米国トヨタ本社のテキサス移転

少し旧聞となりますが、4月28日(月)にトヨタはこれまでカリフォルニア州(加州)トーランス市においていた米国本社をテキサス州プラノ市に移転すると発表しました。トヨタの発表によると、米国とカナダの企業活動全体を”One Toyota”ビジョンで行うためにプラノ市に移転し機能を集約すると説明しています。

もともとトーランス市に置かれていたのは、米国での販売、マーケッティング拠点であった米国トヨタ自動車販売の本社で、車両開発、生産、渉外機能とは別機能でした。その後、米国での現地生産、現地生産活動が増加するにつれ、米国全体の本社機能と位置づけられました。開発部隊のなかでも、筆者のようなエンジン屋にとっては、デトロイト近郊のアナーバー市にあるテクニカルセンターとともにトーランスの隣、ガーディナ市に置かれたラボが馴染みのある米国の拠点でした。そのガーディナラボは、エンジン評価、車両適合の拠点とともに、世界の自動車環境規制をリードしてきた加州大気資源局(CARB)と将来自動車環境規制のルールメーキング、試験法についての情報収集や、CARBとの認証届け出業務の重要拠点でもありました。プリウスの発売後は、実用的な次世代環境車としてCARBのスタッフ達が実用的なクリーン/グリーンビークルとして高く評価してくれました。それに意を強くして、全米どころか世界へハイブリッド車を広げる戦略の説明、将来ビジョン議論のためガーディナラボのメンバーとともにトーランス本社に何度も足を運んだ記憶があります。

このテキサス移転を伝える5 月のGreen Car Reportは、「Toyota’s Texas Move: Prius Maker Lands In Highest-Carbon State」との見出しでこのニュースを伝えています。テキサス州は温室効果ガス排出量が全米50州中1位、一州の排出量として、フランス、イギリス、カナダを超えています。これを根拠に、環境自動車プリウスを販売している会社が環境問題を重視していない州に本社を移したことを皮肉った見出しをつてけています。温室効果ガス排出最大州となっている要因としては、19もの火力発電所があること、化学工場が多いこと、都市部でも公共交通機関が少なく、もっぱら自動車、その自動車も大型ピックアップトラックや大型SUVが多いことが上げられています。一方、ハイブリッド車比率は全米平均を大きく下回っており、さらに、ペリー知事は地球温暖化懐疑論者であったことは有名です。

もちろん、様々な法規制や法人税率など企業活動のやり易さ、広い米国全体に散らばる拠点のコントロールセンターとしての地理的な条件からは加州よりもテキサス州が有利のようです。しかし、21世紀の企業ビジョンとして「環境・エネルギー問題へ対応する自動車の変革」を掲げ、ハイブリッドプリウス開発に取り組み、次世代自動車をリードしてきたトヨタが、環境規制をリードしてきた加州から「Highest-Carbon State」に移転したときの影響をどう判断したのか、知りたいところです。

何度かこのブログでも紹介してきたように、筆者自身は現役のクリーンエンジン開発リーダの時から、加州ZEV規制には反対を続けてきました。。大気汚染の深刻さを否定していた訳では決してありませんし、開発を手がけてクリーンエンジン車のクリーン度はCARBも太鼓判を押す経年車クリーン度NO1だったと自負しています。もちろん、排ガスシステムのリコールを命じられてことは一度もありません。クリーン度の改善手段として、まだまだエンジン車でもやれることがあり、やり遂げる自信もありました。さらに走行中ゼロ・エミッションの定義が納得できず、さらに今も基本的には変わっていませんが、短い航続距離ではクルマの機能としてエンジン車に起き買われないことが明かだったからです。。

1990年代の初めに、前述のロス近郊のCARBラボやサクラメントのCARB本部で、ZEV規制ルールメーキングスタッフ達や幹部達と、「走行中のZEVは誤解を招く、発電エミッションも入れて議論すべき」と激論を戦わせたことを思い出します。いわゆるエミッション・エルスオエア・ビークル論を戦わせました。そのときの彼らの反駁は、「カリフォルニア州には石炭火力はなく、クリーンな天然ガス火力と原発、さらにアリゾナ、コロラド州からの水力発電だから電力もクリーン、さらにオゾン濃度の高いロス地区、サクラメントには天然ガス発電所すらないので文字通りZEVだ」との主張でした。トヨタ社内のEV開発リーダーからも、あまりEV開発に水をかけないで欲しいと、クレームを付けられたのもこのころの思い出です。

僅かな台数のZEVを導入するよりも、触媒もついていない古いクルマ、いかにもエンジン失火のまま走っている故障車を減らすほうがよほど大気改善には貢献できるとの主張もしました。「効果が大きいのは判っているが、大気改善が進んでいない現状ではイメージ優先、ZEV規制を引っ込めるわけにはいかない」と言われてしまった。ロス地区のオゾン発生メカニズムや大気環境モデルを勉強をしたのもこの頃です。

その後、加州では、自動車のLEV規制や自動車だけではない様々な規制強化によりロスのオゾン濃度は低下をつづけ、またPMの改善も進んでいます。しかし、この環境改善効果は当時の議論のとおり、ZEV導入の効果はほぼゼロと言ってよいでしょう。自動車排気のクリーン化と古いクルマが新技術のクリーン車に置き換わり、さらに最近のニュースにあった停泊中の大型船舶電源として一般電力(グリッド電力)への切り替え、レジャー用船舶、アウトドア車両の規制強化などによる効果とされています。さらにPM2.5の排出源として、航空機からの排気の寄与率が高いとの調査結果も報告されています。

残念ながらZEV規制を止めることはできませんでしたが、CARBの幹部やスタッフ達とこうしたディベートをフランクにやれたことはアメリカのオープンさの表れとして良い思い出でした。”Prius”発表後は、この実用ハイブリッド車の開発努力とクリーンポテンシャルを高く評価し、新カテゴリーの先進技術パーシャルZEVカテゴリーを新設してくれるなど普及をサポートしてくれまいた。さらに環境保全の”リアルワールド重視”の部分では、技術的に納得できる提案は採用してくれるなど、オープンでフランクな信頼関係の構築ができたと思っています。

いまもZEV規制には、オゾンやPMといった都市部の大気汚染の規制としては”リアルワールド”での改善効果の少なさから賛成できません。特に自動車から排出されるCO2まで温暖化ガスとしてZEVに取り込んだ動きは、加州だけの問題ではなく、グローバルな問題、もう一度ZEVの定義について当時の議論を材料にCARB幹部やスタッフ達に反駁したいところです。CO2はどこで排出しても気候変動に影響を及ぼす温室効果ガスであり、走行中ゼロでも発電所での排出を含めて評価をすべき「エミッション・エルスオエア・ビークル」です。某社がZEVクレジット販売で利益を上げるのは異常、低カーボン車の普及によって環境保全に寄与できるとの主張は当時も今も変わりはありません。

CO2排出量ではあっという間に中国に抜かれてしまったが、アメリカは中国に続く世界二位、さらに一人当たりのCO2排出量では今でも群を抜く化石燃料多消費国、このアメリカがやっと本気で温暖化対策のためのCO2排出削減に舵を切ろうとしています。CAFÉ規制強化は決まりましたが、まだまだ大型ピック、大型SUVが好まれる国です。低CO2次世代車はハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気自動車含めてわずかシェア3.8%と低迷しています。中国とともに、この国が低CO2に動かなければ低カーボンのグローバルな新たな削減活動の枠組み条約は成立しません。その中で、自動車の変革は待ったなしですが、実用技術の裏付けのない規制や、国際政治のパワーゲームで次世代自動車の普及が加速するわけではありません。

規制対応だけではなく、実際にクルマの魅力を高め、この次世代自動車比率を高めることが自動車分野の低カーボン化のポイントです。これをリードしてきたのがトヨタ、ホンダ、日産の日本勢、そのなかで我々は『Prius』で先頭を走ってきたとの強い自負を持っています。この次世代自動車普及の背中を押したのが、私自身、ZEV定義と規制には賛成できませんが、カリフォルニア州ZEV規制であったことは間違いないと思っています。『Prius』を筆頭に次世代自動車普及のアーリーアドプターとしてハリウッドのセレブ達やシリコンバレーなど西海岸の人たちからの強いサポートがあったことを忘れることはできません。

この話題の最中に、ピークオイル論ならぬ、ハイブリッドピーク論が話題になっています。*

*  Could U.S. Hybrid Car Sales Be Peaking Already–And If So, Why?

「アメリカのハイブリッド車販売は既にピークをすぎたのか、それは何故か?」

16 June, 2014 Green Car Report

http://www.greencarreports.com/news/1092736_could-u-s-hybrid-car-sales-be-peaking-already–and-if-so-why

 

ハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気自動車含めた次世代自動車の2013年販売シェアは僅か3.8%、このうちプラグインハイブリッド、電気自動車併せて0.6%と比率としては増加していますが、ノーマル・ハイブリッドを押しのけコンベ車に置き換わっていく勢いはありません。

折しもトヨタは年内の水素燃料自動車販売を発表しましたが、電気自動車=ZEVの代替候補として実用化の暁にはクルマの航続距離に優れた水素燃料電池自動車の実用化支援活動をリードしてきたのも加州です。まだ、水素燃料電池自動車普及へのハードルは高く、これが『Prius』を名乗ったり、ポスト『Prius』になるには時間だけではなく、技術ブレークスルーも必要ですが、このアーリーアドプターマーケットも加州が務めてくれることは間違いないと思います。

しかし、いつになるか判らない水素燃料電池車普及の前に、全米で僅か3.8%のシェアの次世代自動車シェアを拡大していくには、やはり加州のユーザーにアピールでき、また環境性能としても電気自動車、水素燃料電池車と競合できる、ハイブリッドピーク論をぶっ飛ばす次の先進『Prius』出現に期待したいところです。

 

 

2013年デトロイト・ショーを遠くから見て

今回も、八重樫尚史が書かせて頂きます。このブログの右肩にもリンクを新設しましたが、コーディアではメールニュースサービスを開始し、多忙の代表の八重樫武久の代わりにこのブログに登場する機会が今後増えるかと思います、改めましてよろしお願い致します。

回復基調が鮮明なアメリカ自動車市場

さて、現在アメリカ・デトロイトでは、北米国際オートショー(通称:デトロイト・ショー)が開催されています。デトロイト・モーターショーは隔年の東京モーターショーは違い毎年開催され、自動車業界にとっては年始の恒例となっているイベントです。

アメリカの2012年の(大型トラックを除く)乗用車の販売台数は約1478万台で、リーマン・ショックの後で1000万台強まで落ち込んだ2009年を境に翌年から3年連続で年率1割以上の増加となっています。ただし、リーマン・ショック前は毎年1700万台で推移していましたので、まだ回復余地があると考えられています。(アメリカの販売台数はWardsAutoの統計データを使用)

なお、日本の販売台数は軽自動車を含めて約577万台(自販連全軽自協のデータより)、EU27カ国とEFTA(アイスランド、ノルウェー、スイス)を併せたヨーロッパは、金融危機の影響によって前年比-7.8%と1995年以降で最低の数字となり1252万台になります(ACEAの発表データより)。また、中国については正確な数字はわかりませんが、1900万台程度であったと報じられています。

アメリカの市場はその台数の多さもそうですが、地域内のメーカーのシェアが圧倒的な日欧中の市場とは異なり、他国メーカーのシェアがビッグ3と呼ばれる国内メーカーのシェアが50%を割り込む市場であるのも特徴的です。広大な国土を持つためか他と比較して大型の自動車は好まれるという消費者の傾向はあるものの、最もオープンな市場と言って間違いはないかと思います。

「エコが後退したショー」??

さて、そんなアメリカ市場を代表するデトロイト・ショーですが、今年の日本での報道を見ると「エコカーの存在感が無くなり、代わりに大型車やスポーツカーが目立ったショー」として紹介されることが多いようです。

確かに今回のショーでは、ここ数年エコカーの象徴とされたバッテリーEV(BEV)の新車が少なく、あったとしてもテスラの高級SUVEV『Model X』やVIA MotorsのBEVピックアップトラックや大型SUVで、広く普及を目的とするモデルは見当たりません。

おそらくは、そういった状況を見て「エコカーの存在感が無くなった」と報じているのかと思いますが、ショーで紹介されたモデルの詳細を現地報道から追っていくと、そうではないではないかと感じています。私自身、現地に行っては居ないので、その空気感などは解らず、断言などはできないのですが、おそらく「エコカー」の定義の一人歩きによってアメリカ市場の方向性の分析が歪んでいるような気もしています。

さて、個人的に今年のデトロイト・ショーのニュースを通じての感想を言うと「SUVの再拡大の機運が感じられたショー」というものです。こう書くと「つまり、「エコカーの存在感が無くなった」というのは間違いないじゃない。」と思われるかもしれませんが、私はそう感じてはいません。

SUVと特にそのベースとなったピックアップトラックは、今でもベストセラー・カーで、実際に2012年のアメリカでの最量販車はフォードのFシリーズというピックアップトラックです。勿論、これだけ大型のクルマですから、小型自動車と比較して燃費は圧倒的に悪く、「エコカー」とは対極的な存在とされています。

今回デトロイト・ショーで、こうした昔からのピックアップトラックが大手を振っていたのかというと(いや、実際には展示されており、確実に存在感を放っていたのでしょうが)、各社の新モデル技術発表を見ているとそうとは思えませんでした。

代表もこのブログで何度も、自動車の様々な意味での「ダウンサイジング」は「エコ」の基本だということを書いています。「ダウンサイジング」には、近年欧州系メーカーを中心に主流となりつつある小排気量過給エンジンの採用や、車体の軽量化や小型化も含まれます。また、代表も繰り返していますが、ハイブリッドもエンジンへの依存を低減させて「ダウンサイジング」をもたらす技術でもあります。

オバマ政権も燃費規制を厳しく方向性を打ち出し、またガソリン価格が高止まりしている中、SUVといえどもその流れを無視出来るわけがなく、今回のショーの注目モデルの多くはこうした「エコ技術」を採用したモデルでした。

デトロイトで目についたSUV

具体的に挙げていきますと、大型SUVの象徴的モデルであるクライスラー『ジープ・グランド・チェロキー」の新モデルには、3.0lのディーゼルモデルが設定されました。高速ではこれまでの大型SUVと比較すれば非常に良い30mpg(12.75km/l)の燃費を誇るとうたっています。

上に挙げたピックアップトラックのフォード『Fシリーズ』も、既に「EcoBoost」と名付けられたターボ付きダウンサイジングエンジンモデルも用意されており、将来はアイドリングストップ機構を搭載するともされています。

また、VWも『CrossBlue』というアメリカ市場に向けたSUVのコンセプトモデルを展示しました。これは現行のVWのSUVである『ティグアン』と『トゥアレグ』の中間に位置するサイズのクルマで、コンセプトモデルには2.0lディーゼル・ハイブリッドが搭載されています。市販車もディーゼル・ハイブリッドになるのかは疑問ですが、コンセプトや写真を見る限りアメリカ市場での販売の可能性は高そうという印象です。

日本勢でも日産が次期ムラーノかと言われているコンセプトモデル『Resonance』を展示しています。コンセプトにはAWDのハイブリッドパワートレーンを積んでいます。こちらのデザインは市販では変わりそうですが、現時点では『シーマ』や『フーガ』のみとなっているハイブリッドシステムを次はSUVに持ってくるというのは、極めて妥当な方向性です。

ホンダは『Urbun SUV』というフィットベースとされるSUVコンセプトを展示しています。これまでに発売された小型SUVが代を重ねる中で大型化した中、再びこのような小型SUVの登場には期待が寄せられているようです。またホンダは昨年、小型自動車向けの新ハイブリッドシステムを発表していますので、それの搭載も期待されます。

なおアメリカでは、ピックアップトラックと同じくフレーム構造を持つもののみSUVと呼び、乗用車由来のクロスカントリー向けのクルマはクロスオーバー車もしくはCUVと呼ぶケースが多く、上記の『グランド・チェロキー』以外の車種はクロスオーバー車とされます。2012年の販売実績では、大型SUVが、ほぼ全てのセグメントで前年比でプラスなのにも関わらず前年割れしており、こうしたSUVの中でも小型化が求められているのが見て取れます。

本当に「エコ」って何だろう?

ここまで、今回のショーで目についたSUVを並べましたが、こういった車種を見ても果たして「エコ」に目を背けていると見るのでしょうか?確かに、軽自動車の販売台数が拡大し、また登録車ではハイブリッドのシェアが非常に高くなった日本から見ると、多少は燃費が改善されたとはいえどうしても燃費の悪くなるピックアップトラックやSUVが注目を集めるアメリカは「エコ」では無いと見えるかもしれません。

しかしこのブログで繰り返し述べているように、本当の「エコ」つまり化石燃料消費を減らし、温暖化ガス排出の低減をすることを求めるのであれば、1台を電気自動車に代えるよりも、100台の既存車両の燃費を10%上昇させることのほうが効果があります。

また、既存車両の買い替えも、消費者が求めるものでなくてはなりません。それぞれの国・地域がそれまでの伝統などによって形作られた自動車文化を持っており、それを急激に変えることは非常に困難というよりもそれを行った際の反発を考えると不可能でしょう。

その時に自動車メーカーに提示できるものを考えると、これまでの利便性を捨てずに、アメリカで言えば大型車の居住性や堅牢性をそれほど失わずに、なんとかそれの燃費効率を向上させることこそが「エコ」でしょう。その点で見ると、私個人としては、今回のショーは各社とも現時点で可能な技術でこうしたSUV達を何とか次世代でも生き延びさせようと苦心しているところが見え、決して「エコ」に背を向けたショーでは無かったと感じています。

ただし、燃費規制の目標ハードルは非常に高く、これでもまだまだだというのも事実で、ピックアップトラックやSUVが今後も存在し続けるには、更なる技術改良が必要となるのは間違いありません。(これはヨーロッパの高級車にも言えることですが)

EVやハイブリッドが少なかったから「エコではない」というのは、あまりにも表層的な見方だと思います。(それと、ハイブリッドは決して少なくないのでは?)また、シボレーのコルベットの新型が注目を集めたともいいますが、そもそもこうしたスポーツカーは昔からモーターショーの華です。これはアメリカに限らず、僕も自分が実際に見たEVやPHEVが多く展示されたとされたヨーロッパのモーターショーでも、最も注目を集めていたのは高級スポーツカーでした。

2012年のアメリカ市場を見るとピックアップトラックが最量販車であったことは事実ですが、一方では販売車両の平均燃費が過去最高であったという報道もあります。私個人としては、今後の自動車を考える際には、現実的な「エコ」の視点を忘れずに見ていこうと思っています。

デトロイトの財政破綻

先日、「自動車の街」デトロイトが連邦破産法第9条の申請を行い、財政破綻したというニュースが報じられました。ビッグ3が本拠を置き(GM、クライスラーは市内に、フォードは近郊都市のディアボーンに本社を置いています)、過去にはまさに自動車産業の首都とされていた同市が破綻したという事は、驚きを持って迎えられたようです。

今回は八重樫尚史がデトロイトの破綻について、取り留めもなく書いていこうかとおもいます。今回のニュース、私個人としては、別段に驚きもなかったというのが本音になります。デトロイトの凋落傾向は、昨日今日の事ではなくかなり長期に渡ったものであり、都市人口の低下や治安状況の悪化などについても、数十年前から続くものだったからです。

私は1978年生まれですから、私はその黄金期は知らず、デトロイトは常に衰退を続けてきたとの印象を抱いています。

映画で描かれるデトロイト

父が自動車エンジニアということもあり、私がデトロイトという名を覚えたのはかなり幼少の頃でした。アメリカの都市としては、ニューヨークやロサンゼルスと同じく最初に覚えた地名です。名前を覚えたのは小さな時ですが、物心が付きどのような都市かが解るようになったころには、デトロイトという名には既にかなり影が指していました。

1980年代、日本でデトロイトが登場するニュースのタイトルの多くは「日本車バッシング」の話題でした。そこでは、日本車を巨大なハンマーで壊す人々の映像が繰り返され、まだ経済概念の解る年齢ではありませんでしたが、アメリカと日本が経済的な対立をしており、またそのニュースの背景に映るデトロイトが荒んでいたというのは明確に覚えています。

1980年代に公開された映画で、デトロイトを舞台にしたものに『ロボコップ』があります。『ロボコップ』の映画の設定は2010年で、デトロイトが更に荒廃した後を舞台としています。『ロボコップ』はそのタイトルや主人公のビジュアルからヒーローものに見えますが、凄惨な暴力描写と、当時SFの中で興隆していた人間と機械の融合を描いた「サイバーパンク」的な要素から、カルト的な人気を博した作品です。

2010年のデトロイトが荒廃し犯罪都市となっているというは、ほぼ現実となりました。(治安悪化の原因の一つに、税収不足による警察官の人員不足があるため、これを民営化しようというのも意外と奇想天外のアイデアでは無いのかもしれません。)この映画の設定にリアリティがあったという証左でもありますが、一方でこの映画を撮られている時点でも、こうなることは予見できていたという事でもあります。デトロイトの自動車産業の凋落は既に1970年には顕在化しており、また「ホワイト・フライト」と呼ばれる比較的富裕な白人層が都市郊外へ転出し、都市部には貧しい層が残され、都市部と郊外の隔絶やさらなる治安悪化を招くといった現象は1960年台末には始まっていたともされます。

他にも映画で言うと、私が見たデトロイトを舞台とした映画としてはエミネムを主役した『8マイル』、クリント・イーストウッド監督・主演の『グラン・トリノ』等があります。『8マイル』では白人ラッパーのエミネムの視点からデトロイトにおける富裕層と貧困層、白人と黒人の生活圏の断絶が描かれ、『グラン・トリノ』ではデトロイトの郊外でポーランド系移民の元自動車工とモン族(ベトナム系移民)の少年との交流から、古き良きアメリカ製造業の衰退と世代交代が描かれています。

アメリカの製造業の衰退の中のデトロイト

デトロイトの破綻を報じるニュースでは、日本メーカーによる侵攻によってビッグ3が凋落したことによって負の連鎖に入ったという論調が殆どでした。これは外形的にはその通りですが、デトロイト破綻を理解するにはそれだけでは足りないような気もします。

デトロイトの位置する五大湖周辺は古くよりアメリカの工業の中心地として発展してきたエリアです。五大湖の水運と鉄道路を利用し、ダルース近隣の巨大な鉄鉱山から採掘された鉱石を、ピッツバーグやバッファローといった鉄鋼の街で製鉄し、デトロイトなどで車のような商品を作る。というのが20世紀中頃までの、アメリカの製造業の本場の姿でした。

しかしビッグ3の凋落よりも早く、五大湖周辺の鉄鋼産業は衰退を迎えます。鉄鉱山の枯渇ではなく、鉄鋼需要の衰退と質の低下などによるものとされています。こうした中で、ピッツバーグ等の鉄鋼の街もデトロイトと同じく、雇用の現象と治安悪化に見舞われます。

産業規模としては自動車と比較しても急速な衰退を迎えたと言え、またピッツバーグの都市人口もデトロイトと同じく1950年台をピークに半分以下となっています。デトロイトは1950年台の人口は約180万人だったのが現在約70万人となったのと同じく、ピックバーグは約67万人が30万人となっています。

デトロイトの凋落はこのように視点を少し離して見ると、自動車産業やデトロイトという特殊な要因によってではなく、五大湖周辺の製造業の没落の中で位置づけられると思います。ご存知のようにアメリカではその後、興隆した情報産業や金融業などが経済の牽引役となっているのが続いています。

しかしながら、再び視点を近づけてみると今度は五大湖周辺都市の中でのデトロイトの立ち位置と、本当の問題点が見えてくるように思えます。鉄鋼の街ピッツバーグは同じように衰退し苦しんでいるのかというと、決してそうではありません。ピッツバーグは鉄鋼産業の衰退を受けて、他のサービス業やハイテク産業等に産業構造を変革し、アメリカの中でも有数の経済安定性を持った街とされています。2009年にG20サミットがピッツバーグで開催されたのも、製造業の復活の街であるピッツバーグで開催しようと、オバマ政権が急遽予定を変更したからでした。

五大湖周辺の工業都市の間でも、このように施策の違いによって都市間の格差が生まれています。デトロイトの破綻はこうして見るとデトロイト市が、この地域での自動車産業の衰退を予見しながらも、産業構造変換を出来ずにまた社会問題に抜本的な解決策を見出すことが出来なかった為に起きたことと言えると思います。大きな流れとして自動車産業の衰退は主要因ではありますが、破綻までに至ったのは市を代表とした公共団体の施策の誤りの積み重ねと言えるでしょう。

ただし、ピッツバーグと比較してもデトロイトは大都市であり、また自動車産業が曲がりなりとも経済の中心にあり続けていたという状況、またビッグ3の破綻の大きな要因であった莫大な年金や社会保障費の問題など困難な課題が多かったのも事実で、今回の破綻申請もビッグ3と同じくそうした足枷を外したいとして申請したものなのも見逃してはならないと思います。

製造業の再生に向けて

さて、地方公共団体の破綻というと、日本では夕張市の破綻が記憶に新しい所です。こちらは炭鉱の衰退によって破綻に導かれて行きました。大都市のデトロイトと違い、人口の少ない地方都市でしたので顕著な治安の悪化が起きてはいませんが、産業の喪失による人口流出というのは同じ現象です。また夕張等に代表される衰退した日本の都市とデトロイトの共通点としては、箱物に頼った再生プランというというのも共通しています。成功例であるピッツバーグには、有数の大学であるカーネギー・メロン大学が存在し、箱物ではない人材の供給源があったというのは示唆的かもしれません。

デトロイトの破綻は50年にも渡る衰退の末のことでした、サービス業等と比較しても製造業はその裾野が大きいだけに大きなトレンドが一度起こると、その影響は長く大きな影響を持ち、容易にはその流れを替えることが難しいものとなります。

先日の参院選では争点があまりにも散漫なものとなりましたが、勝利した自民党へは「アベノミクス」の経済政策への支持、また議席を伸ばした共産党へは雇用の安定への支持があったとされています。

これは日本特有の現象ではなく、多くの主要国で最も重要な政策は経済政策と雇用の安定となっています。今年第2期に入ったオバマ政権が年頭の一般教書演説で訴えたのは、アメリカの製造業の復活でした。方策としては次世代技術への研究投資資金を投入し、新しい製造業をアメリカで復活させようとするものです。日本では「アベノミクス」の第3の矢である成長戦略がそれを相当するのでしょう。

どちらとも成功するのかどうかは解りません。しかしながらデトロイトが辿ったような衰退を起こしてはいけないというのは、皆に共通するのは間違いありません。デトロイトが長期的な衰退を食い止められなかったように、製造業においては一時的で近視的な政策ではその大きな流れを食い止めることはできません。長期的な視野に立った政策の実行を期待しています。

アメリカの電動自動車販売年間販売台数新記録

リーマン・ショック前の記録を更新

アメリカの電動車両協会(EDTA:Electric Drive Transportation Association)のHPは月明けてすぐに、前月のアメリカでの電動車両販売台数が速報として掲載されます。
http://www.electricdrive.org/index.php?ht=d/sp/i/20952/pid/20952

日本のサイトでは、自販連、自工会サイトや、補助金の申請窓口になっている次世代自動車振興センターのサイトで販売台数が公開されていますが、その速報性はEDTAとはかなりの違いがあり、アメリカの情報公開の原則とそのスピードにはいつも感激しています。

車種別の販売台数についても、民間ハイブリッド車情報サイトHybirdCARS.comに、第1週目にはハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気自動車、さらにはクリーンディーゼル車の車種別販売台数まで速報値が掲載されています。http://hybridcars.com/frontpage

このEDTA HPでは、過去の電動車両販売動向統計ものっていますので、その推移も掴むことができ、これによると先月9月までで、リーマン・ショック後低迷していた米国での電動車両販売台数が過去最高の2007年352,274台を上回る354,040台と新記録を記録したことが示されています。プラグインハイブリッド車や電気自動車を除くノーマルハイブリッド車だけでは、少し足りませんが、まだ9月ですので通年としては大きく上回ることは確実です。

アメリカ電動自動車販売推移

グローバルな次世代環境車として世に送り出したプリウス発売15周年の節目の年に、この米国市場での電動車両販売新記録は次ぎの普及への朗報と感じています。

足踏みを余儀なくされたアメリカのハイブリッド

しかし、この経過を振り返ると、欧米での普及拡大がこの数年停滞したことが悔やまれます。アメリカでは、プリウスの発売はマイナーチェンジを行った2000年5月で、1999年に販売を開始した初代ホンダ・インサイトに先を越されましたが、それ以降トヨタ、ホンダの日本勢がアメリカ・自動車マーケットでのハイブリッド販売台数を増やし、そのピークを迎えたのが2007年の352,274台、シェア2.99%でした。ちなみに、この時のトヨタ・ハイブリッド車の販売台数は277,623台、シェアは78.8%、ホンダ・ハイブリッド車は35,980 台、シェア10.2%、これにトヨタハイブリッドシステムを搭載した日産アルティマを加えて日本勢トータルが321,991台、シェア91.4%を記録し、日本以上にハイブリッド車の販売台数が伸びていました。

これが、まずリーマン・ショックで暗転、米国の販売台数が大幅に落ち込むなかで、ハイブリッド車の販売台数も低下し、さらにこの金融危機を切掛けに2007年にかけた高騰したガソリン価格が急激に低下し、ハイブリッド車のシェアも低下していきました。

さらに、これに追い打ちをかけたのが、2009年末から燻りはじめたトヨタ車の予期せぬ加速問題です。この予期せぬ加速問題から波及して、プリウスのブレーキリコール問題がおこり、さらにこれらが切掛けでハイブリッド制御システム全体の品質問題不安に発展、トヨタばかりではなく、他社のハイブリッド車も友連れで販売台数を落とし、シェア低下を招いてしまいました。もちろん、トヨタ車の品質問題が引き起こしてしまったことですが、次世代自動車への関心が高まり、ハイブリッド車の認知度も急激に増加していただけに、これが引き金でハイブリッド車全体への不安につながってしまいました。

2011年には予期せぬ加速問題について手が打たれ、またエンジン電子制御を含むハイブリッド制御システムに対する濡れ衣も晴れましたが、2011年の東日本大震災によるサプライチェーンがずたずたになり、日本のハイブリッド車生産が大きく落ち込み、米国に自動車販売台数が回復するなか販売台数、シェアを落としてしまいました。

この間、Ford、GM、BMW、Benz、Hyundaiと日本勢以外のハイブリッド車も数多く発売されましたが、燃費性能や走行性能で強力なライバルが現れず、トヨタの台数減にともなってハイブリッド車全体の台数、シェアが低下しました。

大型ピックや大型SUVなど、燃費の悪い大型車が多く、また広大な国土から台当たり走行距離が日本の二倍にもなる自動車王国のアメリカでこそ、自動車のガソリン消費削減、CO2排出削減を目指しハイブリッド車の普及を漕いで来ました。現役時には、連邦環境保護局(EPA)、連邦エネルギー省(DOE)、加州大気資源局(CARB)や自動車技術会(SAE)などを通じBig3のエンジニアとも実用的な次世代車としてハイブリッド車普及の理解活動、試験法や規格、基準づくりの技術交流を続けてきましたので、この5年ほどの停滞は非常に残念でした。

これから本当の競争が始まる

それが、今年に入り日本勢のタマ不足が解消、品質不安も払拭され、さらにガソリン価格も4ドル/ガロン近くで高止まり、ハイブリッド車の販売台数が回復し、シェアも大きく伸びてきています。さらに、日産の新型ハイブリッド、満を持してリチウムイオン電池を搭載し投入してきたFord Fusion、欧州勢としては7速DSG(デュアルクラッチシーケンシャルトランスミッション)1モータ式のVW JETAハイブリッドなど、やっとトヨタTHS、ホンダIMAの強力なライバルが登場しそうです。ハイブリッドマーケットの活性化を大いに期待しています。

アメリカの燃費規制CAFÉの大幅な強化が決まりました。欧州も次なる厳しいCO2規制を決定しました。従来車の延長では、ディーゼル比率をもっと高めたてもクリアできません。さらに、中国を筆頭に発展途上国のモータリゼーション加速に対しても、次世代低燃費車への転換合わせて行なう必要があります。車両のダウンサイジングだけでは、乗り切れないことは明かです。小型短距離EVコミューターや大都市のEVカーシェアなど、クルマのコモディティ化、公共交通機関へのモダルシフトなど脱自動車の方向は避けられないかもしれません。しかし、個人の自由な移動手段であるモビリティの進化をめざし、脱自動車の方向ではなく、超低燃費は当たり前、その上で魅力ある新しいモビリティを作りだしていくのも、技術、そのコアに自動車の電動化、ハイブリッド技術があると信じています。

グローバルなハイブリッド車のマーケットシェアとして日本勢が90%近く、またトヨタ単独で70%近いシェアを獲得していること自体が、次世代自動車への転換との観点からは異常です。負け惜しみではなく、環境性能、クルマの基本性能としての本格的な競争の中でこそ、次世代自動車への転換が加速していくものと思っています。もちろん、この開発競争の中で、日本勢が遅れをとるようではしょうがありません。OBの目からは、日本のハイブリッドエンジニアは、競争相手が現れないぬるま湯の中で、楽をしてきたようにも感じます。目を覚まして、厳しい開発競争を勝ち抜き、そのクルマ商品として台数拡大とシェアキープを果たして欲しいもの、それが日本復活の牽引車になることを期待します。

プリウスPHVの米国公式電費と燃費

アメリカでもプリウスPHVが販売開始しました

プリウスPHVが日本に続き、アメリカで連邦環境保護庁(EPA)とカリフォルニア州大気資源局(CARB)からの認証・認可を受けて3月から販売を開始しました。
販売開始後の販売実績としては3月911台、4月1,654台とまずまずのスタートを切っているようです。このうち4月の1,654台、電気自動車やGMシボレーボルト・レンジエクステンダー型電気自動車(これもエンジンを搭載したプラグインハイブリッドと認定当局は定義していますが)など、電気を外部電力で充電できるプラグイン自動車全体の販売台数3,595台でしたので、シェアとして46%を獲得しました。

アメリカの一部メディアでは、この数字を見て4月の販売台数が1,462台だったシボレーボルトが早くも抜かれたとかき立てていましたが、まだまだ僅かな台数の中での話です。また、この4月の販売台数には、これまで実証試験をおこなってきたパートナーや、プリウスをカンパニーカートして多量に使っていただいた会社関係への事前オーダーへの配車が主体で、今後拡大していけるかはこれからのことのようですので、アメリカにおけるプリウスPHVは今後要注目です。

図1米国電動自動車販売台数

上の表は、昨年のアメリカに置ける電動自動車の販売台数になります。昨年は、ノーマルハイブリッドを含む電動自動車の総数で286,367台、東日本大震災とタイ洪水の影響による日本製ハイブリッド車の深刻なタマ不足もありましたが、新車販売全体の伸びには追いつかなかったものの、2007年以来の増加に転じ、今年に入っても好調な販売を示しています。

しかし、シェアでは、2007年の2.99%から、トヨタの品質問題の影響が大きく尾を引き、2.22%へと後退しています。しかしながら今年に入り、電動自動車の販売台数が大きく回復、1月~4月のシェアも3.39%と2007年のピーク時を越えており、今年の台数、及びシェアでの記録更新が期待されます。

加えて今年は、Ford フュージョンハイブリッドのモデルチェンジ、日産アルティマ新ハイブリッド、ホンダアコードハイブリッド、さらにはトヨタRAV4EV、Ford フォーカスEV、ホンダ ジャズEV、アコードプラグインハイブリッドなど、新しいハイブリッド、プラグイン自動車が販売を予定していますので、これがどのように販売を伸ばしていくかに注目されます。世界最大の自動車市場であるアメリカの今後の販売実績が、以前触れた日本ハイブリッド車ガラパゴス論の正否を問うことになるでしょう。

しかし、この中で電池充電型自動車(以下プラグイン自動車と記述)のみ限ってその販売動向をみると、2011年通年でも17,731台に留まっています。電動自動車の中のシェアとしても6.19%とまだまだ次のサステーナブル自動車の担い手というにはほど遠い状況にありましたが、あらたな参入でマーケットがどう動くのか注目されます。

プリウスPHVのアメリカ基準燃費は?

さて、冒頭でも書きましたが、アメリカで自動車を販売するということは、プリウスPHVもアメリカでの公式電費、EV航続距離、ハイブリッド燃費、ハイブリッド航続距離が、排気、燃費の認定官庁である、連邦環境保護局(EPA)から発表されたということです。アメリカでは、このEPAから発表される公式値を、販売店ではクルマのフロントウインドーにEPAが示す指定の書式で作られてステッカーとして添付することが義務づけられており、別名ステッカー燃費とも呼ばれています。

このブログでも何度かご紹介しているように、このステッカーに記載する燃費値は、それまでの燃費表示値が、実際にユーザーが使った時に実現できる燃費からの解離が大きいとEPA自体が訴えられ、ユーザーの平均燃費にできるだけ近づくように2008年に、算出方法の大幅改定を受けたものです。

この際、EPAではかなり大がかりなユーザー燃費調査を行い、EPAの排気・燃費認証試験として行う、米国シティーモード、ハイウエーモードだけではない、寒冷地のCOを規定する零度C以下の低温試験、夏のエアコン運転を想定した試験、急加減速が含まれるアグレッシブドライブ燃費など、さまざまな走行データからユーザー燃費の平均値に近くなる調整方式を創り出しました。当然ながら、アメリカのユーザー燃費の平均に近く、これがまた日本のユーザー燃費にも近いものになっています。

電気自動車やプラグインハイブリッド車の電力消費評価にもエコラン等をあまり考慮に入れないこの測定方法を適用していますので、この季節の私の実走行データと比較しても充電量や燃費の結果からもやや悪めの値になりますが、冬のヒーター運転、夏のエアコン運転などを考慮に入れると年間アベレージとして結構一致する値となっているではないかと思います。

2011_Toyota_Prius_Plug-in_EPA_label
図2 プリウスPHV EPAラベル

しかも、EPA公式燃費掲示サイトでは、走り方によりクルマの燃費は大きく変化すること、燃費向上小技集、そのクルマのユーザー燃費調査の結果なども表示されており、エコカー購入の参考データとして活用されています。さらにEPAサイトをいろいろ調べて見ると、補正前(non adjusted)の生の燃費計測結果と修正後(adjusted)が、米国シティーモード、ハイウエーモード、さらにそのミックスであるコンビ(combination)燃費まで知ることがきます。
http://www.fueleconomy.gov/
http://www.epa.gov/otaq/carlabel/index.htm
http://www.fueleconomy.gov/feg/download.shtml

プリウスプラグインの米国EPAのステッカーでは、シティー/ハイウエーのコンビモードとして、電池にエネルギーがあるプラグイン走行(この評価モードで短時間エンジンがかかり、そこで消費したガソリンと電費を合わせたデータとして表示)ガソリン換算95マイル/ガロン(リッター40.2km相当)と示されています。このときのプラグイン走行航続距離は11マイル(17.6km)と日本のJC08基準の26.4kmに比べるとかなり短い航続距離とされています。

電池の充電エネルギーを使い終わり、ガソリンだけで走るHV走行の燃費は、ノーマルプリウスと同じ50マイル/ガロン(リッター21.2km)が公式値です。日本向けと米国向けでは車両諸元が若干違いますが、日本の民間燃費サイトで報告されるユーザー燃費や、私が使っていた前のプラグインプリウスでの年間通算HV燃費の22.5km/lよりも少し悪い値となっています。そしてこれで、同クラスの従来車にくらべ、アメリカユーザーの平均的な走行距離走ったとして、ガソリン代を7600ドルセーブできると表示されています。
また、充電電力とガソリンの両方を使った航続距離として540マイル(894km)と表示されています。

ボルトやリーフと比較してどうなのか?

参考として、GMシボレーボルト、NissanリーフのEPAステッカーも併せて載せておきます。ここで面白いのは、プリウスプラグインのステッカーのプラグイン走行燃費95マイルガロンのところには、電気とガソリン両方でのガソリン換算コンビ値と表示されているのに対し、ボルト、リーフとも電気のみと表示してあるところです。

2011-chevy-volt-epa-mpg-sticker
図3 シボレー・ボルト EPAラベル
2011-nissan-leaf-epa-mpg-sticker
図4 リーフ EPAラベル

前述のように、今のEPAのステッカー燃費算出には、大きな加速度で標準モードよりも高速を走行するモードが含まれていますので、どこかでエンジンが掛かり、電気とガソリンの両方と記述されたようです。しかし試験データの詳細を見れば、その時のガソリン消費量は燃費換算で0.2ガロン/100マイル、500マイル/ガロン(リッター402km相当)と、極一瞬だったようです。この辺にEPAの連中の厳密さが表れており、この組織と長いつきあいをしている私などはいかにも彼ららしいなと感じられた箇所でした。

さて、このステッカー比較の電力消費では、やはり純電気自動車のリーフが一番よく、99マイル/ガロン、次がプリウスの95、ボルトは93と表示されています。この航続距離では、ボルトが合わせて379マイル(606km)、リーフはバッテリーだけですので、EPA基準では77マイル(123km)となり、これまでの米国シティーモード基準、日本のJC08基準と比較して極めて厳しい数値となっています。

こういった公式ラベルで年間燃料代やガソリン代セーブ額まで、販売店の展示車にまで表示させるところがアメリカの面白いところです。ホンダがこのステッカーにも表示する燃費値を広告に使いその値と自分のクルマでの走行燃費にギャップがあると訴えられたのもアメリカならではと思いますが、こうしたEPAの厳しめの調整公式燃費しか広告にも使うことができないのに、何故訴えられたのか疑問です。

更にアメリカらしいのは、GMがサイトですぐ、このEPAの公表データを使ってプリウスPHVとボルトの使い方による燃費比較を報告しているところです。
http://gm-volt.com/
この比較については、また別の機会に報告したいと思います。

いずれにしても、電池を充電するプラグイン自動車の普及には、安く、安心して使える充電設備の普及、マンションなど集合住宅での充電設備整備、そして電池の寿命や価格など、普及には残存課題の克服が先決、さらにその充電電力低CO2化をどのように進めていくのか、将来エネルギー政策全体の中で普及シナリオを見直す必要がありそうです。

「アメリカのプリウスの父」との思い出

デイビッド・ヘルマンス ―アメリカにおけるプリウスの父―

アメリカで “American father of the Prius.” と呼ばれたトヨタのエンジニアがいました。彼の名は“David Hermance”、私より少し若く、我々はデーブ、デーブと呼んでいました。

彼が1991年の春にロスの車両開発拠点、トヨタ・テクニカルセンター・U.S.Aに入社して以来の長い付き合いの友人であり、ハイブリッド車プリウスの開発ストーリーでは紹介を落とせない仲間の一人でした。しかし残念なことに、2006年11月26日(日)に趣味としてやっていたアクロバット飛行のフライト中にロスの沖合で墜落死してしまいました。

デーブはGMインスティチュートの出身で、GMに入り、主に自動車用エンジン評価を担当し、排ガス・燃費関連の認証試験担当のマネージャーを務めていたGM生え抜きの自動車エンジニアでした。1990年の始め、カリフォルニア州から提案されたLEV(低エミッション車)/ZEV(ゼロエミッション車)規制、OBD(故障診断システム搭載)などなど様々な環境規制強化の提案があり、規制制定の議論、そのルールメーキングが始まり、公聴会、公開討論会への参加、その情報収集、ルールメーキング活動への参画、その新ルールに対応する開発エンジンの現地評価、チューニング作業など、体制強化を図るため、西海岸で仕事をしたいと希望していた彼がマネージャーとしてトヨタの現地チームに加わりました。

ZEV以外のクリーンエンジン開発リーダを指名された私も、1990年初めから、情報収集、規制当局との会合、公聴会への参加などでアメリカに出かける機会が増えてきていましたので、1991年に彼がトヨタに入社以来のアメリカでの活動には欠かせないパートナーでした。

アメリカ自動車業界に残る彼の名

今回、彼の紹介をしようと思ったのは、丁度今週末からシカゴで開催されるシカゴ・モーター・ショーでの出品車をインターネットで調べていたら、画期的な低燃費自動車に与えられる賞に彼の名前が付けられていることを知ったことがきっかけです。

その賞は “ “Hermance Vehicle Efficiency Award””と名付けられ、2010年の最初の賞はフォード・フュージョン・ハイブリッドに授与されています。(3代目プリウスとの一騎打ち)彼が飛行機事故でなくなった翌年の2007年シカゴ・モーター・ショーでもアメリカでのハイブリッド車普及への貢献をたたえ、メモリアルイベントが開催されていたことを記憶しています。

彼は初代プリウスのハイブリッド開発に直接携わっていたわけではありませんが、その開発後半にあるきっかけでアメリカのハイブリッド技術スポークスマンとして加わることになりました。1997年春にハイブリッド車開発の技術紹介と発売予告の発表を行い、発売予告を兼ねたエコキャンペーンを開始しました。その4月からは、当時のプレミオをハイブリッドに改造した試作車ができあがり、そのクルマで日本でのジャーナリスト試乗イベントをスタートさせました。

それを耳にしたアメリカの販売サイドからも、アメリカでの試乗イベント開催を提案され、そのときに現地の助人として技術支援リーダとスポークスマンをお願いしたのが彼とハイブリッドとの関わりのスタートでした。それでどっぷりハイブリッドにはまり込み、担当のシステム屋以上に中身を勉強し、それ以来、アメリカでのスポークスマン役を務めてくれました。

アメリカで発売を開始したのは2000年の5月、欧米の使用環境にも適応できるようにとハイブリッドシステムのビッグチェンジをおこなったマイナーチェンジのクルマでした。この間、アメリカでの認可をうけるための認可手続き、試験法の交渉、クルマの現地評価、販売準備の技術支援、サービス体制作りなど様々な支援活動をやってもらい、また開発ブレーンとして開発スタンス、目標の設定、企業環境広報活動シナリオの策定などについても加わってもらいました。

北米でのプリウスの伝道師

プリウスなどトヨタのハイブリッドシステムはカリフォルニア州のLEV/ZEV規制の中で、ガソリンエンジン搭載車としてもZEVクラスのクリーン度を持つパーシャルZEVと認定され、さらにハイブリッド車はその中の先進技術PZEV(Advanced Technology Partial ZEV)と新しいカテゴリーまで作ってくれ、規制対応上の優遇を受けるようにないました。このカテゴリーの設定、規制ルールの変更を勝ち取るには、デーブの貢献は多大なものがありました。

エンジンパワーと電池パワーをミックスしてクルマを走らせるハイブリッドでは、そのクリーン度や燃費の試験法、申請書類に記入する諸元の定義など決まっていない項目があり、それぞれ認可官庁スタッフに提案し、決めて行く必要があります。この現地での交渉なども、彼がリードしてくれました。このような活動を通じ、日本の開発スタッフとコミュニケーションを密にとり、トヨタのハイブリッドの機構、作動を誰よりもよく理解をし、自分でもプロトを乗り回し、アメリカでのハイブリッド活動のスポークスマンとして様々なにイベントに、環境広報、企業広報、ハイブリッド販促活動に加わってくれました。

2003年に発売を開始した2代目プリウスの最初の発表は、4月に開催されたニューヨーク・モーター・ショーで行い、私も参加しましたが、このときのプリウス紹介のメインプレゼンテーターを彼が努め、非常に喜んでいたのが印象的でした。

このような活動を続けたことから、北米メディアなどで “American father of the Prius.” と呼ばれるようになりました。先ほど挙げたシカゴ・モーター・ショーの賞も、彼のアメリカでのプリウス、そしてハイブリッド普及拡大に大きな貢献を果たしてくれたことを語り継ぐために彼の名を付けた賞を設定したと設立趣意書に書かれていました。初回の受賞車がプリウスではなく、アメリカ製フォード・フュージョン・ハイブリッドであったのは少し皮肉でしたが。

このような技術貢献、社会貢献に個人の名前を付けるのはアメリカによくあり、アメリカ自動車技術会(SAE)でもトヨタのスポンサーのもと”David Hermance Hybrid Technologies Scholarship“と名付けられた奨学金が自動車工学を学ぶ学生のために設けられています。

彼は飛行機のスタント競技が趣味で、会う度にその飛行機の写真を見せられ自慢話を聞かされました。また、何度もフライトに誘われましたが、ロシア製エンジンのスタント飛行機に恐れをなし、いつもお断りしていましたが、その自慢の飛行機が海に突っ込み帰らぬ人となってしまいました。

トヨタのPHVのはじまり

先月末にプリウスPHV(プラグイン・ハイブリッド)の発売を開始しましたが、このPHVにも彼との思い出があります。2代目プリウスをアメリカで発売すると、そのクルマの電池を外部充電型のリチウム電池に載せ替えプラグイン・ハイブリッド車に改造するベンチャーが現れ、このPHVがエネルギー安全保障、環境保全の次世代自動車への近道との政治キャンペーンが始まりました。

このキャンペーンがエスカレートし、環境NGOや首都ワシントンのロビーストが、折からのガソリン高騰、地球温暖化、さらには保守派の人たちの石油の中東依存回避の手段として、このプラグイン改造プリウスが使われ、ホワイトハウス前でのデモにまで登場するようになりました。われわれも、安全でエネルギー密度が大きく、コストが安いリチウム電池が開発できたら、プラグイン化の可能性はあると考えていましたが、当時の電池ではまだ実用化は先と判断していました。しかし、われわれのプリウスを改造され、政治キャンペーンに使われ、さらにはその改造を商売とするところまで現れ、トヨタからのPHV発売待望論まで飛び出しては、だんまりで開発検討を進めるわけにも行かなくなりました。

日本での実用可能性検討をスタートさせながら、アメリカでの情報収集と外向きにどのようなスタンスとして説明するかをまず相談したのも彼です。

上のスライドは、彼とともに作り上げた次世代自動車普及に向けての説明用センテンスの一例です。
これは我々の実感でもありました。

「マーケット(お客様)は次世代エコカーに何を求めているのか?
(初代プリウス、2代目プリウスとお客様に受け入れられるハイブリッド車をめざしてきた結果、)お客様の多くはエコカーをお求めになりたいとの意思を示しています。― 但し、クルマとしての他の属性(クルマの諸性能)が同等か優れている場合にはー」

これが真実です。我慢のエコカーでは、価格に見合った性能、経済性でなければ、もちろん、信頼性、安全性、品質性能が劣るようでは、そのクルマの普及は望めません。

そして何度も、このブログで書いているように普及していかなければエネルギー、環境保全の効果はあがりません。

彼とプラグイン・ハイブリッドに対するスタンス・ペーパーを作り上げ、本格開発をスタートさせたのが2005年頃です。2006月に6月に、アメリカに飛んで彼とこのスタンス・ペーパーの詰めを行い、さらにアメリカのトヨタ販売サイドに説明をし、ワシントンに飛びエネルギー省(DOE)スタッフと話をし、そのまま欧州に渡り欧州のスタッフ、さらにはパリの新凱旋門の中にあるフランス運輸省に、自動車関係の国際基準作成委員会の委員長を訪ね、トヨタのスタンス・ペーパーを説明し、認可申請時の支援をお願いし、快諾を得たことを記憶しています。

2006年と言えば、丁度PCや携帯電話用リチウム電池の異常発熱問題、発火問題が騒がれた年です。この自動車用リチウムイオン電池の安全性確立について、エネルギー省の担当スタッフや、その安全性の研究を続けている国立研究所スタッフと議論をしたのも彼のアレンジでした。

そして、この6月の出張が彼と顔を合わせた最後となりました。事故の一週間前にもアメリカ出張がありましたが、このときは会う機会がなく、11月26日から欧州出張にでかけ、最初の日のスウェーデン・イエテボリのホテルで事故を知り大きなショックを受けたのを記憶しています。

それから、6年が経過しました。このスタンス・ペーパーに沿い、数多くの耐久試験、実証試験を繰り返し、安全、安心、信頼性に万全を期し、このプリウスPHVの発売に至っています。 

プリウスPHV
プリウスPHV

彼が生きていたら、このプリウスPHVにどのような意見を言ってくれるのか思い描き、プリウスPHVのコマーシャルやアクアやプリウスなどレギュラーハイブリッドや様々なハイブリッド車のニュースを聞いています。

アメリカの燃費規制強化について 

先月に発表されたのは連邦によるCAFÉ規制

先月29日、アメリカのオバマ大統領は、ホワイトハウスで、2025年を最終目標年とする自動車の燃費規制改定について、この改定案に合意した自動車会社首脳、労働組合の代表者を集め、記者発表を行いました。
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2011/07/29/remarks-president-fuel-efficiency-standards
(ホワイトハウスプレスリリース)

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(オバマ大統領会見映像)

1990年以来、乗用車ではCAFÉ(Corporate average fuel economy=メーカー別アメリカ販売車両の平均燃費値)27.5mpg(11.7km/L)に固定されていた規制値を2011年から2015年までに35.5mpg(15.1km/L)に向上させる改定が行われました。今回の発表は、その後の2016年から2025年までに、年率約5%ずつ強化し、2025年までに54.5mpg(23.2km/L)まで厳しくしようとの改定案です。2010年比では燃費値で約2倍、燃料消費としては半減という厳しいレベルです。前政権がやっと重い腰をあげ、2015 年までに35.5mpgまでの強化を決めましたが、グリーンニューディール政策を掲げるオバマ政権として打ち出した規制強化案です。

環境規制制定時には、担当官庁(この場合は連邦環境保護庁”EPA”と連邦運輸省道路交通安全局“NHTSA”)スタッフがルールメーキング案作成作業を進め、アセスメントStudyをU.S. Academy of Scienceなどに委託、Open hearingやそれを議論するWork shopを開催し、スタッフ案をつめていきます。その上で、今回のCAFÉ規制のように議会承認が必要な重要案件は、今回のように事前に自動車メーカーや労働組合との交渉を行い、調整を行った上で大統領提案として公表することになります。従来技術の延長では達成困難なレベルであり、ハイブリッドや車両の軽量化など、これを達成する燃費向上技術を採用することによる車両販価アップ、それによりクルマが売れなくない自動車関連雇用者の減少などが論点となり、今回の54.5mpgも,当初のスタッフ案の年率6%向上の2025年62 mpgから数週間前の発表56.2mpgに、さらにそこから小修正して決まった値です。

しかし、この規制はあくまでも乗用車の規制案、アメリカで大きなシェアを示す、フォードF150やトヨタ・タンドラのようなピックアップトラック、もとGMブランドとして売られていたハマーやキャデラック・エスエスカレード、トヨタ・セコイア、VW・トアレグなどスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)、さらにはホンダ・オデッセー、トヨタ・シエナなどミニバンは、この乗用車規制とは別の小型トラック(light duty truck:LDT)カテゴリーとされ、乗用車とは別のCAFÉ規制値として低い値となっています。

アメリカの燃費規制は、1973年の第4次中東戦争勃発後、OPEC諸国が先進国に対する石油禁輸発令による石油ショック(第1次石油ショック)が発生、石油供給のショートとその後の急激なガソリン価格高騰を招いたことから1978年に低燃費車へのシフトを狙いとして制定されました。当初は乗用車が対象でしたが、1979年からはLDT対象の2本立て規制となりました。当時のLDTとしては、農家などの小型作業トラックが主、個人用のSUVやミニバンは殆どなく、産業保護の面からも低い規制値のままとどめられ、乗用車が27.5mpgとなった1990年時点でも20.0mpg(8.5㎞/L)、以後すこしずつ強化されましたが1996年以降2004年まで20.7mpgの固定値にシールされていました。

CAFÉで使用する燃費値とEPAの燃費値は異なる

この2025年54.5mpgのCAFÉ規制強化の発表に対し、日本の一部の新聞では、現在のプリウスの連邦EPAの公表ラベル燃費(EPAが認証試験結果から公表し、販売店の展示車のフロントウインドウに表示が義務付けられているラベルに記載する燃費値)48mpg(20.4㎞/L)との対比で、プリウスでもクリアできない厳しい燃費規制と報道していますが、これは間違いです。同じEPAの認証試験結果から求めますが、燃費mpgの算定式がCAFÉとEPAラベル値では違い、CAFÉ規制54.2mpg(23.2km/L)はEPAラベル燃費では約41mpg
(約17.4km/L)程度となるようです。この41mpgは、23日に新車発表を行った新型カムリの、EPAラベル燃費34mpg(14.5km/L)から大幅に向上させたハイブリッドバーションの燃費と同等であり、ハイブリッド車の普及拡大を行えば達成できるレベルです。
http://pressroom.toyota.com/releases/2012+toyota+camry+global+reveal+remarks.htm
(トヨタアメリカ、カムリ燃費値)

CAFÉ燃費とEPAラベル燃費の違いについて説明しましたが、これも何度かこのブログでも述べているように、試験法、計算方法の違う燃費値を、たとえば日本の10-15モードやJC08 燃費、さらにはEC公式燃費/CO2値をそのまま比較し、優劣を述べている記事やレポートを見かけますが、これも違う試験法、計算方法では比較するのは間違いです。
http://www.autoobserver.com/2011/06/white-house-floats-562-mpg-cafe-plan-for-2025.html
(燃費値の違いを説明している海外の記事)

メスが入り始めたLDTの燃費

乗用車は、1978年からのCAFÉ規制により、燃費競争が激化、このなかでBig3が急激に販売シェアを落とし、日本勢がシェア拡大を果たしました。1980年代後半から、Big3勢がLDTのCAFÉ規制が緩いことに目をつけたのかどうかはわかりませんが、乗用車に替わる個人用自動車としてSUV、ミニバンを発売、さらに作業用トラックの用途であったピックアップトラックも価格が安いこと、大排気量エンジンの搭載で走行性能に優れていることなどから若者を中心に個人用として、地方だけではなく都市部でも販売が伸び、販売台数的にはLDTクラスが乗用車クラスと拮抗する台数にまで拡大していきました。

連邦政府も、乗用車ではCAFÉ規制によりBig3勢の競争力低下を目の当たりにみて、LDTクラスの規制強化を行わず、また乗用車用途に近いSUVやミニバンのLDTカテゴリー化を認め続けてきました。この中で、Big3が販売の軸足を乗用車からこのLDTクラスに移し、大排気量の古いV8 エンジンを搭載したピックアップトラックやSUVの拡大により、燃費の良い新型エンジンへの切り替え、車両軽量化などをやらなくても、大きな収益を上げることができていました。1990年代に入り、日本勢もこのLDT車種を拡大しこのLDT CAFÉ値が違う恩恵を受けてきています。しかし、2006年ごろからの原油の高騰とガソリン価格の上昇により、LDT車両の販売に陰りが見え、2008年秋のリーマンショックでさらに車両販売が激減、とくにこのLDT車両の販売激減がGM, Chrysler倒産の要因になったと言われています。その後の景気低迷によるガソリン価格の大幅低下が、LDT車両の販売を回復させ、GM、Chrysler再建のフォローの風になったことは、また皮肉な巡り合わせです。

今回のCAFÉ改定でも、この乗用車とLDTのCAFÉ規制値2本立てはそのまま、LDTのCAFÉ規制強化では、Big3へのダメージを少なくする意図もあってか、乗用車が2016年から年率5%の規制強化に対し、LDTでは3.5%の規制強化と、ここでも差がつけられています。アメリカの国土は広大で、道路も広く、LDTクラスの大排気量V8エンジン搭載のピックアップトラックやSUVが似合っていることは確かですが、1990年代にアメリカの石油輸入量が激増したのもこのLDTシフトが要因、さらにCO2排出量の増加にも繋がっています。しかし、2007年からの石油高騰がこの販売激減を引き起こしたように、ドル安、原油高でアメリカのガソリン価格は上昇気味、CAFÉ規制の前に、LDT車のダウンサイジング、軽量化、ハイブリッド化による燃費向上は避けて通れないように思います。

このクラスはトレイラー牽引やオフロード走行性能も求められ、フルトルクでの長時間運転が苦手なモーター、インバータを使いこなす必要があるハイブリッドの技術ハードルは高く、先日発表したトヨタ*フォードのこのLDTクラスのハイブリッドシステム共同開発の発表は、技術的にも見通しがついてきたのでは、その成果に期待しています。

アメリカでのトヨタ車の急加速問題に決着

トヨタ車の電子系統に問題なし=米運輸省
http://jp.wsj.com/Business-Companies/Autos/node_181286

今朝のWall Street Journalのインターネットサービス配信でこの記事が流れていました。
日本の新聞にも配信されていますので、このブログが目に触れる頃にはいろいろな新聞でとりあげられていると思います。

昨年の8月上旬にも、アメリカ連邦政府運輸省のこの自動車安全問題の主管部署NHTSA(National Highway Traffic Safety Administration: 道路交通安全局)からこの問題の中間報告をブログでとりあげました。

この時の報告も問題が見つかっていないとの報告でしたが、その後も追加としてNASA(National Aeronautics and Space Administration:アメリカ航空宇宙局)で行った調査結果を含め、昨日米国運輸省はトヨタ車の急加速問題に対し、「電子制御システムの欠陥は発見できなかった」との最終報告書を公表し、これが配信されました。

ある報道では、アメリカのトヨタ関係者の声として「あまりにも明確なシロ判定で拍子抜けした」とのコメントが流れていました。昨年年初のアメリカ、日本での大騒ぎが嘘のようです。このような結果になると確信していましたが、最初のエンジンマイクロコンピュータ制御の立ち上げからハイブリッドまで、自動車の電子制御システム開発に携わってきたエンジニアとして、心底ほっとしたというのがまずは一報を聞いての感想です。

急加速問題は無かったが、再度確認しておきたい品質のこと。

もちろん、トヨタ車が引き起こしたフロアマットとアクセルペダルの引っ掛かりや、ペダルリンクの戻り不良でおきた急加速問題へのトヨタの対応の遅れ対処のまずさが切掛けではありましたが、今のクルマ全体に及ぶ電子制御システムへの不信感の高まりを私は心配していました。またアメリカBig3の没落に対し、急成長したトヨタに対する政治的バッシングの色彩も確かに感じました。しかし、この急成長の中で、「安心、安全そして故障の少ないクルマ」を提供するとのトヨタのクルマ作りパワーの劣化を感じたことも正直な感想です。

ハイブリッドに限らず、通常のガソリン車もディーゼル車も、クリーン化や低燃費化を進めるためにかなり以前から電子制御システムが導入され、その制御を生かすかたちで走行性能向上や、アンチスキッドブレーキ(ABS)、トラクションコントロール(TRC)、さらにはビークルスタビリティーコントロール(VSC)、さらには衝突防止などさまざまな走行安全性向上、近年では盗難防止、スマートキー、キーレスエントリーなどなどと電子制御を活用した操作性改善、商品機能向上などの新機能が採用されています。

エンジンパワーと電気パワーをミックスして使い、さらに減速回生発電を行いそのエネルギーを再利用するハイブリッド自動車は電子制御による車両総合制御が前提、さらにドライバーの操作を制御信号として検知して走行パワーを制御するドライブバイワイヤー、シフトバイワイヤー、ブレーキバイワイヤー、エンジン停止した走行を行うことから、従来のエンジンが発生する油圧駆動パワーステアリングのかわりにモータ駆動による電動パワーステアリングによるステアバイワイヤなど、バイワイヤーシステムによって作り上げたクルマになっています。

以前のブログでも述べたように、初代プリウスの開発では燃費2倍、排気ガスのニアゼロエミッション、普通のクルマとしての走りの両立が目標でしたが、最大の課題中の課題は、車両総合制御によるバイワイヤーシステムでなければ成立しない、ハイブリッド車としての安全性能保証の確立でした。これをやり遂げられるだろうか?最初から、さらには発売した後までも常に頭から離れなかった大きな課題でした。

これが確立できなければ、量産商品としてのハイブリッド車の実用化はあり得ませんでした。さらに、バイワイヤ-システムの安全性能保証の基本は、制御のまえにクルマの基本構成として、車両パッケージ、車両寸法、車輪配置、サスペンション、エンジン、トランスミッション、ハイブリッド電池などその構成部品、次ぎにアクセルペダルとブレーキペダルの配置とそのメカ構成、スタート方式、シフトボタン配置とそのメカ構成、走行可能状態を表示するReady信号、DNPRなどシフトポジション位置などのドライバー操作系、いわゆるマンマシンインタフェースの安全設計とフェールセーフ保証です。

この設計では、ドライバーの誤認識、誤操作などヒューマンエラーを極力起さないような操作系設計をおこなった上での制御系のフェールセーフ設計の確立が重要ステップでした。決して制御系だけでクルマのフェールセーフ保証が出来るわけではありません。

アメリカだけではなく、日本でもこの急加速問題を契機に、クルマの電子制御システムの安全性保証がさまざまな方面から取り上げられ、制御系を中心に専門家を自認される多くの方々からの様々な提言を新聞、雑誌、書籍で目にし、耳にして、少なからず違和感を覚えていました。

もちろん、電子制御系のプログラムにはバグがつきもの、そのデバッグを徹底的にやることは論をまちませんが、それでも100%バグゼロ保証は不可能と思います。バグが残っても安全なクルマが、ハイブリッド開発の基本方針でした。

プログラムの中身や構成ではなく、クルマの基本設計部分、「走る、止まる、曲がる」の基本機能部分を抑えた上で、クルマ機能評価化のプロが、故障時、異常時の挙動を過去の技術蓄積、経験に基づき評価し、判断し、その故障、異常発生の真因を除去する品質向上活動をリードしました。ハイブリッドの制御系設計、設計も机上でのデバッグ作業だけではなく、このクルマ評価のプロの指導のもとで、クルマでの故障時、異常時、意地悪操作時の挙動確認と安全保障確認の繰り返しをやりきってくれました。

電子制御系の設計、デバッグだけではなく、クルマの開発もコンピュータの活用抜きにはやれない時代ですが、コンピュータ-画面上で決してクルマは作れません。基本が大切、クルマの開発者、設計者はもう一度肝に銘じて欲しいと思います。

自動車づくりの「プロ」の意識を

「未来は過去の中にあり」これは、陶芸家として著名な薩摩焼十五代沈寿官氏のことばです。最近TVを見ているときに耳にして感銘を受け、印象に残った言葉です。
氏は、一時伝統の蓄積に押しつぶされそうになり、イタリアの工房に留学、その上で伝統の蓄積、経験を下敷きにしたオリジナリティの重要性に気づいたとおっしゃっておられました。

 自動車技術はこの薩摩焼の歴史、さらに中国から朝鮮への伝えられた陶磁器の歴史と比較するとほんの一瞬の歴史しかありません。 それでも欧州からスタートしてここまで発展してきたクルマの歴史の基本の上に今のクルマもありと思います。過去の技術に過度にとらわれることは、技術進化の妨げになることは事実ですが、過去の技術蓄積、経験を無視したチャレンジはそれこそ無謀です。

人、モノを運び、安心して、気持ちよく走るクルマの基本は将来も変わりません、過去の経験、失敗、その膨大な蓄積のその土台の上に、これからのクルマもあります。もちろん今のクルマ、これからのクルマに電子制御は不可欠ですが、これに過度に頼り、さらに注目しすぎているというのが、違和感を覚えた要因でした。

クルマの基本がおろそかになり、その基本性能にプロの目でしっかり評価し、少しの評価漏れもないように評価するクルマ屋のプロ集団が少なくなってきたこと、そのような人材を育てられていないことが心配です。「急加速問題に対する電子制御のシロ判定」は朗報ですが、これに安心することなく、クルマの基本に対する過去の蓄積、経験への原点回帰から、次ぎの自動車へのチャレンジを期待します。

アメリカでの充電式(プラグイン)自動車のいま

先週は授賞のお話しをしましたが、授賞式の傍らアメリカでGM VoltやNissan Leafのアメリカでの反響について情報収集もしてきましたので、今回はそのお話を。
両車とも本格的なプラグイン(外部電力充電型)自動車の量産のスタートを象徴するクルマでしたので、私も注目していましたし、その反響も非常に大きいものだろうと予想していたのですが、実際は予想に反してアメリカでは静かなローンチを切ったのだなとの印象を持ちました。

自動車社会アメリカ

今回の訪米では、事前にロサンゼルスで何人かの友人に会おうと持ちかけ、一人はオフィスまで片道50マイル以上、もう一人はサンタバーバラから片道117マイルを気楽にロスのホテルまで訪ねてくれました。
このようにアメリカでは、自動車をまさに最も身近なモビリティとして活用し、ハイウェイの大部分が無料であることも相まってロングトリップも当然とするまさに自動車社会が構築されています。NYやシカゴ、ワシントンDC、ボストンなど一部の大都市を除けば、アメリカでの個人の移動範囲は自動車によってのみ大きく面として広がっており、アメリカで自動車抜きの生活をするということは不便という段階を超えて人としての活動の大きな縮小を意味します。
アメリカに代表されるこのような自動車社会をどのように低カーボン社会に変革していくのか、人類の将来にとっても中国とともに注目するところです。ロスでも公共交通機関がないわけではありませんが、輸送の全体の中でのプレゼンスは極めて微小と言わざるを得ないというのが実態です。

私はこの広大な国土を持ち、ロングトリップが当たり前で、年間の平均走行距離でも日本の1.5倍以上の自動車社会アメリカに変革を与えるためには、まずは長い走行距離を確保できることが最低限必要だと考え、まずHV、さらには都市内のショートトリップで充電電力エネルギーを使うプラグインHVが現実的と考えてきました。
その意味で冒頭でも書きましたが、GM Chevy Voltがどのように受け取られるのか、使われるのか、そのローンチに注目してきました。

GM Chevy Volt

Voltのことは、このブログでも何度かとりあげましたが、T字型の16kWhという大容量の電池パックを、重量バランスが偏らないように、苦労してクルマのセンター部分に搭載する苦労、エンジン、トランスミッション、インバータ搭載の工夫など、開発エンジニアの努力を感じさせられました。 

Opel-Ampera(Voltの姉妹車)の電池パック
Opel-Ampera(Voltの姉妹車)の電池パック

また、GMはVoltの説明としてハイブリッドではなく、レンジエクステンダータイプのEVと説明してきたため、私自身もてっきりシリーズタイプのハイブリッドと思い込んでしましが、最近になって、基本的にはトヨタハイブリッドと類似の遊星ギアでエンジンパワーの一部は直接タイヤの駆動にも使うことができる、シリーズパラレル型であることが判ってきました。

トヨタ方式とは違って、動力伝達遮断/結合のクラッチを2組持ち、エンジン動力によるタイヤ駆動パス(パラレルパス)を切った、完全シリーズ型運転も出来る機構になっていることが特長です。電池エネルギーを使い切ったあとの長距離ドライブ、さらには高速フリーウエー走行のシリーズ型運転では、どうして燃費効率が悪くなってしまいます。この部分では、トヨタ方式のようにパラレル運転が有利です。Voltでもこの高速走行のある走行条件では、エンジンパワーのさらに一部で直接タイヤを駆動するパラレルパスを使っていることが判りました。私からすればアメリカで当然のように利用されるフリーウエーにおいて燃費効率を保つことは絶対必須条件で、そのためにパラレル機構を持たせることは技術者としては当然の判断だと思うのですが、GMが事前からEVもしくはシリーズ型であるかのように伝えてきていたためメディアからは「これではEVではない!!」とGMは批判されているのが現状です。

また、Voltの発売に当たって、アメリカ連邦の環境当局EPAとカリフォルニア州の環境当局CARBから、燃費、電力消費量(電費)、排気のクリーン度、CO2の排出量が公表されました。カテゴリーとしてはGMの公表とは違い、(当然ですが)Voltはプラグインハイブリッドとされており、電池エネルギーだけを使うAll Electric走行では燃費(電費)93mpg、電池エネルギーを使い切ったあとのガソリンエネルギーでの走行では37mpgと認定されています。
なおこの93mpgというのは、消費電力エネルギーをガソリン消費エネルギー換算して出された値です。
ガソリン走行の37mpgという数字は、通常プリウスの50mpgと比較すれば一目瞭然ですが、同サイズのクルマとしてはかなり悪い部類に入り、個人的な推測ですがEVに拘るあまり総合的な効率を犠牲にしてまでシリーズ運転領域を多くしてしまったのではないでしょうか。

CARBからはクリーン度としてULEV(Ultra Low Emission Vehicle)認定を受けました。ULEVとの表現では、とんでもないクリーン度のクルマとの印象ですが、この先にさらにクリーンなカテゴリーとして、SULEV(スーパーウルトラ), 更にPZEV(Partial Zero Emission Vehicle)さらには、ハイブリッドではATPZEV(Advance Technology PZEV)なるカテゴリーまであり、カリフォルニアではその販売比率の組み合わせで決められたクリーン車の導入比率を守ることが義務づけられています。
プリウスはこのATPZEVカテゴリーとして認定されていますが、VoltはULEV認定であり、いくつかのインセンティブが与えられるATPZEVではなく、ULEVに留まったこともメディアの話題となっています。これもまた、先ほどと同じくシリーズ運転領域を多くしてしまったことに起因するのではと予測しています。

アメリカでもプラグイン導入への障害は多い

先ほども書きましたが、アメリカでは、やはり広い国土とその中でのクルマの使い方から、エンジンパワーと電気パワーを賢く使う車が、将来の低カーボン自動車として有力と思います。将来としてはプラグイン自動車の普及を視野に入れる必要がありますが、充電機器、そのコネクター、さらには搭載電池など、実用化の課題はまだまだ山積しています。標準化議論も進んでいるようですが、今の充電機器、コネクターでは、使い勝手、装着性、保管性など、毎日使うにはまだまだ不十分、また家庭やオフィス駐車場での充電で使う低パワー充電設備のコストも普及へのハードルです。

プラグインハイブリッドのヨーロッパでの実証試験データでも、充電回数の90%以上は家庭とオフィス駐車場のコンセントから充電しているとのデータが報告され、またアメリカのモニター走行ではプラグインハイブリッドは充電をしなくても走れるので、コンセントに繋いで充電する操作すら面倒になり、ガソリンハイブリッド運転比率がだんだん高くなってしまったとのちょっと心配なデータもでているようです。

EV用としての、急速充電器の普及、拡大、さらにその国際標準化に注目が集まっていますが、プラグインハイブリッドでは、家庭、オフィス駐車場での通常汎用コンセントに近い、安価で安全、安心なコンセントとそのIT化さらにはスマートメータ機能の標準化を急ぐ必要があります。競争と協調、充電インフラ、コネクター、IT活用、その標準化では、オープン化による協調路線が必要、GMなども、グローバルな低カーボン自動車への競争と協調路線に転換してくれることを期待しています。EVでもその使用電力量の大部分は、家庭か会社や役所の駐車場の長時間低パワー充電が使われる筈です。

アメリカでのLEAF

日産リーフのカットモデル
日産リーフのカットモデル

また、同時期に、日産リーフの発売発表もありました。Volt同様、EPAから燃費(電費)、クリーン度の公式値が発表されており、これはピュア電気自動車ですので、ガソリン換算の電費と航続距離として、99mpg(約42km/l)の電費、航続距離73mile(117km)となっています。
EPAでの燃費、電費の表示法は、販売店でのクルマのウインドーシールドに表示を義務づけているもので、数年前にプリウスなどのハイブリッド車や低燃費を売りとする小型車では、ユーザの実走行燃費と表示燃費の間にギャップが大きいとの訴えから、平均的ユーザの年間平均燃費にかなり近い値になるように算出法を改定したもので、これでも、冬の寒冷地でのヒータ運転、山岳路での登坂、大都市の渋滞走行ではこの航続距離を下回ることもあるように思います。

このようなEV車が、アメリカでどのように使われ、どのように評価され、クルマの実際の用途としてどれくらい代替できるかも注目点です。
GM Volt, 日産リーフの健闘を祈ります。