プリウスPHV日記-4

プリウスPHV使用開始から1年

昨年4月に納車されて以来、私の足として使ってきたプリウスPHVが1年を過ぎましたので、その一年のまとめを報告します。

私はエンジニアとして、次世代車であっても安全・安心性能とそれを支える信頼性品質が何よりも重要で、その上でエコ性能を追求しようという信念でハイブリッド開発にとり組んできました。そうして送り出したプリウスですが、厳しい企業・製品評価で有名なJ. D. Power社の米国経年車品質ランキングで今年も連続でコンパクト車クラスNO1を獲得してくれました。これはハイブリッド車カテゴリーでの品質NO1ではなく、従来エンジン車を含めたNO1です。トヨタのハイブリッド車は販売台数500万台を突破しましたが、これは絶え間ない品質向上に努めてくれたスタッフ達による偉業であり、今も彼等は日夜飛び回ってくれいるのに間違いないと思います。

さて、今日のテーマから少し脱線しましたが、このプリウスPHVも品質NO1のDNAを引き継ぎ、この1年間、故障ゼロ・不具合ゼロで走り続けてくれました。自動車は工業製品であり、このような品質向上の努力を続けないとあっという間に故障率が増加し、お客様の信頼を失ってしまいます。プリウスPHVもこの品質NO1のDNAは引き継いでくれていることにほっとしました。

実用上には全く不便なことは無いプリウスPHV

上の図1は、この2012年4月20日から今年4月13日までのこの一年の走行結果を、以前にトヨタにお願いして使っていたプリウスPHVの前身で、実証テストを兼ねた限定PHVとその前に使っていたノーマル三代目プリウスの結果と比較して示したものです。

この1年の総走行距離は15,479km、平均的なユーザーの1.5倍以上ですが、それでもその前の限定PHV車18485kmに比べると大幅に減ってしまいました。二度の海外出張などクルマをおいての出張も多く、クルマを走らせた日数は259日、使わなかった日数は101日、稼働率72%です。

2月にブログで紹介した新プリウスPHV日記-3の走行ログと比較すると、その後に寒の戻りの寒い日が続いたせいか、また豊田や名古屋への何度かの出張で新東名を少しオーバースピードで気持ちよく走ったせいか、大幅に燃費・排出CO2を悪化させてしました。 

今のクルマの用途をカバーし、さらに電池エネルギーを使い切ってもノーマルハイブリッドと同様低燃費ハイブリッド走行ができるのがプリウスPHVの特徴です。 ノーマルプリウスから乗り換えて正直な所、全くサプライズは感じませんでしたが、この充電を気にせず走り回れるメリットは非常に大きいことを実感しました。充電器も屋内車庫に据え付けにしましたし、今回のPHVでは充電ポート部に照明がつけられましたので、夜間に差し込み口を探すことも、また重く扱いづらい充電ケーブルをもちあるくことも不要になり、充電操作そのものは楽になりました。

外出先での充電は、トヨタに出張したとき以外は全く無しで、ガス欠にでもならない限りはわざわざ充電ステーションをさがして出かけることはPHVでは全く不要です。また、充電電力を使い切ったあとも低燃費ハイブリッド走行ができることも特徴の一つで、こうして燃費メリットを引き出せるのはプリウスならではで、従来エンジン車をPHVに改造したようなクルマでは出来ない芸当です。

原発停止で日本の発電CO2が急増、PHV・EVの環境改善寄与は薄く
なお、2月のブログでは、発電CO2として東日本大震災前の2010年経産省エネ庁エネルギー白書データーの各電力会社がグリーン開発メカニズム(CDM)購入分を除いた真水の値の418g_CO2/kWhに原発停止分を勘案し450g_ CO2/kWhで算出しましたが、最近電事連から公表されたデーターでは原発停止の影響が大きく2011年度では510g_ CO2/kWhと20%以上も増加しており、上の表はこの値を使って計算し直した結果となります。

2011年 CO2排出実績と見通し{電気事業連合会HP}

この資料によれば、日本全体の電力総使用量は2010年度の9,060億kWhから3.11後の計画停電や節電の徹底、生産の落ち込み、長引く経済不況から8,600億kWhと減少したにもかかわらず、発電のCO2排出量は3.74億t_ CO2から4.39億t_ CO2と、CO2排出を削減しようという流れに逆行する形の、由々しい増加を記録しています。

この発電CO2を使用した場合、限定車時代は私がAC100V充電をし充電効率が78%だったのに比べ、原稿PHVは車両充電器の効率向上とAC200V充電に変更した事によって充電効率89%にまで向上したにも係わらず、図1に示すようにEV比率36%だった場合のプリウスPHVの走行距離あたりのCO2排出量は111.9g_CO2/kmと、外部充電なしのノーマルプリウスの122.7g_ CO2/kmと比べてわずか9%の減少に留まっています。この減少率ならば、ノーマルプリウスが燃費向上でもう一がんばりすれば追いつくレベルです。

このように、発電CO2をしっかりと計算することは必要で、走行中ゼロエミッションとのキャッチフレーズはCO2削減に関してはまったく意味はないだけでなく誤解を招くもので、例えば英国ではこの広告表現は不正確として禁止されているのは当然の事に思えます。これは勿論、PHVだけの問題ではありません。

プラグイン車推進の見直しを考える時期では

一方でガソリン消費の削減をみてみると、インパネ表示の充電電力走行(EV走行)によるガソリン消費削減量は226リッターで、充電電力を使い切ったあとのハイブリッド走行燃費が三代目プリウスの日本のユーザー燃費サイトe-燃費の調査値21.5km/Lと同じ燃費で走れたとして計算した値239リッター、この中をとって230リッターレベルがプラグインによるガソリン消費削減量でした。

日本の最近のガソリン価格リッター150円では年間約35,000円の削減となりますがこれに充電電力の電力料金を差し引くと、安い夜間電力料金での充電をメインに行ってもその経済メリットはそれほど多くはないのが現状です。

長距離ドライブの頻度が大きく、年100日以上もクルマを使わない私のカースタイルでも、年間5,680kmもガソリンを使わず充電電力で走った勘定になり、急速充電器の整備は不要ですが、勤務先、出張先、宿泊するホテル、ショッピングセンターにAC普通充電器が用意されるようになると充電頻度を高めることは容易だと思います。

しかし、ピークオイル論が遠のいた今、また電力CO2が増加してしまった日本でプラグインハイブリッドだけではなく、電気自動車を使う意味はかなり薄くなったというのが正直な所です。これは中国では更に問題で、発電によるCO2排出が多くまた大気汚染の多い石炭発電を多く行う中国では、ノーマルハイブリッドと比較すると電気自動車の方がCO2排出を増加させるばかりか、PM2.5の大気汚染まで悪化させて、日本への広域汚染にもつながるものとなるというのが現状です。

ピークオイルの心配と、地球温暖化緩和のためのCO2削減として現役ハイブリッド開発リーダーとしてプラグインハイブリッド開発をスタートさせ、トヨタから離れたあともプラグインハイブリッド普及のサポートをしてきましたが、ピークオイルの心配が遠いた今、フランス、カナダ、スウェーデンなど水力発電や原発比率が大きく発電CO2が低い一部の国を除くと外部電力によるEV走行でCO2削減メリットが出せなくなってしまいました。今、自動車業界は果たして何のために外部充電EV走行をするのかという根本の疑問に立ち戻り、プラグイン自動車の目的をもう一度問い直す時期に差し掛かっていると個人的には考えています。

もちろん超長期的には、この発電CO2は削減するというよりも削減させねばならず、低CO2電力が使用出来るようになれば、急速充電ネット整備も不要で既存液体燃料インフラと一般電力インフラが使えるプラグインハイブリッドが有望であるという意見は変わりませんが、こうした低CO2電力供給に見通しがつくまでは、全てがプリウスタイプのフルハイブリッドとは云いませんが、エコラン+αの「マイクロ」「マイルド」から「フルハイブリッド」まで、初代プリウスの時から言い続けたハイブリッド技術をコアにするシナリオがいよいよ本命になったと確信を深めています。

しかし現状では補助金を貰いながら自動車諸税の減免を受けたとしても、経済メリットもほとんどない状況で、これではプラグイン車の売れ行きは日米欧とも芳しくないのは至極当然で、今後プラグイン車が本当に市場に受け入れてもらうためには、さらなる販価ダウンと単なるエコだけはない新鮮さ、サプライズを感じるPHVならではの商品力アップが必要と感じています。

新プリウスPHV日記-3

外で充電することは殆どない

少し間があきましたが、昨年4月から使っているプリウスPHVの近況をお伝えしたいと思います。一昨年の2011年度はトヨタにお願いして限定車を1年使い、昨年2012年4月に量産車を購入し足がわりに使っています。

最近では、この界隈(静岡県東部地区)でも日産リーフが走っているのをたまに見かけるようになり、プラグイン自動車自体も珍しいものではなくなりましたが、プリウスPHVはちょっと目で従来プリウスと見分けが付けられず、プラグイン車普及へのアピール効果としては残念ながら小さいようです。

限定モデルからの通算でほぼ2年、約30,000キロの走行ですが、一言で言えば「通常のプリウスと何も変わることがない普通のTHSハイブリッド車」という感覚です。限定版のPHVではAC100Vコンセントで充電をしていましたが、クルマを入れ替えるタイミングでカバー付きのAC200Vコンセントの設置工事を行い、AC200Vでの充電を行っています。

コンセントカバーには勝手に開閉されないように鍵がついているので、鍵をかけて充電ケーブルはコンセントに差しっぱなしにして使っています。限定車でやっていた充電ケーブルをクルマに積み、充電の度にいちいちクルマから取り出してコンセントと車両の充電ポートの両方に接続、充電後はそれをかたづけて収納バッグにいれてクルマに積みこむといった作業は止めました。

限定車での経験でも、また実証試験の調査結果でも、ガソリンでも走ることができるPHVでは、なにも無理して外出先でケーブルを持ち歩いて充電先を探し回る必要はありません。この2年間で自宅以外の充電では、充電ケーブルを用いて通常コンセントで充電を行ったのは友人の別荘で試しにやってみた1回のみで、充電ステーションでの充電も今も時々クルマででかけるトヨタ本社地区への出張時に充電器付きの駐車スペースが空いている場合だけです。そのスペースも、最近ではトヨタ周辺のPHV台数が増え、先を越されて開いて無く充電ができないケースが増えてきています。

今回の政府補正予算で、電気自動車用の公共充電設備の設置に大盤振る舞いがされるようですが、高額な急速充電器を増やすぐらいなら、電気自動車、プラグインハイブリッド用として同じ予算で100台ぐらいの設置が可能な通常AC200Vの公共充電コンセントを増やす方が大きな石油消費削減効果を得ることが出来ると私は考えています。勤務先、集合住宅、ホテルなど宿泊施設、ショッピングセンター、公共施設駐車場への通常充電コンセントを増やすほうが、クルマ全体で考えると石油消費削減につながることは間違いありません。AC200V充電なら、プリウスPHVでは1時間半でフル充電、約20キロ分を電気走行に置換えることができます。また、これでメリットを得るのはPHVだけではありません、AC200Vであれば都市内の小型コミュータや電動スクーターの充電にも使えますので、こうした通常充電コンセントの設置が効果的と思います。

脱線してしまいましたが、次ぎにこれまでの燃費、電費データをご紹介します。

図1

図1は新プリウスPHVの最新走行ログを以前使っていたプリウスPHV限定車およびその限定車での充電電力を使わないノーマルHVとの燃費、電費、CO2の比較表です。電池エネルギー搭載量は限定車の5.2kWhから4.4kWhへと少し減っていますが、電池SOC(State of Charge: 電池充電状態)の使用幅を拡大し、またEV走行許可域を見直しJC08基準の公表EV走行距離は拡大しています。実際に使ってみると、あまり大きな違いはないようです。

200V充電に変えた効果は大きかった

詳しい分析は、1年経過してからしっかりと報告したいと思いますが、これまでのデータから現状に触れてみたいと思います。充電をAC200Vにしたのは正解のようで、100Vでは3時間かかっていたフル充電時間が半分の1時間半で済み、またフル充電付近では充電電力を落としてスロー充電を行っているので、1時間弱で80%充電はできるようです。また充電効率も200V化によって大幅に改善されています。これからプリウスPHVの購入をお考えなら、購入時に併せてAC200Vコンセントの設置をお勧めします。

月間走行距離がこれまでより少なくなってきているせいか、電力走行比率は増え、ガソリン燃費が向上していますが、年換算では充電電力による電力走行距離はほとんど変わらず、結局はどれぐらい充電できるかで定まってしまいます。電池エネルギー搭載量を大きくしなくとも、勤務先、出先でAC200V充電器が増加していけば充電頻度を高めることができ自ずと電力走行比率を増やすことができます。私のような長距離ドライブ頻度も多いケースでも、38%程度の電力走行ができていますので、外出先で充電ができるようになるとそれほど遠い将来ではなく、50%越えは可能と感じました。

写真1

写真1に車両ディスプレーに表示される通算の燃費、電費ログ表示を示します。
このプラグイン化によって、ガソリン消費量は充電電力量に応じて減っていきますが、図に示すようにCO2排出量はそれほど大きな減少にはなりません。発電電力のCO2として昨年の発表データである450g_CO2/kWhを使いましたが、今の状況ではさらに火力発電シフトでかなり増加しているはずです。またこの観点でいえばアメリカ、ドイツ、さらに中国、インドではCO2排出面からは電気自動車やプラグインハイブリッドは逆効果をもたらし、さらに中国についてはPM2.5 排出の側面を見ても電気自動車拡大が果たして環境に良い効果を持つのか極めて疑問です。

いまはまだ電気代が安く、ガソリンの代わりに電気走行に置換えていくことではランニングコストとしてメリットがありますが、それもガソリンには多額の税金がかかっている状態での比較であり、また深夜電力料金が脱原発/縮原発のなかでどうなるかも心配する必要があります。

しかし簡単に充電ができるようになると、プラグインPHVの販価が下がっていけば充電した電力分だけガソリン走行分を電力走行に置換えていく現実解であることが実感できます。私のケースでも1回の給油で平均1000km程度走れていますから、どんな長距離ドライブでも給油、充電をあまり気にせず走り回ることができることも大きなメリットです。

ただし先回も書きましたが、電池が安くなり販価が下げられてもガソリンの節約だけもとを取るのは楽ではありません。手前味噌ですが、ノーマルHV走行の燃費が良く、このノーマルHVに対抗して燃費削減だけが売りではまだまだ力不足です。プラグインならではのアピールポイントが必要に思います。このプリウスPHVを使ってみて、充電電力を使わないHV走行燃費の重要性感じました。レンジ・エクステンダー方式など、充電電力を使わないHV走行燃費をあまり重視していないプラグインもありますが、長距離ドライブ・高速ドライブではHV走行燃費の重要性を強く感じます。

自動車エンジニアには楽しみな時代

今年は温暖化?が吹っ飛ぶような寒い冬、つくづく感ずるのはハイブリッドやこうしたプラグイン自動車のヒーター性能の低さです。ノーマルHVでもヒーター水温確保のためだけにエンジンを掛けざるをえなくなり、プラグインでも電池があってもヒーターのためのエンジン運転が頻発します。

それでも、従来エンジン車に比べ絶対燃費は悪くありませんが、燃費悪化率の大きさには愕然とします。3代目プリウスでは、排気熱再循環装置を採用、サブマフラーに冷却水パイプを通し排気からの熱回収をおこなっていますが、プラグインではこれでも不十分、この熱源確保もプラグイン自動車のこれからの大きな課題です。電気自動車ではこのヒーター熱源を全て充電電力でまかなうので電力走行距離はさらに短くなってしまいます。シートヒータもありますが、手の足の凍えには役にたちません。我慢のエコの押し売りではない解を期待しています。

まだまだ自動車エンジニアが取り組むべきテーマは山ほどあり、こういった課題が目の前にありこれに取り組むことができるこれからのエンジニアが少しうらやましくなっています。

フランスでのプリウスPHV

欧州でのプリウスPHVの最初のユーザーはモナコ大公

日本、アメリカにつづき、ヨーロッパでのプリウスPHVの発売が開始されたようです。
7月1日付けのWeb Newsで、ヨーロッパでのプリウスPHV最初のデリバリーとしてモナコのアルベールⅡ世大公へ納車されたとの記事がでていました。
http://www.inautonews.com/prince-albert-ii-of-monaco-gets-first-toyota-prius-plug-in-hybrid

アルベールⅡ世大公は確か、以前からプリウスを愛用しておられ、2005年4月にモナコで開催されたプラグイン自動車のフォーラムEVS22に参加したときにも宮殿前の駐車場にプリウスが駐車しておりアルベール殿下のクルマかもしれないと案内の方からお聞きした記憶があります。

モナコはヨーロッパアルプス山脈が地中海に至る丁度西の外れ、猫の額のような海岸沿いの港を中心に拓かれた港町です。海岸沿いから離れるとすぐ急坂が続き、その海岸沿いから急な斜面に市街地が造られています。F1モナコグランプリではこの市街地の公道をコースとしていますので、せまい海岸沿いのルート、トンネル、坂を駆け登り、タイトなコーナーを下るスリリングなコースをテレビでご覧になったかたも多いのではと思います。

また、ラリーの世界でも、このモナコを起点とするモンテカルロラリーが有名でしたが、これも海岸沿いから一気に掛けのような急坂を駆け上がりフランスプロバンスの大地からアルプル山麓のアップダウンを競うラリーと記憶しています。

少し、本題から脱線しますが、トヨタに入社してトランスミッションやデファレンシャルギアの設計をやっていた駆動設計に配属され、クラッチの設計担当をしていました。その時にトヨタとして当時のマークIIで始めてモンテカルロラリーに参加し、残念ながらデファレンシャルギアのトラブルでリタイアしたことがありました。

何日か後に、そのリタイアしたクルマのデファレンシャルギアが設計部隊に送られてきて、それを見ましたが、あの堅い合金鋼を使い念入りに熱処理をしたデファレンシャルギアがギアの歯形が無残にもむしられペラペラになっている状態にその使い方の過酷さを思い知らされたものでした。

実証試験のキッカケもモナコから

モナコだけではなく、コートダジュール海岸の都市部では、観光都市として環境保全に以前からも力を入れ、電気自動車のカーシェアなどにも力を入れています。F1やモンテカルロラリーのようなクルマの使い方は別としても、海岸から離れるとすぐに急坂が待ち受け、市内でこそ日本以上に厳しい速度制限があり取り締まりも厳しいですが、一歩市街地を離れるとその狭い急坂を結構なスピードで飛ばすクルマの使い方を考えると、電気自動車よりもプラグインハイブリッドが適していると思っていましたので、このアルベール大公の愛車をスタートとして、モナコ、コートダジュール各都市でプリウスPHVがあの素晴らしい景色になじんだ普通のクルマとして使われる姿を夢見ています。

写真Ⅰ
2005年4月 展望台からモナコ市街

なお、2005年4月のモナコEVS22への参加が、プリウスPHVのフランスでの実証試験スタートの切掛けでもありました。プリウスに注目し、そのプラグインハイブリッドを開発するつもりがあれば、共同パートナーとしてやりたいとトヨタにオファーをしていたフランス電力公社(EDF)との2回目のMeetingが、このEVS開催中のモナコで行われました。

このときのEDF電気自動車事業部長が、昨年のブログでレジョンドヌール勲章受勲パーティへの参加を取り上げましたが、その当人です。このモナコでの出会いが実り、アライアンスを発表し、その具体的な実証プロジェクトとしてスタートさせたのが、フランス政府の資金サポートも得て共同でスタートさせているストラスブールでの大規模実証試験です。

フランス電力公社(EDF)からオファーがあったとういこと以外に、このフランスをPHV実証試験と普及への重点拠点として注目した理由が、欧州内の電力自由化の流れのなかで、世界最大の電力会社として電力ビジネスを世界に拡大しているEDFと充電インフラなど標準化を推進するパートナーに加えて、ダントツ世界一の低CO2電力を実現している点です。フランスでプリウスPHVの実証試験をすると、自動車文化の先進地ヨーロッパで、その実際ユーザーによるクルマの使い方の中で、アメリカや日本では2050年でも達成が厳しい低CO2電力を今使いながら石油燃料の削減とともにCO2削減効果の検証を行うことができることに注目しました。

当時EDFがトヨタに声を掛けてきたのは、彼らが古くから取り組んできたバッテリEVのカーシェア事業、リース事業、さらにその充電器事業の拡大と、それによる電力の拡販をめざしてきたものの、その事業拡大の見通しがたたず、それに替わる可能性としてハイブリッドプリウスのプラグイン化PHVに可能性を感じたとの理由でした。民営化を進めようとしているものの今も政府の支配下にある超巨大企業であり、フランスとしての輸入石油削減、低カーボン化推進政策ともリンクした動きのようでした。

この低CO2電力の中身は原発と水力、この二つで95%近い発電を行っており、調整用の火力発電は5%程度、もうこれ以上減らせないと言っていました。以前ご紹介した潮力発電だけではなく、最近では風力発電、南仏での太陽光発電にも力を入れ始めていますが発電変動の大きな太陽光や風力の拡大は痛し痒し、その拡大のためにも火力を増やす必要があるとのこと、将来はエネルギー貯蔵としての電池研究にも力を入れています。

自動車の走行エネルギーとして、PHVは石油燃料の替わりにその全てを電力に置き換えるバッテリ電気自動車とは違いますが、ハイブリッドとして石油燃料の消費を大幅に減らし、さらにその残りを部分的に電力に置換えるPHVならば、日常の通勤、ショッピング、家族の送迎のほとんどは充電電力のEV走行を行い、彼らのライフスタイルとして長いバケーションにも家族そろったロングドライブに使う経済的な低CO2車として有望であり、都市部では日本同様、駐車場確保が困難、よほどの大金持ちでもなければ家族での複数台保有は困難な駐車事情からもPHVに魅力を感じたようです。この彼らの提案も、トヨタのプラグイン開発を加速させた要因の一つとなりました。

EDF*トヨタ、将来自動車としての普及にむけての課題の検証と実用性の実証を行うことで合意し、スタートさせたのがストラスブールでの大規模実証試験です。その最初の時期携わった私としては、世界トップの低燃費ハイブリッド車をプラグイン化し、電力Mixがどうあれ、将来世界中が目指さなければいけない脱化石燃料、低CO2電力を自動車用エネルギーとして使い、さらにその充電電力利用でもともと少ない石油燃料消費をさらに減らす将来ポテンシャルを見極めるにはフランスこそ最適との思いを強めました。

ストラスブールの結果から見るPHVのCO2削減効果

ストラスブールで行われた実証プロジェクト二周年を記念する今回のユーザー・ミーティングで、トヨタはそのユーザーにお願いし搭載したGPSデータ付のデーターロガーで計測したプラグインプリウスの充電頻度、EV走行比率、燃費削減効果、CO2削減効果を発表しました。このユーザ・ミィーティングの様子は今月初めにブログで紹介しましたが、その時の数値データがあったのでCO2削減効果について紹介したいと思います。

図1
図1はその時に報告があった代表ユーザー車両のEV走行比率とガソリン消費削減率です。
データーロガーを搭載させてもらった23台から、一番EV走行比率が大きかったA車、丁度真ん中のB車、一番少なかったB車をピックアップして紹介したデータです。A車は先日のブログでも紹介した、会社の駐車場での充電とそのクルマを使用しているスタッフの自宅の両方で充電し、さらにこまめに日中も充電をしながら市内トリップに使っていたクルマです。これに対しC車は、使用スタッフのご自宅が屋外の駐車場で充電ケーブルを使うにも屋外を長いケーブルを伸ばしてコンセントに接続しなければいけない条件で雨の日には汚れたケーブルで衣服が汚れてしまうとの苦情を昨年も聞かされていたユーザーのようでした。このユーザーは、さらにガソリン代は会社持ち、充電しても経済的メリットがないケースだったようです。このC車はほとんどがノーマルハイブリッドの使い方、これでも燃費の良い普通のクルマとしてお使いいただけたようです。これはこれでプラグインハイブリッドの特徴であり、長所です。当然ながら、日当たり充電頻度が高いほどEV走行比率が上がり、ガソリン消費の削減量が増えるとの報告でしたが、これをどのように高めるかが今後の課題です。平均的なB車のケースでガソリン消費の削減率は50%を超え、ハイブリッドの効果、プラグイン化の効果の大きさが実証されています。

図2

図2はこのクルマのCO2削減効果です。薄いオレンジの部分がガソリン消費でのCO2排出割合、黄色が充電電力のCO2排出割合です。これもフランス、A車のようにEV走行比率が56%と充電を多用しても、この充電電力によるCO2排出分は僅か、同クラスのガソリン車と比較して57%ものCO2削減を記録しています。平均的なB車も49%と大きな削減結果でした。ほぼノーマルハイブリッドとして使ったC車ではCO2削減比率でこそ日本で走っても同じ削減率ですが、フランスでの年間走行距離は日本の1.5倍、同じ1台当たりでも年間ガソリン消費の総量も平均走行速度が高いことも加味すると2倍近くなり大きな削減効果が得られている筈です。この実証データからハイブリッドの普及、さらにプラグイン化を進めることにより、個人の“自由な移動手段”であったクルマの未来に明るさを感ずることができました。これからのエンジン、ハイブリッドでの効率向上、電気自動車用のバッテリとして従来車レベルの実走行で500km程度の航続距離実現は到底不可能でも、電池体積を増やさなくともPHV用ならEV航続距離を50%程度伸ばすことは不可能ではないでしょうか? さらに安い一般電力充電コンセントが増え、仕事場での駐車場、ショッピング駐車場、宿泊ホテルの駐車場など出先での充電も簡単に行えるようになると、EV走行比率をもっと高めることも可能です。

厳しい日本の電気事情

しかしながら、日本では、自動車のプラグイン化にはアゲンストの風が吹き荒れています。想定できた自然災害を想定しない人災であった3.11フクシマで、日本でのプラグイン自動車シナリオは大きく崩れてしまいました。日本だけではなく、世界のポスト石油時代、低CO2 社会移行の動きに与えた3.11の影響は甚大です。

東京電力域内にある我が家の電力使用量は、昨年4月末からプラグインプリウスの充電を行っていますが、3.11以後の節電活動で、2010年の使用量を下回っています。しかし、電力料金は燃料調整費、さらには太陽光発電負担分でまだ公式な電力料金値上げ前でも大幅に上昇しています。さらに2009年ではkWh当たり418gであった発電CO2が停止した原発の代替として休止中だった古い石炭、石油発電の再開させたこともあり大幅に増加し、プラグイン化により一般電力を充電に使ってもほとんどCO2削減効果がなくなってしまっています。

もちろん、過去に信じ込まされていた原発安全神話が崩壊した今、従来体制での安易な原発再開は産業界の強い要請といえども許されることではありませんが、将来エネルギー政策議論では原発の安全確保の議論を重ねた上で、クルマ、電機製品、精密機械など“もの作り”が支えて発展してきた日本の、そのもの作りに不可欠な電力がこれ以上に高騰し、安定供給ができなくなれば日本がこの先立ちゆかなくなることもしっかりと議論して戴きたいと思います。クルマではハイブリッドマーケットで世界をリードしていますが、充電電力を使うプラグイン自動車では電力料金、CO2削減ポテンシャルでは地の利が失われてきています。このプラグインハイブリッド普及では、これからもフランスでの実証、ユーザーの反響に注目していきたいと思います。いよいよフランスでノーマルハイブリッドのヤリスハイブリッドの生産が始まりました。これが欧州ハイブリッド普及の起爆剤となり、さらにその先としてプラグインへの続くことを期待しています。
                

フランス工場生産のヤリスハイブリッド
                  

新プリウスPHV日記―2

前回から少し間があきましたが、いま足として使っているプリウスPHVの使用記を取り上げたいと思います。昨年の4月末からトヨタにお願いして法人リースとして使わせてもらっていましたが、それをお返しして入れ替えとして1月末発売を開始した量産タイプのプリウスPHVを購入、4月20日に納車してもらい丁度3ヶ月となりました。

この3ヶ月の印象としては、毎日充電コンセントで電池を充電して使う以外は、使っていてノーマルプリウスとほとんど変わらない極めて現実的な低燃費自動車であるという点です。このブログでも、また様々な講演会でも申しあげてきたように、電池の充電ができなくとも、また忘れていても、普通以上の航続距離を持つクルマとしてプラグインを意識しないでも使えるところです。

確実に向上した燃費

5月に新プリウスPHV日記-1で紹介した改良点の

  1. 充電タイマー機能
  2. EV/HV走行切り替えボタン
  3. 回生充電量によるEV走行復帰機能

は、確実にプリウスPHVの燃費向上、機能向上につながっていることを実感しています。

① 充電タイマーをクルマ側の機能とするか、外部の充電設備側の機能とするかの議論はありましたが、いまの日本の電力事情から、また電力代からも必須の機能です。我が家は今となっては少し早まったと後悔していますが、耐震リフォームを機に温水床暖房を含む冷暖房と給湯、さらにIH料理器セットのオール電化に切り替えましたので、200V系深夜電力での充電が経済的にも好都合です。さま、このご時世、梅雨明けを迎えた今、タイマー機能でピーク時の充電を避けることは欠かせません。

② EV/HV走行切り替えボタンも、充電電力がまだ残っている時の高速道路走行などでうまく使うと高速道路を下りたあとの市内走行燃費を改善したり、この機能をうまく使ってHV走行中の充電量を増やすことができるなど、面白い使い方ができます。

③ 回生充電によるEV走行復帰機能もある意味、電池の搭載エネルギー量を増やしたプラグインでは当たり前の機能、ノーマルプリウスではエネルギー量が少なくすぐに電池フル充電となり、回収せずに捨てざるをえなかった長い下り坂の減速エネルギーをしっかり回生発電として回収し、溜まったところでEV走行に復帰させる機能はプラグインならではの機能です。

難しい回生ブレーキの制御

余談ですが、ノーマルHV開発で苦労した一つが搭載する電池エネルギー量と回生量の決め方です。電池パックの重量、体積はクルマの車両重量を増加させ、また乗員スペース、荷室スペースを減らしてしまい、またコスト増の大きな要因となるハイブリッド化の最大のデメリット部分です。

エンジン停止EV走行域の拡大、減速エネルギー回生量の増大は、もちろんハイブリッド化による燃費向上機能の重要部分です。さらに、燃費向上も日本の10-15モードなどカタログ燃費だけの向上を目指している訳ではなく、加速度も減速度もおおきく、また長い上り坂、下り坂、2000mを超える高地など実際の使用環境で使われた実燃費の向上が目指すところであったことは確かです。この実走行での燃費向上を意識しながら、ギリギリの電池エネルギー量を決めてきました。

初代プリウスでは、エンジンブレーキの効きが悪いとのご指摘をいただきましたが、電池に充電余地があるときは駆動モーターの回生発電で充電し、その発電パワーがエンジンブレーキの制動力となります。しかし、長い坂が続き、電池充電量がフルに近づくと連続して回生発電を続けることはできません。

ノーマルプリウスをお使いなら、電池充電表示がフルに近づくとエンジン回転数が高くなりエンブレが強まるようなモードに遭遇することを良く体験されると思います。このモードがエンブレモードです。回生で発電した電力を、この状態では通常走行とは逆に発電機をモーターとしてエンジンを高い回転で空転させて消費し、エンジンブレーキ量を維持させています。エンブレ量を増やしている訳ではありません。初代ではエンジンの最高回転数を4000回転/秒としましたので、4000回転/秒での空転で消費させる電力量がエンブレ量です。

2000年のマイナーチェンジ、2003年の2代目とエンジン最高回転数を高めてきたのは、もちろんエンジン出力を高め、走行性能を向上させる狙いもありましがた、効きが悪いといわれたエンブレ量を増やすために、発電機でのエンジン空転回転数を高めたかったとの狙いもありました。

電池容量の増化によるメリットが

プリウスPHVでは、長い降坂時にもこのようなエンジン空転による電力消費をやらなくても充電量を増やすことができます。我が家の近くの箱根峠に上がった後の降坂では、登坂時に使い切った充電電力を下りでは回生発電で回収し、麓までにインパネに表示されるEV
走行距離が13kmにも回復することを確認しました。

これはプラグイン化による実走行の回生エネルギー回収量をうまく増やす大きな効果の一つです。高速道路などでの回生回収量を増やすにも役立てているようで、JC08モード燃費だけではなく、実走行燃費の向上にもつながっているようです。

写真1

写真1として昨日(7月17日)にとったプラグインモニターの画面を示します。
この3ヶ月での走行距離は、この表示にあるEV走行距離1,417km、HV走行距離2,900kmの合計4,317kmです。先週10日ほどの欧州出張などでクルマを走らせない日も多いのですが、月平均1,500kmとこれもこれまでの使い方とほぼ同じペースです。

この表示では、充電電力の使用総量が178kWh、EV走行比率は32%でエンジンを起動させたノーマルHV走行の比率が68%でした。この走行でのガソリン総消費量は125L、この値から算出した総合燃費は34.5km/Lとなり、ノーマルHV走行だけの燃費では23.2km/L
と、タイヤ諸元などの違いはありますが、以前に使っていた3代目ノーマルプリウスや、Webの実燃費サイトのユーザー平均燃費よりは少し上回っているようです。実際に給油した累積給油量は125.7L、その燃費は34.3km/Lと表示燃費とほとんど変わらない結果でした。

現時点では金銭的に元を取るのは難しい?

EV走行の走行距離あたりの電力消費(電費)は125.6Wh/kmとなります。このクルマのインパネで表示される電力消費量は、あくまでも充電された電力の消費量ですので、電気代を算出するには充電コンセントから電池までの効率を考慮し、家の(もしくはオフィス駐車場充電器)の電力計での値で課金されます。

我が家では、昨年のプラグインプリウスを使う時の充電設備工事で瞬時電力メモリー機能を持った電力計を入れましたので、その値とこのパネル表示の値から充電効率、実際に充電に使った外部電力量が計測できるようにしました。

また、充電ラインも従来の100Vから、この新しいプリウスPHVの切り替えに合わせ、200Vに切り替えました。100Vラインから200Vラインへの切り替え、および新しいプリウスPHV充電系および充電制御の改良で、充電効率も大幅に向上したようで、昨年までの100V充電で充電効率がほぼ70%程度だったのに対し、新プリウスPHVと200V充電の組み合わせでは充電効率87%との結果になっています。

この電力計の計測結果では、4月の納車からこれまでの総充電量は211kWh、内訳は夜間充電が72.5%の153kWh、昼の充電が27.5%の58kWhとの結果となり、値上がり前の東電電力料金としては、僅かとはいえ充電に使う電力料金も安くなってきています。表1に今の電力料金とガソリン価格でのEV走行およびHV走行での走行1km当たりの走行費用比較を示します。

表1

電力料金には基本料金や、値上がり前にもかかわらずじわじわと高くなってきている燃料費調整分、太陽光促進付加金は考慮していません。ここから電力料金がさらに高くなると、夏のピーク時に充電するとガソリンでのHV走行燃費との差がさらに少なくなります。今のリッター140円を切るガソリン価格でも、燃費が良いハイブリッドといえども夏のピーク時でも走行費用は安くあがります。

しかし、今回の購入で頂けるプリウスPHVのCEV補助金(クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金)45万円とエコカー減税分、エコカーグリーン税制での減免分を入れても、販価アップ分とかかった充電工事費用の回収はほとんど絶望的であることも現実です。

写真1に示したパネル表示にあるように、総走行の32%が充電電力によるEV、そこで削減できたガソリン量は56.5Lとなり、このペースで走ると年間の総EV走行距離は約5,700km、私の場合、愛知や三重への出張や週末の長距離ドライブが年間走行距離を伸ばす要因ですから、日常のショッピング、気晴らしのドライブなどショートトリップではほとんどEV走行でまかなうことができそうです。

年間1万キロ走行程度の平均的ユーザーならこのEV走行比率は私のケースよりも増えると思いますが、EV走行の絶対値はこの出先での充電機会が増えないかぎりそれほど増やせないのではと思います。

ノーマルハイブリッドにないサプライズを

以前のブログでも書いたように、仮に電気自動車を保有していたとしても長距離ドライブには使わず、従来車を使うでしょうから、年間の走行距離もそれほど伸びないのではと推測していますが、これはハイブリッド屋の勝手なセリフでしょうか?プリウスPHVでは、長距離ドライブの最初の20km程度もEV走行となり、この分も確実に充電が使えます。

この3ヶ月で、自宅以外で充電した回数は2回、いずれもトヨタ本社に出張した時に、以前の二人乗りコミューター電気自動車e-Comの時代に設置した充電設備がある駐車場を、プリウスPHVの充電ができる来客駐車場が設置され、打ち合わせ中に充電した2回です。

会社や官庁で職員、従業員用にも充電コネクターのある駐車スペースの整備や、宿泊するホテルなどでも充電できるようになると、搭載する電池のエネルギー量を増やさなくともEV走行距離、比率とも増やすことができ、石油枯渇、石油代替エネルギー時代への備えとして販価、充電設備工事費用を除くと実用レベルにあるクルマとの確信を強めました。

写真2

上の写真は、我が家に今回設置した200V充電用コンセントです。今年発売されたパナソニック製キー付のコンセントカバーがついた簡単な200V用コンセントです。今回から、普段の時には充電ケーブルはコンセントに差したままにしてあります。このケーブルも収納できる大型ケース付のコンセントがある充電ボックスも各社から発売されていますが、まだまだ割高なのが難点です。

電気自動車含め、プラグイン自動車の普及には自動車そのものの販価アップの他にこの充電工事や充電コンセント、充電ボックスの費用も走行費用の削減分から回収する必要があることを忘れてはなりません。

さらに、先回のまとめ、今回の結果から明らかなのは、これまた手前味噌ですが、費用対効果の点ではノーマルハイブリッド車の経済効果が大きく、それをベースとしたプラグインHVでは、その上での効果が小さくなってしまい、経済メリットが出しにくくなってしまうとの現実です。まだまだノーマルハイブリッドも進化の余地が大きいですので、それを頑張り、その上でプラグイン化を充電設備の普及拡大と歩調を合わせステップ・バイ・ステップで進めるのが確実な道ではないでしょうか?

日本でもアメリカでも、前評判ほどは外部充電が必要な電気自動車やプラグインハイブリッドの売れ行きが芳しくありません。
経済性、充電設備の整備、さらに毎日の充電操作自体もまだまだ販売抵抗となっています。

折角のプラグインハイブリッド車ですので、燃費以外にもサプライズを期待しましたが、これは空振り、エンジン停止エリア増えたことを除くとノーマルプリウスと変わるところはほとんど感じられませんでした。サプライズを感じるような商品魅力を負荷することも普及へのステップ、電池のエネルギー量アップなど、大きな販価アップに見合うプラグインならではの新しい商品魅力の創出に期待します。

新プリウスPHV日記-1

新プリウスのFirst Impression

先週のブログで紹介したように、4月19日に新しいプリウスPHVが納車され、私の足として走り始めました。自動車取得税と自動車重量税の免税となるエコカー減税の他、CEV補助金(クリーン・エネルギー自動車導入促進対策費補助金)という通常のエコカー補助金とは別の補助金45万円が頂くよう、現在申請手続きをとっています。この補助金を申請すると、6年間の保有が義務づけられていますので、長い付き合いになりそうです。TVコマーシャルを時々見かけるようになり、ジャーナリストの方々の試乗記を見かけるようになってきましたが、まだ実際に走っているところを見かける機会は少なく、これが今のプリウスのようにポピュラーになっていくにはもう少し時間がかかりそうです。

見た目はノーマルプリウスとほとんど一緒で、プラグインであることをちらっと見て識別することは困難ですが、横側面にあるPLUG-IN HYBRDバッジ、2代目プリウスから使い出したハイブリッド・シナジー・ドライブ(HSD)バッジがコンセントをあしらったものに変更され、右側面の後方に設置されている充電コンセントリッドぐらいが見分けるポイントで、あとはリア、フロントのカラーリングぐらいの違いです。

HV/PHV普及支援の応援団のつもりの私としては、走っていても、駐車中でもPHVであることがわかりやすいように、写真に示すオプション設定のカラーリングとPlug-inマークを追加して貰いました。

納車以来、新東名の試乗を初め、三重県への往復700kmの日帰り出張など、いろいろ走り回って、いじわるな姑のようにあいかわらずのあら探しをしています。これまで使っていた、限定バーションのプラグインプリウスでも、数多くの指摘をさせてもらっていましたが、着実の改良が進んでいるようで、量産への心意気を感じさせられました。
東京から三島まで、さらに三重往復など、高速道路の走行が比率として多く、まだインパネ表示上のEV走行比率20%は少なく、私の使い方での燃費ポテンシャルを掴むことは出来ませんが、使い出した一瞬の印象、限定バージョンからの改良点について触れてみたいと思います。

上の図は5月1日にとった、インパネの走行ログ表示です。総走行距離1285kmのうちEV走行267km、そこで使った外部充電電力28kWh、HV走行1018km、ガソリン消費45リッター、EV走行比率20%です。電力消費、燃料消費の算出方法、またその精度は判りませんが、外部充電電力28kWh分が267kmの走行に使われ、約1kWhの電気エネルギーで10km弱の走行ができたとの結果です。HV走行の燃費はこの表示上は22.6km/Lとなりますが、実際の燃費実力はもう少し走り込んでから報告したいと思います。

改良点1:タイマー機能

大きな改良点の一つは、タイマー充電機能です。これは、あって当たり前、電気自動車に限らず、プラグイン自動車の充電は出来る限り、発電余力がある夜間で行い、普及期にも電気自動車用の発電能力増強をギリギリに抑えることが必要との議論がありました。 
日本では、これにCO2削減からも原発比率の高い夜間電力を使うとさらに低CO2が計れるとのシナリオでした。しかし、限定車には、コンセント側にタイマーを設置してもらうことを想定したのか、設定がありませんでした。ほぼ同時期に発表された日産LEAFにはしっかりタイマー機能とスマホとの連携でそれを制御する機能が付いていました。さらに昨年の3.11の福島原発事故以降、日中の電力ピーク時に新規需要であるプラグイン自動車の充電を行うのは避けるべき、このためにも充電タイマーは必要不可欠なデバイスです。

我が家では、6年前のリフォーム時にオール電化にし、電化上手(季節別時間帯別電灯)の契約で使っています。7月から一般家庭用も値上げとなりそうですが、現在の料金では夜11時~朝7時までの夜間電力が1 kWhあたり9.17円、午前10時~午後5時の昼間が夏33.37円、その他の季節で28.28円、それ以外の朝晩が23.13 円となっています。基本料金、いくつかの割引制度がありますので、実際の電力料金としてどうなるかは判りませんが、昼間の充電と夜間電力での充電では、充電電力料金にも大きく影響しますので、カストマーファーストの視点からも標準装備が求められていました。

将来的には、自動車単独でタイマー機能を持つのか、スマートメーター機能とセットでコンセント側に持つのか議論は残ると思いますが、いずれにしてもその充電制御を行うことは安全の観点からも必要です。電力需給の安定化と効率向上、CO2削減を目的として自動車充電コンセントがスマートメーターを介し接続されるスマートハウス、スマートコミュニティへのシナリオが描けると思います。ピーク時に充電がカットされても、タンクにガソリンが入っている限り、低燃費で走れるところが、電気自動車とは違うプラグインハイブリッドの特徴、これを生かさない手はありません。しかし、残念ながらこのスマホと連携したピーク時充電カット機能はオプション、プラグイン普及期には標準化が必要と思います。

改良点2:EV/HV切り替えボタン

次ぎに重要な変更は、EV/HV切り替えボタンの設定です。これで、自宅からでてすぐ高速に乗るようなケースや、急な坂を上るようなケース、また出先の都市内走行用に充電電力を残しておきたいときには、ドライバーの意思によってEV走行/HV走行を切り替えて使うことができるようになりました。

数年前にアメリカで2代目プリウスの電池を充電容量の大きな電池に載せ替えプラグインに改造する、改造ビジネスがはやっていました。前大統領がアメリカのガソリンがぶ呑み中毒解消を叫び、オバマ大統領がグリーンニューディールを掲げて大統領選に挑んだときも、この改造プリウスプラグイン車が輸入石油の中東依存脱却キャンペーンとして右から左までのNGO団体に使われ、ワシントンDCの連邦議会前、ホワイトハウス前の政治イベントに使われていました。

この改造ハイブリッドプリウスが、今のプラグインハイブリッド自動車、電気自動車ブームの切掛けとなりました。さまざまな改造プラグインプリウスが作られましたが、その全てにはEV/HV切り替えボタンが付けられていました。2代目プリウスの日本版と欧州版には、今もノーマルプリウスなどに採用されているEVボタンが付けられており、EVボタンを押すとエンジン停止ゾーンを拡大させるようになっていました。アメリカ向けには、ゼロエミッションに近いクリーン度が求められるATPZEVに対応するため、EVボタン採用を見送りましたが、HVコンピュータにはそのボタン信号が入るとエンジン停止ゾーンを拡大する制御ロジックがそのまま残っており、それがハッカー達に見破られ改造が行われるようになってしまいました。

しかし、高圧電池を使う、ハイブリッド車が容易に改造されるようでは、改造が自己責任ではあっても安全上問題です。その後は改造されないように、設計変更が行われ、以降のハイブリッド車では、プラグイン改造車は作られていないようです。ノーマルプリウスでもEVボタンを付けたように、電池にエネルギーが残っている状態で、エンジンを出来る限り掛けないEV走行モードの設定ニーズは強く、プラグインハイブリッドの当初企画でもドライバーの選択によるEV/HV切り替えの考え方はありました。

初代プリウスを発売するときに、開発以外で苦労した点として、排気のクリーン度、燃費、ブレーキ性能などクルマの性能、機能など、商品としてのクルマを発売し、それが法規制に合致しているかの試験、届出書作成があります。それまでにどこからも発売されたことのないハイブリッド車では、その試験法、届出書作成の様々なルールまで、届出官庁とすり合わせ、決めていく必要がありました。アメリカ、欧州で発売する場合も、日本でやったように、各地域の法規制に合致するかどうかの試験法、届出項目などをすり合わせ、決定してもらい、それに乗っ取った試験に合格し、決められた基準に沿った届出と認定、認可を受ける必要があります。エンジンがどのような条件で掛かるのか、特定できないEV/HVボタンの採用では、排気クリーン度の試験法もなかなか定まらなかったのではないかと推測しています。

しかし、欧州からもEV/HVボタンの採用は強く求められており、この様々な交渉を乗り越え量産モデルとして採用したことは大歓迎です。ボタンの位置、このシーケンスにもまだまだ改良点があり、またナビ連携、標高データを活用したEV/HV自動切り替えなどの研究も世界中で進められており、この将来も楽しみです。

改良点3:回生充電

三つ目の改良ポイントは、降坂時回生充電の改良です。限定車では、一度、電池の充電電力を使い切りHV走行に切り替えられると、ノーマルHVに比べ大容量の電池を搭載しているにもかかわらず、ノーマルHVの回生シーケンスそのままを採用していたようで、電池充電量が増えても、もう一度EV走行モードに復帰することもやっていませんでした。
また長い降坂時にもPHV電池への回生充電量をあまり増やせていませんでした。今回の量産型では、容量が増えたPHV電池に対応し、これが大きく見直し、回生充電量を増やし、さらに長い降坂で充電量が増加すると、もう一度EV走行モードに戻すように改良されています。

ノーマルハイブリッドもプリウス始めトヨタ・ハイブリッド・システム(THS/THSII)では、目一杯の燃費向上を果たすため、フルハイブリッドを採用し、さらにぎりぎりまでの減速回生発電を行うため、回生発電ブレーキと油圧ブレーキへの切り替えを高精度で行う、本格的な回生協調ブレーキを採用しています。しかし、プラグインに比べると小容量の電池ですので、長降坂ではすぐにフル充電状態になり、エンジンの連れ回し(エンジンブレーキ効果)で残りは捨てていました。プラグインでは、容量を増やした分だけ、捨てずに充電に回せることになり、そのエネルギーは再度のEV走行に使ったり、HV走行でも燃費向上に役立てることができます。わが家の近くの箱根へのドライブで、この機能を試してみました。もちろん、三島から箱根の登りではすぐに充電電力を使い切りHV走行に切り替わります。わが家の標高約140メーターから、箱根峠の最高標高846mまで駆け上がる訳ですから、電池充電状態からスタートさせても、峠付近では燃費表示がリッター20kmを大幅に切ってしまいます。

ここから、芦ノ湖湖畔まで下ると標高723m、帰路はそこから、もう一度箱根峠まで登り、あとは新しくできた東駿河湾環状道路の入り口まで約14kmの下り一方の長い降坂になります。ノーマルプリウスでは、この長い降坂ではすぐに電池フルになり、燃料噴射はカットしていますので、ガソリンは使っていませんが、エンブレ状態のHV走行で下ることになり、登りで悪化した燃費を回復させることができず、平地で通常走っている燃費からいつも大幅に悪化させていました。前回の限定車でもこのシーケンスは変わらず、箱根の長降坂ではノーマルとほとんど同じ、回生エネルギーはあまり回収できていませんでした。

今回の量産モデルでは、エンブレ走行には入らず電池容量が増えた分だけたっぷり回生充電が行われ、電池の表示としては東駿河湾環状道路の入り口までに、EV走行距離13kmまで回復、自宅までに使い切れずに残量を余した状態で帰宅しました。燃費としても、このコースのドライブでは、限定車に比べ大幅に向上していました。

しかし、ちょっと心配になったのが、電池寿命への影響、基本的には充電であれ、放電であれ、電池容量あたり、その電池を通過する電気エネルギー量の積算値で寿命は支配されると言われています。もちろん、電池そのものの改良による寿命伸張、さらに電池温度や充電状態によるきめ細かい充放電制御により、寿命保証をしていると思いますので、途中交換を心配することはノーマルプリウス同様にないとは思いますが、”ハイブリッド用電池は携帯電話やPC用とは作り方も寿命保証の考え方も全く違います。途中交換前提の設計はしていません“と言い切り、その後の電池の改良と、クルマとしての電池の使い方、その充放電制御の改良で、実際のマーケットでも信頼を獲得してきました。この考え方は、守ってくれているものと信じています。

日産LEAFの説明にも、電池寿命にやさしい充電量80%カットモードの説明がありました。これもリチウムイオン電池の電池寿命を心配しての表現であれば、その普及拡大には心配の種、さらなる技術進化への取り組みが必要と思います。

苦戦するプラグイン車、まずは家庭や職場での充電環境整備を

 日産LEAF、GM VOLTなど、日本だけではなく、アメリカでも充電型プラグイン自動車の販売がやや低調、プリウスプラグインの販売も、ノーマルプリウスやアクアの絶好調の影に隠れ、やや低調のスタートのようです。

補助金をいただいてもまだ販価が高く、経済メリットがまだまだ出せない理由以外に、充電コンセントなど充電設備の設置がネックになっているように思います。個人住宅でも、駐車場所によっては配線工事とコンセント設置の工事が必要で、それもそれほど安くはありません。またマンションなど、集合住宅では、新設のマンションで充電設備付をうたい文句に売り出すケースを見かけるようになってきましたが、まだその数は少なく、それもCS活動の域を超えません。フランスでは、集合住宅新設時には駐車場の一定割合には自動車用充電設備設置義務付けの法規制が本決まりになっているようです。

既設集合住宅への設置支援、その標準化と低コスト化、家庭/オフィス用設置支援、さらに官庁/会社での従業員駐車場への設置支援など、クルマの購入そのものへの支援も重要ですが、充電設備をどのように設置していくかも、普及拡大の鍵を握るように感じます。

安い、低CO2電力が使えること、充電設備の普及、車両の低価格化、電池長寿命化の進展が前提ですが、移動の自由、旅の自由、“Freedom of Mobility”“Freedom of Travel”の手段であり、ドライブそのものにも楽しみを与え続けMobilityであり、ポスト石油さらに低CO2の社会要請に応える次世代自動車として、”プラグイン自動車にその未来を見た“と言えるまでもう一息と感ずることができました。

プラグインプリウス日記 1年間の総まとめ

今年1月末に発売を開始した新型プリウスPHVが納車されましたので、それに乗り換え、一年の約束で使っていた限定販売のプラグインプリウスをお返ししました。(今回、わかりやすくするために、これまでの限定販売のモデルをプラグインプリウス、一般販売した新型をプリウスPHVと表記します。)
 
今回はこの一年の走行まとめと、その結果および概要などを報告したいと思います。もちろん、私はトヨタをリタイアしたとはいえ、業界の人間、このプラグインのプリウスは現役開発エンジニアとしてスタートさせた最後の仕事であり、エンジン開発、ハイブリッド開発にどっぶり40年以上浸かっていましたので、身びいきが入る分はご容赦下さい。

プリウス以前のプラグインハイブリッド

以前にこのブログで書いた記憶がありますが、初代ハイブリッドプリウス開発の時代から、プラグインハイブリッドは頭にありました。当時は、ハイブリッド・コンセプトといえば、カリフォルニア州で規制が決まったゼロエミッション車、すなわちバッテリー電気自動車の欠点をカバーすることを目的とした、プラグインタイプのレンジエクステンダーハイブリッドが主流の次代でした。(その頃はレンジエクテンダーという呼び名ではなく、シリーズハイブリッドと呼ぶのが一般的でした。)

バッテリー電気自動車の欠点はその頃も今も同じで、走行距離の短さ、バッテリーのコスト、バッテリーの重さです。トヨタのZEV対応車として製作したRAV4EVでは、車高の高いSUVをベース車としその床下一面に重量が450kgの当時としては最先端の電池を搭載しました、重く大きく450kgものレアメタルが多く使われた電池ですから、そのコストは押して知るべし、とても量産車と呼べる代物ではありませんでした。

そしてその450kgの電池を搭載してすら、フル充電からの航続距離は当時のアメリカ都市モードで160km、ロス地区での実走行ではエムプティ点灯までの余裕をとると50マイル(90km)がいいところした。この短い航続距離、割高どころではないコスト増、いかに法規制よるものとしても、赤字の垂れ流しでは企業として事業の継続はできませんので、この欠点を補うものとして、プラグインハイブリッドが検討されていました。

しかし、カリフォルニア州の規制当局CARBは、発電機用でもエンジンを搭載するクルマはZEVとは認められないとの最終判断を下し、当時このハイブリッドは日の目を見ませんでした。

プリウスの開発はこの決定が下された後にスタートさせたもので、もちろん排気のクリーン度はZEVに劣らないレベルを目指し、その上でZEV規制のくびきを離れ、21世紀のグローバルカーとして石油燃料消費、CO2排出の画期的な削減が狙い、我慢のエコカーではなく、安心、安全の次世代自動車を目指したものでした。ですから初代プリウスハイブリッドシステム記者発表の資料の冒頭にも、下のようにEVのような外部充電を必要とせず、既存のインフラに適合した画期的な低燃費車と説明しています。

初代プリウス解説文

 長時間充電しても、航続距離は短く、普通のクルマとしては使えないというのが当時の電気自動車のイメージでした。そのイメージを払拭したかったというのがこの表現です。

しかし、ZEV対応を目的としなくても、将来石油需給の逼迫、温暖化緩和に対しては、既存電力インフラからの充電で走行エネルギーの一部を補う、プラグインハイブリッド構想があったことも確かです。数回前のブログで気に言った表現として紹介した、さまざまなエミッションを他で排出するZEV、エミッション・エルスオエア・ビークルではなく、安心、安全なグローバルエコカーとのコンセプトはプラグインハイブリッドでも外すことはできません。

プリウスPHVはエミッション・エルスオエアの部分、すなわち発電時に出すエミッションを含めたクリーンで低CO2排出のクルマ、さらに実際に今永らく使われてきたエミッション、CO2排出の多い経年車に変り同じように使うことができるクルマが狙いです。最近の講演では、電池充電を忘れても普通以上に走れるクルマ、充電をすればその分ガソリン消費が少なくなるクルマ、さらに充電電池を使い切った後は燃費の良いハイブリッド走行と紹介しています。

一年間の平均燃費は31.2km/l

前置きが長くなってしまいましたが、このような狙いで開発をスタートさせたプラグインプリウスの一年間の走行結果まとめを報告します。表1は1年間のプラグインプリウス走行結果のまとめです。昨年4月28日に受け取ってから先週19日に返却するまで、ほぼ1年357日間使用しました。この間、海外出張4回含め、呑む機会のある出張、デスクワークなどハンドルを握らなかった日が93日、実際ハンドルを握った日は264日、稼働日数比率としは74%、総走行距離は18,465kmでした。月平均1,500kmと日本の自家用車ユーザー平均の9,000kmを遙かに超えるヘビーユーザーです。この間の給油回数は20回、591Lのガソリンを使いました。

初代プリウス解説文

総合累積燃費は31.2km/l、3代目プリウスのJC08カタログ燃費の32.6km/Lには届きませんでしたが、日本でもアメリカでのユーザーの実使用平均燃費に近いアメリカのEPAラベル燃費50mpg(21.3km/L)や日本のユーザー燃費サイトの数字21.7km/Lに比べると約50%の燃費向上となりました。(プリウスの実燃費についての詳しいところは、以前のブログhttp://www.cordia.jp/wp/?p=286をご覧ください)

EV走行比率では31.2%と、このクルマの公式燃費算出に使われている比率46.2%(ユーティリティファクター)に比べると低い値になっていますが、これも長距離ドライブが多いヘビーユーザーであるが故の結果だと思います。しかし、年間の走行距離が多いだけに、31.2%のEV比率であっても年間1,049kWhの充電電力分、走行距離として5,761kmもガソリンを使わずに走行できたことになりました。図2に一年間の日当たり走行距離をプロットした走行ログを示します。

表2_プラグインプリウス走行ログ

日当たり走行距離500km越えは、三島の自宅から豊田/名古屋地区への日帰り出張、250km~350kmの大部分は宿泊出張の片道、年の後半は酒を呑む機会が増え、宿泊出張や電車での往復で、500km越えの日帰り出張はありませんでした。環境のためには、こんなにクルマを使うのは良くないとのお叱りが聞こえてきそうですが、プリウスハイブリッドを使うと、豊田、名古屋地区への出張では経費も安くすみ、さらに時間も有効に使えます。

現地での移動にタクシーを使うと、費用が高くつく他、CO2排出も増えかねません。さらに、根っからのクルマ屋、走る事そのものも好きですし、様々なところを走り回り、隅から隅まで、そのクルマのあら探し(次ぎの改良点探し)をするのを仕事にしてきましたので、今でもその癖は抜けません。自由な移動手段、そのうえ走ることそのものでも精神の解放を味わうためのクルマを、これからも使い続けるために低燃費、低CO2に取り組んだといったほうが正直なところです。少し脱線しましたが、このログデータを基に自動車の使い方について議論させて下さい。

EVの適性、PHVの適性

私も日常のショッピング、送り迎え、リクレーションなどはほとんど充電エネルギーで走っています。265日のハンドルを握り、5,761 kmのEV走行とすると、長距離ドライブに使った日を含め、平均20km強は外部電力充電によるEV走行をしていることになります。

この充電電力を使い切ったあとはノーマルHV走行になりますから、充電切れを心配する必要はありません。このグラフで80kmラインに赤線を引いたのは、EVを使ったときの航続距離イメージを示すためです。以前のブログでも触れているように、私も日産LEAFほか様々なEVを使ってみました。また過去のRAV4EVを使った経験からも、次ぎの充電までの余裕ギリギリとったとしても、夏のエアコン、冬のヒータ運転を想定すると余裕をみて航続距離80kmが心理的に安心して利用できる目安としました。

ヘビーユーザーに入る私ですらこの走行ログに現れているように、日常のショートトリップの大部分はこれでカバーできますので、これを越えるドライブを100%しない用途としてお使いの方であれば、EVはその価格を除けば静かでクリーンで素晴らしいクルマです。 

ただし、これを越える用途でEVを使用するとなると難しいものとなります。公共充電インフラ整備、急速充電設置を急げとの声もありますが、80km越えの長距離ドライブではPA/SA毎に充電が必要になり、そのたびに「お茶でも」ではありませんが30分もかかります。スローライフ的にゆっくりと移動するというイメージ戦略もあるかもしれませんが、そうなる高速移動体としてのクルマの存在価値と矛盾するものです。しかも、もし充電ポイントが使われていれば次ぎの充電ポイントまで電池切れをヒヤヒヤと心配しながら走ることになり、ゆとりとはかけ離れたものとなります。また、そういった事のないようにと、充電スポットを沢山設置するとなれば、莫大な金額の投資が必要となりあまり現実的ではないでしょう。

プラグインプリウスでは、自宅外で充電したのはたった3回、それも必要だったからではなく、外部での充電そのものを目的としたお試しの充電です。平均的な個人ユーザーでは、日常のショートトリップが多く、私との差は長距離走行の頻度の違いが大部分でしょうから、これが少なくなるとEV走行比率はどんどん増加し、限定車のカタログ値としての比率46.2%、新型プリウスPHVの48%に近づくと思います。さらに、勤務先駐車場、ショッピングセンター、宿泊のホテルなど出先の駐車中に充電ができるようになると、搭載電池をあまり大きくしなくても走行比率を高めることができます。

このプリウスPHV限定車を使って、公募したお客様を対象に行っているフランス・ストラスブール市の実証プロジェクトでは、1台あたりの充電設備を、契約会社の駐車場、そのクルマ共同利用する従業員二人の自宅、合わせて3箇所に設置して、EV走行比率向上のトライとしてスタートさせました。その結果、EV比率は大きく増加したとの結果が得られています。このプロジェクトでは、フランス電力EDFやフランスエネルギー省、ストラスブール市とタイアップし、中心部の地下駐車場、市役所駐車場、都心部の路側帯駐車スペースに公共充電ステーションも設置しましたが、実使用では充電の97%が自宅と会社駐車場での充電、公共充電ステーションは殆ど使われないとの結果でした。70台強のプリウスPHVが走り回り、その年間走行距離の平均は約24,000km、欧州の平均16,000kmを大きく越え、従来車のそのものの用途として長距離ドライブにも使われています

甘くないプラグイン車の普及

プリウスPHVはEV距離が短すぎ、中途半端とのコメントを耳にします。もちろん私的にももう少し延ばしてくれればとの思いもないではありません。しかし、今一度、EV走行の意味を考えてみる必要があるように思います。なんのためにEV走行距離を求めるのか? エンジンを使うのが悪、EV走行が善との短絡的に扱わることが残念です。

1990年代のカリフォルニアZEV規制は光化学スモッグが改善していかないことを市民から迫られ、州政府がその対策効果というよりもしっかりやっていることのアピールとして決めた法律でした。すべてのクルマをEVにできるならば別ですが、古いクルマが併存する状況では、クリーン度向への寄与はありません。石油消費削減ならば、いまのクルマに変わって普及し、同じような用途で輸送距離、走行距離の肩代わりが実効をあげる条件です。年間走行距離が限定されるようでは、また従来車と使い分けられ、古い従来車の代替が進まなければその効果が上がらないことは明かです。さらに、CO2削減効果を追求するなら、発電時のCO2、エミッション・エルスオエアを考慮に入れなければ意味はありません。このCO2削減では、3.11福島原発事故以降、発電のCO2がどんどん増加し、これはPHVもEVも同じですが、ノーマルハイブリッドとほとんど変わらない排出量になってしまっています。プリウスPHVのCO2排出についてのWTW分析、LCA分析は別の機会に報告したいと思います。

大都市での郵便配送、宅配サービス、ショートトリップ専用のセカンドカーなど、EVの良さと、その限界を理解したうえで使って行く必要があり、普及の努力に水をかけるつもりはありませんが、エンジンを持たずEVだけで走らせること、その走行のゼロエミッションに意味はあまりないことは再度強調させて戴きたいと思います。

さらに現在のPHVもまだまだですが、補助金前提の一杯一杯の価格設定では、普及は期待できません。お客様を侮ってはいけません。アメリカでも、日本でも、欧州でも、昨年EVやPHV/EREVの売れ行きは芳しくありませんでした。今年に入ってもノーマルハイブリッド車の伸びに比べると、充電を行うプラグイン車の販売は低迷しています。

補助金をいただいてもガソリン消費削減代でカバーすることは困難です。加えて充電用設備の工事費追加、さらにはマンションなど集合渋滞句での充電はほぼ不可、充電設備が必要など、そのメリット、お使い戴く上での課題をご検討され見送られているケースが予想以上に多かったようです。”PHVですら“と敢えて言わせていただきますが、この状態、安全、安心、安価、使い安い充電設備を開発し、Step by Stepで整備し、さらに電力のCO2を下げ、それでも電力料金の高騰を抑え、将来の普及を目指して行くこと、さらにクルマとしての魅力アップも必要です。

走ってクルマのあら探しをするのが習い性、次から次に見つける気になるところを指摘してきましたが、新しいプリウスPHVはかなりの点が改良されているようです。この新プリウスPHVとの比較、走行の印象はまた別の機会に報告したいと思います。
      

プラグインプリウス日記-6

プラグインを使用して1年近くが過ぎました

昨年の4月から、プリウスプラグインハイブリッド(今販売されているモデルのパイロット版)を自分の足として使っています。今週までで、約1.6万キロを走破しました。年2万キロには届きそうもありませんが、月1500km強、年間1.8万キロと自家用車の平均年間走行距離9000kmの倍ぐらいのヘビーユーザーです。月に1~2回は、静岡県三島市の自宅から愛知県の名古屋市、豊田市への出張があり、夜の呑み会がセットされていない日帰り出張や一泊出張では、時間の有効利用、経済性から殆どクルマを使います。

日常の自宅を中心とするショッピング、レクレーションのショートトリップの大部分は充電電力を使い、ガソリン燃費リッター50km以上を記録しますが、愛知出張などの長距離になると、その殆どの走行はエンジンを使ったHV走行になり、フル充電からの出発で片道250kmのトリップとなるとガソリン燃費は通常のハイブリッド車に近づき、リッター25km程度です。これまで同様、燃費を意識しすぎのエコ運転はやっていません。通算燃費は、長距離走行も多いせいもあり、リッター31.4km、カタログ燃費の57kmには全く届きませんが、ユーザーが報告する日本のプリウス実走行燃費サイトでのe-燃費21.7km/lと比較すると、約50%の向上と大きなガソリン削減効果が得られています。概算のEV走行比率は31%ですので1.6万キロのうち約5千キロ以上は充電電力で走っていることになります。

日本の平均的ドライバーで、日常の通勤、ショッピングとしったショートトリップを主体に時々週末の長距離ドライブを行い、年9千キロ程度クルマを使うユーザーでは、日本のカタログ燃費算出に使う、EV走行比率48%はほぼ妥当な値で、JC08走行燃費でもe-燃費とは大きく差がありますが、e-燃費の倍リッター40kmは実現可能、我慢をしなくてもガソリン消費を大幅に削減することができると思います。

プラグインハイブリッドの特徴は、何度もこのブログで取り上げているように、充電電力がなくなっても、ガソリン使って従来ハイブリッド以上の長距離ドライブができることにあります。往復500kmの日帰りドライブでも、電欠、ガス欠を心配しなくても安心して帰りつくことができます。通算11ヶ月間での充電電力量は952kWh、国内や海外出張、何日かの外出しない日もありますが、それを除く毎日1回の充電と、日の2回の自宅での充電がほぼ全て、自宅外で充電したのはこの11ヶ月で3回のみ、わざわざ出先の充電ポイントを探し回らなくても困ることはありません。

もちろん、通勤先の駐車スペース、宿泊先のホテル、出先の駐車スペースで簡単に充電できるようになれば、この充電電力量をさらに増やすことができ、このままの電池搭載量でもEV走行比率をさらに高めることは可能です。さらに電池がさらに安くなり、エネルギー密度も向上するならば、将来は同じ電池容積、重量でもEV比率をさらに高めることが期待できます。

愛知県豊田市駅前の市営充電ステーションでのプラグインプリウス

この電池に外部電力から充電した電力が、ガソリンを使う替わりにクルマを走らせたエネルギーとなり、私のケースで総走行距離1.6万キロの31%強、5、240kmが電力走行、約240リッターのガソリン消費削減との結果になりました。補助金をいただいても、安い夜間電力で充電したとしても、このガソリン消費削減分だけでは、クルマの販価アップ分とさらに充電設備の工事費分のもとはなかなかとれませんが、実用技術で従来車の走り、航続距離を損なうことのない商品との確信をもつことができました。

4月から新型PHVに乗り換えます

1月末に、私が使っている少量実証試験用プラグインハイブリッドの量産改良版“プリウスPHV”が発売を開始しました。実証試験での結果などを踏まえ、EV走行キャンセルボタンの設置、EV航続距離の伸張、充電タイマーの設置、スマートフォンとの連携による充電時間コントロールや充電情報の通信など、改良が施されているようです。

新型プリウスPHV
プリウスPHVの充電ポート

電気自動車/プラグイン自動車購入への特別補助金が来年度も継続して貰えるようになり、充電設備が使えるケースでは手に届く範囲に入ってきましたが、まだ今のガソリン代と電力料金では、夜間電力を使ったとしても販価アップ分を回収できるレベルではありませんが、ポスト石油への備えとしては有効性が見えてきたように思います。

販売店に問い合わせると、個人客よりも法人客が多いようで、また充電設備費用も普及のネックとなっているようですが、充電設備設置が可能ならば、個人用としての普及が期待できるのではと思っています。私も、4月には改良されたプリウスPHVに乗り換えます。これからも続けて、改良効果と、さらにその将来性を現地、現物で確認していきたいと思っています。

先週のブログでも取り上げましたが、岩手と宮城の境、金ヶ崎町にある関東自動車岩手工場で生産されている、トヨタの新型小型ハイブリッド車アクアをよく町で見かけるようになりました。発表以来12万台を越える注文をいただき、フル生産を続けても今からの発注では納車が7月を過ぎるとの話も聞こえてきます。岩手工場の生産をアクアに集中させ、急遽能力増強を行っているようですが、早めの納車ができるように生産サイドのもう一がんばりをお願いしたいところです。

日本での2月登録台数1位は10ヶ月連続のプリウスで35,875台、3位アクアの21,951台などハイブリッド車の販売が伸び、トヨタ・レクサス新車販売に占めるハイブリッド車の比率は約半分を占めるまでになってきました。このところ世界的に石油価格が上昇、ガソリン価格が上昇しているようで、日本だけではなく、アメリカでもハイブリッド自動車の販売が上向きとなってきており、低燃費自動車への転換が大きく加速するのではと期待しています。エコ、クリーン性能はこれかの自動車の基本性能として非常に重要ですが、やはり普及拡大の引き金を引くのは、経済原理と商品魅力、低燃費車への補助金政策、ガソリン価格の上昇もあり、ハイブリッド車がお客様の懐具合から判断しても魅力的となってきたことが大きいと思います。

石油のこれ以上の暴騰を防ぐためには、低燃費車への転換を加速させ、グローバルな石油消費を減らすことが何よりも重要、中国の自動車保有台数があっという間に日本をはるかに越え、1億台を突破しました。この勢いで自動車の保有台数が増加していく中では、ガラパゴス論など言い合っている余裕はありません。かといって、ハイブリッドはショートリリーフと言って、過去になんども盛り上がった議論ですが、石油燃料のエンジン自動車から一足飛びに、電気自動車、または水素燃料電池自動車にワープさせることも、いずれも空手形に終わりました。

ワープさせるには、技術のブレークスルーが必要、かつブレークスルーが実現したとして、そのエネルギーを供給する社会インフラ整備が必要です。電気自動車も、水素燃料電池自動車も、まだまだ従来技術の改良で実用化が目指せるレベルではありません。知恵と熱意と、将来の実用化に夢を描ける研究者にブレークスルー技術創出に頑張ってもらうフェーズだと思います。それこそ、何かが見つかるまでは、簡単に仕分けをせず、国費としてその研究を支えていただきたいと思います。

プラグインプリウス日記-5

相変わらずプラグインプリウスを乗り回しています

私の愛車プラグインプリウスの走行距離が、4月末に納車されてから先週末で12,000kmを突破しました。ほぼ年間20,000km相当ですので、いまだに日本の平均ユーザーの倍以上走りや生活を続けています。環境に優しくないのではとの誹りを気にしながら、どうすればこれからのエネルギー資源、環境問題に自動車を適応させ、自動車の原点の一つ、個人が自由に移動できるMobilityがどのようになるのか、どうすれば良いのかなど、考えを巡らせながら走っています。

現役時代では、自分が開発を担当しているエンジンを搭載した試験車をテストコースに持ち出して走り回っていた他、改造申請をして正規に白ナンバーを取った白ナンバー試験車やモニター試験車、さらに比較用に買っている他社の話題車、欧州スポーツカーなどを借り出して、休日にも長距離ドライブに出かけたものです。プリウスでも、白ナンバー試験車ができあがると、すぐに借り出し、いろいろなところを走り回りました。この習性が今も顔をだし、クルマのそしてエンジン、ハイブリッドの粗を探し回り、進化の姿を描きながら結構な距離を走る事になってしまいます。また、平均よりもちょっとシビア目の走り方を心がけてきましたので、燃費値もほぼユーザーの実走行平均燃費を少し下回る走りが身についてしまいました。

図1は、4月末から12月10日までの日当たりの走行ログです。トータル12,000kmをどのような使い方をしたのかがこれでわかります。豊田・名古屋地区に日帰り出張をすると往復550km~600kmの走行、宿泊ではその地域の移動含め日当たり250km~300km、東京往復でも250km、週末のドライブでは箱根を回って90km、山梨、長野へでかけるとやはり日帰りで250km~300km、宿泊でも150km~200kmのドライブになります。

ゼロ付近の赤いハッチングは、このプラグインプリウスの電池フル充電から電池エネルギーだけで走行できたこのクルマの平均実走行距離21.4kmの部分です。日常の使い方ならほとんどこれでカバーできています。長距離ドライブでも、この充電エネルギー分はガソリン消費の削減に使われています。表1にこの間、226日間の燃費、電力消費、電力走行比率などを纏めたものです。この間の給油回数は12回、残量に余裕ももって給油し、こんな走り方ですので月1回とはいきませんが、これで12,000kmですから、一回給油すると平均1,000kmは給油せずに走れていることになります。総平均走行燃費は32.8km/l、実際にフル充電から途中にエンジンを掛けずに充電量を使い切りエンジンが掛かるまで走行が出来たときのEV走行距離データと、この充電コンセント専用に設置した電力計からの充電電力から計算した走行距離あたりの電費(Wh/km)から計算したEV走行比率は30.7%になりました。自宅以外で充電したのは、この間2回だけ、日当たり充電回数はほぼ1回、しかし、年換算すると充電電池のエネルギーでガソリンを使わないで走行出来る割合は約5,600kmとなり、長距離ドライブ頻度がそれほど多くないアベレージの使い方でユーティリティファクター48.3%(EV走行比率48.3%)は妥当のように感じました。

図1 走行ログ
図1 走行ログ
表1 走行データまとめ
表1 走行データまとめ

先月11月29日に発表した、量産タイプのプリウスPHVの国土交通省の燃費・電費諸元値では、総走行距離のどれくらいの割合を電気エネルギーで走ったかの割合として、車両走行実態調査の結果からEV走行比率48.3%(ユーティリティファクター)を採用し審査値を決めています。これによると、ガソリンを使ったハイブリッド走行の燃費値としてJC08モード基準で31.6km/lから算定したプラグインハイブリッド燃料消費率(複合燃料消費率)として61.0km/lと発表しています。(G/Sグレードの標準車)これがカタログ燃費値です。CO2の排出値は発表されていないようですが、トヨタのHPでは、従来プリウス比、この審査値ベースで35%削減と述べています。しかし、これは現在の発電CO2を考慮に入れたWTWでの計算ではありませんし、実走行での削減率ではありません。このCO2排出ポテンシャルとしてのエコ度をどう評価していくのか、これこそ産官学でのオープンで透明な議論での結論を期待します。
 

受注が始まったPHV、しっかり数字の意味を見極めよう

この新型プリウスPHV発表会で、技術担当の内山田副社長がプレゼンテーションを行い、2009年末からやってきたユーザーモニター試験の一部を紹介しています。豊田市の主婦のかたで、殆どが自宅からの買い物、送り迎えのショートトリップで自宅に戻る度に充電し、平均日当たり3.4回の充電を行った例で、EV走行比率94%、約2ヶ月半のモニター期間の走走行距離2,486kmのガソリン燃費249km/lを記録された例と、サラリーマンの方で日常の通勤と、時々の長距離ドライブで、約2ヶ月弱使われて、EV比率44%、燃費41km/lの例を紹介しています。

14年間のハイブリッドの歩み

プリウス累計販売台数200万台突破

10月7日にトヨタ自動車からプリウスの累計販売台数が、本年9月末までに約201万2千台と、200万台を突破したと発表がありました。初代プリウスの発売を発表したのが今から14年前、1997年10月14日です。東京モーターショー開催を前に、東京赤坂の全日空ホテル(現ANA インターコンチネンタルホテル東京)の大宴会場を会場として新型車発売会が行われました。11月末から生産を開始し、12月1日(月)~京都国際会議場で開催される地球温暖化防止京都会議(COP3)の京都でデモ走行を行い、12月10日(水)に発売を開始するスケジュールでした。

当時のスケジュールノートを見ると、立ち上がり品質の最終確認、設計変更項目の折り込み日程調整、生産工場での品質レビュー会議、発売後すぐにスタートさせるサービス対応タスクフォース活動のチーム編成と作戦会議、全国のサービス拠点に送るプリウスの手配、その合間にカーオブザイヤー審査対応など広報宣伝スケジュールの調整と分刻み、休日は全くない状態でした。その間もクルマを生産する高岡工場にも何度も出向き、ハイブリッドトランスミッションを作る本社工場、インバータやコントローラを作る、広瀬工場、さらに品質として一番の心配の種であったハイブリッド電池パックを作る、PEVE湖西工場にも出向き、生産を開始したラインを見て回る、出荷品質などの話を聞いていたように記憶しています。

さて、発表後1997年末までに400台弱の登録が行われ、当年の量産化が条件であった当年のカーオブザイヤー受賞の条件を何とかクリアさせ、年末休みを迎えることができました。ただし年末休暇と同時にスタートさせたサービス支援タスクフォース活動は、大阪で発生した路上故障不具合の原因調査と修理作業支援によって新年の元日から本格出動開始、仕事始めとなりました。私も、本社の小さな会議室に設置した事務局に顔を出し、大阪に出張したタスクフォーススタッフからの連絡を受け、その後の不具合原因調査活動の打ち合わせなどで明け暮れた印象です。

それから14年、トヨタのハイブリッド車全体の累計販売台数は300万台を突破、その中核をしめるプリウスも200万台を突破するに至りました。まずは、日本、さらに世界各国のトヨタハイブリッド車、さらに初代プリウスのよちよち歩きの状態からご愛用いただいき、その成長を見守って下さった多くのユーザーの皆様に御礼を申しあげたいと思います。

1997年はやっと400台弱、前評判は上々、実用的なエコカーと様々な賞をいただきましたが、初期受注を配車したあとは電池など品質への心配などで中々伸びず、1998年は約17.7千台、1990年は15.2千台に留まっていました。初代の立ち上がりは国内販売に限定、われわれ開発陣としては、国内のお客様にしっかり使い込んでいただき、その声をフィードバック、品質も高め、欧米の走り方にも適用できるように走行性能も向上させた上で欧米に導入したいと提案していました。国内のお客様を実験台代わりに使ったわけでは決してありませんが、品質に万全を期したと言っても、新規部品のてんこ盛りのハイブリッド、従来車に比べ不具合比率が高くなることは覚悟していました。当時も、トヨタのマークが付いているから、品質の心配はしないでプリウスを購入したとのお客様の声をよく耳にしました。しかし、路上故障を起しがっかりしたとのお叱りの声も多く戴きました。少しでもお客様に迷惑をお掛けしないように、不具合の再発をしないようにと、開発スタッフの発案でサービス支援タスクフォース活動チームを結成し、手こずりそうな不具合の報告が入ると、夜に日を徹してそこまでプリウスで走り、即断即決、95%以上もの再発防止率を達成してくれました。ここまで成長できたのも、いくつかの不具合がありながらも、暖かく見守り、支援していただいた初期型ユーザーの方々のお陰だと感謝申しあげます。

プリウス・ハイブリッドの信頼性・安全性品質確保として想定したこと

1995年12月のトップ会議で、まだまともに走る試作車もないのに、新規開発の本格ハイブリッドを搭載したプリウスの量産開発にゴーサインがだされ、技術陣の提案では1998年末目標の生産開始時期が、1997年12月に1年も早められ、私がその量産ハイブリッド開発のリーダに指名されたと当時の担当役員から知らされたのが1996年2月でした。
 
その担当役員から、そのプロジェクトを止めるディシジョンが一番難しいので、止めざるを得ないケースの全てをおまえが想定し、ディシジョンのタイミングを失しないように、そのケースになりそうな情報は逐一、ハイブリッド、車両開発担当の役員と情報の共有化を図り、トップに持っていけるようにするようにとのアドアイスを貰いました。
その後、仲間の部長達からも、あんたが他のプロジェクトに悪影響を及ぼすようになる前に止める決断してくれと言われ、そのアドバイスも技術開発マネージャーの多くの意見として、無謀なプロジェクトだから何とか傷口が大きくなる前に止めるようにとのご意見だったのではと勘ぐっています。

もちろん、私も止めるタイミング、ケースについて様々な想定とケーススタディーを行いました。クルマの基本性能は、“走る”“止まる”“曲がる”であり、部品故障やシステム不具合で、ドライバーの意図通りにこの基本性能が発揮できなくなる故障、不具合のうち、さらに深刻な車両火災(FH)、暴走(OR)、高圧感電を誘発する可能性のある故障、不具合はどんな状況であろうが許されません。1つでもその起因となる可能性がある不具合が残ったら、その不具合をシロにしなければプロジェクトを止めることが求められます。この不具合はグレーの場合でも同様で、シロであることが確認できるまでは、生産、販売にゴーは掛けられません。

想定される限りのケースの確認を行い、さらにその想定を越える現象が起きたケースでも、最短の時間で、最短の動きで止めるフェールセーフ設計の確認も繰り返し、コンピュータだけではなくクルマの動作としての不具合再現とそのフェールセーフ動作の確認をギリギリまでやり尽くしました。やり尽くしたはずでも、開発段階で突き止めきれない想定外の不具合発生も想定する必要があります。そこは、それが販売したクルマでおこり、それが他のクルマでも起こる可能性がありそうならば、販売を止め、生産を止め、場合によっては既にお客様の手に渡ったクルマでも走行を止めていただき、回収をする決断まで想定すべきです。幸いにも、その様々な想定を越える、また止めると想定していたケースに遭遇することはありませんでした。

今でも、当時、もし止めると想定していたケースに遭遇したら本当に止める提案をし、止めることができたか、その責任を全うできたかと自問自答しています。担当役員との情報共有化、トップ役員にタイムリーな決断をいただくパイプを作っていただき、多くの役員からの全面的なサポートがあってやれたプロジェクトだと思っています。

ただしこうした致命的な不具合は無かったものの、いくつかの不具合でお客様にご迷惑をお掛けしました。お叱りを覚悟で申しあげるとそれも想定内、その対策のスピードアップとその再発防止が想定したアクションプラン、不意打ちを食らうことはありませんでした。この想定を私一人はやったわけではありません。人間としても専門能力としても信頼できる、何人かのスタッフが大部分の想定スタディーをやってくれ、分野ごとの設計部隊との間の想定を、抜けがないように繋ぎ、発売後のサービス支援、故障、不具合対応タスクフォースグループの結成までやってくれました。いずれも、開発現場、クルマの評価現場、製造現場、販売現場を繋いだ現場ベースの活動と、その活動を信頼し激励し、責任をとるマネージがあってやり遂げられたと思っています。

プラグイン・プリウス日記-4

ロングトリップを出来るという事

今日で、4月末の納車以来9回目の給油をしました。これまで4カ月の総走行距離は7980㎞、8月はクルマでの出張も少なく、月間走行距離はいつもの月よりも大幅に減って1251㎞でした。夏休みや、電車での出張、オフィスにこもっての執筆活動とクルマを使わない日も多く、充電電力量もこれまでの月よりは減った印象で、この夏の節電には少しは協力できたようですが、LEAFのようにプログラムタイマーをつけスマートフォンで充電On/Offをやれる様にするなど、オフピーク充電、夜間充電機能の必要性を感じました。日本でも家庭用スマートメータ設置を決めたようですので、スマートメータを生かして、充電制御や充電量、そのCO2量、充電電力料金の見える化などやれるようになるのではないでしょうか?
プラグイン自動車の電池をエネルギーバッファーとする壮大なスマートグリッド構想が話題を呼んでいますが、まずは家庭、オフィス単位、地域単位のこのようなローカルなネットのもとでのピーク充電カット、オフピークタイマー充電、エアコン・ヒーターのリモート起動など身近なところからのスタートが現実解と思います。

表1は4月29日から8月31日までの日当たり走行距離です。
表1

下の赤いラインが、このクルマの満充電からの公称EV走行距離、JC08で23.4kmのラインです。名古屋地区などの出張や、週末の長距離ドライブに出かけない限り、この23.4kmのEVレンジでも通常は結構カバーできています。ですが、ここに統計の数字のからくりがあります。多くレポートなどでは、自動車の利用のほとんどは短距離のショート・トリップで、現在のEVの航続距離でも殆どのトリップを賄うことが出来るという話がそれです。

私はロングトリップの頻度が高いドライバーですが、確かにトリップの回数という部分を抜き出すと殆どの利用をEVでカバーできるように見えます。しかしながら、500kmなどのロングトリップが発生してるために、現状でのEVの航続距離では全然足りないわけです。そういったトリップの為に急速充電が必要という意見もありますが、100km毎に2~30分の充電を繰り返して移動するというのは非現実的な話で、少なくとも私には論外のソリューションに見えます。なお、数年前にフランスのEVカーシェアプロジェクトを視察した際、その運営責任者にクルマの使用方法を聞いてみたところ、彼も拠点から自宅まではEVを使うが、週末の高速ドライブ、長距離ドライブ用には別の古い従来車を使うと言っていました。そのような使い方では、EVの年間走行距離も短く、「旧い従来車と合わせた年間走行距離では、多分1台の新しいハイブリッド車よりも相当ガソリン消費量が多く、CO2排出量も多い結果となっているのでは?」と、議論をふっかけた記憶があります。

プラグインハイブリッドの最大の特徴は、この走行ログにも示されるように、クルマでの長距離出張は長距離出張でも従来車や普通のハイブリッド車のように充電を意識せず使えるところにあります。

この4カ月の使用で、自宅車庫以外での充電は結局、有楽町の東京フォーラム駐車場での一回だけでした。出先で充電できそうな駐車場を探すのですが、まだまだです。もちろん、日産、三菱の販売店、ロータスグループ傘下の自動車整備工場、東京都の公営駐車場の一部など、eV/PHVタウン構想に参加している地域を中心に充電ポイントの整備が進んでいます。PHVでは、わざわざ充電のためだけに少し離れた充電ポイントまで行って充電することはほとんどありません。出先の短時間駐車中の充電はそれほど必要性を感じませんが、出張時に宿泊することも多かったのですが、せめて宿泊時の夜間に充電できれば有効と感じました。

我慢をせずに「エコ」に貢献できるようなクルマを目指そう

表2は8月末までの走行データのまとめです。

表2

4月から8月末まで、累積走行距離7,980㎞での累積ガソリン給油量は254.5L、燃費は31.4㎞/lを記録しました。満充電からのEVレンジは相変わらずばらつきが大きいですが、高速を使わず、市内、一般郊外路の走行ではJC08の公称23.4km、までは伸びませんが、平均20㎞程度は走れるようです。満充電からEV走行を続け、エンジンがOnするまでの走行距離から求めたEV走行時平均電力消費と充電電力量から求めた電力エネルギーで走った総EV走行距離の計算値は2,039 kmとなり、総走行距離に対するEV走行比率は25.6%となりました。8月単月では、長距離出張も少なく、EV走行比率がこれまでに比べ増加しました。月当たりの充電電力量はそれほど変わりなく、月あたりの充電電力走行距離は500㎞程度ですので、日常ショートトリップを中心に使用する年間走行距離10,000㎞程度の標準的なドライバーなら50%程度のEV走行比率は期待できるのではないでしょうか?

「こんなクルマどっぷりの生活はエコではない!」とお叱りの声が聞こえそうですが、個人の自由な移動手段である自動車にはまった根っからのクルマ屋として、クリーン、低燃費にも取り組んできました。模範的なエコ派でないことは自覚しています。自由な移動手段、“Freedom of travel, Freedom of mobility”としての未来のクルマも使い続けるために、我慢せず低燃費、低CO2&お客様の財布にも優しいクルマをめざし続けたいものです。