クルマを見て、一目でわかることがエコカー普及の先駆けとして重要でした。日本では、あまりにも普通になりましが、アメリカ、欧州ではまだワン・オブ・ゼム、現地生産の「オーリスハイブリッド」、「ヤリスハイブリッド」の販売も伸びてきていますが、やはり存在感が大きいのが「プリウス」です。さらに最近では、日本名「プリウスα」、欧州では「プリウスv」と読んでいますがこのワゴンタイプの「プリウスv」が目立つようになってきました。

 

「プリウス」タクシーのプレゼンス大と心配事

このプリウスファミリーが目立つもう一つの理由がプリウスタクシーの存在です。さすがにロンドンではロンドンタクシーの独壇場ですが、パリを筆頭に他の都市ではプリウスタクシーが欧州車を押しのけて幅をきかせています。数年前にストックホルムではその時のタクシー登録台数NO1が二代目「プリウス」、昨年訪問したベルギーブリュッセル、スペインバルセロナでも「プリウス」タクシーの多さにびっくりさせられました。パリでも二代目「プリウス」からタクシーで使われるようになり、三代目で飛躍的に増加、最近では大きなラゲージスペースから「プリウスv」のタクシーが増加しています。今回パリのホテルから空港までのタクシーとして、ベルボーイにお願いして「プリウスV」タクシーを止めてもらいましが、客待ち行列の中にも複数台の「プリウス」を見かけるのが普通になってきました。実は、欧州大都市での「プリウス」のプレゼンスが大きくなってくるのを喜びながら、一方「プリウス」タクシーの拡大は少し心配しながら見ていました。もちろんその一つの理由は、プリウス搭載のハイブリッドシステムをタクシー用途の年十万キロ以上が当たり前の長距離走行寿命までは考えてはいなかったこと、またこれまでのタクシー用途ではとかく売れ行きの思わしくないクルマの値引きをしての販売台数稼ぎの話もないわけではなく、正直その心配をしていたことも事実です。二代目プリウスがタクシーシェアNO1を占めたストックホルムでは、インセンティブがついていること、エコイメージとランニング費用が安く商売上もメリットがあるからと聞いていましたが、三代目プリウスでここまで台数が増える背景には、台数稼ぎもあるのではと心配していました。今回また、トヨタの関係者から状況を聞きましたが、その心配は当たっておらず、インセンティブ、ガソリン代の節約以外にもブレーキパッドの減りが少なく、オイルの交換スパンも長くなる上に、故障が少ないため稼働率が高く、商売上もメリットが大きいことが拡大の理由と聞かされました。確かに、初代から回生ブレーキの採用でメカブレーキの仕様頻度は大きく下がり、通常の使い方ではほとんどブレーキパッド交換が不要になったと聞いていました。

このような声は、「プリウス」が経年車品質NO1を連続、また各地域で獲得するなど、故障が少ないことからも裏付けられています。最近では、消費者レポートのベスト・バイ中古車として「プリウス」が選ばれたのもこうした信頼性品質の高さです。

Green Car Report 2014/03/19

http://www.greencarreports.com/news/1090956_used-toyota-ford-hybrids-score-well-in-consumerreports-best-used-car-list

パリ市内からシャルル・ドゴール空港までの「プリウスv」タクシーに乗って、三代目マイナーチェンジ後であることもあってか、室内音も良く乗るコンベディーゼルタクシーよりも遙かに静か、さらに変速ショックのないなめらかでモーターアシストも加わったトルクフルな加速に、手前味噌ながらこらならプリウスが欧州で良い次世代車として認められるようになったことを実感しました。

 

普通になったプリウスの次に期待

しかし、ここまで普通になった次への期待はさらに高くなります。商売上もメリットのでるタクシー用途はいまだけの役割でしょう。昨年の東京モーターショーで展示されたように、いずれはタクシー専用のハイブリッド車が今の「プリウス」タクシーに切り替わっていくでしょう。またここまで普通になってきたら、パーソナルカーとしては次の飛躍にむかいこれまでのユーザーを引きつける何かが必要になってきます。ともするとエコ疲れを感じ始め、普通=陳腐化の道を歩みはじめた「プリウス」を、やはり先駆け「プリウス」とサプライズを与える4代目の出現を期待しています。

今回の欧州出張のさなかに、ホンダから「インサイト」に続き、「CR-Z」の欧州販売打ち切りのニュースが流れてきました。欧州でときどき「CR-Z」を見かけるだけに、販売打ち切りは残念です。ここまで普通になってきた次世代自動車としての日本ハイブリッド車の次の飛躍には、さらなるマーケットには良きライバルとの競いあいが必要です。欧州勢は、どうも政治的にも、規制対応としてもノーマル・ハイブリッドをスキップしてプラグインハイブリッドを優先させてくるようです。しかし、タクシーがエコだけではなく、経済原理から「プリウス」が増えたように、政治的、規制対応だけではユーザーの賛同は得られません。普及が遅れると低カーボンを目指した次世代車への変革が遅れることになります。

良きライバルも参入し、クリーン&グリーン(低カーボン)は当たり前の上に、クルマとしての魅力アップも果たし、ハイブリッドがさらにごくごく普通のクルマになり、そのなかでクルマそのもの商品魅力を競い合う時代になることを見届けたいと思っています。

「オートモビリティーズ」その2 ダルニッシュさんとのモビリティ議論の話

広がる脱自動車の風潮

先週は、『自動車と移動の社会学』オートモビリティーズという欧州での自動車文化論、自動車社会論を扱った本の紹介をしました。この本では、これまでの自動車の歴史を振り返り、将来は、『鉄とガソリン(もちろんディーゼルを含めた石油液体燃料の内燃エンジン車)による自動車の終焉であって自動車(モビリティ)の存在しない世界ではない』と、従来の延長線ではない自動車の大変革を予言しています。

私自身は近未来に『鉄とガソリンによる自動車の終焉』がやってきそうな兆候、技術の痕跡をまだ感ずることはできませんが、だからと言って今の延長では自動車バッシング&ナッシングの動きを抑えきれないのではと心配し始めています。鉄とガソリンから、電気、燃料電池への転換もそれほど楽観的ではなく、『自律した移動体としてのオートモビリティーズ』に環境資源保全、交通事故防止に手を打ち、自動車を変革していかなければ脱個人用自動車の風潮を招いてしまうとの危惧です。

昨年もブラジルの都市の市長がアメリカで開催されたある環境フォーラムで、いずれ自動車はタバコのように『人間に害を及ぼします』といったステッカーが貼られるようになるとまで言い放ち、脱自動車論を打ち出したとの記事を見かけました。

大都市への自動車乗り入れ規制の動き、そのなかで電気自動車、プラグイン自動車だけへのインセンティブ付与、さらにはEVカーシェア、これを組み込んだスマートシティーも見方を変えると脱自動車の動きにもつながりかねません。

米国カリフォルニア州のZEV規制はその動きの一つで、本来のZEVはロス、サクラメント、サンディエゴといったカリフォルニア都市部の光化学スモッグ低減の手段であったはずが、いつのまにか加州であろうが南極であろうが地球上で排出される温暖化ガスの総量が問題の気候変動ガス削減に衣替えしてしまいました。

規制当局であるCARBのスタッフもわずかのZEVを導入しても、古い車、排気浄化装置の故障車が残っている限りはほとんど光化学スモッグ低減には寄与しないことは百も承知で、環境アピールのためのZEV規制制定でした。

公共交通機関が発達した日本、欧州の大都市ならまだしも、最も自動車を中心としてきた社会を作り上げてきた米国でもこの動きは強まってきていることが気になります。1960年代から1980年代にかけての大気汚染問題、同時期に深刻化し交通戦争と言われた交通事故死、自動車会社バッシング、自動車バッシングの論調も確かにありましたが、われわれ自動車エンジニアはこれにも真正面から向き合い克服してきました。

最初は欧米勢を追いかけながら、1980年代からは日本勢も先頭集団に立てクリーン&安全な自動車作りと同時に走りなどクルマとしての商品力競争をやり遂げここまでの発展を牽引してきたと自負しています。もちろん中国のPM2.5問題、さらにはいまだに世界で100万人/年を越え増え続ける交通事故での死者など、まだまだ克服すべき課題は残っています。だからといって豊かな社会を支えてきた『自律した移動体』に『人間に害を及ぼします』とのステッカーが貼られる時代は迎えたくありません。

ダルニッシュさんと自立したモビリティとしての自動車を守ろうと約束した

自動車開発をリタイアした今も、日本、欧州からいろいろ声をかけていただき、こうした自動車の変革として取り組んできたクリーン自動車、ハイブリッド車開発を紹介しながら、将来モビリティ、『自律した移動体としてのオートモビリティーズ』の将来について様々な方々との議論を進めています。

今日のブログではこうした議論の一つ、昨年11月にパリで再開し将来モビリティについて語りあい、意気投合したフランス人ダルニッシュさんとの会話について紹介したいと思います。

以前も紹介しましたが『ベルナール・ダルニッシュ』、私とほぼ同世代で、我々の世代でモータースポーツ、ラリーレースに興味を持っていたかたなど知る人は知る存在で、自動車ラリーの世界でならした名ラリードライバーです。

1973年~1987年の世界ラリー選手権(WRC)で7勝、ヨーロッパラリー選手権で2回の年間チャンピオンを獲得しています。なによりも名を馳せたのは1979年のモナコを起点として行うモンテカルロラリーで、ランチアワークスの協力は得ていたものの、プライベートチーム「シャルドネ」として前年モデルのランチア・ストラトスで最終日にフォード・エスコートのワルデガルドを大逆転して勝利したことが今でも語り草となっています。

現在でも、フランスの自動車関係NGO代表としてTV、ラジオのレギュラー番組を持ち、自動車の環境問題、交通事故防止など自動車の課題、未来について積極的な発信を続けておられます。
日本版Wikipedia 
ダルニッシュさんのページ

彼と知り合ったのは5年ほど前、トヨタ・パリオフィスの招待でトヨタの環境イベントや環境技術視察で来日されたときが最初で、その時もハイブリッド車など将来自動車について語りあい、『自律した移動体としてのオートモビリティーズ』としてエコだけではなく、走り、走行性の、静粛性などNVH(ノイズ、バイブレーション(振動)、ハーシュネス(津路面からの突き上げ感、ガタピシ感)などクルマとしての商品機能全般の進化を目指したいとの意見で意気投合しました。

当時はまだ電気自動車ブームがやってくる前でしたが、ZEVで強制された電気自動車にモビリティの未来を感ずることができず、その対案としてハイブリッドの開発をスタートさせたことを共感してくれました。

私達二人とも決して電気自動車否定論者ではありません。『オートモビリティーズ』の必然として、今のクルマに替わる次世代自動車の主役として電気自動車を描けなかっただけで、彼自身は当時も都市内限定、フランス内では免許なしでも乗れる超小型EVモビリティの推進者でした。

昨年11月にパリのシャンゼリゼ―通りにあるトヨタ・ショールームの一室にある会議室で3度目の再会、これからのモビリティについてたっぷりと意見交換をし、次の4回目の再会を約束してショールームのプリウスを前に記念スナップをとりお別れしました。

Bernard Darniche

以前からもハイブリッドをサポートしてもらっていましたが、昨年まではGMオペルからの依頼でプラグインハイブリッド車【GMのネーミングではレンジ・エクステンダー・電気自動車(EREV)】VOLTの姉妹車であるオペルAMPERAのモニターを行っていたとのことで、トヨタのプリウスPHVとの対比、プラグインの将来などを話題に、時間を忘れて話し込みました。

何かフランス語か英語で話しているような表現をしましたが、実は日仏語でのいつもお世話になっている頼りにしている通訳の方を介しての会話です。

ジャンルは違いますが、どちらも単なる移動手段だけではない『自律した移動体としてのオートモビリティーズ』、以前のブログでご紹介した言葉では“フリーダム・オブ・トラベル”“フリーダム・オブ・モビリティ”としてのクルマの信奉者です。

彼はプロ・ドライバーとしてのキャリアから、私はプロフェッショナル・エンジニアとしてのキャリアから、未来の自動車ナッシング、バッシングを心配しての意見交換になりました。

フランスでも某フランスメーカーCEOの影響か、政治家の一部に何が何でも電気自動車推進(選挙対策としてのエコ?)がおられ、BEV限定の補助金政策、公共充電インフラ整備への政府資金投入などの声を強め、また若者の自動車離れも心配なレベルと言っていました。

パリ一極集中が進むフランスでもこうした政治家のかたがたの多くが、都会住まいか運転手付の後席で移動される方なのは間違いなく、これは東京に集中する日本でも同様で、政治家だけではなくお役人や学者の方々も多くは首都圏にお住まいの机上中心のモビリティ論者が多く、さらには一般メディアの方々も『自律した移動体』の自律の部分を軽視したモビリティ論が増えてきていると紹介しました。

これに対しては、力を合わせて『自律した移動体』としての将来モビリティの重要性を発信しようとの意見で一致しました。

もちろん、ただ自動車ナッシング・バッシングを心配して手を拱いていていては意味がありません。自動車ナッシングとは思われない魅力あるモビリティの開発と実用化とバッシングされない環境レベル、安全レベルの達成が自動車エンジニアの役割です。

その上で、道路交通システム、社会インフラ整備としての提案も求められています。その一つ、次世代モビリティの技術論としての自動車電動化にはだれも異論はないと思いますが、その自動車電動化、自動制御の基本となるバイ・ワイヤ化に先鞭をつけたのがトヨタ・プリウスと自負しています。

自動車の電動化の未来は?

ダルニッシュさんとの次の話題は、この自動車の電動化を巡る議論でした。ダルニッシュさんは現在オペル・AMPERAを使われ、従来車との大きな違いを感じているのがエンジン停止モーター走行の快適さだったとのご意見でした。

クルマとしての内外装の設計と仕上がりは不満が多く、奥様はご自分の愛車プリウスの方が良いと言われているそうですが、長いAMPERAのEVレンジは快適、住宅地や都市内低速でのモーター走行は大きな商品力、長距離ドライブで別荘にでかけ、そこで使うにはAC充電で使えるプラグインのメリットを感ずるとのご意見でした。

これには半分同感、半分は反論させてもらいました。住宅地や都市内低速でもモーター走行の快適性、これは初代プリウスをやってみて私自身も感激した点でこの部分は全く同感です。しかしEVレンジの長さを競いあうことになると虻蜂とらず、現在のように多額の補助金があるうちは良いが大量普及期では補助金ナシで収益性の確保は今の延長では困難、結局上級車やSUVなど高価格帯のクルマに限定されてしまいかねないのが難点との反論をさせてもらいました。

メーカー側の論理と言われかねないことは承知の上ですが、数を増やしたからと言ってリチウムなどレアアースを使う電池コストが大きく下がる訳ではありません。プラグイン用電池のコストアップ分を電気代で回収するのは、平均走行距離が日本よりも長く、さらに日本よりもガソリン価格が高い欧州でも簡単ではなく、日本ではさらに厳しい状況です。

プラグインでも電池コスト、充電ラインの将来コストを睨みながら、補助金頼りではなくこれまた収益面でも自律ならぬ自立できるクルマにしていくにはこのEVレンジをどう決めていくかもこれからも大きな課題です。『鉄とガソリンによる自動車の終焉』はまだ先、停車時、低中速のEV走行を生かしながら、さらに連続高速走行、登坂走行、さらに充電電池を使ったあとのHV走行ではエンジンの良さを引き出すハイブリッドが目指す方向との主張をしました。

ダルニッシュさんには、トヨタからプリウスプラグインのモニターをお願いしていますので、今のプリウスプラグインとAMPERAとの比較から次世代モビリティとしての望ましいEVレンジなど次の機会にはもう少し掘り下げた議論をしてみたいと思っています。

再びパリ、こちらでのあれこれ

フランス技術アカデミーでの講演に呼ばれました

 今パリに滞在しています。今回はフランス技術アカデミー(National Academy of Technologies of France:NATF)例会での講演が主な目的で、未だにいろいろな所から声をかけていただけるハイブリッドプリウスの開発ストーリーとこれからの自動車がテーマで話をしました。

プリウスPHVのフランス実証試験を通じて知り合いになった、フランス高等教育機関グランゼコールの一つ、エコール・ド・ミン((ecole de mime)鉱山学校)の先生から依頼されての講演です。NATFでは、昨年10月に将来自動車の提言レポートを纏まとめて発行していますので、そのまとめをそのエコール・ド・ミンの先生が、そのあと私の講演と質疑応答含めると2時間たっぷり、質問攻めにあいました。

プリウス開発ストーリーはこのブログでも紹介していますがフランスでは新鮮だったようです。(自画自賛でしょうか?)明日の自動車の議論として今週日経BP社の技術サイトTechOnに寄稿したフランス・ストラスブールでのプリウスPHVの実証試験結果を紹介でも述べたようにEcoと“自由な移動手段:Freedom of Mobility”の両立として、ハイブリッド、その応用としてのプラグインに将来のポテンシャルを感じた話を強調しましたが、これには異論は全く出ませんでした。冒頭のプレゼン資料と日本語のオーラル原稿を紹介します。

図1

「日本語オーラル原稿」
20世紀は自動車の世紀、その幕を開けたのはこのT型FORDだと思います。
私は何度もMulhouse(ミュルーズ)のフランス自動車博物館*1を訪問しています。

あのブガッティコレクションに圧倒され、また欧州の自動車文化の幅の広さと深さに感銘を受け、何度行っても飽きることはありません。
あの自動車博物館を見学していると、自動車の発展が単に、人、モノを運ぶ移動手段としてだけではなく、人類の進化をけん引してきた“自由な移動手段、Freedom of Mobility” 追求の歴史だったように感じます。

プリウスは、環境、交通事故といった自動車のネガティブな影響がクローズアップするなかで、それに対処するための自動車の変革を探るプロジェクトからスタートしました。

自動車会社としては後追いだったトヨタですが、このエコと”Freedom of Mobility”を両立させる自動車の進化に貢献していきたいとの想いがしゃにむにプリウスの量産に突き進んだ決断の原点です。
*1 フランス東部、アルザス地方のミュルーズにあるフランス国立自動車博物館

これからの自動車屋の仕事は?

このような話をいろいろなところで紹介しています。エコだけではなく、自由な移動手段との両立をめざすこと、自動車バッシング、脱自動車に向かわない解決策を見いだすことが、クルマにのめり込んだ自動車屋のやるべきこととしてやってきたつもりです。

すべての方に賛同していただけると思ってはいません。さらに賛同いただいたかたにも、まだ今のプリウス、トヨタのハイブリッドではそこまで到達していないとのお叱りを受けることも承知です。私自身もそう感じています。さらに言うと、今年嬉しい驚きを与えてくれた好敵手、ホンダ・アコードHV、フィトHVもまだ私のめざしたい理想の”Freedom of Mobility”にはまだまだと感じています。

以前のブログでも述べたと思いますが、開発マネージャーには理想と現実の狭間で決断を迫られます。発売寸前に、改良したい部分、手を打っておきたい部分を残しながら生産スタートの決断を迫られます。また、当然営利企業ですから、赤字の垂れ流しは許されません。収益面からの決断も迫られ、もう少しお金をかけられればとの思いを抱きながら生産移行の決断が必要になります。やり残しを感じない開発マネージャーが存在するとすれば、お目にかかりたいものです。

フランスでの“Freedom of Mobility”の仲間

さて、今日の午前中には、もう一つ盛り上がるミーティングがありました。自動車関連で知る人ぞ知る、ベルナール・ダルニッシュさん*2と何回目かの再会です。

*2 ベルナール・ダルニッシュさん、1970年代から80年にかけて、自動車のラリーチャンピオンシップで名をはせた名ドライバー

ダルニッシュさんは、今は自動車の語り手として、フランスのTV、ラジオのレギュラー番組をお持ちで、クルマの現在、未来を発信されています。盛り上がり、意見が一致したのは”Freedom of Mobility”の考え方です。

彼が言っていたのは、フランスでも自動車嫌いの政治家が多くなり、“Freedom of Mobility”を理解してくれなくなってきているが、あきらめずに言い続けようとの話です。その自動車論議で盛り上がり、意見が一致したのが、エコだけではなく、”Freedom of Mobility”を両立させるのが未来の自動車のあるべき姿であるという意見です。

先程述べたように賛否両論はあろうかと思います。しかし、私も粘り強く日本で、この”Freedom of Mobility”を発信していくと約束をしました。

今、彼はプリウスPHVのモニターをやってもらっているようです。厳しい、プロドライバーからの”Freedom of Mobility”に向けた意見を言っていただくことをお願いし、次の再会を約束してお別れしました。

最後の写真は、NATFでの講演からの帰りシャンゼリゼの近くで見かけた興味深いクルマの写真です。今話題の電気自動車テスラ・モデルSがパリでやっている電気自動車のカーシェアプロジェクトAutolibeの路上充電ステーションで充電をしている状況の写真です。パリでも目を引くクルマですが、それでもお金持ちのセカンドカー、サードカーとして使われているクルマだと思います。

写真

急速充電でもないAutolibの充電ステーションで充電に何時間かけるのか、興味はつきません。(電池が空っぽから充電すると、フランスの商用電力、三相交流220V、標準15Aの充電で20時間以上はかかる電池を搭載しています)

パリBEVカーシェア・オートリブの今

今、パリに滞在しています。ある石油会社から将来モビリティについてのトップレクチャーを頼まれ、久しぶりの欧州出張です。

出発日朝の成田エクスプレスも結構な混雑で、トラベルバッグを車室入り口のロッカーに置けないほどでした。また成田空港、ラウンジもまた搭乗機もいつになく混雑していました。9月の今時分は欧米のバケーション明けで日本からのビジネス客が増える時期ですが、今年はそれ以上に増えているようで、経済回復の兆しを感じました。

長く続いた猛暑とその後の残暑でバテ気味でしたが、こちらは到着日の最高気温14℃と肌寒いくらい、公園のプラタナスも色着き初めており、既に秋のさなかの印象です。

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自動車業界は今週末からフランクフルトモーターショーが開催され、一般公開は今週14日(土)からですが、それを前に10日からメディアデー、飛行機にはこのフランクフルトモーターショーに出席の自動車関係者も多かったようです。

汚れたままのBlue Car

さてそんな今日の話題は、パリの電気自動車カーシェア、オートリブの今です。オートリブはパリ市長の肝いりで、フランスのコングロマリットであるボロレー社のトップボロレー氏が企画し、巨額の個人資金を投入したプロジェクトです。

二年前の開業時から、フランスに出張にでかけるたびに定点チェックとして宿泊しているホテルの近くの貸し出し&充電ステーションとクルマの状況を見て回ってきました。その印象記です。

BEVの利用法としては、このような都市内カーシェアはありと思っていました。パリ市内の自転車レンタル“ヴェリブ”のBEV版がオートリブです。最初の計画は全て具体化し、パリの中心部を中心に貸し出し&充電ステーション整備が終わり、次の段階で郊外展開が計画されているようです。

確かに、市内のいたるところにステーションがあり、街でも時々走っているのを見かけるようになりました。ステーションも貸し出し中の空きステーションが目につくようになりました。

Autolibはレンタルと違って、Face to Faceの貸し出しではなく、インターネット利用の無人&自動の予約、貸し出しシステムです。しかし、今回はその問題点も感じました。まだサービス開始2年ですが、不特定多数の無人貸し出しが原因と思いますが、クルマが汚くなり、傷だらけ、まどから除いてみてもシートの破損、汚れが目につきます。

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車両の清掃は多分やっているとは思いますが、ひどい状況です。程度の良いクルマが開いていても、使えるクルマは予約時に指定され、その変更ができなく、程度の悪いクルマにあたったユーザーの苦情も多くなっていると聞きました。

レンタカーとも違い、貸し出し前のチェックなど行われていないため、このような自体に陥っているようです。自分のクルマでない不特定多数が使うシステムでは、こうなることが心配されていましたが、まさにその状態に陥りつつあるように感じました。たった2年でこの状況ですから、先が思いやられます。

どこまで、クルマとして使い続けることができるのか、また修理、メンテナンス費用を払ってビジネスがどうなるのか、その運営は厳しいように感じました。

車両の偏たよりが顕在化

また、シャンゼリゼー付近など中心部のステーションでは、朝から空きスペースが多く、稼働率が高いように感じましたが、パリ在住の知人から聞いたところによると、中心部のクルマは夜間に借り出され、郊外の自宅に持っていかれ空きが多くなっていることが問題となっているそうです。

自宅に持っていき次の朝にそのクルマを使えばと、駐車所の心配もなく中心部のステーションに返せるという、使用者の都合に合わせた使い方が多く、それによって車両の偏在が出ており、朝借りようと思ってもクルマがない状況とのことです。

当初の意図とは違った使い方で、偏在したクルマを自転車レンタル、ヴィリブのようにトラックに積んで配置しなおすことなどはそう簡単にできず、これもまた問題のようです。

大都市のBEVカーシェアはBEV普及の手段、さらに都市内への自家用車乗り入れ規制とセットで、新しい都市交通システムにしようとしていますが、この先どうなるか今後も注目して見ていきたいと思います。BEVだけではなく、クルマの保有から、レンタル、カーシェアの動きが日本でも強くなってきていますが、こうした自己保有ではないクルマでその維持管理はうまくいくかどうかが拡大できるかのポイントになると思います。

メンテ費用、修理費用がかかり、その保険費用まで積んでいくと、会費、使用料をあげざるをえず、ここでも収益性が問題となってきます。欧州でもオートリブに続くBEVカーシェアの動きはありますが、パリの様子をみているというのが実態のようです。

パリのEVカーシェアプロジェクト“Autolib”のいま

今日のブログは、1年前の10月にも取り上げた、パリ市が支援し、フランスのコングロマリット「Bollore:ボロレ」グループが出資し運営を受託して昨年スタートさせたEVカーシェアプロジェクト“Autolib”のいまを取り上げてみたいと思います。
Autolib Paris : http://www.paris.fr/autolib
Bollore group : http://www.bollore.com/

Autolibはこれまでに行われた、また実施中のさまざまなEVやプラグインハイブリッドを使ったプラグイン自動車のカーシェアプロジェクトの中では、投資額、その規模が最大でその展開スピードも目を見張るものがあり、これからのEV展開として私が注目しているプロジェクトの一つです。スタートは昨年10月で、今月で丁度1年が経過しました。

AFPの報道によると、「Bollore」としての総投資額はこれまでに17億ユーロに達しており、パリおよび“パリ都市圏、イル・ド・フランス州”でのカーシェアステーションを含む充電ポイントは当初計画の6,000ヶ所に対し、本年の6月末には4,000ヶ所に到達、さらに周辺地域への拡大を進めています。

整備が進められるフランスのEV環境

私は、昨年の10月のスタート時点から、パリに出張する度にその貸し出し&充電ステーションの整備、クルマの貸し出し状況などを見て回っていますが、その進捗の速さには目を見張るものがあります。フランスでのEV車販売状況でも、本年前半期(2012年1月~6月)で全EV販売台数5,446台中トップの1,383台を記録、昨年10月以降に計画に近い水準で配車を進めていることを裏付けています。(計画2012年6月までに2,000台、当初計画3,000台)
Inside EVs: http://insideevs.com/france-electric-vehicle-sales-scorecard-through-june/

ちなみに、このデータによると、2位以下はルノーTwizy80 1,212台、3位ルノーカングー ZE 1,058台、4位にTwizy80の兄弟車で最高速度を45km/hに抑えたTwizy45の339台とルノー勢のEVが占めています。さらに余談ですが、このTwizyは日本ですでに公道試験を開始しているNissan New Mobility Conceptとほぼ同じもので、おそらくは日産のEV技術をちゃっかりとルノーが取り入れてフランスで日産よりも早く量産化をスタートさせたものと思われます。キャノピー付の4輪スクーターと云ったところですが、パリの狭い小路にあるカフェー前の狭い駐車スペースに縦に駐車している姿などは、パリにマッチしている印象です。


          
“Autolib”に話を戻しますと、10月の仮オープン直後の10月3週目にパリに行った時が最初、その時もシャンゼリゼ通りから一歩入った小路に、それまでは駐車できた路側帯に貸し出し&充電ステーションが設置されている場所を見学し、またシャンゼリゼ-通りから凱旋門を抜け、新しい官庁街で、新凱旋門と呼ばれるフランスの省庁が入っているモダンなオフィスビルなど構想ビルが建ち並ぶラ・デファンス地区に通ずる道路のそこかしこで貸し出しステーションや充電スポット工事が進められているのを見ることができました。

また、写真3のように、それまでは市が認めていた繁華街にある通常の駐車スペースをつぶし、一気に“Autolib”貸し出し&充電ステーション工事を始める強引さにもビックリさせられました。これは、現在のパリ市長ドラノエ氏の鶴の一声、パリ市内へのクルマ乗り入れに規制をかけ、駐車スペースを減らし、その替わりとして市内専用の足代わりとして計画し、ボロレグループのトップ、ボロレ氏が私財を投じてスタートさせたプロジェクトです。強引さではひけをとらない東京都の石原知事でもここまでの強引なやり方はできないでしょう。

移動手段の転換を進める欧州

“Autolib”は、同じパリ市でスタートしたパリ市営レンタサイクル”Velib”(ヴェリブ)の自動車版として、市の後押しがあってスタートさせたビジネスです。“Velib”は今では、市民の足として欠かせない乗り物となり、この”Velib”貸し出しステーションもパリ市内の至る所で見かけことができ、無人の貸し出しステーションからクレジットカードを使って簡単に会員登録をし、借り出すことができます。“Velib”の自転車は非常に重く、頑丈な作りですが、それでも破損が多いようで、市内を歩くと、その破損した自転車を集め、また一ヶ所に固まってしまった自転車を配車して回るサービストラックをよく見かけます。この運営は、スポンサー企業と会費で運営できているよう、これを倣ってストックホルム、コペンハーゲンなど欧州の様々な年でも同様の公営レンタ自転車ビジネスが花盛りとなっています。
http://paris.navi.com/special/5029791

この二匹目の「どじょう」を狙ったのが“Autolib”です。ことしに入ってもその拡大ピッチはゆるまらず、図4、5に示すように、犬も歩けばならぬ市内を歩き回れば貸し出し&充電ステーションに当たる状態になってきました。また、今回はパリ郊外にある、エネルギー関係の研究所を訪れましたが、その近くにも貸し出し&充電ステーションが設置されており、パリを含む“イル・ド・フランス州”への拡大も進み始めているようです。

ボレロ社の発表ではパリ&イル・ド・フランス州のほか、フランス各都市にも展開するとしています。またボロレ社単独として、このブルーカーの法人、個人用リースビジネスをスタートさせるとの報道があり、このリース車を使うと“Autolib”の充電ステーションが使えるとのインセンティブがあるようで、駐車場難のパリでどのようなビジネス発展があるのか注目されます。また、フランスの電力ミックスは何度もこのブログでお伝えしているように、ゼロCO2電力が90%を超えますので、台当たりのCO2削減効果も大きいことは確かです。

既に4,000台以上が配車されており、パリ市内を歩いていても時々このBlueCarを見かけるようになりました。

最近パリ市では、自動車の市内乗り入れ規制を強化し、リングと呼ばれる市内を一周する自動車専用道路(高速道路)の速度制限を70km/hに強化するほか、既に市内の速度制限強化と取り締まりの強化を行っており、規制として公共交通機関、Veribなど自転車、AutolibなどEVカーシェア等へのモダルシフトを行おうとしているようです。ロンドン、ストックホルム、ストラスブールなど欧州の様々な都市にもこのような動きが盛んになってきています。渋滞緩和、人身事故防止から止むを得ないところもありますが、移動の自由、”Freedom of Mobility“の信奉者、根っからの自動車開発屋である私としては、強制的な脱自動車へ向かわない”賢い次世代自動車“の出現を願っています。

机上の空論で語るよりも

この“Autolib”使っている電気自動車はボロレ社がイタリアのカロッツエリア ピニンファリナ社と共同開発をし、ピニンファリナ社が委託する工場で生産したBlueCar(ブルーカー)と呼ぶ、写真のような2ドアハッチバックの電気自動車です。電池は、ボロレ社内製のリチウムポリマー電池を使い、床下に搭載、走行モードは判りませんが、フル充電で250km走行レンジを持つと公表されています。

今年このBlueCarがロンドンにある「デザイン・ミュージアム」主催の「デザイン・オブ・ザ・イヤー」を受賞しましたが、私の目からはずんぐりむっくり、床下に大容量の電池を搭載したせいかドライビングポジションも高く、またパリ市内で使う都市内コミューターとしては大きすぎるように感じました。

EVならば、スマートForTwoEV、トヨタのeQ、またオープンすぎてセキュリティや雨風への全天候性には難がありますがTwizyのような1.5シータ-~2シータがEVカーシェアとしては合っているように思いました。使用実態としては、会員数は予定どおり増えているようですが、写真4、5に示すように、どのステーションをみても貸し出し中のクルマは少なく、稼働率は非常に低いように感じました。”Velib”ではスポンサーフィーが多く集まり、故障修理含めて運営を続けられる経営状態のようですが、高額のEVと結構立派な充電ステーション&貸し出しステーションを設置し、ほぼ自動化とはいえ、クルマと充電ステーション両方の故障、破損の修理、メンテナンスなど行い経営的に成り立つとはとても思えず、どこまで拡大していくか、デモンストレーションで終わるのか注視していくことが必要と思います。

しかし、ここまで広く充電ポイントを設置したものを有効に使わない手はありません。この充電ポイントを拠点としてプラグイン自動車普及への動きがスタートすることはまず間違いはないと思います。このパワーそのもの、またスピーディな決断は見習うべきと思います。

国内でも、軽の下のクラスの市内専用のコミューターEV規格の構想が議論されたようですが、今日紹介したパリはまだ環境整備が十分とは言えませんが、自転車専用路、人/自転車/自動車路の分離、混合交通環境での厳しい速度制限など、道路環境整備、交通規制、啓蒙活動とセットで展開されていることを忘れてはいけません。

パリのオートリブ(Autolib)

パリで世界最大規模のEVカーシェアリングプロジェクトがスタート

フランスのパリ市で今週初めから、EVのカーシェアプロジェクトの試験運用が開始されました。当初はパリ市内にある33カ所の貸し出しステーションで66台のEV車でスタートし、本年12月には、250ステーション、250台に増やす予定で、その後はパリ市に隣接するイル・ド・フランス圏にも拡大し、来年夏には1100ステーション、2,000台、最終的には6,600ステーション、3,000台を目指すとのことです。

http://www.paris.fr/accueil/deplacements/autolib-les-premieres-stations/rub_9648_actu_94468_port_23738(パリ市)
http://jp.reuters.com/article/idJP2011100201000558(ロイター)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2832255/7863530?pageID=2(AFP)

このプロジェクはパリ市のドラノエ市長発案のもと、2009年にその構想を発表され、このプロジェクトに参加するEV車や充電ステーション運営サービスの公募を行われ、結果、バンサン・ボロレ(Vincent Bollore)氏率いるル・モンド誌などメディア関連企業から、自動車部品、リチウム電池など様々な企業グループから構成されるフランスのボロレグループ(Bollore Group)が受注しました。使用されるEVは、フェラーリのデザインなど自動車デザインで有名なイタリア最大のカロッツェリア(自動車モデラー)として有名なピニンファリーナがボレロ社と共同で開発を行ったもので、Blue Carと名付けられています。電池はボレロ社のリチウムメタルポリマー電池を搭載、製造はイタリア・トリノにあるピニンファリーナ社の工場をリースして生産しています。

車両諸元は全長3650、全幅1700、車高1610の4人乗り、三菱i-MieVと日産LEAFの中間に位置するサイズですが、軽量ボディーにi-MieVのロングレンジタイプの電池エネルギー16.0kWhの倍近く、LEAFよりも多い30kWhのリチウムメタルポリマー電池(LMP)を搭載し、欧州走行基準で航続距離250kmを持つと発表されています。LMPは、現在のリチウムイオン電池の以前に開発され、充放電の繰り返しで導電性物質が析出し短絡をおこしてしまう問題があり、今のリチウムイオン電池に置き換わっていったいきさつがあります。ただし、それをウルトラキャパシタとの組み合わせで解決したとの話もあり、そのコストとともに実際はどう使っているかにも注目しています。

なお、このクルマはピニンファリーナのデザインらしい、洒落たスタイルの4人のりコミューターで、これまた洒落たデザインの貸し出しステーションや充電端末、貸し出し用端末とともに、パリ市街にどのようにマッチしているのか、今から楽しみです。会員代や使用料金なども発表されていますが、使用料は30分単位の設定となっており、短時間利用を狙ったコンセプトのようです。

バンサン・ボロレ氏いわく、このオートリブプロジェクトにボレロとして100万ユーロ以上を投資したとのこと、どのようなビジネスモデルを描いているのか興味のあるところです。

ベリブの自動車版

現時点の計画では、EVカーシェアとして世界最大の規模となり、パリ市関係者の発表によると、公共交通機関と個人用の乗り入れ自動車の間をつなぐ位置づけとして、パリ市民の足として定着しているバイク(自転車)シェアプログラム“ベリブ”(Verib)の自動車版を狙ったプログラムとのことです。

パリ市 バイクシェアプログラム “ベリブ”(Verib) 貸し出しステーション
パリ市 バイクシェアプログラム
 “ベリブ”(Verib) 貸し出しステーション

この“ベリブ”は、旅行者も借りることができ、メトロやフランス国鉄(SNCF)の駅から借り、どこの貸し出しステーションに返してもよい仕組みで、街を歩いていてもこの貸し出しステーションやこれを使って走っている人たちが見慣れた日常の風景となっています。“ベリブ”プログラムは、会費と使用料以外にも、広告宣伝のスポンサー収入もあるようで、運営面も安定しているようです。しかし“ベリブ”規格に基づく頑丈な作りですが、それでも故障が多発、故障というよりも故意に壊されるケースもあるようで、また雨の日やよくある交通機関のストの日などでは、鍵をかけて自分専用にしてしまうなど、マナー違反も多いとも耳にします。大都会でのコミューターEVによるカーシェアビジネスは、航続距離に制限のあるEV普及の一つの方向と過去も様々なトライが行われてきましたので、今回こそはと期待も大きいと思います。しかし、2年ほど前に、ドイツのカーシェア運営会社を訪問したことがありましたが(EVではなく、小型車の地域カーシェア会社)、安いサブコンパクトクラスを使い、ボランティアのサポートを受けてやっと赤字をださないで運営できていると言っていましたので、その2倍以上も高価なクルマに充電設備など付帯設備も高額なEVカーシェアビジネスをどのように成立させるのかも気になるところです。このパリ市のオートリブ Blue Carだけみると、自社製といえども30kWhのエネルギー容量で300kg以上の重量を持つリチウム電池を搭載し、結構高くつく新素材の軽量ボディーのクルマで、この規模の生産量でパリ市にどれくらいの納入価格で納入できているのか、最終的に3,000台のEVと6,600カ所の貸し出しステーションに充電器、貸し出し用端末、カード費用などを含めると相当な費用になると思いますが、ビジネス的にも成立しているベリブに対しオートリブが2匹目の“どじょう”となるかも注目です。

カーシェアリング、自動車の未来は?

日本でも、民間と地方自治体タイアップによるEVカーシェアプログラムが開始されていますが、まだこのサービスが日常に入ってきてる段階にはありません。プログラムの規模も小さく、まだまだビジネスとしての成立性を議論するフェーズではないのが現状ですが、海外の事例とはいえこのオートリブを筆頭とした欧州大都市での実証試験の結果は、カーシェアリングが今までのような環境コンセプトの状況から実際のビジネスとして成立するものに発展できるのか、大いに参考となるものでしょう。

カーシェアリングはスマートシティ計画などとあわせて、モビリティの未来を担うものとして、大いに期待されてきました。しかしながら、EVやPHEVといった車両の変化以上に、自動車保有の文化を変えるというこのコンセプトは決して順調に普及しているとは言えません。また、プラグイン車(EV・PHEV)を使用しないカーシェアリングについても、国内外で多くのサービスが開始されていますが、厳しい言い方ですが、まだまだ多くのサービスが単に少しだけ手続きが簡略化されたレンタカーに過ぎないというのが現状だと思います。
また数年前に、ドイツのカーシェアについて現地で話を聞く機会を得たのですが、カーシェアリング先進国といわれるドイツでも、開かれたビジネスではなく、一種の環境社会運動だからなんとか成立しているというのが私の率直な感想でした。

公共交通機関の発達した大都市を持つ日本や欧州では、クルマによる大気汚染、渋滞、騒音対策として、都市圏への自動車の乗り入れ制限や速度制限とセットでこのようなEVカーシェアプログラムの構想は、これから拡大していくことでしょう。
しかし、正直に言いますと、カーシェアリングについては、一部その構想の中に新たなモビリティの形態としてではなく、脱自動車への一段階となりうるのではという懸念を拭えないところもあります。また、これは一部EVについても当てはまるものです。
個人的には、そのような考え方のもとでは、このようなサービスがビジネスとして普及することはないと思っていますし、逆にビジネスとしては今までの自家用車の自由度を大きく下げることはなく、その上で自家用車にはない利便性や経済性などを付加したものではなけば市立しないと考えています。私も、クルマ屋として、この新たな自動車の形態については、これからも厳しく慎重に見続けていきたいと考えています。